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熊見山・労山熊見山(2010/03/19)

何時も眺めていた山


 国道274号線の日勝峠を越える時、日勝トンネルの日高側入口の上に見える日勝ピークは昔から気になっていた場所で、山スキーを始めて2年目にそこを登っていた。
 一方、その近くの熊見山も北海道雪山ガイドを読むと山スキーのフィールドとして人気があるようだが、車で走っていてもあまり目立つような山ではない。
 十勝の実家へ行く途中に、ここに寄り道してみることにした。
 日勝トンネル手前の大きくカーブした三国ノ沢シェルター、この日高側入口に駐車スペースに車を停めて、そこから登り始める。


三国ノ沢シェルター     駐車スペース
三国ノ沢シェルター   除雪された駐車スペース

 シェルターの中から突然車が飛び出してきそうなので、左右を確認してから大急ぎで道路を横断する。
 春先の道路際の雪山は土砂で汚れていて、スキーでその上を歩くのをためらってしまう。
 真冬ならばそんなことも無いのだろうけれど、その代わりにもっと大きな雪山が出来ていて、そこを登るのに難儀しそうだ。
楽しそうなゲレンデ 汚れた雪山を通り過ぎれば、直ぐに美しい冬の森の風景が広がる。
 風の強い日だったけれど、森の中ではその風も遮られ、春の日射しが心地良い。
 春が近づき、トドマツの緑も心なしか鮮やかに見えるような気がする。
 複雑に枝を伸ばしたダケカンバ一本一本が自己主張をしている。
 木々がまばらな大斜面。
 帰りはきっとここを滑り降りてくるのだと思うと、余計に楽しくなってくる。
 前方に見える緩やかな起伏の山が多分熊見山なのだろう。
 簡単に登れそうだけれど、その前にまず深い沢を渡らなければならない。


大きく曲がったダケカンバ 前方に見える熊見山
大きく曲がったダケカンバをくぐる 前方に見えるのが熊見山

スノーブリッジ発見 適当なスノーブリッジを探しながら登っていくが、更に沢は深くなってくる。
 途中で立ち止まって後ろを振り返ると、下の方に誰かが渡ったような跡があるのを発見。
 せっかく登った分が勿体なかったけれど、素直に滑り降りてそこで沢を渡ることにする。
 多分、倒木が橋のようになっていたのだろう。
 これで熊見山まで近道が出来そうだ。

 遠くから見たところでは、その先はトドマツの密生する森になっていそうだったが、適当に開けた場所があったので、その中を登っていく。
 途中でどちらに進むか迷うような場所もあったけれど、そのまま登っていけば何処かで尾根にぶつかるはずなので、気にしないで先に進む。
 トドマツの森を抜けると、大きな2本のダケカンバが私達を出迎えてくれるように大きく枝を広げていた。


2本のダケカンバ
力強く枝を広げるダケカンバ

 そのダケカンバをローアングルから写そうと腰を屈めた途端、スキーがズルッと滑って前のめりに転んでしまった。
 その辺りからは雪面もアイスバーンの様に凍っているので、しっかりとシールを効かせていないとスリップしてしまうのだ。
 熊見山の山頂付近は樹木が密生しているので、一旦尾根に出てそこから登らなければならない。
 山頂の向かって右側に尾根に出られそうな場所を見つけたので、そこを目指すことにする。
 熊見山に登った後に目指す労山熊見山の姿を後ろに見えてきた。


尾根を目指して 後ろには労山熊見山の姿も
尾根を目指して登る 労山熊見山の姿が後ろに見える

尾根に到着 尾根が次第に近づいていくる。
 真っ白な雪面が、青空によってスッパリと切り落とされている。
 そして、その切り口の向こうに十勝平野が姿を現してきた。
 ワァ〜っと歓声を上げながら、もっと良く見える場所まで行きたかったけれど、そこは雪庇の上である。
 途中で足がすくんでしまう。
 多分、かなり先端まで近づかない限りは大丈夫なのだろうけれど、雪庇の下の様子が全く分からないので恐ろしい。
 日高側から十勝側に向かって鋸の歯のように鋭く突き出す雪庇の連なり。
 冬の日高山脈の厳しさがうかがい知れる光景だ。


