小樽穴滝(2015/1/29)

山は止めて穴滝へ


何処かの山に行こうと考えて天気の良さそうな日に休みを取ったのに、当日は朝から曇り空で予報もパッとしない。
迷っているうちに時間が経ってしまい、山は諦めるしかなかった。
冬山に登る時は、不測の事態に備えて少しでも早く行動する方が良いのである。

林道入口に到着そのまま何処にも出かけずに休みを過ごすのも勿体無いので、小樽の穴滝に行くことにした。
そこならば急ぐこともないので、BSでやっているNHKの朝ドラを見てから、ゆっくりと出かける。

現地には午前9時過ぎに到着。
車の駐車場所があるかどうかが心配だったが、穴滝へと向かう林道入り口に除雪の雪を押してできたちょうど良いスペースがあったので、そこに車を停める。
林道上にはスノーモービルで走った跡が残っていた。
かみさんはスノーシューを履いたが、スノーモービルのキャタピラ跡は結構固まっていたので、私はつぼ足で歩くことにする。
そこには、一人分のつぼ足の足跡も付いていた。
その足跡が結構雪に埋まっているところを見ると、気温が上がって雪が解けている時に歩いていたのだろう。
今日は、何時もより薄着してきたことを後悔するくらいに気温も下がっていたので、埋まる心配もほとんど無い。

スノーモービルのトレースを歩く家を出るときには曇っていたのに、何時の間にか上空には素晴らしい青空が広がっていた。
天気予報では今日は午後から晴れてくると言っていたのに、これはちょっと予定外である。
2日前に雨も降ったと言うのに、周辺の雪面は柔らかいままである。
これならば近くの春香山に登った方が良かったかもしれないと、後悔の念に駆られる。

そんな柔らかな雪の上には森に生きる動物達の足跡が沢山付けられていた。
ウサギやキタキツネ、エゾリスなどの足跡だろう。
特にエゾリスと思われる足跡は、つい先ほどに付けられたようなものが多い。
しかし、その足跡が消えて無くなっている先の樹木を見上げても、エゾリスの姿は何処にも見えない。
用心深いキタキツネが姿を見せる訳が無く、ウサギだってそう簡単には見つからない。
雪面に残された足跡だけから、彼らの姿を想像するしかなかった。
途中には、ここで何が行われていたんだとびっくりするくらいに、沢山の足跡で埋め尽くされているような場所もあった。


雪玉の転がった跡とリスの足跡 足跡だらけ
雪玉の転がった跡とリス?の足跡 足跡だらけだ!

天気が良くて気持ち良い結構歩いてきたつもりだったが、穴滝3キロと書かれた看板を見て、ちょっとがっかりする。
穴滝へは、7年前の晩秋に初めて訪れ、その時以来今回が2回目となる。
7年前の時はこの辺りまで来るまで入ってこられたはずである。
その時は1時間ちょっとで歩けたけれど、今日は2時間はかかりそうだ。

それでも、3時間かけて山に登ることを考えれば、今日は楽勝である。
その分、回りの森の風景を楽しみながら、のんびりと歩いていく。

木に絡み付いたツルアジサイも、その花は殆ど落ちてしまっていた。
たまに雪の中から、その枯れ花が顔を出している。

そんな冬の様相の森の中で、緑色の葉を付けたままのツルマサキが目を惹いた
葉を触ってみると、硬くてパサパサした感触だった。
それでも、この寒い北海道で緑の葉を付けたままで冬を越す植物が存在することに驚きを覚えてしまう。


ツルアジサイの枯れ花 ツルマサキ
雪に埋もれたツルアジサイの枯れ花 緑色のツルマサキが新鮮だ

OKサイン
OKサインを出している樹木

谷底を流れる勝納川林道の横の遥か下を勝納川が流れている。
この源流部に目指す穴滝があるはずだ。

左手に沢を見下ろしながら歩いていたはずが、何時の間にかその沢が右手に変わっていた。
そしてその沢の対岸が急な崖となって聳えたつ。
崖の表面は雪崩の跡に覆われていた。
雪崩と言うよりも、気温が上がった時に木の枝などから落ちた雪が、そのまま斜面を転がり落ちた跡なのだろう。

ここまで歩いてくる途中でも、林道上にそんな雪の塊が沢山転がっていた。
斜面を転がり落ちるうちに雪だるまのようにどんどん大きくなり、そんな雪の塊が猛スピードで自分に迫ってくることを想像すると、気温の上がった時にはこんな場所は歩きたくない。


雪崩が起きたかのような崖の斜面
まるで雪崩が起きたかのような崖の斜面だ

記念撮影 雪の山にいたずら書き
カーブミラーで記念撮影 雪の小山にいたずら書き

林道上のスノーモービルのトレースに従って歩いていると、何時の間にか林道は川から離れて坂を上り始めていた。
そこで直ぐに道を間違えたことに気が付く。
穴滝へは川に沿って上流部へ向かう筈なのである。

