奥手稲山(2012/3/27)

予定変更でリベンジ


最初の予定では喜茂別岳に登るつもりだった。
今時期にしては珍しく、夜中に10センチほどの降雪があり、朝から青空も広がって願ってもないコンディションに心が浮き立つ。

ところが現地に来てみると、予定していた駐車スペースの付近で除雪作業が行われていて車を停めることができない。
期待が大きかった分、落胆も大きかった。
いくらか救われたのは、中山峠を越える辺りから雲が広がってきたことである。
もしもこれが、抜けるような青空が広がり周辺の山々がくっきりと見渡せるような状態だったら、ショックから立ち直れなかったかもしれない。

気を取り直して行き先を奥手稲山に変更した。
奥手稲山は去年の12月に銭函側から登り、時間がかかりすぎて途中で引き返した因縁のある山である。
シーズン中にはリベンジしようと考えていたのでちょうど良い機会だった。

春香小屋前を出発今回は国際スキー場側から夕日沢(奥手稲沢)コースを登る。
せっかく朝早くに家を出たのに、登山口に着く頃には午前9時近くになっていた。
我が家からここの登山口に直接向かうのと比べると70キロの遠回りをしたことになる。

今年の1月に無意根山に登ろうとした時も、豊羽鉱山の手前で道路が通行止めで、結局は国際スキー場の下から白井岳に登っている。
今回もそれに似た行程となり、どうも今年はこの付近の山と相性が悪いようである。

雪に埋もれたかけた春香小屋前から歩き始める。
この辺りも昨夜から今朝にかけて10センチ程の降雪があったようだ。何時のものか分からないトレースが、その雪の下に残っていた。
全く初めて登るコースなので、トレースがあるのは大いに助かった。
予定外の行動なので、GPSへのルートの登録もしていないし、紙の地図も持ってきていなかったのだ。

トレースが無ければ真っ直ぐに進んでいたかも沢沿いの林道を歩けば良いだけだが、もしもこのトレースが無ければ、スタートして直ぐのところの林道分岐を違う方へ向かっていたかもしれない。

10センチの積雪は、ラッセルしている感覚もなく、林道上を快ペースで歩いていく。
ただ、その林道が殆ど平らなことが気に入らなかった。
ここの近くの迷い沢山に登る時も、しばらく林道歩きが続くが、そちらは緩やかな登りが続くので、帰りは一気に滑り下りられるのだ。
こちらの林道は傾斜が緩いばかりでなく、時々下り坂まであったりして、帰りのことが思いやられる。

最初は気にならなかったラッセルだが、次第にボディーブローのように効いてきた。
積雪も増えて、何よりも気温が上がって雪が重くなってきた影響が大きかった。
10分ごとにかみさんと先頭を交代する。

私たちが登り始める頃に単独の男性が到着していた。
その男性が追い付いてくれるのをちょっと期待したが、ここまで私達もかなりのスピードで登ってきていたので、それは無理そうだった。


林道を歩く 林道を歩く
沢沿いの林道をひたすら歩く 帰りを考えると上り坂の方が嬉しい

尾根への登り90分ほど林道を歩いて、ようやく尾根への取り付き地点までやってきた。
その場所が直ぐに分かるかどうかが心配だったけれど、スノーシューの消えかけたトレースがあったので直ぐに気が付いた。
林道上のトレースはそのまま続いていたけれど、尾根に登れそうな場所はそこしか見当たらなかったので、スノーシューの跡が無くても分かっただろう。

ただ、かなり急な登りである。
湿り雪のためにシールが気持ちよく効いくれて、それ程苦労することなく登れたが、もしもそうでなかったら悪戦苦闘していたかもしれない。

そこを登って尾根の上に出さえすれば、後は奥手稲山の山頂までは急な斜面もなく、のんびりと登っていける。
巨木も多いただ、ラッセルは更にきつくなってきた。

スノーシューとスキーのトレースが残っていたけれど、それはただの道しるべにしかすぎず、トレースの外を歩くのと大して差は無かった。
そのラッセルの辛さを、トドマツやエゾマツ、ダケカンバやミズナラの巨木が癒してくれる。