頂上からの眺め
十勝平野が一望

雪庇
鋭く尖った雪庇

 そこから雪庇の端から出来るだけ離れながら恐る恐る登っていくと熊見山の山頂に到着である。
 山頂と言うよりも、尾根の連なりの一番高い場所と言った方が正しい表現かもしれない。
私の生まれた町、清水町の街並みが霞んで見えている。
子供の頃から毎日眺めていた日高山脈。
その見慣れた風景の中の、自分が今どこに立っているのかは分からないけれど、何時もとは違った感慨が湧いてくる。


ピークを目指して 清水の町を見下ろす
熊見山山頂は目の前 清水の町が眼下に見える

 熊見山を一旦下って、今度は尾根伝いに労山熊見山を目指す。
 熊見山の標高は1175m、労山熊見山は1327m。
 標高差は150m程しかないのに、この僅かな差で気象は全然変わってくる。
 真横から吹き付ける風が更に強さを増し、雪庇の先まで体が吹き飛ばされそうになる。
 おまけに、労山熊見山への登りは南斜面のせいか、ガリガリのアイスバーンになっていて、シールをピタリと雪面に押しつけないと滑り落ちてしまう。


熊見山を下る 労山熊見山を目指す
熊見山を一旦下って 目指すは労山熊見山

 そんな斜面から真横に幹を伸ばしたダケカンバの姿に目を惹かれる。
 でも、体が飛ばされそうでカメラを向けることも難しい。
 私が苦労しながら写真を撮っている間に、かみさんはどんどんと先に登って行ってしまう。


真横に伸びるダケカンバ
向きに育ったダケカンバ

 直ぐにかみさんの後を追いかけたが、シールが効かずに何度も転んでしまう。これはもう、スキー用のアイゼンを付けないと危険な状況である。
 山頂には雲も広がってきて、今日はもうここまでにしようと思ったものの、かみさんとの距離はかなり離れてしまっていた。
 やっとの思いで追いつくと、かみさんは「もう嫌だ〜」と泣き言を言っている。それならば待っていれば良さそうなものなのに、一度登り始めると突っ走ってしまうタイプなので、困ったものである。

 風を避けられる場所まで滑り降りてシールを剥がす。目の前に迫る雪庇がちょっと気持ち悪い。
 かみさんはもう少し下の木の下でシールを剥がしている。
 そこから下の樹林帯の中はブッシュが多くて滑れそうもないので、トラバース気味に滑り降りて、雪庇の切れ目から尾根の上へと出る。


1本の木の下でシールを剥がす かみさんはここでシールを剥がす
雪庇の迫る木の下でシールを剥がす かみさんはここでシールを剥がす

 その先には広々としたスキー場のゲレンデのような斜面が広がっていた。
 そこを颯爽と滑り降りる、と言いたいところだが、吹き溜まって積もった雪は重たく、吹き溜まりのない場所はアイスバーンで、へっぴり腰で滑り降りることになる。
 かみさんの滑った跡は一応は曲線を描いているけれど、私の描くシュプールはギザギザの線である。山に登るのには慣れてきたけれど、どうも滑りの方は次第に下手になってきているような気がする。
 そうして駐車場所まで戻ってくると、国道を走る車に泥水をかけられて真っ黒になった車が出迎えてくれた。

尾根の上へと出る ゲレンデのような斜面
尾根の上へと出てホッと一息 ゲレンデのような斜面を颯爽?と滑る

駐車場 熊見山 労山熊見山手前 駐車場所

1:00

0:50 0:20
総距離:4.7km 標高差:300m(駐車場所〜労山熊見山山頂下)
GPSトラック


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