|  週間天気予報を見ながら、天気の良さそうな水曜日に休暇を取って、白井岳に登る計画を立てていた。月曜日に久しぶりのまとまった降雪があり、水曜日は朝から文句なしの快晴。これ以上は無いような好条件に、浮き浮きしながら札幌国際スキー場に向かって車を走らせる。
 白井岳へは札幌国際スキー場のゴンドラを利用して、朝里岳経由で登るのが一般的なルートだが、今回はゴンドラを使わずに下から直接登るつもりでいた。
 スキー場に到着すると、上空には青空が広がっているものの、朝里岳や白井岳の付近は雲がかかっていて、その雲の動きを見ると風も強そうである。
 これならば尚更、下から登った方が良さそうだ。
  準備を整えたが、まず何処に向かえば良いのかが分からない。 暫くは沢に沿って登るはずなので、奥の方の従業員駐車場から沢に入ってみた。
 予想はしていたもののトレースは何処にも見当たらず、歩くだけでも一苦労である。
 途中で3箇所ほど、スノーブリッジでこの沢を渡らなければならず、そのポイントは予めGPSに登録しておいた。
 ところが、最初のスノーブリッジはまだ先の筈なのに、何度も沢を渡らなければ前に進めない状況である。
 かみさんが「無理じゃないの?」と心配そうに聞いてくる。
 上の方に除雪したような雪山が見えたので、苦労してそこまで登っていくと、圧雪車の通った様な場所に突然出てきた。
 そしてその先に沢を渡れる場所があり、GPSに落としてあったポイントともピタリと一致する。
 何の事は無い。苦労しなくてもここまではスキー場のゲレンデを歩いて来れば良かったのである。
 
  スノーブリッジを渡った先には、微かだけれどトレースの跡も残っていた。 ただし、雪面が僅かに窪んでいるだけで、注意して見ければ見逃してしまうようなトレースである。
 そして、ラッセルの苦労も、何も無い場所を歩くのとさほど変わりは無い。
  途中でかみさんに先頭を変わってもらったが、スキーの先端を雪面まで引き上げることができず、ブルドーザーの様に雪を押して歩く事しかできない。これじゃあラッセルは無理なので、今日は私がずーっと先頭で歩かなければならないようだ。
 と言うことは、白井岳の山頂まで達するのは殆ど無理だという事に他ならない。
 
  他のパーティーが登ってきてくれたら良いのだけれど、今日は平日なのでそれは望み薄である。 行ける所まで登って、後は引き返す。今日は自分の限界を試す山登りなりそうだ。
 微かなトレースのおかげで、二つ目のスノーブリッジの場所も直ぐに分かった。
 細いスノーブリッジだけれど、他には渡れそうな場所も無く、シーズン初めや終わり頃にはこのルートは通れなくなるのだろう。
  三つ目のスノーブリッジはその手前でトレースが完全に消えてしまったが、木の枝に赤いリボンが付いていたので、何とか場所は分かった。沢に向かって滑り降りると、小さなスノーブリッジを発見。
 これで無事に3カ所のスノーブリッジを渡ったので、後は白井岳に繋がる尾根に向かって高度を上げていくだけである。
 
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