スノーブリッジを渡る途中まで引き返すと、林道から外れて川の方へと降りる雪に埋もれかけた足跡を見つけた。
トレースと言うより、あくまでも足跡のレベルである。
私もそこからはスノーシューを履いて歩く。
つぼ足の足跡は、その先にも続いていた。
それにしても、スノーモービルで踏み固められた跡ならまだしも、ここをつぼ足で歩いたとは驚きである。
膝まで埋もれながら歩いたに違いない。

おまけに、途中で川の上のスノーブリッジも渡らなければならないのだ。
スノーシューを履いていても、冷や冷やしながらその上を渡るというのに、それをつぼ足で渡るなんて命知らずとしか言いようがない。
ちらりと見える水面まではかなりの落差があり、そこにもし埋もれたとしたら、絶対に一人では這い上がれないと思われる。

両側から雪の塊が落ちてくる沢は次第に狭まり両側から急斜面が迫ってくる。
その斜面は雪玉が転がり落ちた跡だらけだ。
今日は気温が低いので、雪の塊が落ちてくる心配は無いけれど、あまり気持ちの良いものではない。

狭まってきた谷の先には、崖から巨大なツララがぶら下がっていた。
どうやら目的地到着のようである。
歩き出してからちょうど2時間経っていた。

回りの崖のいたる所にツララが出来ている。
支笏湖近くの7条大滝の雰囲気にも似ていた。
ただ、その迫力は7条大滝には遠く及ばない。


穴滝入口
穴滝入口に到着

ここを越えれば直ぐに穴滝 穴滝入口の巨大氷柱
ここを越えれば穴滝だ 穴滝入口の巨大氷柱

雪山をよじ登ると、その先で巨大な洞窟が口を開けていた
大滝村のにょろにょろ(氷筍)があるのは百畳敷洞窟と呼ばれているけれど、そちらが百畳敷ならばこちらは千畳敷くらいの広さがある洞窟だ。

洞窟の奥へと進むその洞窟の中に入ってぐるりと回りを見渡す。
「あれ?滝は何処にあるんだっけ?」
7年前に一度来たきりでは、その様子もあまり思い出せない。

洞窟の中をチョロチョロと川が流れている。
その流れを奥の方へと辿っていく。
暗闇に徐々に目が慣れてくると、洞窟の奥に氷の壁が立ちはだかっていた。
どうやらそれが凍り付いた穴滝のようである。

7年前に見た時は、その裏側にも回り込めるような滝だったので、それがそのまま凍れば巨大な氷の柱になっているかもと想像していたので、その姿はちょっと期待外れだった。
残念ながら滝の背後は、洞窟の上から落ちてきた雪で埋まってしまって、氷の壁にしか見えないのである。
でも、その氷の壁の中からは水音も聞こえてきて、それが滝であることを教えてくれる。


巨大洞窟
洞窟の内部は広い

雪に埋もれた穴滝 凍った穴滝
穴滝は雪に埋もれていた 氷の中から水の音が聞こえた

ロウソクの明かり私が三脚を立ててその滝の写真を撮っていると、かみさんがザックの中からゴソゴソと何かを取り出していた。
それは非常時用にザックに入れてあったロウソク。
何の意味があるのか、そのロウソクを岩の上に立てて火を灯している。
意味はともかく、こんな洞窟にはロウソクの炎がとても良く似合っていた。

洞窟から外へ出ると、雪がチラホラと舞ってきていた。
空を見上げると、薄い雲がかかり始めていた。
時折、冷たい風も吹いてくる。
洞窟の外の日の当たる場所で昼を食べようと思っていたのに、これではちょっと寒すぎる。
諦めて、そのまま下山することにした。


穴滝洞窟入口
巨大な洞窟も冬は雪に埋もれかけている

帰りの林道はずーっと下り坂。
これならばスキーで来た方が、帰りは楽かもしれない。
ただ、細かいアップダウンもあるので、スノーシューか山スキーかどちらにするかは微妙なところである。

雪の中で昼の休憩林道を途中まで降りてきたところで、風の当たらない場所を探して昼食にする。
日が射したかと思うと直ぐにまた雪が舞い、時折風も吹いてくる。
今日はやっぱり、山に登るよりはこんな場所に来る方が正解だったようである。

帰りに要した時間は1時間30分。
林道入口から穴滝までの標高差は約200m、歩いた距離は往復10キロ。
スノーシューでのハイキングと言うよりは、やっぱりちょっとした登山と言うレベルの、冬の穴滝訪問であった。



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