黒岳(2007/03/31)

やっぱり無理です


 せっかく層雲峡温泉に泊まるのだから、これはやっぱり黒岳に登ってみなくては。
 ところが、北海道雪山ガイドには黒岳は載っていないし、ネットで調べても情報は少ないし。登りに要する時間はそれほどかからなさそうだけれど、地形図で見るとかなり険しそうな雰囲気である。
 それでも黒岳ロープウェイには夏に一度乗ったことがあるだけなので、冬の黒岳の姿を見るだけでも良いからと山スキーの装備で登ってみることにした。
 ロープウェイ料金は片道950円、ロープウェイ下のダウンヒルコースは雪崩発生のため閉鎖されているので、往復券を1750円で購入しなければならない。もし閉鎖されていなかったとしても、このコースは一般のスキー場と違って完全な山スキーのエキスパート向けコースみたいなので、そんなところを滑り降りる自信はちょっと無い。
 朝から曇りがちの天気だったけれど、ロープウェイで5合目駅に降り立つ頃にはかなり青空も広がってきていた。
 そこから250m程歩いてリフトに乗り継ぐ。このリフト沿いは中級者向けのスラロームコースになっていて、トドマツやダケカンバの林間を気持ちよく滑れそうだ。
 リフトに乗っていると、青空に向かって尖った山頂を斜めに突き上げる黒岳の姿が次第に大きく迫ってくる。頂上近くの肩の部分にごま粒のような人影が見えている。頂上までは無理だとしても、せめてそのあたりまでは登ってみたい。
 リフトから見る限りではそれほど急な斜面でも無さそうなので、何とか登れそうだ。

急な登りリフトを降りるとそこが7合目だ。
 先行者のしっかりとしたトレースがあるので、それにしたがって登り始める。
 最初から急な登りなので、直ぐに息が切れてきた。今朝はホテルで朝風呂に入って、その後は大函の中をスノーシューで歩いたりと、「もう今日はお腹いっぱいです」と言った状態なのである。
 そのトレースは斜面の右端を細かくジグザグに続いている。もう少し大きくジグザグに登れば良いのにと思ってしまうが、真っ白な大斜面をなるべく汚さないようにと配慮しているのだろうか。
 右側の方はほとんど崖になっているので、そこでキックターンで向きを変えるとき、バランスを崩して転びでもしたら、そのまま谷底に転落してしまいそうな恐怖感さえ覚えてしまう。
 そのあたりの標高は既に1600mを超えているが、標高が高い分、余計に恐怖感も増しているような気がする。
まるで高所恐怖症のような感じで、山登りをするのにこれではちょっと情けない。
 雪の深さも場所によっては膝くらいまである。これほど深い雪の中を登るのは初めての経験だった。ちょっとトレースから外れてみたが、ここをラッセルして登るとなると相当の体力が必要だろう。
 かみさんが、こんな深い雪の中は滑れないと弱音を言い始めた。私は私で高所恐怖症にかかっている。
 リフト降り場はまだ直ぐ下に見えているが、ちょっと横に目をやると、ここがとんでもなく高い場所であることが分かるのだ。

そろそろ限界か これ以上は登れない
もうそろそろ限界かな とてもあそこまでは登れないかも

 それ以上登るのは諦めて、そこから滑り降りることにした。
 急斜面の途中でシールを外す。かみさんは、怖いからシールを付けたままで降りるという。
 まずは私から滑りはじめたが、雪が深いし、恐怖でへっぴり腰になっているので、全然ターンができない。急斜面を真横に横切ったら雪崩を誘発しそうな感じもするので、せっかくの大斜面も端っこの方をキックターンをしながら滑り降りる。
下から見上げると、曲線ではなくてジグザグのシュプールが残っていた。
 かみさんの方は、滑ると言うよりほとんど歩きながら降りてくる感じである。
 林間部分まで降りてくると気分的にも安心できて、ようやく思いっきり滑れるようになった。それでもやっぱりターンができないので、ほとんど真っ直ぐの斜滑降である。
 気がつくと、転んでもいないのに上半身が雪まみれになっていた。怖がらないでもっとスピードを出して滑れば、粉雪を舞い上げながらの最高に気持ちの良い滑降を楽しめるのだろうけれど、なかなかそんなレベルにはなれそうもない。


ラッセルしながら降りてきます 斜滑降が精一杯
滑ると言うより歩きながら降りています 林間部分は安心して滑ることができる

やっと下まで降りてkた
下まで降りてきてやっと一安心

 本来のスキーコースに戻って、その途中から黒岳振り返った。
自分たちが登ったのはリフト終点から僅かの高さだったことが良く分かる。 そして、そこに残っているジグザグのシュプールがとても格好悪い。
でも知らない人が見れば、それは登るときに付けた跡で、実は滑り降りた跡だとは多分気がつかないだろう。それがせめてもの救いだった。

黒岳の姿
下まで降りてきてやっと一安心


 その後は、カメラを抱えて周りの山の風景を撮しながら、ゆっくりとスキーコースを滑り降りる。
 頂上からの豪快なパノラマ風景を見たかった気もするけれど、青空をバックにした黒岳の冬の姿を見られただけでも十分に満足である。
 我が家にとって黒岳は、登る山ではなくて見て楽しむ山だったのだ。

黒岳は見て楽しむ山かも
下まで降りてきてやっと一安心



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