オダッシュ山(2011/3/20)

たまにはこんな時も


実家から見えるオダッシュ山 十勝の実家に行くついでに、新得のオダッシュ山に登ることにした。
 この山は実家からもその姿を確認できて、日高山脈の山の連なりの中で独立峰の様に見えている。
 端正な姿とその頂上の様子はまるで富士山のようであり、子供の頃はそれが本物の富士山だと信じ込んでいたものだ。
 山スキーのフィールドとしてこの山の事を知り、地形図で場所などを確認している時に、その山が私の心の富士山である事に初めて気が付いたのである。
 その山頂から私の生まれ故郷を見下ろすのがとても楽しみだった。

 狩勝峠を越えて十勝側へ降りてくると、積雪は既にゼロに近く、畑の大部分で土が見えている状況だった。
 果たしてこれで、スキーを履いて登れるのだろうかと心配になってくる有様である。
登山口近くまで除雪されていた でも、雪が少ないからなのか、登山口の近くまで除雪されていたのは助かった。
 事前の情報では道路除雪が入っているのは畜産試験場までと聞いていたので、これで2キロ近くは歩く距離が短縮されるのだ。
 凍ってツルツルの道を慎重に車を走らせていくと、道路際に4、5台は停められそうなスペースが除雪されていて、旭川ナンバーの車が1台停まっていた。
 ソロの男性である。
 彼が出発した少し後から、私達も登り始める。
 既に気温はプラスになり、雪が融けてきている。
 植林されたトドマツの林を進んでいくと、道東自動車道に突き当たる。
 オダッシュ山の標識が立っていて、そこが夏道の登山口らしい。
 高速道路の下のトンネルを抜けて、反対側へと出る。
 トンネルの中はかろうじてスキーで通れる幅の雪が残っていたので、スキーを履いたまま通り抜けられた。


林道を歩く 高速道路のトンネル
真っ直ぐ高速道路に向かって歩く トンネルの中にはかろうじて雪が残っていた

目の前を車が通りすぎる 高速道路の脇まで登ってくると、直ぐ目の前を次々と車が通り過ぎていく。
 何だかとても違和感を感じるけれど、それは車に乗っている人も同じかもしれない。
 「何でこんなところをスキーで歩いているんだ?」と驚いているに違いない。
 先行者のトレースはそのまま高速道路沿いに続いている。
 多分、夏道に沿って登るつもりなのだろう。
 今日はラッセルの必要も無いので、私達はそのトレースを追うのは止め、GPSに登録しておいたルートに従って、直ぐに林の中へと入っていくことにする。
 今日は風が強くて、ここまで走ってくる時は車が揺すられる程の強風が吹いていたが、林の中ではその風も殆ど感じない。
 今日の天気は曇りで昼頃から晴れてくるとの予報。上空には青空も見えていて、時々日も射してくる。
 緩やかな傾斜が続き、のどかな散歩気分で登っていく。


のどかな森の中
この辺りを登っている時はとても穏やかな天気に思えた

 先行していた男性の姿が見えた。
 沢伝いに登ってきて、そこから尾根に向かうらしい。
 GPSに登録したルートでは、もう少し先から800mの尾根に向かって登ることにしていたけれど、雪も少し深くなってきて、はっきりとしたルートを知っているわけでもないので、その男性のトレースを使わせてもらう事にした。
視界が広がる 途中で休んでいた男性を追い抜く。このまま登って尾根に出れば良いとのこと。
 列植されたトドマツの間を抜けていくと急に視界が広がり、目指す山頂も見えてきた。
 山頂と言ってもそこから見えているのは前峰で、本当の山頂はその後ろである。
 前回の春香山で苦労していたので、登る前にシールワックスを塗っておいたのだが、どうも塗り方が足りなかったようだ。
 春香山の時以上に、融けた雪がシールにくっついて、スキーが重たくてしょうがない。
 一回塗れば大丈夫だろうと思って、車の中にワックスを置いてきてしまった事を後悔する。
 一気に体力を消耗して、再び男性に先を譲った。
 尾根に近づくと、雪庇が大きく張り出しているのが見えてきた。
 周りに木が生えているから良いけれど、もしも何も無かったとしたら、とてもじゃないが怖くて雪庇に近づくことはできないだろう。
 その雪庇を乗り越えなければ、尾根には出られない。
 男性はスコップでその雪庇を崩し始めたが、私達は他に良い場所があるかもしれないと考え、雪庇に沿ってもう少し上まで登ってみることにする。
雪庇 しかし、雪庇はずーっと先まで続いているようなので途中で諦めて、私もスコップを取り出して雪庇を崩しにかかった。
 最初にスコップを一刺ししただけで、雪庇が大きな塊となってドサッと落ちてきて、驚かされる。
 周りの樹木が無ければ、それだけで雪崩を引き起こしていたかもしれない。
 悪戦苦闘して、やっと尾根の上に出ることができた。
 標高では750mあたりである。
 後はこの尾根上を登っていけば良いだけだ。
 吹きだまりと、雪が飛ばされてその下の固い雪面が露出した場所が交互に混じる。
 昨日から気温が上がっていて、その硬い雪面が凍結していないのが嬉しかった。
 尾根の傾斜はそれ程きつくはないが、カチカチのアイスバーンで、おまけにこれだけの強風が吹いていては怖くて登っていられない。
 標高820m付近に雪庇のできていない場所があった。
 最初に設定していたルートがやっぱり正解だったようである。


