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シャクナゲ岳(2012/3/17)

送別スキー


駐車場に集合カヌークラブのF本会長の送別会でシャクナゲ岳に登ることになった
今年は条件の良い時を狙ってシャクナゲ岳に登り、ビーナスの丘から長沼への斜面を滑ってみようと考えていたので、参加者が募られた時には真っ先に手を挙げたのである。

ところが、当日の天候はとても「条件が良い」とは言い難いものであった。
それでも、朝9時前にチセヌプリスキー場の駐車場に到着した時には青空も見えていた。

送別会の主賓であるF本さんから、朝寝坊したので少し遅れるとの連絡が入る。送別の飲み会が続いて疲れているのだろう。
そのF本さんを待っている間にも、南の方から灰色の雲が次々と流れてきて、到着した時には既に青空の姿はどこにも見えなくなってしまっていた。

集合写真1回券を買ってリフトに乗り込む。
そのリフトを降りたところで、まずは皆で揃って記念撮影。背景の空は雲に覆われてたいけれど、シャクナゲ岳とビーナスの丘の真っ白な姿が美しく見えている。

一旦チセヌプリの方に滑り降りて、そこでシールを張る。
シャクナゲ岳を目指すのならばこれでは遠回りになると思ったが、音江山でクラブのメンバーを予定外のルートに導いてしまった前科があるので、ここでは余計な口を出さずに皆の後ろを付いていくことにする。

視界も良く、シャクナゲ岳の姿は常に見えているので、どこから登っても大して違いは無いはずである。

最初の急斜面を登ったところから、シャクナゲ岳方向に進路を変える。
このルートでは、途中からチセヌプリの斜面をトラバースしなければならない。30度の急斜面をトラバースするのは、あまり気持ちの良いものではない。
それでも、表面を覆っている数センチの雪がまだ柔らかかったので、何とか歩くことはできる。
これで表面まで凍っていたら完全にギブアップするところだった。

気の毒なのは、スキーを背負ってスノーシューで登っているO川さんである。
足が傾いた状態で歩かなければならないのだから大変そうだ。


チセヌプリが目の前 チセヌプリをトラバース
急斜面を登るとチセヌプリが目の前に チセヌプリの急斜面をトラバース

そのままトラバースしていくと、チセヌプリとシャクナゲ岳の間のコルよりもかなり上に出てきてしまい、せっかく登った分を滑り降りる羽目になる。
風が強いので、登り始める時に脱いでいた上着を着込む。
今日は気温が上がって、平地では雪ではなく雨が降る予報になっていたのに、山の上はまだまだ真冬である。

ここのコルから眺めるシャクナゲ岳とビーナスの丘の姿は何度見ても感動させられる。ただ、その背景が青空でないことがとても口惜しい。


シャクナゲ岳とビーナスの丘
シャクナゲ岳とビーナスの丘

I山さんの提案で、最初に長沼への斜面を滑り、その後に登りかえしてシャクナゲ岳の山頂に立つことになる。
そこで、コルからは真っ直ぐにビーナスの丘の頂を目指して登る。

ビーナスの丘を目指す辺りには大きなシュカブラができて、これではまともに滑ることはできない。
長沼への斜面は北東側になるので、もしかしたら良い雪が残っているかもと期待していたが、状況は全く同じだった。
ビーナスの丘の頂から周りを見渡しても、滑りを楽しめそうな斜面はどこにも無い。

F本さんも「今日は登山目的だね」と、既に滑りは諦めたようだ。
この状態で長沼へ滑り降りても何も楽しくないので、とりあえずはシャクナゲ岳の山頂を目指すことにする。

私としては、この状態でシャクナゲ岳に登っても周りの景色も既に雲に隠れてしまっているし、滑りも楽しめないのならば、何を目的に登るのだろう?といった感覚である。
もしも、かみさんと二人で登っていてこの状態ならば、あっさりと引き返すことに決めていただろう。
でも、さすがにそんなことを言う人は誰もいなかった。
私にしても、ここで引き返すと5連続途中撤退の記録を作ることになるので、意地でも登らなければならないのだ。

シャクナゲ岳を目指すただ、シャクナゲ岳は傾斜がきつくて、6年前に初めて登った時も、春先でザラメ雪だったにも関わらず、かなり苦労して登った記憶がある。
それが今日は、表面に積もった雪はほとんど吹き飛ばされ、固く凍った雪面が露出しているのだ。

I山さんやF本さんは、そんな斜面をものともせずにどんどん登っていく。
かみさんもその後ろにピタリと付いて登っていく。
私は到底そのメンバーには付いていけないことが分かっているので、別のルートを探すことにする。

古いトレースが、周りの雪を飛ばされてそこだけ雪面から盛り上がっているのを見つけた。
それがちょうど良い足がかりとなり、傾斜も緩いので、その跡をたどって登っていく。

そのままシャクナゲ岳の北側に回り込むと、雪に埋もれたブッシュが多くなる。
時々そのブッシュに行く手を阻まれるけれど、ブッシュが多いと滑落の恐怖心が薄らぐので、気分的には楽である。


シャクナゲ岳を登る シャクナゲ岳を登る
どんどん登っていくかみさん達 こちらのメンバーは疲れ気味?

シャクナゲ岳山頂でブッシュの間を抜けると、そこはもうシャクナゲ岳の山頂だった。
あまりにも簡単に登頂できたことに自分でも驚いてしまう。
6年前と比べても技術や装備に変わりはないので、これは多分「慣れ」の結果なのだろう。

山頂では立っているのも難しいくらいに南からの強風が吹き付けていたので、写真を撮ったらすぐに山陰に逃げ込む。
そこでシールを剥がして、後は滑り降りるだけだ。

他のメンバーは、クラストしてシュカブラでデコボコした斜面をものともせずに滑っていく。

へっぴり腰で滑り降りる太陽が出て、雪面のデコボコがもう少しはっきりと見えれば良いのだが、それが分からないと怖くてスピードも出せない。
怖がると自然とへっぴり腰になるので、余計に上手く滑れなくなる。
安全第一で何とかコルまで滑り降りることができた。

少し風が弱い場所を見つけてそこで昼の休憩。
天気は更に悪化して雪も舞い始める。

最後に少し登り返してスキー場のリフト降り場へと出てきた。
これでようやくまともにスキーを滑ることができる。
他のメンバーもこれまでのストレスを発散するかのように、ゲレンデを一気に滑り降りていった。

まだ午後の1時にもなっていないけれど、もっと滑りたいと言う人は一人もいなくて、そのまま今日の送別会の会場である五色温泉へと向かった。

悪条件のシャクナゲ岳だったが、これでとりあえず途中撤退記録は連続4回で終わらせることができたのである。


ゲレンデを滑る ゲレンデを滑る
豪快にゲレンデを滑る F本会長の最後の勇姿

リフト降り場 コル ビーナスの丘 シャクナゲ岳山頂
0:40 0:35 0:20
下り0:50
距離:2.7km 標高差:250m

地図

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