当別町丸山(2007/03/17)

一番最初に最難関


 天気がパッとしない週末、札幌付近ではかろうじて青空ものぞいているけれど、インターネットの気象レーダー画像を確認すると石狩湾の大きな雪雲の塊が真直ぐ南下しつつあった。
 これでは札幌近辺の山では数時間後に雪が降り始めるのは確実なので、その雪雲を避けて北へ向かうことにした。
 たとえ雪雲を避けられたとしても、晴れるかどうかまでは分からない。こんな時は手軽に登れる山が良いと言うことで、今回は当別町の丸山へ登ることにする。
 先々週にはその近くの察来山へ登っているが、その時に見た丸山の印象は、山と言うよりも丘の様なイメージだった。登りの時間も2時間程度なのでかなり楽に登れそうである。
 自宅を出て直ぐに雪がちらつきはじめる。
 かみさんは天気が悪くなりそうだと心配顔だが、気象レーダーで確認したとおりなので「大丈夫、もう少し北に行けば晴れてくるから!」と気にもかけない。
 しかし、当別町に近づくに従ってますます雪の降り方も激しくなり、「変だな〜、北風なのでこの付近まで雪雲が入ってくることは無いはずなんだけど・・・」とちょっと心配になってくる。
 その心配も、当別町を過ぎて道道28号を北上するにつれて上空の雲と一緒に消し飛んでしまった。
 前回、察来山へ来た時と同じような素晴らしい青空が広がり、神居尻山やピンネシリ山がその青空を背景にくっきりとその姿を浮かび上がらせている。
 やがて、これから登る予定の丸山が道路の行く手に、お椀を伏せた、と言うよりもお皿を伏せたような姿を現してきた。

当別町丸山の全容
道道28号を北上すると正面に見えてくる丸山

 丸山への登り口は、道路が除雪してあるわけでも無くちょっと分かりづらい。GPSにその場所を登録しておいたけれど、そこまで来ても畑のような真っ白な雪原が広がっているだけなので半信半疑である。
 地形図などで確認しても間違いは無さそうなので、道路脇ギリギリに車を停めて、出発準備をする。
 真っ白な雪原を横切るとその先の川に橋が架かっていたので、間違いは無かったようだ。

駐車場所 橋を渡る
道路脇に車を停める 橋を渡って山へ向かう

 北海道雪山ガイドによると、その先の砂防ダムのある川をスノーブリッジを探して渡り、やや急な斜面に取り付くとなっている。
 その川がどれくらいの水量なのか分からないが、殆ど雪の下に埋もれているのでスノーブリッジを探すまでも無く何処からでも渡ることができる。
 問題はその先の急斜面である。高低差は大したこと無いけれど、殆ど崖のような斜面に見える。
 おまけに雪崩れのような跡がその斜面全体に残っている。多分、木の枝に積もっていた雪が落ちてきて、それがそのまま急斜面を転がり落ちた跡なのだろうけれど、ちょっと嫌な感じである。
 何処を見ても楽に登れそうな場所は無く、その中でもいくらかましに見えるところを探して登りはじめる。
 ところがやっぱり、途中で斜面が急過ぎて進退窮まってしまった。そこから数メートル上のほうに登れそうなルートがあるのだけれど、その数メートルがどうしても登れないのだ。
 そこで立ち止まったまましばらく途方に暮れていたけれど、どうしようも無くて一旦下に降りることにした。
 かみさんは急斜面の途中で方向転換することもできず、そのままズルズルと後ずさりして、何とか斜面の下まで降りることができた。
 そこから少し先に進んだら、急なことに変わりは無いけれど、無理をしないで登れそうな場所が見つかった。
 これは我が家がよくやる失敗である。ここから登るしかないはずだと思い込んで苦労してそこを登ったら、もっと楽に登れるところが他にあった事を後になって気が付くのである。

急斜面で立ち往生 ここも結構な急斜面
急斜面で立ち往生してしまう やっと登れそうな斜面が見つかった

 最初の取り付き部分こそ急だったものの、その先は直登できる程度の傾斜が続いており、真直ぐにピークを目指した。
 そのピークの先には更なる登り斜面が待ち構えているだろうと思って登って行くと、待っていたのは下り斜面だったのでガックリしてしまう。このピークを巻くようにすればもっと楽に登れるところだろう。
 もっとも、厳しいルートが続くわけでもないので、これくらいはちょっとした寄り道程度のご愛嬌である。
細い尾根の先に丸山山頂が見える そのピークからは早くも丸山のなだらかな山頂を目の前に見ることができた。
 少し下ったその先からは、細い尾根の上を登るようになる。尾根の両側の見通しが利くので、こんなところは登っている最中も気持ちがいい。
 道路際に停めた自分達の車も、遠くの方に見えている。
 尾根沿いの所々にはミズナラやトドマツの巨木がしっかりと根を張っている。大きな木が大好きな私達夫婦は、そんな巨木に出会えるととても嬉しくなってきてしまう。
 細い尾根を登り終わると林道にぶつかった。地図とGPSで現在地を確認すると、その付近から山頂へと続く尾根に取り付くようになっている。
 山頂はもう目の前に見えていた。
 最近は、たとえ単純なルートを登っている時でも常に地図とGPSの確認を怠らないように気をつけている。
 私の持っているGPSは、軌跡やルートなどを表示する機能しかない。上級機種では地図情報まで表示できるが、こうして山で常に使うようになってくると、地図表示できる機種が本当に欲しくなってきてしまう。
 値段はかなり高くなるけれど、これからGPSを買おうと考えている人には、地図表示できる機種をお勧めする。

