長峰裏(2016/2/11)

先輩達の憂鬱


キロロスキー場一週間も経たないうちに、またしても長峰裏に来ることとなった。 
集まったメンバーは8名。いずれも前回で味を占めた人達である。

前回は主役だったN島先輩は、今回は一般参加。
登りで苦労しないように新しいシールを買って、ついでにウェアまで新調して、体調も万全。
「これでもう前回のようなことは無い」と張り切っていたのに、有ろう事かスキー靴を忘れてきたと言う。
レンタルの靴で滑るのも不安なので、残念ながらこのまま帰ることになってしまった。

「他に忘れ物した人はいないよね」と話しをしていると、Y須賀大先輩が「あっ、俺、シール忘れた!」
山スキーをするのにシールを忘れてきては、靴を忘れたのと大差はない。
そこで、N島先輩が買ったばかりのシールは、Y須賀大先輩が初めて使うこととなる。

「年を取ると物忘れが多くなる」なんて話しをしていると、コージ大先輩が「俺なんかカヤックに乗るのにパドルとヘルメットとスプレースカートを忘れた事がある」
この先輩3人と同じ年代になったばかりの私とmarioさんは、近いうちに自分達もこんな風になってしまうのかと暗澹たる思いに囚われるのであった。

長峰山頂N島先輩を除いた7名で、リフトを乗り継ぎ長峰山頂へ。
前回は吹雪模様の山頂だったのに、今日は風も無く青空も見えていた。
センターハウスも前回より混み合っていたので、さすがに今日は長峰も人が沢山入っているだろう。
そう思っていたが、先客は男性一人だけ。
他のパーティーがやってくる様子もなく、今日も私達だけで長峰裏を独占できそうだ。

昨日は札幌でも大荒れの天気となり、キロロでの24時間降雪量も30センチに達していた
斜面のトラックは殆んどリセットされ、目の前には真っ白な大斜面が広がっている。
ビデオ撮影のために、T津さんがトップでそこを滑り降りて行く。


これから滑る斜面
これからこの斜面を滑ると思うとワクワクしてくる

前回は出だしの急斜面で腰が引けたけれど、今日は見通しが良いので安心して滑る事ができる。
自分の番になって、思いっきり斜面の中に飛び込んでいく。
雪が軽い。
パウダーを滑るターンする度に、身体がふわりと宙に浮くようだ。
T津さんのビデオカメラの横を雪煙を巻き上げながら通り過ぎると、その先でもI山さんがビデオカメラを構えているのが見えた。
一気にそこまで滑り降りる。
最高に気持ちが良かった。
他のメンバーも皆同様に、滑り終わった後に笑顔を浮かべる。

なかなかすっきりとした青空は広がってこない。
薄い靄がかかり、それがかえって幻想的な風景を演出していた。
真っ白な雪面、雪を被ったダケカンバ、周りの山々、白一色の風景の中に原色のウェアーを着たメンバーの姿が浮かび上がる。


白い風景を滑る
最高に気持ちが良い

所々で止まりながら、皆で最高の滑りを楽しむ。
今日はY須賀さんが、I上さん状態になってどんどん先に滑り降りてしまうので、帰ってから撮った写真を確認しても、Y須賀さんの姿が殆んど写っていなかった。
パウダーを滑る本来ならば、シールを忘れた時点で今日の山スキーは諦めるしかなかったのに、N島さんが靴を忘れてくれたおかげで、こんな最高の雪を滑れるのだ。
余計に嬉しさも増して、パウダースノーの中に飛び込んでいくのだろう。

かみさんも前回からは見違えるような滑りを披露。
フワフワのパウダースノーのおかげで、怖がらずにフォールラインに向かって真っ直ぐに滑っていく。

今日は最低でももう1本は登り返す予定でいた。
既にかなり下まで降りてきていて、どの辺りから登り返すかが迷うところである。
途中、上の方に別のパーティーの姿が見えていたので、登り返している間に斜面が荒らされてしまいそうだからと、今のうちにノートラックの斜面を楽しんでおくとの結論になった。


パウダーを滑る
雪が軽いと上手くなった気がしてくる

そうして最終的に標高760m付近まで滑り降りた。
標高差にして約300m。
長峰裏で滑り降りられるのは、多分この辺りが限界になるのだろう。

滑り降りた分は登り返さなければならない。しかもオールラッセルである。
登り返し前回は20代の馬力のある若者に助けられたけれど、今回は周りを見渡しても頼りになりそうな人間は皆無である。
そこで、少しくらいは元気なところを見せようと、私が最初にラッセル役を引き受けた。
標高差40mくらいを登ったところでかみさんにバトンタッチ。
私は最後尾に付いて、後は写真を撮りながらマイペースで登っていく。

かなり雲が広がってきていた。
時折、雲の切れ間から陽が射しこむ。

前回の長峰裏で「ラッセルし足りない」と文句を言っていたかみさんなので、今日はいきいきして先頭を突き進んでいる。
その直ぐ後ろを登っているのはI山さんだけで、他のメンバーはラッセルしながら登るかみさんのスピードにも付いていけず、次第に間隔が開いてくる。
私も最初のラッセルで頑張りすぎて、喘ぎながら付いていくのがやっとだった。


登り返し
黙々と登り返す

最後はI山さんのラッセルで、標高970mまで登ってきた。
そこまで登る途中、数本のトラックを見かけたけれど、人の姿は全くなかった。
2本目は、1本目より右側の沢型を滑ることにする。
勿論ノートラックの斜面である。

