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紋別岳(2008/01/19)

長靴でも登れそう


 昨日の天気予報では雪もそれほど降らないはずだったのに、朝目覚めると30cmを軽く超えるような雪が降り積もっていて驚かされた。しかも、全く止みそうな様子も無く、もさもさと降り続けている。
 この雪を降らせている雲はどうやら札幌市周辺だけにかかっているようなので、これならば春香山辺りがたっぷりと新雪が積もって良い雰囲気になっていそうだ。
 でも、さすがにこの天気の中では山にも登っていられないので、今回は、晴れていそうな支笏湖方面に出かけて紋別岳に登ることにする。
 雪かきで一汗かいてから、まだ盛んに雪が降りしきる中、自宅を出発した。
 札幌を抜ける頃には雪も止んで、青空が広がってくる。これは、雪が止むと言うよりも、雪雲の下から抜け出したと言ったほうが正しい表現になるだろう。
 千歳市内までやって来ると、雪が降っていないどころか、道路際の雪山も無くて、日当たりの良い場所では土が出ているくらいである。
 今時期でこの雪の少なさはちょっと異常で、果たして紋別岳にスキーで登れるだけの雪が積もっているのか不安になってきてしまう。
 温泉街を過ぎ、紋別岳登山口と書かれた小さな看板にしたがって道を曲がり、坂道を登っていくと、10台ほどが停められそうな駐車スペースがあった。
 紋別岳はそこから頂上まで林道を登っていくのだけれど、車から降りると直ぐに、その林道に雪があるかどうかを確認する。雪は少ないけれど、土が出ているわけでも無く、スキーで登るのに問題は無さそうだ。

駐車スペース 雪のない林道
駐車スペース 長靴でも登れそうな林道

 その林道は雪上車も通るらしくキャタピラの跡が残っていたり、しばらく雪が降っていないので沢山の人が歩いた跡もあって、わざわざスキーを履かなくてもつぼ足で何の支障も無く歩けそうだった。
 それでも帰りのことを考えるとやっぱりスキーで登る方が良い。デコボコの林道をスキーを履いて登り始めた。
 キャタピラ跡の小さな三角のデコボコがそのまま凍っているものだから、その上をスキーで歩くのはとても快適とは言い難い。
 キャタピラが踏み固めた間に幅50cmほどの平らな部分が残っているので、しょうがなくその上を歩く。
 少し登ると直ぐに、木々の向こうに支笏湖と樽前山の姿が見えてきた。木々が全て葉を落としている今の季節ならではの特典だ。
 ずーっと林道を登り続けるつまらなさを、その風景が癒してくれるのである。
 林道を登るのは単調で退屈だけれど、急な傾斜も無く黙々と歩くだけで良いので楽だろうと思っていたが、実際はそうでもなかった。
 登り始めて1時間を過ぎる頃から、明らかにパワーが切れてくるのが自分でも分かった。
 半年ぶりの山登りなので体が慣れていないこともあるけれど、一番の原因は汗をかきすぎていることかもしれない。
 途中で上着を脱げば良かったのに、面倒なのでそのまま登り続けていたのである。今更脱いだとしても、気温もかなり低いので、逆に体を冷してしまいそうだ。

樽前山に風不死岳 林道を登る
樽前山、風不死岳が見える 林道を黙々と登る

 それまで私の後ろを歩いていたかみさんを先に行かせて、登っているシーンを写真に撮る。
 ラッセルするわけでもないのに私の後ろばかり歩いているものだから、体調が悪いのかと心配していたが、そうでもなさそうだ。
 所々で立ち止まって眼下の支笏湖の風景を撮影していると、その間にかみさんとの距離がどんどん開いていってしまう。
 この次に追いついたら休憩することにしよう。
 そう考えていたのに、かみさんは遅れた私を待ってくれようともしない。「何て冷たい奴だ!」と思いながら、堪らずに一人で休憩し、水分を補給する。
 その間にもかみさんはどんどん先に行ってしまい、頂上に着いてから私が登ってくるのを待っていたのである。
 登り始めてからしばらく私の後ろからしおらしく付いて来ていたのは、一旦先に出るとそのまま一気に突っ走ってしまいそうなので自重していたのだとか。そうとは知らず不用意に先に歩かせた私が悪かったようである。

