徳舜瞥山(2008/03/02)

モンスターのお出迎え


 何時もチェックしている山スキー関連のホームページで、ホロホロ山に登った時の素晴らしい雪のモンスターの写真を見て、かみさんが「私もここに行きたい」と騒ぎ始めた。
 ホロホロ山に隣り合う徳舜瞥山でも同じようなモンスターが見られるみたいだけれど、北海道雪山ガイドで調べると、どちらも中級レベルの山になっている。確かにその頂上付近はかなり険しく、アイゼンでも付けなければ登頂も難しそうだ。
 でも、モンスターを見るだけなら頂上まで登る必要も無く、特に徳舜瞥山の方ならば1時間半ほどでモンスターの見られる1050m台地まで登れてしまう。
 そこで、土曜日に天気が崩れた翌日の日曜日、あまり良い天気ではなかったけれど、モンスターを見るのならちょうど良いチャンスと考えて旧大滝村へと出発した。
 支笏湖から美笛峠にかけては雪も降っていたけれど、大滝村へ着く頃には上空にもかなり青空が広がってきた。
 今回登るルートは牧場コースと呼ばれているところで、牧場の持ち主らしい農家の前まで道路が除雪してあり、そこに車を停めて登り始めることになる。
駐車場所 私達が着いた時には、既に車が2台停まっていて、ソロの男性が出発準備をしているところだった。
 そこへ、ここの農家で買われているらしい白い大型犬がのそのそとやって来て、私達の臭いを嗅いできた。かなりの老犬のようで動作もかなり鈍っている。
 他にもここではビーグル犬が2匹飼われているようだ。すると今度は柴犬風の、これもまたかなりの老犬がのそのそとやって来て、クンクンと私達の臭いを嗅いできた。
 農家の倉庫の前ではもう一匹、ハスキー風の犬が、こちらは元気一杯に吠えまくっている。
 実はチェックしていたホームページには、このハスキー風の犬が山の上まで勝手に付いて来たとの話しが乗っていたので、もしかしたら私達もこの犬と一緒に登れるかもしれないと密かに期待していたのである。
 でも、残念ながら今日の彼は鎖に繋がれてしまっていた。
 多分、登山者の多い週末は、そんな風に付いて行ってしまうものだから、繋いでおくようにしているのかも知れない。

 続けてまた2台の車がやって来た。
 何時ものことだけれど、そんな中で何時も我が家が一番最初に準備が整ってしまうのだ。そうなると他の人が先に登り始めるのを待っているのも嫌らしいので、サッサと出発することになってしまう。
 でも今日は、スノーシューのトレースが先に付けられていたので、ラッセルの苦労はしなくて済みそうだった。
 緩やかの傾斜の牧場の中を登っていく。真っ白な雪原に青い空、何とも嬉しくなってしまう。
 後ろを振り返ると、続けて登ってくる人たちが雪原の中に小さく見えている。

スノーシューのトレース 青空
スノーシューのトレースが続く まだ青空が見えている

牧場の風景
牧場を登りきったところの風景

 林の上に白い山の頂がポコリと顔を出していた。それが徳舜瞥山の山頂らしい。
 青空をバックにして白い姿が映えている。
 それなのに、もしかしたらこの後で雲に隠れてしまって二度とその姿を見られないかもしれないと縁起でもない考えが浮かんできた。
 最近は、最初は晴れていても登るにしたがって天気が崩れてくるパターンが続いているので、疑心暗鬼になっているのだ。
雲に隠れる山頂 今のうちにと思ってカメラを向けると、有ろうことか本当にその姿が雲に隠れつつあった。
 そのうちに太陽まで雲の中に隠れてしまった。
 真っ白な雪原の中でギラギラと照りつける太陽が鬱陶しくさえ感じていたのに、その姿が見えなくなると急に寒々としてくる。

 牧場を登り終わってシラカバ林の中へと入っていく。
 一瞬だけ太陽が顔を出して、シラカバ林の雪面に美しい木々の影を描き出す。それが、今日最後に見る太陽の姿となってしまった。
 その林を抜けて林道に出てきたところで、スノーシューのトレースの主に追いついた。
 ご夫婦で登っている二人はかなり疲れているようなので、お礼を言って私達が先に登ることにした。でも、巾の広いスノーシューでは、スキーの細いトレースを付けたところであまり楽にはならないかもしれない。
 しばらく林道に沿って登っていく。雲に覆われた空からはパラパラと細かな雪が舞い降りてきた。今回もまた何時ものパターンに嵌ってしまった様である。
 林道を離れて再び林の中へと入っていく。
 そこでソロの男性が追いついてきた。こちらもまだ体力が残っているので、途中でルートを教えてもらったりしながら、そのまま先頭で登り続けた。
 そして、そろそろ限界に近づいたところで先を譲った。

