羊蹄山喜茂別コース(2016/1/24)

1000m一気滑り


週末ごとに山スキーに出かけ、滑り終わった後には早くも次の週末の話しが出てくる。
「長い距離を思いっきり滑りたい」
そんな話しで今週は羊蹄山に登ることになった。

記録的な寒波が日本を襲うと言われている時に、そんな高い山に登っていて大丈夫なのだろうか?
そんな心配をしていたけれど、北海道の週末の天気は意外と良い方に変わってきていた。

登山口に路上駐車登るのは羊蹄山の喜茂別コース。
私達やS藤さんには初めてのコースだが、I山さんやT山さんは何度もこのコースを登っているらしい。

朝8時前に現地に着いたのに、既に別のパーティーの車が2台停まっていた。
この喜茂別コースには駐車場が無いので、路肩に車を停めなければならない。
少しでも邪魔にならない様に、路肩の雪山を除雪して駐車スペースを広げる。
ザックに入れている組み立て式のスコップでは、なかなか大変な作業である。
こんな時のために、大型のアルミスコップを車に常備しておいた方が良いかもしれない。

到着時には雪が降っていたけれど、登り始める頃には太陽の姿も見えてきた。
暫くの間は林道を真っ直ぐに登っていく。
傾斜も緩く単調な林道歩きだけれど、登るにつれて周りの林がダケカンバ林、エゾマツ林、トドマツ林、カラマツ林と姿を変えていくのが面白い。
青空も広がってきて、前方に羊蹄山の山頂も見えてきた。


林道を登る 林道を登る
カラマツ林とエゾマツ林 青空が広がってきた

羊蹄山が姿を現した
これから登る羊蹄山が目の前に姿を現す

真っ直ぐだった林道は途中からつづら折れに変わるが、登るルートはそのまま真っ直ぐに続いている。
そのために、つづら折れの林道を途中で何度か横切る事になる。
S藤さんがやや遅れ気味だけれど何時ものペースなので問題はない。

林道の上から尻別岳が見える私達の後から登ってきた二人連れの男性が私達を追い越していった。
最後の林道カーブの盛土の上まで登ってくると、後ろに尻別岳の姿が良間近に見えていた。

ここから徐々に傾斜が増してくる。
蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山は、本物の富士山のように裾が広がった美しい円錐形をしている。
その外観のとおりに、麓の方は緩やかで山頂近くが一番急傾斜となるのである。

去年登った真狩コースは、沢地形の中のルートなので傾斜の変化も大きかった。
喜茂別ルートは尾根の上をひたすら真っ直ぐに登っていくので、山の姿どおりに傾斜も変化していくのだ。

金曜日から土曜日の朝にかけてはこの辺りでも結構な積雪があったみたいだが、土曜日の日中からは雪は殆ど降っていなかった。
それでも昨日のものと思われるトレースは、5センチほどの新雪に埋もれていた。
右側は深い沢だ昨日の方が雪も天気も良かったはずだが、それ程多くの人は入っていないようだ。

登るルートの右手は深い沢になっている。
T山さんが一度その沢に迷い込んで、途中から抜け出すこともできず、そのまま苦労しながら沢の中を降りてきたそうである。

T山さんに、「いや〜、こんなに天気が良くなるなんて思わなかったね。」と声をかけると、「安心してください。ちゃんと雲が出てきますから。」との返事が返ってきた。
その言葉通り、谷の向こう側からモクモクと突然湧いてきたガスが青空を掻き消してしまった。
やっぱり今日もこのパターンなのかとがっかりしたが、現れた時と同じようにいつの間にか晴れてくる。
後ろに見えている尻別岳も、雲に隠れたり姿を現したりを繰り返す。


尻別岳
尻別岳が雲に隠れそうだ

登りのトレースはそれ程急でもないのに、何度もスリップしてしまう。
踏み固められて表面がツルツルになってきているのだ。
必死に登るどうしても登れないところではトレースを外れる。
それ程深いラッセルでもないので、その方が楽なこともあるのだ。

前を登るI山さん、T山さん、かみさんの3人から次第に遅れ始める。
それでも、私のもっと後ろにはS藤さんがいるのが救いだった。
のんびりと写真を撮りながら登る余裕もできるのだ。

右手眼下には京極町の街並みが見下ろせる。
その先には無意根山や余市岳などの姿も見えている。
今日は雲も多いけれど空気が澄んでいるので、遠くの山々まではっきりと見渡せる。


無意根山に余市岳
遠くの山がくっきりと見渡せる

標高1000mで一休み標高1000m付近で一休み。
ここまで2時間30分ほどかかっていた。
目標は標高1300m。そこまで登ってから滑り降りる予定だ。

標高1000mでも風は殆んど吹いていなかった。
気温は多分マイナス10度前後だろう。
それでも、風も無く陽射しがあれば暖かく感じるくらいだ。
途中から上着を一枚脱いで登ってきたが、この様子ならば最後までこのまま登れそうだ。

休憩を終えて登り始めるとき、皆より少し早く出発した。
先行パーティーのトレースもあるし、たまには先頭で歩く気分を味わってみたかったのだ。
最初はかなり間隔が開いていたはずなのに、次第にその差が縮まり、最後にはかみさんに先頭を譲り、T山さん、I山さんと次々に追い抜かれる。
先頭に出て突っ走るかみさんマラソンレースで一人だけ飛び出し、それが徐々に2位集団に追いつかれ、最後にはその集団からも遅れてしまう展開を良く見るけれど、それと全く同じパターンである。

再びガスがかかってきた。
今までと違ってこのガスは簡単に晴れそうもない。
先頭に出たかみさんはそのまま一気に突き進む。
そのスピードにはT山さんもI山さんも付いていけない。

