塩谷丸山(2008/02/02)

滑りに目覚める


 この日は夕方から町内会の会合に出なければならないので、近場で手軽に登れる山と考え、塩谷丸山へ出かけることにした。
 西の風に流されて石狩の北部には雪雲が入っているようだけれど、小樽方面には青空が広がっていた。
 去年利用した道路際の駐車スペースは、車1台をやっと停められる程度にしか除雪されていない。そこに停めても問題は無さそうだったけれど、かみさんが何かあったら嫌だと言うので、今日は素直にJR塩谷駅の駐車場を利用することにした。
 Uターンして駐車場へ戻る途中、山スキー目的らしいご夫婦の車とすれ違った。
 「我が家が諦めた場所に停めるのかな?」と思ったけれど、その代わりに先にトレースを付けてくれれば、その方がありがたい。先週はラッセルで苦労したので、今日は楽に登りたいのである。
 駐車場に車を停めて、そこからスキーを担いで歩きながら「登り口にスキーだけ置いてくれば良かったんだ!」と思ったけれど、それに気付くのがちょっと遅すぎた。
 それでも大して苦にもならずに15分程で戻ってこられたので、地元の人への迷惑を考えると、これからは塩谷駅の駐車場を利用した方が良さそうだ。
 先ほどのご夫婦の車は、やっぱり我が家が狙っていた場所に停められていたが、軽自動車なので通行の邪魔にはなっていない。
 私達もそこでシールを貼って登り始める。

踏切 駐車スペース
特急が通過します ここでシールを貼る

 登り口まで少しの区間、車道をそのまま歩くようになる。登り口の直ぐ隣に民家があり、そこのご主人らしき人が出てきていたので挨拶をすると、笑顔で挨拶を返してくれた。
 隣接する家の人が登山者の車で迷惑しているとの話を聞いたことがあるので、その笑顔が嬉しかった。地元の方には迷惑をかけないように遊びたいものである。
 しばらく進んで林道のY字路を右に曲がると、急に倒木が多くなり、それを避けながら歩かなければならない。
 朝の光が雪の積もった森の木々を照らすようになってくると、その枝に積もっていた雪が、時々音も無くサーッと降ってくる。
 軽やかな小鳥のさえずりも頭上から聞こえてきた。

林道 森の中
林道を進む 森の中は倒木も多い

 林道から分かれて、沢沿いの斜面を登り始める。
 何時ごろ降った雪なのだろうか。結構積もっているので、先行するご夫婦のトレースが無ければ苦労していたところだ。
 そのトレースもあまり無理をしない傾斜で付けられているので、これもちょうど私の登るペースに合っていた。
 体力のある人ならば直登できるくらいの斜面なのである。
 後ろを振り向くと塩谷の港が見えている。
 沢が終わってその左側へと渡ると、見覚えのある形の良いトドマツが並んでいた。この付近が300m台地と呼ばれているところだ。
 ここで、先頭を歩いているご夫婦が見えてきた。車ですれ違った時にチラッと見た感じでは、我が家よりかなり年上の感じだった。
 途中で休んでいたので、これはもう若い私達が前に出るしかない。楽させてもらったお礼を言って、前に出させてもらった。

海が見える 300m台地
海が見えてきた 300m台地のトドマツ

 先頭でラッセルするのを別に苦には感じないのだけれど、あまり慣れていない山で自分がトレースをつけなければならないのはちょっと苦手である。
 自分達だけが登っているのなら好き勝手にルートを決められるけれど、後ろから自分のトレースを付いて来られるとなるとルート選びにも気を使ってしまう。
 そのご夫婦のトレースが緩やかだったので、私も無理をしないで登ろうと思っていたら、いきなり急な斜面の方に来てしまった。そこで向きを変えたら、今度は目の前の潅木が邪魔になって再び向きを変える。
さて何処を登ろうか? こんな感じで無茶苦茶のトレースになってしまうのだから、後ろから付いてくる人も大変だろう。
 そう思って後ろを振り返ると、心配するまでも無く後ろの男性は私とは全然違うルートを登っていたのである。
 これでその男性に追い越されては格好悪すぎるので、意地になって登り続けた。さすがにそのペースではばててしまうので、途中で小休止して「ウイダーinゼリーエネルギーイン」で栄養補給する。
 その後、我が家のトレースを辿ってご夫婦が追いついてきた。
 「ここにはよく来るんですか?」とのご主人からの質問に、かみさんが平然としたした顔で「ええ、毎年登っているんです」と答えている。それを聞いた私は、慌てて「ま、毎年と言っても、これが2回目ですから」と訂正したのである。
 頂上までの最後の斜面、再び私が先頭で登り始める。
 去年ここを登った時は、真直ぐに直登するトレースが付けられていて、皆が普通にそこを登っていく中、一人私だけがスリップしてそこを登れず、已む無くトレースを外れてジグザグに登る羽目になったのである。

