インフルエンザに罹ってしまった影響で、3週間ほどの間、アウトドア活動から遠ざかっていた。
もしもこれが無ければ、山スキーに2回、流氷キャンプに1回は行けていたかもしれない。
楽しく遊ぶためには健康であることが一番大切であると、改めて思い知らされた気がする。
そうして、3週間ぶりに満を持して出かけることにしたのが千尺高地。
もっと遠くまで出かけたいところだが、爆弾低気圧の影響が週末まで残って、山に登れるかどうかも分からない天気だった。
かろうじて日曜日の午前中だけは札幌南部で晴れ間が広がりそうなので、それに期待して千尺高地を選んだのである。
途中では視界が利かなくなるくらいの雪も降ってきて、先行きが危ぶまれたものの、現地に到着する頃には雪も止んで青空ものぞき始めていた。
しかし、車から降りると猛烈な風が吹き付けてきて、「本当にこんな日に山に登るの?」と、かみさんが早速弱音を吐いてくる。
そんなかみさんを無視して出発準備をしていると、2台の車が次々とやってきた。
どちらにも、私達と同じくらいの年代と思われる男女が乗っていた。一方の男女はワンちゃん連れである。
千尺高地に登るのは6年ぶりだった。
その間、何度か登ろうと思ったが、旧豊羽鉱山までの道が通行止めになっていることが多く、間が開いてしまったのだ。
2年前にも途中まで来て通行止めになっていたことがあり、今回も天気のことより登山口まで行けるかどうかの方が心配なのである。
何せ、旧豊羽鉱山までの道は何処で雪崩が起こってもおかしくない様な所なので、途中で土木業者さんの車が数台停まっているのを見た時には、また今回も引き返すのかと覚悟してしまったくらいだ。
6年前には登り口の隣に建物があったはずだが、今は更地に変わっていた。
豊羽鉱山が完全に閉山してしまうと、ここまでの道路も除雪されなくなり、そうなると千尺高地や隣の大沼山へは登れなくなってしまう。
今回千尺高地を選んだのは、そんな理由もあったのである。
一番最初に準備の整った私達が先頭で登り始める。
土曜日に登った人のトレースがあるかも知れないと期待していたが、さすがに昨日の天気では誰も登ってはいなかったようである。
深いところでは膝以上の雪をラッセルしなければならない。
昨日は、2か月後に迫った洞爺湖マラソンに備えて、2週連続で3時間走を走っていた。
その翌日なので、体力が心配だったが、久しぶりのラッセルが逆に足の筋肉に心地よい刺激を与えてくれる。
ここを登る時、尾根上に小さなコブがいくつかあるので、帰りに登り返しにならない様に、そのピークを上手に巻いて登らなければならない。
6年ぶりなので記憶も定かではない。
変なトレースを付けてしまうのも格好悪いので、GPSに登録しておいた6年前の軌跡を何度も確認しながら、慎重にルートを選んでいく。
できれば、詳しい人に先頭を代わってもらいたいところだけれど、ラッセルしながらでも私達の歩くスピードは速いみたいで、後ろからはなかなか追い付いてこない。
ルート選択に気を使うけれど、人の後ろを歩くよりは、何もない場所をラッセルしながら進んでいく方が気持ちが良いので、追い付かれない様に登っているのも確かなのである。
844mのコブを過ぎて次の登りにさしかかった時、日が射してきて周りの風景を美しく照らし出す。
そんな風景を撮影していると、犬連れの男女が追い付いて来たので素直に先を譲ることにした。
インターネットで山スキー関連のサイトを見ていると、レトリバーと一緒に登っている人のページをたまに見かける。
面識はないけれど、多分そのページのご夫婦なのだろう。
確か、ご主人の方は本格的な山登りをされる方だったはずなので、先頭をまかせると心強そうである。
でも、少しするとそうでもなさそうな気がしてきた。
かなり辛そうにラッセルしているのである。
私は敢えて間隔を開けて登っていたけれど、かみさんの方は、如何にも追い抜きたそうな様子ですぐ後ろにピタリとついて登っている。
山頂に着いてから分かったのだが、そのワンちゃんはやっぱり、私がホームページで知っているジェイ君だった。
でも、男性の方は、旦那さんではなく知り合いの方だったみたいだ。
途中からはその男性を追い越して、女性の方と私たち夫婦が交代でラッセルしながら登っていくことになった。
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