春香山(2011/3/12)

気温の上がる前に


 週末の気温は高くなるとの予報。今週は新雪も積もっているはずなので、雪がベタベタになる前に滑りも楽しみたい。
 テレビでは昨日からずーっと東北地方を襲った大地震のニュースを流し続けており、多くの方が亡くなられている時に遊びに出かけるのも気が引けたが、やっぱり山の魅力には勝てなかった。
道路際の駐車スーペース それでも地震のことも気になるので、近くの山と言うことで春香山に出かけることにする。
  桂岡の何時もの登り口までやって来て、以前は駐車スペースとして利用していた場所が閉鎖されている事を思い出した。
 完全に除雪されていれば、車をぎりぎりに寄せて停めることもできるけれど、最近の除雪で小さな雪山が道路幅を狭めている。
 かろうじて、雪を押した跡に車1台分のスペースがあったので、何とか車を停める事ができた。
 そこでスキーを履き、そのまま車道を歩いていくと除雪終点に先客の車が1台停まっていた。
 これで今日は、ラッセルはしなくて済みそうである。
 足跡から判断すると、その車に乗っていたのは一人だけで、スノーシューで登っているようである。
トレースがあった それ以外には、昨日のものらしいスキーのトレースが残っているだけで、それも単独行みたいだ。
 春香山に登るのはこれが4度目。その他にフウマの散歩で途中まで登った事もあり、我が家にとってはお馴染みの山となっている。
 初めての山ならば、周りの風景や木々、全てがもの珍しく感じられて、きょろきょろしながら登るのだけれど、今日は林道を黙々と登るだけだ。
 今週は道路状態が悪くて朝ランも1日しか走っていなかったので、今日の林道歩きはトレーニングの意味もあった。
 途中のカラマツ林の間を抜けるところは、私の好きな場所である。
 すらりと伸びたカラマツが青空を突くその姿に、整然とした美しさを感じるのだ。


カラマツ林
美しいカラマツ林の中を歩く

登山道に入る 途中から林道を外れて、登山道を登っていく。
上空の雲の流れは早く、今のところは山の陰で風はそれ程当たらないけれど、尾根の上に出ればかなり強い風が吹いていそうだ。
気温も上がってきたようで、南向きの斜面の雪はかなりベタ付いてきていた。
急斜面で雪玉を転がせば、あっと言う間に巨大雪だるまが出来上がりそうだけれど、かみさんがどんどん先に登っていってしまうので遊んでいる暇は無い。
石狩湾の海岸線が美しく見えてきた。
東北の大地震の影響で、石狩でも40センチ程度の津波を観測していたが、勿論そんな気配は全く感じられない。
あくまでも穏やかな風景が広がっているだけだ。


斜面をトラバース 石狩湾が見えた
どんどんと先に行ってしまうかみさん 土場から見える石狩湾

土場を出発 中間地点である土場までやってくると、スノーシューで先を登っていた女性が休んでいた。
 そこは狭い尾根の上なので、風がまともに吹き付けてきて寒くてたまらない。
 お茶を一口飲んだだけで直ぐにまた登り始める。
 スノーシューの女性は銭函峠側に登って行ったが、私達はスキーのトレースに従って北側へと進む。
 そのトレースは私の登りやすい斜度で続いていたのでありがたかった。
 今までも何度か、ここを登る時に苦労していたのである。
 標高700m辺りまで登ってくると、その先は殆ど傾斜も無くなり、ダケカンバやトドマツの美しい森の中をのんびりと歩いてく。
 見晴らしの丘までやって来ると、そこでようやく春香山の山頂が見える。
 定山渓方面の山には雲がかかっていたけれど、目の前の春香山は、真っ青な空を背景にしてくっきりと浮かび上がって見えている。


大きなダケカンバの横を登る 傾斜が緩くなる
登りやすい斜度のトレース 700m付近からはなだらかになる

見晴らしの丘から見る春香山
見晴らしの丘から見える春香山の山頂

美しい銀嶺荘 丘を一旦滑り降りての森の中を通り抜けると、銀嶺荘が姿を現す。
 何度見ても美しい山小屋である
 小屋の前をそのまま通り過ぎて、いよいよ最後の登りである。
 200mの高低差を一気に登らなければならず、毎度苦労させられるところだ。
 ここまで跡をたどってきたトレースがそのまま急斜面の中に続いている。
 他にはまだ誰も登っていないようで、手付かずの真っ白な斜面が目の前に広がっている。
 雪はかなり深くなり、もしもこのトレースが無かったら、ラッセルにかなり苦労するところだった。
 板の短いファットスキーのトレースらしく、結構デコボコしている。
 それでも、相変わらず無理のない角度で続いているので、スリップして無駄な力を使うことなく、順調に標高を上げていける。
最後の壁を登る しかし、途中からスキーがやたらに重くなってきた。
 どうやらシールに雪がこびり付いているらしく、かみさんも同じである。
シールに雪が付くのは、初めての経験だった。
ちょうどシール用ワックスを買ったばかりでザックの一番下に入れてあったが、頂上までもう少しなのでそのまま登ってしまうことにする。
 途中からかみさんを先に行かせて、私は周りの風景をカメラで撮影する。

