大沼山(2008/01/21)

こんな天気でも文句なし


 「週末はパッとしないけれど月曜日になれば天気も回復しそうだ。」
 そう考えて前の週の金曜日から休みを取っていたのに、その月曜日は朝からふぶき模様の天候だった。
 今更天気予報に文句を言っても始まらないし、せっかくの休みなのだから何処かには出かけようと考えて、気象庁のレーダー画面を確認する。それによると石狩湾の雪雲は北東方向に流れているので、定山渓方面には入っていないようだ。
 そう判断して、定山渓から更に奥に入ったところの去年も一度登った大沼山に行き先を決定した。
 朝の通勤ラッシュの車に混ざって南区方面まで走ってくると、その雪の少なさに驚かされる。
 それでも、定山渓から豊羽鉱山へ向かうにしたがって徐々に雪も深くなり、目的地に着く頃には完全に真冬の風景に変わっていた。
 天気の方も、雲の切れ間に青空ものぞいていて、途中までの吹雪模様の天候のことを考えればこれでも御の字である。
 旧豊羽小学校の下の道路沿いに広めに除雪したスペースがあり、そこに車を停める。平日にもかかわらず、既に先客の車が1台停まっていた。
 去年は、そこから旧豊羽小学校の建物までの急な法面を登るのに最初から苦労させられたけれど、今回はその時よりも緩いトレースが付いていたので、楽に登ることができた。

駐車スペース 登り始める
旧豊羽小学校下に車を停める 登り始める!

 そこからしばらく林間の急な登りが続く。
 何時ごろ降った雪なのだろうか、50cm以上の新雪が積もっている感じだ。それでも、週末に付けられたトレースが沢山残っているので、登るのに苦労はしない。
 後ろを振り返ると、何時もはそこに見えているはずの天狗岳の特徴的な姿が、真っ白な雲に隠れてしまっている。
 急傾斜の部分を登り終えてホッと一息。去年はここまで登るだけでかなりばてていたのに、今日はまだまだ余裕がある。
 しばらく登ると、樹木がまばらで滑走を楽しめそうな場所があった。
 そこを一人の女性が華麗に滑り降りてきて私達の前で停まった。下に停めてあった車の持ち主だろうか?意外と若い女性なのでビックリする。
 頂上まで登っての帰りかと思ったら、時間が無いので途中から滑り降りてきたとのこと。そのまま一気に滑り降りていった。
 仕事前に一滑りしにでも来たのだろうか。格好良い女性がいるものだと感心しながらその後姿を見送った。
 そこを登りきったところが840mのピークである。見覚えのある切り株が雪の綿帽子を被っていた。
 かみさんが早速その綿帽子にストックで目を書き入れる。去年の記憶ではその切り株はもっと背が低かった気がする。
 新雪がたっぷりと積もってはいるけれど、まだまだ積雪は例年よりも少ないようである。

切り株 去年の切り株
840mピークの切り株 こちらは去年の2月

 そこを過ぎるともう一つ875mのピークがある。
 このピークは上まで登らずに右側をまくのが正解。ところがその辺りから、沢山あったトレースが全て吹き溜まりで消えてしまっているので、正しいルートが分からない。
 帰りに登り返さなくても済むようなルートをとるのが一番なのだけれど、困ったことに今日は地図を忘れてきてしまった。
 大沼山は尾根沿いに上っていけば良いので道に迷う心配もないだろうと簡単に考えていたので、地図のこともあまり頭に浮かんでこなかったのだが、山では何が起こるか分からない。まだまだ山の怖さを本当に分かっていないのだと反省である。
 GPSに去年登った時のルートを登録しておいたのだけれど、それ自体が失敗したルートだったのであまり参考にもできない。
 しょうがないので適当に見当をつけて歩き始めた。
 そしてピークの裏側まで来ると、やっぱり登り過ぎてしまったことに気が付いた。先へと続く尾根は、かなり下のほうに見えていたのである。

僅かな日射しが その場所からは更に上の方の様子まで良く見渡せた。登り始めた頃よりも、雲が広がり風も強まってきているような気がする。
 ここから先、トレースはほとんど消えているだろうし、もしかしたら天候も下り坂に向かっているのかもしれない。
 今日はこの付近の山に入っているのは私達くらいだと思われ、何かトラブルがあっても助けてくれる人は誰もいない。
 そんなことを考えると少し気弱になってきて、「今日はこの辺で引き上げることにするか?」とかみさんに聞いてみた。
 するとかみさんは、「えっ?、???、何言ってるの?」って表情を浮かべるだけで、言葉が無い。
 もしかしたらかみさんも不安を感じているかもしれないと思って聞いてみただけなのだけれど、全く余計な心配だったようである。
 下の尾根まで滑り降りて再び気合を入れて登り始める。
 アカエゾマツやトドマツ、ダケカンバなどが真っ白に雪を被った美しい風景の中を、一歩一歩スキーを進めていく。
 たまに雲の切れ間から日が射してきて、その風景をより一層美しく照らし出す。

