大黒山(2015/2/6)

怨念の曇り空


水曜、木曜と2日連続で素晴らしい青空が広がっていた。
この天気は金曜日まで続きそうだけれど、週末にはまた天気が崩れる予報で、翌週も雪マークがずらりと並んでいる。
これ以上青空を見上げながら無為に過ごすことに耐えかね、金曜日の仕事を1件キャンセルして、休みをとることにした。

目指す山は仁木町の大黒山。
道内では、2日頃に赤井川や倶知安付近で少し雪が積もっただけで、その後は殆ど降っていない。
その後に続いた全道的な好天で、何処の山も雪質はあまり良さそうにない。
しかし小樽から余市付近だけが、ずーっと曇り空のままだったので、その近くの大黒山ならばパウダーが残っているかもしれないと予想したのである。

狭い駐車スペース小樽付近の天気も、金曜日にはようやく回復してきそうだ。
そんな私の計画に乗ってきたのが、カヌークラブのS藤さん。
午前8時に仁木町のコンビニで待ち合わせして、大黒山の登山口へと向かう。
農道の除雪終点に車を置くのだけれど、そこに停められる台数はせいぜい2台程度。
平日なので空いていたけれど、週末ならばかなり早い時間に来ないと停められなくなりそうだ。

札幌を出るときは晴れていたのに、小樽からは上空に真っ黒な雲が広がってきて、余市まで来ると雪まで舞い始める始末である。
登山口からは大黒山の山頂は見えないが、たとえ見えたとしても、その姿は雲に隠されていたことだろう。
完全に想定外の天気だった。

2週間前にカヌークラブの仲間と羊蹄山に登った時、I山さんが「次は大黒山にでも登ってみたいですね」と言っていた。
今週末もそのI山さんから「土曜日何処かに登りませんか」と誘われていたのに、それを無視して天気が良さそうだからと仕事を休んで大黒山に来てしまった私達。
「この雲はI山さんの怨念に違いない」なんて会話を交わしながら林の中を歩いていく。

森の中のやたらに太い蔓私も佐藤さんも大黒山に登るのは初めてだったが、ごく最近のものと思われるトラックがあったので、安心して登れそうだ。
大きな沢を左手に見ながら、緩い傾斜の林の中を登っていく。
途中で小さな沢を何本か越える。
積雪量は十分なのに、その沢の部分が大きく凹んでいる様子を見ると、雪の少ない時は小さな沢でも越えるのに苦労するかもしれない。

大きな方の沢は、その先で二股に分かれていた。
ここは確か、そのまま右の沢に沿って登っていくはずである。
ところが私達が跡を追っていたトレースは、そこで沢を渡っていたのである。
前を歩いていたS藤さんが、そのまま沢を渡っていった。
変だなーと思いながらその後に続いたが、そのトレースはそのまま左の沢に向かっていた。
これはやっぱりおかしい思って一旦立ち止まり、地図やGPSを確認する。

地形図には名前が載っていないけれど、大黒山の隣にある標高723mの山は恵比寿山と呼ばれている。
そのトレースは、どうやら恵比寿山に向かっているようだ。

スノーブリッジを渡る引き返すのも面倒なので、そのまま右側の沢に沿って登り、何処か途中で適当なスノーブリッジを探すことにする。
しかし、沢はどんどん深くなり、そのまま登って大黒山山頂にたどり着ける保証も無い。
元の場所まで戻る途中に、キツネの渡った跡のあるスノーブリッジを見つた。
人間とキツネでは重さが違いすぎるけれど、何とか無事に人間もそのスノーブリッジを渡ることができた。

沢を渡った先で滑り降りてきたトレースを見つけた。
先ほどのトレースの主が、恵比寿山に登った後、大黒山まで縦走して滑り降りてきた跡だと思われる。
今度はその下りのトレースに従って登っていく。

次第に両側から山の斜面が迫ってきて、狭い沢の底を登る感じになってくる。
それと共に傾斜もきつくなってくる。

大黒山へのルートは沢の中を詰めていくルートの他に、最初から左の尾根に取り付いて登るルート、沢の途中から左の尾根に登るルートと色々あるみたいだ。
狭い沢の中は樹木も少なく、下りは快適に滑れそうだ。