頂上への斜面 登り続ける
頂上へ続く斜面 ひたすら登り続ける

 そんなことを思い出しながら、今回はどんなルートで登ろうかと斜面を見上げていると、かみさんが「このまま真直ぐに登れば良いんじゃない!」と言ってきた。
 それでは前回と同じルートになってしまうけれど、去年よりも少しは力が付いているだろうと思って、かみさんに言われたとおりに真直ぐに登り始める。
 すると、後ろから登ってきていたご主人が「このまま登ると急になるから、右の方へ行ったほうが良いですよ」と声をかけてきてくれた。
 「やっぱりそうだろう!」とかみさんに言いながら、直ぐに向きを変える。
 先ほどの会話の中で「これが2回目です」と正しい情報を相手に伝えていなければ、その男性から親切なアドバイスはもらえなかったはずである。
 丸山の山頂を左に見ながら、真っ白な斜面を斜めに登っていく。次第にその向こうに余市の街並みが見えてきた。
 その先に見えるはずの積丹半島の山並みは、すっかり雲に覆われてしまっている。
 後ろを振り返ると男性の奥さんはかなり遅れているようだ。


余市港が見える
余市の街並みが見えてきた

塩谷の港も見える

 適当なところで向きを変えて、一気に塩谷丸山の山頂へと登る。去年立てられたばかりのような新しい看板の前で記念撮影。
 登り口から1時間40分、途中でラッセルした割にはなかなか良いペースで登ることができた。
 大きな雪庇を越えて昔からの標識の前でもう一度記念撮影。
 やがてご夫婦もそこまで登ってきて「いや〜、助かりました。おかげで滑る体力も残すことができました。」と、やたらに感謝されてしまう。そして「さすがに体力ありますね〜、ほとんど休み無しで登ってきたじゃないですか!」とやたらにおだてられてしまった。
 多分、若く見られているような気がするし、こちらも相手がかなり年上だと思っているけれど、もしかしたらお互い同じくらいの年齢かも知れない。
 私達夫婦は若く見られるけれど、実は夫婦合わせて去年で100歳になってしまい、スタミナが続くのも2時間が限度。
 「体力がありますね〜」と言われても、素直には喜べないのである。

真新しい山頂標識の前で これは以前からの標識

 塩谷丸山の周辺だけは晴れているけれど、積丹方面からの雲が次第にこちらに広がってきているような気がする。
一息付いて直ぐに滑り降りることにした。
 真っ白な斜面に最初にシュプールを描くのはご夫婦に譲り、気持ち良さそうに滑り降りていくのを見送る。
 何かのツアーらしき団体さんがゾロゾロと登ってきていた。こんな団体さんに先に滑られてしまっては堪ったものではない。例えラッセルしながら登らなくてはならなくても、山に登る時は早めに家を出てきた方が良いのである。
 そして私達も滑り降りる。
 ようやく最近、深雪の中を滑るコツが分かってきたような気がする。
 これまでは、スキーで山に登るのは森の風景や頂上からの展望を楽しむのが目的であって、滑るのは下るための手段程度にしか考えていなかった。
 それが、一度深雪の中を滑る楽しさを知ってしまうと、山に登る目的自体が変わってしまいそうである。
 それほど急な斜面でもないので、かみさんも上手にターンしながら、とても楽しそうに滑っている。
 その滑った跡を見ると、私よりも滑らかにターンしているのが分かる。もしかしたら技術的にはかみさんの方が上じゃないのかと心配になってきてしまった。

下りの斜面 滑りが楽しい
下りが楽しみ 深雪を楽しく滑る

 団体さんが滑り降りてくる前に十分に楽しんだ後、眺めの良い適当なところで昼食にする。
 2月に入ると太陽の日差しも明らかに力強くなってきていて、風にさえ当らなければ、雪の中でもとても暖かく感じられる。
昼食 先週の千尺高地とは雲泥の差である。
 昼食を終えたら後は車まで戻るだけだ。
 林の中を抜けて林道まで出てくれば、後はほとんどノンストップである。
 車道にも雪が積もっているので、スキーを履いたままで駐車場近くまで滑り降りることができる。ただしこれも今時期だけだろう。もう少し暖かくなれば、直ぐにアスファルトが顔を出してきそうだ。
 いつの間にか上空には雲が広がり、雪もチラつき始めていた。
 登るのに2時間もかからず、そして滑りも十分楽しめる。
 かみさんまでが「雪がどっさりと降った日の翌朝早くに、ここを登るのも良いわね」と言い始めるような、塩谷丸山はお手軽で楽しい山である。


塩谷駅駐車場 除雪終点 塩谷丸山

0:15

1:40
距離:2.9km 標高差:530m
(除雪終点〜塩谷丸山)



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