山スキーの板・金具・ブーツを新調したので、初滑りの機会を窺っていた。
札幌近郊の山は雪不足が続いていたけれど、ようやく週末にまとまった雪が降りそうである。
そこで、月曜日に休んで今シーズン初の山スキーに出かける計画をたてた。
ところが、まとまった雪どころか、日曜日の札幌周辺はずーっと青空が広がったまま。
これならば某キャンプ場に双子座流星群を見に行った方が良いかもしれないとも考えたが、さすがにその翌日に早起きしてスキーに出かけるまでの元気もない。
欲張らずに山スキーだけに狙いを定めた。
しかし、迎えた月曜日は朝から大雪。
せっかくの休みを無駄にしたくはなかったので、家の前の除雪を済ませてから、予定通り山スキーへと出かける。
目的地は塩谷丸山。登り慣れた山なので、足慣らしにもちょうど良い。
上手い具合に雪雲をかわして、JR塩谷駅の駐車場に到着したときは青空ものぞいてきていた。
ザックにスキーを取り付けて、午前9時30分登山口に向かって車道を歩いていく。
そして15分ほどで登山口到着。
この付近では、昨日の夜から今朝にかけて、20センチ程度の雪が新たに積もっていた。
雲間から姿を現した太陽が、その真っ白な雪景色を眩しいくらいに照らしだす。
朝の雪空を見て一時は中止も考えていたのが、そんな予想外の展開に嬉しさがこみ上げてくる。
その新雪の中に、2、3人のグループと思われるスノーシューのトレースがあった。
おそらく、雪が積もるのを待ちかねていたボーダーの若者達って感じだろう。
無垢の斜面を荒らされてしまうのはしゃくだけれど、ラッセルの苦労が無くなるのは嬉しかった。
しかし、そのトレースが途中から変な方向に向かっていた。
登山口から暫くは、林道を歩いていくので道を間違えることはあまりない。
しかし、笹や雑木が茂る荒れた林道なので、道を知っていないと、どこが林道なのかも分からないのかもしれない。
「変だな〜」と思いながら少しだけそのトレースを追ってみるが、明らかに違う方向に向かっていたので、直ぐに引き返して、自分が正しいと思う方向へ進むことにした。
塩谷丸山に登るのはこれが8回目なので、何時もならばGPSに以前の軌跡を登録しておくところを、今回は省略していた。
林道だと思われる場所は、ほとんど藪のような状態で、これは失敗したかなと少し不安になってくる。
しかし、直ぐに、木の枝に付けられた赤いテープを見つけて安心する。
ハッキリとは覚えていなくても、何となく見覚えのある景色は分かるものである。
その後は、テープの目印を頼りにしなくても、正しいルートをたどることができた。
上空には何時の間にか雲が広がり、雪も舞い始めた。
登り始めた時はそのまま青空が広がるかもと期待したのだが、そう簡単に思い通りの展開にはなってくれない。
朝の天気予報によると、天気が回復するのは午後からなのである。
途中で再びスノーシューのトレースが現れた。
先行しているパーティーは、ようやく正しいルートに復帰できたようである。
しかし、通常のルートでは途中で沢を渡らなければならないはずなのに、トレースはそのまま真っ直ぐに上に向かっていた。
あまり信用できないトレースのようなので、そのトレースは無視することにした。
何時もの渡渉ポイントは、雪が少なくてまだ水面がのぞいていた。
もしも、今朝にかけての雪が降らなかっとしたら、ここで沢を渡るのは難しかったかもしれない。
渡渉ポイントの場所を間違えたのかとも思ったが、家に戻ってから確認すると、やっぱりここで間違いはなかった。
かろうじて、スキーを濡らすことなく沢を渡ることができた。
ますます雪の降り方が激しくなってくる。
ジャケットのフードを目深にかぶり、トレースも目印のテープもない中を黙々と登り続ける。
ここでは、少しくらいルートを間違えたとしても、そのまま登っていけば斜面が急になって、それ以上進めなくなるだけである。
そこまで行く前に、真っ白な雪景色の中にトドマツの黒っぽい姿がぼんやりと見えてきた。
いつもそこで写真を撮る、お馴染みのトドマツの林である。
それでようやく、道を間違えていなかったことが確認できてホッとする。
マツの枝の下で雪を避けながら一休み。
塩谷駅の駐車場を出発してからここまで1時間20分。
ほとんどラッセルしながら歩いてきたので、何時もよりは時間がかかっている。
|