後ろを振り返ると仁木町の街並みが見えるようになってきた。
市街地の回りの畑は、早くも融雪剤が撒かれているのか、黒く汚れて見えている。


沢を詰める 仁木町が見える
気持ち良く滑れそうな沢だ 背後に仁木町の街並みが見える

スキー場のゲレンデのような斜面沢を登り詰めると、その先には広大な1枚バーンの斜面が広がっていた。
スキーで滑るには最高の斜面に見えるけれど、私たちが追っているトレースは、その斜面を避けるように左側の林間近くを滑っていた。
その理由は斜面の上の方に見えているデブリなのだろう。
雪崩ではなく、木の枝から落ちた雪が斜面を転がった跡だとは思うが、あまり気持ちの良いものではない。
私達も左の林間部分を登ることにした。

傾斜は更にきつくなってくる。
余市の街並みや海まで見渡せる。


余市の街や日本海も見えてきた
余市の街や日本海も見えてきた

急斜面を登る雪の質は、予想したとおりで、まだパウダーと言っても良いくらいの状態だ。
深さは大したことは無く、先頭でのラッセルも苦労しない。

ただ、これだけの急斜面を登るのは今シーズン初めてなのでルート取りに苦労した。
急傾斜での方向転換はなるべく避けたいのだが、微妙にうねりのある自然の斜面ではそうも言ってられない。
途中で立ち往生しないように、先の地形を読みながら登るルートを考える。

傾斜が緩くなってきたところで、ようやく回りの風景を楽しむ余裕が出てきた。
標高724.9mの山だけれど、ダケカンバが白く雪をまとった風景は、札幌周辺の標高1000m付近の山と同じである。

目の前にピークが見えてきたけれど、それは本当の山頂ではない。
分かってはいたけれど、とりあえずはそのピークに立つことにした。


大黒山の雪景色
美しい雪景色が広がる山頂付近

隣に見える恵比寿山隣に恵比寿山の山頂も見えていた。
大黒様に恵比寿様、どうせならば両方に登ったほうがおめでたいのかも知れない。

大黒山の本当の山頂は木の陰になっていた。
そちらに向かうためには偽の山頂から30m近くの高低差をすべり降りなければならない。
右か左の尾根を登ってくれば、偽のピークを上手く巻けるのだが、沢を詰めて登ってくると、どうしてもそのピークを目指してしまうのだ。

大黒山山頂まで標高差590mを2時間35分で登ってきた。
この大黒山は、赤井川カルデラの外輪山を形成する山の一つである。
その山頂に立つと、眼下に赤井川村の集落を見下ろせる。
天気が良ければ、その特徴的なカルデラ地形をもっとハッキリと見渡せたのだろうが、反対側の山は雲に隠されてしまっていた。
雲の隙間に羊蹄山らしき姿ものぞいていたが、そちらの方は日が当たっているみたいだ。
昨日までと同じく、曇っているのはこの付近だけなのかもしれない。


偽ピークから山頂へ 大黒山山頂
偽ピークから山頂へ 大黒山山頂

赤井川カルデラ
山頂からは赤井川カルデラが一望できる

かみさんの滑り一休みしてから偽ピークに戻ってくると、ボーダーの若者達がちょうど登ってきたところだった。
彼らと入れ違いに私たちが滑り降りる。
S藤さんが雪の状態を確かめながら先に滑ってくれるので、私達はその後についていく。

深さ10センチ程度のやや締まった粉雪。
パウダーとはいかないけれど、非常に滑りやすい雪質だ。
S藤さんがオープンバーンの方の様子を見に行くが、そちらは表面が凍ってモナカ状になっているみたいだ。
北東に向いている斜面だけど、それだけで雪質ががらりと変わってしまう。

それを聞いて私達は林間部分を一気に滑り降りる。
林間といっても、樹木も疎らなので、快適にターンできる。
S藤さんの滑りかみさんも、「何だか上手になったような気がする」と楽しそうだ。

狭い沢の中に入っても、まだ快適に滑ることができる。
山頂からの標高差約350mを、その気になれば一気に滑り降りられるのだ。
大黒山は滑りを楽しむことができる山だとは聞いていたけれど、本当にその通りである。
パウダーの時に滑ったら最高だろう。

その先も登り返しもなく、一気に滑ることができる。
偽ピークから30分少々で駐車場所まで降りてきた。
次回は是非、雪がどっさりと積もった日に訪れてみたいものである。


大斜面を滑るかみさん
大斜面の端の方を滑り降りる

かみさんの滑り S藤さんの滑り
上手くなったような気がするとかみさん 気がするじゃなくて上手いS藤さん


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