雪庇を崩す 820m付近
雪庇をスコップで切り崩す 苦労しなくてもここから尾根に出れた


尾根を登る 標高を上げるにしたがって、更に風が強まってくる。
 突風が吹いてきた時はストックで体を固定してじっとしているしかない。
 その風が通り過ぎたところで、再び登り始める。
 上空には雲が広がり、先程までは眼下に見えていた新得の市街地も雪煙の中に霞んでしまっていた。
 この山は展望も良いと聞いて楽しみにしていたのに、東大雪の山々はおろか、私の生まれ故郷の清水の町さえも見えない。
 前峰の頂が間近に迫ってきたところで、そこを巻いて本当の山頂を目指すのだが、その先は更に凄い風が吹いているようだ。
 ダケカンバの木が今にも折れそうなくらいにしなっている。
 その様子を見てあっさりと登頂を諦めた。
 私達は冬山訓練をしに来ている訳ではないのである。
 せめて前峰だけでも登ろうかと思ったが、その頂まであと10mを登ったところで、周りを雲に囲まれてしまっては何も見えやしない。
 後ろから登ってきた男性にリタイア宣言をして、そこから滑り降りる事にした。


下界が霞んで見えない 強風が吹き抜ける
これでも少し回復してきた時の状態 強風が尾根の上を抜き抜ける

へっぴり腰で滑る  簡単に登ってこられた尾根の上だけれど、滑り降りるのは大変である。
 不規則に吹きだまりはできているし、その他の雪面も、融けているとは言ってもアイスバーンに近い。
 おまけに強風が吹きつけてくるし、雪が降ってきて見通しも悪い。
 へっぴり腰ボーゲンでしか滑ることができなかった。

 やっと雪庇の無い場所までたどり着いて、そこから尾根を降りる。
 事前にネットで調べた時に、下る時は尾根ではなく前峰付近から直接滑り降りるようになっていたのを思い出したが、もう遅すぎた。
 樹木が密生してどちらに降りれば良いのかも分からないので、そのまま尾根沿いに滑り降りて、登ってきたトレースと合流した。
 そこからは気持ち良く滑り降りられる斜面のはずだったが、今度は融けてザクザクになった雪に足を取られ、またしてもへっぴり腰ボーゲンを強いられる。
 それも、全く木の生えていない斜面だけで、少しでも木があったらそれを避けられる自信もないので、斜滑降でしか降りられない。
 雪玉を転がしてスノーバームクーヘン作りでもして遊ぶしかなかった。


雪が重たい 雪のバームクーヘン
雪が重たくて滑れない 巨大なスノーバームクーヘン

 景色は何も見えないし、滑りも楽しめないし、良いところ無しの今回の山スキー。
 車までたどり着いたらポツポツと雨まで降ってきた。
 でも、オダッシュ山だけは晴れている時に絶対にリベンジしたい山なのである。


やっと降りてこられた
よれよれになって降りてきた(後に見えているのが前峰)

駐車場 770m尾根 前峰
1:40 0:50
下り 0:50
距離:3.9km 標高差:666m

GPSトラック


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