途中から折れた樹木の幹の上には巨大な雪の塊が乗っかり、そんな塊を見つける度に目や口を書き入れて遊ぶ。

雲の切れ間から時々日も射してくるようになってきた。
前方には青空が広がっているけれど、後ろを振り向くと、空のほとんどは雲に覆われている。
今日は次第に青空が広がる予報だったはずなのに、なかなか雲が取れてこない。
逆に朝の方が天気が良かったみたいだ。


尾根の上を登る
尾根の上には疎林が広がる

倒木も多い 雪の塊にいたずら
尾根の上は倒木も多い こんな塊を見つけると目を入れたくなる

頂上への最後の登りほとんど傾斜の無い尾根上をしばらく歩いていくと、頂上に近づくにつれ次第に傾斜が増してくる。
白い雪のラインの上に青空が見えるようになると、頂上は間近だ。

銭函側から登るのと違って、こちら側から登っていくと山頂に立って初めて海が見えるので、なかなか感動的である。
特に今回は、空気が澄んで増毛連山まで姿が見えたのでなおさらだった。

何時もとは違う角度から眺める手稲山の姿も新鮮である。
春香山からも同じ角度で見ているけれど、こちらの方がずーっと距離が近いのでとても印象的だ。

実は私はまだ、この奥手稲山の姿麓からを確認したことがない。
天気の良い日は通勤途中に「どれが奥手稲山になるんだろう」って山を眺めていた。
しかし、この山頂からは私の通勤ルートは他の山の陰になって全く見えないことが改めて確認できたのである。


頂上に到着 手稲山の姿
山頂に立つと海が見える この角度から見る手稲山は新鮮だ

山頂からの眺め
石狩湾の向こうには増毛連山まで見渡せる

奥手稲山北東斜面奥手稲山は、今回私たちが登って来た側には緩やかな傾斜が広がっているが、その北東側は崖のような急斜面となっている。
でも、樹木も少なく、私程度のレベルでもちょっとチャレンジしたくなるような斜面だった。
もう少し気温が低くてパウダースノーを楽しめるような時ならば、登り返す苦労もいとわずに、そこを滑り降りていたかもしれない。

雲の切れ間から陽が射してくる。
上空を覆っていた雲も、少しずつだけど次第にまばらになってくる。
陽が当たると、純白の雪景色が更に輝きを増す。
かみさんが「久しぶりにやってみようかな」と言って、両手を広げたままその雪の上に仰向けに倒れ込んだ。
その状態で両手を上下に動かす。
そうして、起き上った跡にはスノーエンジェルが姿を現すのである。
でも、それはどう見てもスノーデビルとしか言いようがないものであった。

日本海を眺めながら昼食にしたかったけれど北風がちょっと冷たいので、少し滑り降りてから風を避けられそうなところでスキーを外す。
気温も0度くらいまで上がり、ポカポカした日射しを浴びながら食事の準備をするのは気持ちが良い。
今シーズンは寒い日が多く、マイナス10度近い気温では体が冷えてしまうのでゆっくりと食事もしていられないのである。


スノーエンジェル 暖かな日射しを浴びながらの食事
スノーエンジェル(デビル?) 春の日射しが心地良い

森の風景を楽しみながら下る雪が重たくて傾斜も緩いので、滑りは全然楽しめない。
最初からそれは期待していなかったので、森の風景を楽しみながら下っていく。

途中で折れた木の幹の上には大きな雪の塊が乗っかっている。
幹の太さに比べて雪の塊が大きすぎるのが何とも不思議である。

朝里岳や白井岳、その間でちょこんと頭だけ出している余市岳、更に目を転じれば定山渓天狗岳や春香山も見えるのだけれど、どれも木が邪魔になって、すっきりとした展望は楽しめない。

水面が開く沢樹木を避けながら最後の急斜面を滑って林道まで下りてきた。
緩い傾斜と登り返しなどに苦労させられたけれど、樽前山の林道歩きと比べれば、こちらの方がずーっと楽だった。
90分かかったところが、その半分以下の40分弱で歩けたのだから、まあ許せる範囲である。

沢からは心地良い水音が聞こえてきて、雪深い中でも春の訪れを実感できる奥手稲山であった。


木の上の雪の塊 木の上の雪の塊
落ちそうで落ちない雪の塊 目を書きたいけれど届かない

周辺の山の風景
この辺りが一番のビューポイント、白井岳に余市岳も見える

登山口 尾根取り付き 山頂
0:90 0:80
下り 1:20
距離:5.2km 標高差:440m

地図

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