シラカバ林 林道の風景
日の当たるシラカバ林 林道を登る

 一息ついて再び登り始める。後ろからは誰も追いついてくる気配はない。
 その辺りから樹氷が美しくなり、トドマツが雪で真っ白に覆われた別名モンスターも見られるようになってきた。
 ソロの男性が付けたトレースは、枝の下をくぐったり、ブッシュの中を抜けたりしていて、結構歩きづらい。
 天気も悪いし、先を急ぐのは止めて回りのモンスターを楽しみながらのんびりと歩くことにする。


真っ白な風景
真っ白な風景に変わってきた

 最初はミニモンスターがポツポツと現れる程度だったが、次第にモンスターも数が増えて、その大きさも巨大化してきた。
 そのうちに周りを全て囲まれ、まるでモンスターの迷路に迷い込んでしまったような状況になってきた。
 童心に帰って、喚声を上げながら、その迷路の中を歩き回る。
 ようやくそこから抜け出すと、今度は真っ白なダケカンバの森が続いていた。まさに純白の世界である。
 次第に雪も止んできて、純白の世界に灰色の空が広がってきた。その空を背景にクリスマスツリーの様に端正な姿をしたモンスターが並んでいる。
 その背景が紺碧の空ならば文句がないのに、灰色の空なのが返す返すも残念である。

全てが真っ白 モンスター登場
何もかも真っ白 モンスター登場
モンスターが立ちはだかる モンスターの迷路
モンスターに行く手を阻まれる モンスターの迷路だ

ダケカンバの白い森
ダケカンバの真っ白な森
1050m台地手前のモンスター

 モンスターの横を通り過ぎると、前方に徳舜瞥山山頂へと続く急斜面が見えてきた。とりあえずの目標にしていた1050m台地へ到着したようである。
 いくらか天気も回復してきたので、頂上まで登る気は更々ないけれど、行ける所まで行ってみることにした。
 先に登っていた男性は斜面の下の木陰で昼食中である。
 その横を通って、斜面に取り付いた。
 森林限界を超えて、潅木がまばらに生えているだけなので、積もった雪も直ぐに吹き飛ばされてしまうのだろう。
 その下から現れるガリガリに凍った雪面は、スキーに貼ったシールもあまり役に立たない。
 そして所々にできた吹き溜まり。登る時には良いのだけれど、ここを滑り降りる時のことを考えると、吹き溜まりにスキーを取られて転倒してしまいそうだ。
 風が容赦なく吹き付けてくる。かみさんが後ろで「こんなところは嫌だ〜」と悲鳴を上げていた。
 元々がそんなに登る気は無かったので、そこであっさりと登坂中止を決め、Uターンして滑り降りる。
 「私達にはきつ過ぎました!」と先ほどの男性に挨拶して、風を避けるためにモンスターの森に逃げ込んだ。

山頂への斜面 下界の風景
山頂へ続く斜面が見えてきた 下界の風景も霞んでる

 後ろを振り返ると、久しぶりに見るような青空が徳舜瞥山の上空に広がってきていた。このまま晴れてきたらもう一度登り返そうかと、しばらく様子を眺めていたが、青空はそれ以上広がることは無かった。
 やがて、途中で追い越したスノーシューの夫婦がやって来て、先に登り始めていたソロの男性を追う様にして、その急斜面を登り始めた。
 何か言い争うような声が聞こえてきた。山の方を見ると、奥さんの方が一人で下り始めている。
 「よし!頂上まで登るぞ!」「冗談じゃないわよ!こんなところ登れるわけないじゃない!」
 もしかしたら、そんな会話が交わされているのかもしれない。同じ夫婦登山者として、彼らの気持ちをとても理解できる気がした。


一瞬姿を見せかけた徳舜瞥山

奥さんが下りはじめた(^_^;

 改めてモンスターの森の写真などを撮っていると、かみさんが寒くて堪らないと言いはじめた。
 どうやら、汗をかいていたのにそのまま冷してしまったようである。こんなに寒いのは初めてだと言うので、心配になって急いで降りることにする。
 以前から気になっていたのだけれど、かみさんの場合、不用意に汗をかき過ぎている様な気がする。ダイエットするために山に登っているのではないのだから(もしかしたらそうなのかも知れないけれど・・・)、汗はなるべくかかないようにした方が良いに決まっている。
 今後の反省点である。

撮影風景 下りは楽ちん
撮影中です 下りは楽ちん

美しい風景
美しい風景に溜め息

 下りは滑りを楽しめるような斜面こそないものの、緩い傾斜がずーっと続いていて、登り返しもほとんど無く一気に滑り降りることができる。
 再び降り始めた雪が、顔に当って冷たかったけれど、一気に駐車場所まで降りてくることができた。
 私達の後から来た人たちは、天気が崩れてきたので途中から滑り降りたらしく、既に車もいなくなっていた。
 そこで出迎えてくれたのは例の白い大型犬で、道路の真ん中で丸くなって眠りこけている。何とものどかな風景である。
 今度は是非、晴れた日にリベンジしたい。そう思わせる特舜瞥山だった。

道路で寝るワンちゃん
道路の真ん中で寝ているワンちゃん

駐車場所 1050m台地

1:50

距離:3.3km
標高差:486m



ルート図はこちら


戻る │ ページトップへ