急斜面をトラバース 山頂に近づくに従って次第に傾斜も急になってきた。その急斜面を左にトラバースしながら、西側の傾斜の緩やかな尾根へと回り込む。
 その急斜面をトラバースする時は、雪崩が起きそうな場所なのでちょっと冷や冷やした。樹木の生えていないこの程度の斜面は何処にでもあるし、そこが果たしてどれだけ危険性のある場所なのか、私達のような素人にはなかなか正確な判断ができない。
 もっとも、ベテランだからと言ってそこで雪崩が起きるか起きないかを正確に予想できるわけでも無いだろうし、とりあえず私達はどんなところでも注意していた方が良いのだろう。
 西側の尾根に出ると、察来山に登った時にその特徴的な姿で印象に残っていた黄金山が、その時よりも大きく見えていた。
 でも、その背後から怪しげな雲が広がりつつあって、隣に見えるはずの増毛山地の山並みもかなり霞んできていた。
 緩やかな尾根を登りきると山頂に到着だ。
 「・・・・・。」
 雪山ガイドには「頂上は平らで何処が山頂なのかハッキリしない」と書かれていたけれど、まさにそのとおりだった。
 今、登ってきた方向にはそれなりの展望が開けているけれど、それ以外は樹齢の若いシラカバ林に覆われたただの平地が広がっているだけだ。
ここが山頂??? 私達が立っている場所は、周りより数メートルは盛り上がっていて、シラカバ林の方から眺めたら、公園の築山の上に立っているようにしか見えないだろう。
 地形図上の山頂はそこからは少し離れた場所に示されているが、回りを眺めても自分達が立っているところよりも高そうな場所は何処にも見当たらない。
 登り始めてから1時間半、登頂の感動は全く得られなかった。
 一応記念撮影だけは済ませて、シラカバ林の中をもう少し奥へと歩いてみることにする。
 樹齢は15〜20年くらいだろうか、細いシラカバが密生している。そのシラカバ林に囲まれた中に、まるで人工的に作ったかのような、株立ちの立派なモミジだけが生えている空間があった。
 20年前には多分、この丸山の山頂には、そのモミジしか生えていなかったはずである。周りにわざわざシラカバを植林したわけでも無いだろうし、自然がいたずらのつもりで作り出した風景に思えてしまう。
 シラカバ林の中の緩い傾斜を下りていくと、その先が急に盛り上がっていた。GPSで確認すると、どうやらその盛り上がりが本当の山頂のようである。
 シラカバの間を縫いながら登っていくと、その先に青空だけ広がる空間が見えてきた。
 「これは!もしかしたら・・・。」
 ワクワクしながらそこを駆け上がると、期待していたとおりの素晴らしい光景が広がっていた。

山頂に到着 山頂からの風景
本当の山頂に到着! 山頂からの風景

 登り付いた山頂の先は急な崖のような斜面になっているので、下界の風景が一望でき、そしてその風景の先には青空を背景に神居尻山やピンネシリが悠然と聳えている。
 丸山の標高は500mと低いけれど、その標高差全ての分を真下に見下ろせると言った感じで、迫力のある頂上からの風景である。
 崖ギリギリのところまで近づいていくと、歩いた拍子に跳ね上げた小さな雪の塊がコロコロと斜面を転がり落ち始めた。
 その雪の塊は転がりながら次第に大きくなり、急な斜面の向こうに姿を消した。そして斜面の下の方に再び姿を現したときは、雪の塊も更に巨大化し、その数も一気に増えて、まるで雪崩れのように斜面一杯に広がりそして止まった。
 それが面白くて、崖の上を走り回り次々に人工雪崩を引き起こす。この雪崩れは表層雪崩ではなくて、雪だるま式雪崩れと命名できそうだ。
 かみさんから「いい加減にしないと本当の雪崩が起きるわよ!」と一喝されてしまった。
 かなり気温が上って雪も解けてきているので、そんな現象になるのだろう。もっとでかい雪玉を作ってそれを転がしてみたかったけれど、かみさんに怒られるのでその辺で止めておくことにする。

頂上からの展望
山頂からはピンネシリ(左奥)と神居尻山が美しく見える

 いつの間にか上空に雲が広がってきていて、小雪も舞い始めた。頂上からの風景を楽しみながら昼を食べようと思っていたのに、次第に下界の風景も雪でかすんできてしまう。
 食事をしている間にまた晴れてくるかもしれないと、そのまま頂上で昼を食べることにした。
 ところが晴れるどころか、食べ終わる頃には本格的な吹雪の様相になってきてしまった。
 慌てて装備を整えて滑り降りようとすると、再び上空に青空がのぞいてきた。冬の天気は本当に変わりやすい。
 黄金山に太陽の光が当たって、更にその姿が目立っている。

急に雪が降り始め 黄金山
突然天候が崩れてきた 黄金山が美しい

 下山は沢沿いに滑り降りることにした。雪は重たいけれどあまり埋まらないので何とか気持ちよく滑ることができる。
 でも、地形図上では沢沿いに滑り降りれば途中で林道にぶつかるようになっているけれど、下山時の正確なルートが何処にも出ていなかったので、本当にこのまま滑り降りて良いのか不安になってくる。
 何度も止まってはGPSで現在地を確認する。
 そうして林道らしきところに出てきて、やっと安心することができた。
 その林道が川沿いに出るまでは傾斜が無いので歩かなければならないけれど、そこから先は緩い傾斜があるので楽に滑り降りることができた。
 車までも戻ってくると、停めてあった場所の雪もかなり解けていて、アスファルトの舗装からは湯気も上がりすっかり春の雰囲気となっていた。
 手軽に登れて景色も楽しめる、山スキー初心者にはお勧めの当別町丸山である。

今回のGPSトラック 


沢沿いに滑り降りる
下りは沢に向かって滑り降りる


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