紋別岳山頂が見える 山頂までもうすぐだ
紋別岳山頂が前方に見える かみさんの姿が見えなくなった

樽前山と支笏湖
光り輝く支笏湖の湖面、遠くには太平洋も見える

恵庭岳
ついに恵庭岳の姿も見えてきた

 疲れた足を引きずるようにして一人でトボトボと登っていく私を慰めてくれるのは、眼下に見える支笏湖の風景だけだった。
 恵庭岳の姿も見えてきた。
 風不死岳や樽前山、恵庭岳は紋別岳よりも標高が高いはずなのに、ここから眺めるイメージとしては足元に見えてしまうのが不思議だ。
やっと山頂に到着 登り始める時はほとんど快晴だったのに、次第に雲が広がってきていた。札幌に雪を降らせていた雲が、風で千切れてここまで流されてきたのだろうか。
 そうして、かみさんに遅れること10分くらいで山頂に到着した。登り始めてから約2時間である。

 紋別岳の狭い山頂は全て、無線アンテナの施設で占領されてしまっている。
 ちょっと興冷めだけど、この山に登るのは頂上からの支笏湖の展望を楽しむことだけが目的のようなものだから、大して気にはならない。
 それに、無線施設の土台がちょうど良い展望台代わりにもなっているのだ。
 その角に立てば空に浮かんでいるよな気分になれる。遠く苫小牧の方には工場からの煙が真直ぐに立ち上り、その先には太平洋が霞んで見えている。

山頂にて 眼下に広がる支笏湖
苫小牧まで見渡せる 目の前に広がる支笏湖

 紋別岳からは、恵庭岳の姿は美しく見えるけれど、南に位置する樽前山と風不死岳はちょうど逆光になってしまう。
 ここから見える支笏湖の冬の風景を本当に楽しむのならば、もう少し時期を遅らせて太陽がもっと高く昇るようになった時の方が良いかもしれない。
 そうすれば晴れている日ならば空の青さを湖面に映しこんで、支笏湖が素晴らしい表情を見せてくれそうだ。


逆光の樽前山
逆光に浮かぶ樽前山

 ここの山頂からはその少し下にある尾根が邪魔になって、支笏湖を完全に眼下に見渡すというわけにはいかない。そこで昼食はその尾根の先端で食べることにする。
 積雪が少ないので、そこまでたどり着くのに苦労した。
 と言うのは、笹や潅木の上に雪が積もってその中が空洞になっているものだから、雪を踏み抜くと落とし穴に落ちたようなもので、腰まで埋まってしまうのである。
 それでも何とか堅い雪の上に腰を下ろす場所を確保して、目の前に広がる絶景を楽しみながらおにぎりを頬張った。

尾根の上で昼食 紋別岳山頂
尾根の先端で昼食 山頂の様子

 もっと暖かければここでゆっくりと時間を過ごしたいところだけれど、気温が低すぎてそんな気分にもなれないので、昼食を終えて早々に下山を開始する。
 今回はこの下山も大変だった。
 雪上車のキャタピラの轍は巾1m程。この中では到底ターンはできないし、直滑降ではスピードが出すぎる。
 私は2本の轍の間の凸を乗り越えながら何とかターンしてスピードを抑えらるけれど、かみさんは1本の轍の中でボーゲンで滑るしかできないようだ。
 そのために、かみさんにしては珍しく、翌日は太股に湿布をしていた。私も何故か翌日は腰が痛くて、腰に湿布を張る羽目に。
 シーズン最初なので手軽な山を選んだつもりが、楽に登れる山なんて無いことを思い知らされた今回の山行だった。


距離:5.0km 標高差:550m 登り時間:120分


ルート図はこちら


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