白い森の中を行く 一瞬の日射し
白い森の中を行く 一瞬の日射し


ついつい入りたくなるマツの洞穴

 やがて白い壁が目の前に迫ってきた。最後の急斜面である。ここのトレースはまだ風に消されてはいなかったので、その跡を歩かせてもらう。
 ところがこのトレースがやたらに細かくジグザグを切っているので、とても登りづらい。人のトレースの中を歩きながら「何だこれ!」とブツブツ文句を言ってるのだから、困ったものだ。
 そうしてそこを登りきったところで、ほぼ2時間が経過していた。
 一昨日に支笏湖の紋別岳を登った時は山頂までの2時間で疲れきっていたのに、今日はまだまだ力が残っている気がする。
 今日の方が標高差は大きく、ラッセルもしなければならず、ハードなのは間違いないはずなのに、この違いは何だろう。
 考えられるのは汗をかいていないことだ。汗をかく、かかないでこれだけ体力の消耗が違うのならば、登る時の服装にはもっと気を配ったほうが良さそうだ。

急斜面 真っ白な森
最後の急斜面 急斜面を登ると真っ白な森

 そしてようやく頂上が見えてきた。
 当然、トレースなど何処にも残っていないので、自分の登れる角度に合わせて真直ぐに進むことにする。
 スキーの先を見つめながら黙々と登っていると、気が付いたら山の裏側にまで回りこんでいて目の前に小さな雪庇が張り出していた。それを避けて上に登るとそこが頂上だった。
 誰の足跡も無い頂上に立つのは気持ちの良いものである。


山頂が見えた
大沼山の山頂が見えてきた

大沼山山頂
山頂に立つ

大沼山頂上を散歩
大沼山の山頂のお散歩

 雲がかかって遠くの山までは見通せないものの、美比内山はかろうじてその姿を確認できる。
 天気が悪ければ引き返す覚悟もできていたのだから、これだけ展望が利けば何の文句も無い。
 そして嬉しいことに、風もほとんど止んでいた。この寒さに加えて風も吹いていたら、頂上に立った瞬間にそのままUターンして下山していただろう。
 でも、とても寒いことに変わりは無く、何枚か写真を撮った後は長居は無用とばかりに直ぐに下山を開始する。


千尺高地への尾根
千尺高地へと続く尾根

 一昨日の紋別岳のデコボコ林道と違って、今日はパウダースノーの中を滑ることができる。パウダーとは言っても、降雪後時間が経過しているので、やや締まったパウダーである。
 果たして自分の技術でこんな雪の中を滑れるのだろうかとちょっと不安に感じながら、先ほどの急斜面の上までやって来た。
 衝突しそうな立木も無いので、覚悟を決めて滑り始める。巻き上がった雪が顔にかかってくる。
 「おっ、行けそうだぞ!」
 と思った瞬間、目の前は突然真っ白になり、そのまま体はゆっくりと前方に一回転していった。
 ジャケットの襟元や袖口を全く無防備のまま滑っていたので、上着の中まで雪まみれになってしまった。
 何時もは、怪我をすることを恐れて、不恰好でも良いからと尻餅で済むような滑り方ばかりしているものだから、転ぶ準備ことなど考えてもいなかったのである。

真っ白な森の中を滑る 急斜面に四苦八苦

 875mのピーク手前まで降りてきた。登ってくる時のトレースを歩こうとすると、もう一度シールを貼って登り返さなければならない。面倒なので、横向きになって少し登ってから後は、ぐるりとそのままピークを巻くように歩くことにした。
 ところが、シールも貼らずにラッセルしながら歩くのはとても大変なのである。登ってくる時にもっと低い場所を巻いていれば、こんなに苦労はしなかったはずだ。
パウダーの中を快適に滑り降りる 今回は、ここの歩きが一番しんどかったような気がする。
 その先の840mピークの下の中斜面を滑り降りる時、何となく深雪の中を滑るコツがつかめたような気がした。
 このままもっと滑れば上達できそうだったのに、この先はもう木を避けながら林間を滑るだけである。本気で上達しようと思うのなら、こんな斜面を何度も登りなおして練習しなければならないのだろう。
 そこまでやる元気も無いので、とりあえずは歩くよりも早く下まで降りてこられる程度に滑ることができるのなら不満は無い。
 天気はパッとしなかったけれど、自然との対話は十分に楽しむことができた今回の山行だった。


小学校下 840ピーク 大沼山山頂

0;50(0:30)

1:30(0:40)
※( )内は下りのタイム
距離:3.6km 標高差:520m



ルート図はこちら


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