パウダーを滑るそして1本目と変わりないパウダースノーを満喫する。
昨日は札幌で強風が吹いていたので、ここも吹き溜まり気味の重たい雪が積もっているかと思っていた。
しかし、何処の斜面も深々と降り積もったようなパウダースノーなのである。

標高860m付近。
そのまま滑って沢型の底まで入ってしまうと、雪崩の恐れもあり、登り返しも大変なので、ここから登り返すことにする。
でも、そこからだと新たにラッセルしながら登らなければならない。
少しくらい高度を下げても、最初のトレースを利用した方楽だと言うことで、そこを目指してトラバース気味に滑り降りる。

パウダーを滑るそうしてトレースに合流したところ、その下にも少しだけノートラックの斜面が広がっていた。
そうすると黙ってられないI山さん。
「もう少し降りちゃいませんか?」
ブーイングも出たけれど、パウダーの魅力には抗えず、もう一滑り。

標高815mで昼の休憩にした。
風もなく、うす曇の空から大粒の雪がひらひらと舞い落ちてくる。
それを見たY須賀さん、「おお〜、フケの様な雪が降っているな〜」
思わず吹き出してしまった。
おかげで、せっかくの美しい雪がフケにしか見えなくなったのは困ったものである。

そこからの登り返しは、エネルギーが補給され、体力も回復し、1本目よりも楽に感じた。
相変わらず他のパーティーの姿は見えない。

2本目登り返し完了途中からはトレースを外れ、ゲレンデへのお帰りコースを目指す。
そこからのラッセルはT津さん。
お帰りコースを目指してはいても、そのまま帰るような人達ではない。
そこの斜面をもう1本滑るつもりである。

コージさんだけは、余力を残しながらもここでリタイア。
標高975mまで登ってきたところで、皆に見送られながらゲレンデへと戻っていく。
前回、1本目で精根尽き果て、吹雪の中をよろよろと歩き去ったN島さんとは、随分違う後姿だった。

ボーダーが一人で私達の後から登ってきて、トレースを利用したお礼をしてくれた。
私達の滑っているのを上から見て、それで滑り降りたとのこと。
確かに、今日の雪を一人でラッセルしながら登るのは、余程体力に自信のある人でなければ躊躇ってしまうだろう。
今日の長峰裏のトラックは、その殆んどが私達のパーティーが刻んだものなのである。

パウダーを滑る3本目は私が真っ先に滑らせてもらう。
勇んで滑り出したものの、直ぐに小さな沢に突っ込んで転倒。
それでも、直ぐに起き上がれて、適当なところまで滑り降りた。

かみさんも他のメンバーから感心されるくらい、前回とは別人のような滑りを見せる。
本人も楽しくてしょうがないみたいだ。

これで今日は終了。
と思ったら、またしてもI山さんが「もう少し下まで滑りませんか」
最後のラッセルで体力を消耗したのか、T津さんが「もう勘弁してよ〜」と泣きを入れるが、多数決でもう一滑り。

パウダーを滑る パウダーを滑る
すっかり上手になったかみさん marioさん

石狩湾が見えたそして標高890mまで降りたところで本当の最後となる。
1本目、2本目、3本目と少しずつ、滑り降りる標高が高くなるのが面白い。
そこから少しトラバースして自分達のハイウェイトレースに合流。

欧米人の男女がそのトレースを下から登ってきていた。
その先では、ラッセルしながら登ってきた男性二人が、私達のトレースに入ってホッと一息付いていた。
皆の役に立つトレースなのである。

後ろを振り返ると石狩湾が見えていた。
前回、今回を通じて、長峰裏から初めて見る日本海だった。

雪庇の上と下に人がいるゲレンデに戻る手前に、上部に雪庇の発達した急斜面がある。
その雪庇の上に人が立っているのには驚いてしまった。
おまけに、その雪庇の直ぐ下にも人がいるのである。

そして、雪庇の切れ間からその斜面を滑り降りて、そのまま雪庇の下をトラバースしながらゲレンデの方に滑っていく。
雪崩の怖さを知らないのだろうかと思ってみていたら、その直ぐ横の斜面は実際に途中からスパッと切れて雪崩れていた。

正式な手続きでバックカントリーに出てきているわけではなく、ゲレンデの途中から抜け出してここを滑り、またゲレンデへと戻っているのだろう。
彼らが雪崩れに関する知識を持っているとは全く思われないが、それでもある程度の想像力があればその危険性は分かるはずだ。
自己責任だと思って滑っているのかもしれないが、これでもしも事故が起きれば、またしてもバックカントリーを滑るのが悪い事だとの風潮が強くなってしまう。
何とか取り締まって欲しいものである。


雪崩た跡 雪庇の下をトラバース
雪崩れた後 雪庇の下を平気でトラバースしている

ゲレンデへ帰還ゲレンデまで出てくると急に天気が良くなるのは前回と全く同じパターンだった。
しかし、最初からこんな天気になっていたら、まさかの4回登り返し何て事態になっていたかも知れないので、これでちょうど良かったのである。

そのまま林間を滑る気力も残ってなかったので、今回は素直にゲレンデを滑り降りる。
硬いゲレンデを滑ると、衝撃がまともに腰に響いてくる。
年寄りはやっぱりパウダーを滑るのに限るのである。


ゲレンデへの最後の登り
ここを登ればゲレンデに出る


長峰山頂9:40 - 標高760m10:15 − 標高970m11:00 - 標高815m12:05 -標高975m12:45 - 標高890m13:25 - ゲレンデ13:50 



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