一人一人の間隔は大きく開き、先頭のかみさんの姿は殆んど見えず、それどころかその後を登るT山さんの姿さえ見えなくなってきた。
これだけ視界が悪くなると、不測の事態に備えてパーティーの間隔は開けない方が良い。
かみさんにそんな気持ちは全く無く、何時ものパターンで後ろを気にする事も無くマイペースで登っているのだろう。
それを知っていながら、かみさんに先頭を譲ったのは迂闊だった。


ガスに包まれる
ガスの中に消えていくかみさん

後ろのS藤さんの姿も全く見えなかったので、その姿を確認できるまで暫く待っていた。
その時、真っ白なガスの中から滑り降りてくる人達がいた。
一番最初に登っていたパーティーのようだ。
標高1300mに到達ふわふわのパウダースノーでさぞかし気持ちが良いだろうと思っていたら、そうでもないらしく、転んでいる人までいる。
滑りは苦手なのかなと思って見ていたが、後でその理由が分かる事となるのだ。

先に登っていた3人にようやく追いついた。
その辺りで標高1300m間近らしい。
しかし、相変わらずガスに包まれたままで、羊蹄山山頂の姿も見えない。

せっかくここまで登ってきて、山頂の姿も拝まずに滑り降りてしまうのは何とも悔しい。
最後に追いついてきたS藤さんがまだ登ることはできるというので、天気待ちも兼ねてもう少し上まで登ることにした。

一瞬だけ山頂が見えたそうして再び登り始めたところ、間もなくしてガスが突然どこかへ消えてなくなり、下界の風景が眼下に広がってきた。
するとI山さんが「直ぐにまた曇るかもしれないから、もうここから滑っちゃいましょう」と言ってきた。

疲れきっていたS藤さんが最後の力を振り絞って登り続ける決心をしたというのに、あまりにも早い変わり身である。
最後の場所から、まだ10mくらいしか登っていないのである。

山頂も姿を現したので、私も慌ててカメラを向ける。
潅木が邪魔だったけれど、贅沢は言ってられない。
そしてそれが、下山するまでに見た最後の山頂の姿だった。

私達が滑り降りようとしていたら、下から10名以上の団体が登ってきているのが見えた。
ここは駐車場所が無いので、そんな団体ツアーは入らないだろうと話しをしていたのに、意外だった。

意外と滑りづらい雪質にびびるそこからいよいよ標高差1000mの大滑降の始まりである。
目の前のオープンバーン目指して勇んで滑り降りたまでは良かったが、雪の悪さに思わず途中で停まってしまった。
パウダー斜面かと思ったら、そのパウダーの厚さは10センチにも満たず、その下はガリガリでデコボコのアイスバーンだったのである。
どうりで先程すれ違ったパーティーが苦労しながら滑っていたわけである。

そんな様子を見ていたT山さんが、一人だけ右側の沢の方に滑り降りていった。
どうやらそちらの方を滑った方が雪質が良さそうである。
沢の中を覗きこむと、そこにはT山さんのシュプールが残っているだけだった。
撮影部隊としてまず私が滑り降りる。
しかし、沢の中の雪は吹き吹き溜まったような重たい雪でスキー操作もままならない。
後続メンバーもその雪に苦労しているようだ。


谷に降りるが 雪質は悪かった
この谷を滑ってみるが 重たい雪に苦労する

こんな雪を滑るために1000mも登ってきたのではない。
そのまま沢を滑り降りたのかと思ったT山さんは、何時の間にか尾根の方に上がっていた。
私達もそこをトラバースして尾根の上に戻る。

スプレーを上げて滑る疎林の尾根上は雪質も良くなり、ここからようやく滑りを楽しめそうだ。
少し無駄に標高を下げてしまったけれど、何せ1000mも登ってきたので、まだたっぷりと滑れる斜面は残っている。
先週までのようなふわふわ底無しパウダーではないけれど、不満は無い。

所々で潅木が邪魔しているので、気持ち良く滑られそうなルートを見定めてから滑っていく。
羊蹄山をホームゲレンデにしているT山さんが、偵察を兼ねて大体は最初に滑り降りる。
一旦滑り始めると、途中で止まることなく一気に行けるとこまで行ってしまう。

今日は参加していないけれど、I上さんもパウダー斜面を目の前にすると真っ先に飛び出していくタイプである。
この二人を一緒にしたら何時も二人で先陣争いしていそうだ。


I山さん S藤さん
I山さん S藤さん


登りのルートは尾根の北側に沿っているので羊蹄山の北東方向の展望を楽しめる。
一方、滑る時は大体は尾根の南側を滑るようになるので、洞爺湖方向が見渡せる。
そんな洞爺湖を背景にして、スプレーを巻き上げながら滑り降りるのがとても格好良いのだ。

大滑降を楽しむ途中で南向きの斜面を滑ると、雪面がモナカ状に固まっていたのでビックリした。
気温はかなり低い状態が続いているのに、一昨日降った雪がサンクラストしているのだ。
もう一月下旬。太陽の陽射しは日に日に強まり、光の春とも言われる2月がもう目の前に迫ってきている。
これからはこんな雪質に出会う機会も増えてくるのだろう。

次第に樹木が混んでくるが、傾斜も緩なってきて雪も柔らかいので、ポール斜面の感覚で楽しく滑ることができる。
林道まで出てくると、後はノンストップの直滑降で道路まで戻ってきた。
登った標高差1000mを、その気になればノンストップで滑り降りられる。
さすがに羊蹄山は滑り応えのある山だった。

GPSトラック) 


洞爺湖を背景に滑る
洞爺湖を背景に滑るT山さん

駐車場所(8:05) - 標高1300m(11:50) − 駐車場所(13:20) 



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