 話し声が聞こえたので後ろを振り返ると、何時の間にか5名ほどのグループが私達の後を登ってきていた。
 ここまで登ってくる途中、後ろから人が迫っている様な気配は全く感じなかったので、突然の出現にビックリしてしまう。
後から迫ってくる人達 ザックを背負っていない人もいるので、銀嶺荘に泊っていたのだろうか。
 それにしては、昨日小屋まで登ったきたようなトレースは何処にも見当たらなかった
 そうなると、数日前から小屋に停まっていたのか、それとも私達の後ろから猛スピードで追い付いてきたのか、どちらかしかない。
 その登るスピードの速いこと。
 私達がシールに雪がくっ付いて苦労している事を除いても、比べ物にならない速さである。
 ここまで来て先に頂上へ着かれるのは口惜しいので私も必死になって登ったが、とうとう追い付かれてしまった。
 断腸の思いで先を譲る。
 「ラッセルありがとうございます」と言って、次々と 私の前を通り過ぎていくが、多分私の口惜しい思いなど、誰も分かってはくれないのだろう。
 山スキーの世界では、自分が前に出てラッセル役を引き受けるのは、とても美しい行為なのである。

追い越された 一歩一歩の歩幅が広く、しかもそれがとても力強い。
 明らかに年齢は、全員が60を超えているように見える。
 その歳でこのパワー、恐れ入りましたと言うしかない。
 先頭で登っていたかみさんも、とうとうそのグループの先頭の人に追い越されてしまった。
 かみさんが他人に追い抜かれる姿は初めて見たけれど、その追い越したおじさんも「凄いパワーですね」とかみさんに敬意を表していたらしい。
 結局、かみさんは2番目に登頂、そして私は一番最後。
 春香山に登る時は毎回こうなるのである。

 おじさん達は直ぐにシールを剥がして滑る準備を始めたけれど、私達はもう少し頂上からの風景を楽しむ事にする。
 とは言っても、石狩湾の眺めは相変わらず素晴らしいものの、風は強いし、周りの山は霞んでしまってあまり良い眺めでもないので、私達も直ぐに滑り降りる事にした。


春香山山頂からの眺め
石狩湾方向は良い眺めだった

 今回の私のテーマは大回りターンである。
 深雪の中ではどうしても小回りターンになってしまい、自分では一応ウェーデルンのつもりで滑っているのだけれど、そのシュプールを見るとターンも浅くて全然美しくない。
 口惜しいけれど、かみさんの描くシュプールの方が美しく見えるのだ。
 それを矯正する為に、意識して大回りターンをしようと考えたのだ。
 ところがやっぱり上手く回れない。
 結局最後はショートターンで滑ってしまう。
 それでもやっぱり深雪を滑るのは楽しかった。
 かみさんも今年は随分と深雪に慣れてきたようで、楽しそうに滑っている。
 これまでの私達は、風景を楽しむ事だけが目的で山に登っていたけれど、次第に滑る楽しさも分かってきたので、ますます山スキーに嵌っていきそうである。

楽しく滑る 楽しく滑る
楽しそうに滑る 雪はちょっと重たいけれど最高

途中で昼食 途中の森の中で昼食にする。
 暖かくて気持ちが良い。
 近くを登ってきた女性が私達に向かって、「上まで登ったの〜?」と、元気良く声をかけてきた。
 かみさんは釣られて「は、はい、登ってきました」と直ぐに返事をしたけれど、後で二人で顔を見合わせて「まるで友達に声をかける感じだったね」と笑いあう。
 山に登る女性は、本当に元気な方が多いのである。
 遠くからスノーモービルのエンジン音が響いてきた。
 週末には必ずその姿を見かけるのは、しょうがないところだろう。
 帰りはスノーモービルのわだちを避けながら林道を滑り降りるが、このわだちが無ければ林道滑りも結構楽しめるのに残念である。
 途中から気温が上がって雪が重くなり、しょうがなくデコボコのわだちの中を滑り降りる。
 明日はもっと気温が上がるはずで、そうなれば春香山山頂下の斜面も、かなり滑りづらくなるのだろう。
 ふわふわの雪を楽しめたのも今回が最後で、これからは春山のシーズンに入っていく事になりそうだ。


駐車場 土場 銀嶺荘 春香山山頂

1:40

0:45 0:35
下り 1:10
距離:6.6km 標高差:813m


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