北海道キャンプ場見聞録
我が家のファミリー通信 No.90-4
道内周遊鉄ちゃん旅4日目(厚岸泊) 2021/11/13
周遊の旅4日目は釧路を経由して厚岸まで行く予定。
川湯温泉駅発8:16の列車に乗らなければならないので、朝はタクシーを使うつもりでいた。
ところがホテルの女将が「それならバスで行ったほうが良い」と気を利かせてくれたので、助かった。
こんな旅は、料金が安いこともあるけれど、公共の交通機関を使ったほうが楽しいのである。
バス停はお宿欣喜湯の直ぐ近く
ホテルの直ぐ近くのバス停でバスを待つ。
バス停の直ぐ前にある湯の川は、木製の遊歩道も所々壊れていて、何となく寂れた雰囲気だ。
昔はもっと湯気がモウモウと立ち昇っていた気がするが、川を流れる湯量が減ったのだろうか。
温泉街も空き家となっているホテルも目立って、この湯の川が温泉街全体の雰囲気を表している気もした。
手湯と足湯がある湯の川だけれど、湯気があまり上がっていないのが残念
温泉街の別のバス停から乗り込んできた男性二人連れ。
その外見から出張中の人かと思ったら、どうやら鉄ちゃんのようだ。
私達と同じ列車に乗るようで、そこら中で写真を撮りまくっていた。
川湯温泉駅で列車を待つ
定刻通りにホームに入ってきた列車は、キハ54系の昨日と同じ番号の車両だ。
このキハ54系は寒冷地仕様になっているらしく、そのためか冷房は扇風機だ。
釧路行き列車到着
最近の北海道は夏の気温も30度を超える日が多くなっていて、そんな時はこの列車は扇風機を回して窓を開けて走っているのだろう。
列車の窓から顔を出して風を受けながら走るのなんて、高校生の頃に汽車通していた頃にしか経験がない。
真夏にこのキハ54系に乗ってみたい気もする。
最近の北海道は真夏日も多くなってきたので、扇風機だけで大丈夫だろうか
途中の美留和駅は貨車を使った可愛らしい駅舎だった。
その先、車窓から森の風景を眺めていると、その中を流れている小さな川に、湧き水らしい流れがあちらこちらで流れ込んでいる様子が見られる。
場所的に考えると、それらの湧き水は摩周湖からの伏流水と考えて間違い無さそうだ。
何時かこの森の中を歩いてそんな湧き水を探してみようと、流れ行く風景を眺めながら考えていた。
可愛らしい美留和駅
標茶を過ぎて、釧網本線はいよいよ釧路湿原の中へと入っていく。
私が一番楽しみにしていた区間である。
ここまでは、車で走っても列車に乗っても、見られる風景に大きな変わりはない。
しかし、釧路湿原では道路よりも線路の方が湿原の中により入り込んでいて、釧路川にもより近づけるのである。
そこでまず驚いたのは、河畔の木々が水に浸かっていることだった。
そして、木々を浸水させた水はその先の釧路川まで続いている。
先日の雨は釧路川まで増水させているようだ。
河畔林が溢れ出した水に浸かっている
列車はシラルトロ湖へと近づいていく。
この湖の普段の様子は分からないが、多分ここも増水して周りのヨシ原まで浸水してその面積を広げているのだろう。
面積の広がったシラルトロ湖
この辺りの線路は、そのヨシ原の中に伸びているのだが、直ぐ近くまで水が迫っていて、何とも頼りなく見えてしまう。
湿原の中に続く一本の線路
塘路湖と釧路川をつなぐアレキナイ川の鉄橋を渡る。
今年の7月に塘路湖から漕ぎ出して、このアレキナイ川も下っているのだけれど、鬱蒼とした樹木に囲まれたジャングルクルーズの雰囲気だった。
その川が、鉄橋の上から眺めると、釧路川本流と見間違えるくらいに川幅が広がっていて驚いてしまう。
これがアレキナイ川とは信じられない
そして塘路駅を過ぎると、列車は釧路川に近づいたり離れたりを繰り返しながら走っていく。
釧路川から溢れ出した水は周囲の河畔林や湿原の中に広がり、何処が川なのか分からないくらいだ。
ここをカヌーで下っていたら、本流以外の場所に迷い込んでしまいそうだ。
釧路川とアレキナイ川の合流部付近か
堤防で囲まれている川じゃないので、水が増えれば自然と湿原の中に溢れ出していく。
逆に、湿原に降った雨が釧路川に流れ込んでいるとも言えそうだ。
普段は、釧路川を下っていても周りの葦原の背が高く、カヌーの上で立ち上がっても湿原の様子を直接見ることはできない。
しかし、これだけ水が増えるとカヌーの上からでも湿原を一望することができそうだ。
蛇行の激しい区間もショートカットして下れそうだ
湿原と一体化できる川下り。
今度釧路方面に大雨が降ったら、カヌーを車に乗せて駆けつけようと思った。
10:00に釧路駅に到着。
11:12発の列車で厚岸へと向かう予定なので、それまで和商市場で時間をつぶすことにする。
今まで釧路の街は、ラーメンを食べるために立ち寄ったくらいで、街の中は殆ど歩いたことがない。
最終日は釧路に泊まる予定なので、その時にゆっくりと釧路市内を観光するつもりでいた。
和商市場と隣のくしろ丹頂市場を回って駅まで戻ってくる。
和商市場内の行列はフルーツサンドの販売だった
今日は天気が良いけれど風が強くて、外を歩くような気持ちにはなれない。
この日の予定は、厚岸で昼食を食べて、午後3時のチェックインの時間まで厚岸の街を歩いて観光することにしていた。
しかし、釧路市内でこれだけ風が強ければ、厚岸はもっと風が強そうで、そんなところで2時間以上歩いていられない。
釧路市内ならば暖かく過ごせる場所もありそうなので、予定を変更して釧路で昼食を食べることにする。
釧路といえば釧路ラーメン。
有名な「まるひら」か「河むら」辺りで食べようと思ったけれど、どちらも以前に入ったことがある。
先程入った丹頂市場の片隅にあった「らーめん工房魚一」も評判が良さそうなので、そこに行くことにした。
市場の中にあるらーめん工房魚一
私は魚醤ラーメンのこってり味、かみさんはあっさり味を注文。
あっさり味の方は確かに美味しそうだったけれど、こってり味はどっさりと乗せられた野菜炒めの味が邪魔をして、こちらを注文したことを後悔した。
次の厚岸に向かう列車の時間は13:26。
その時間まで、釧路川沿いに有るフィッシャーマンズワーフMOOに行ってみることにした。
駅の観光案内所で「2時間くらい時間が有るんだけど、その時間で見られる場所ってありますか?」と聞いて勧められた場所である。
幣舞橋春の像とフィッシャーマンズワーフMOO
まずは有名な幣舞橋を渡る。
橋の上には4体の女性のブロンズ像が立っていて、それぞれ春・夏・秋・冬の像と名前がつけられている。
強風に飛ばされそうになりながら、それぞれの写真を撮ったけれど、それぞれ作者が違うことを後で知った。
春・夏・冬の像が若い女性なのに、秋の像だけが何でおばさんなのだろうと疑問に感じたが、実は4体とも乙女の像で、おばさんに見えたのは作者の違いによるものだった。
幣舞橋秋の像の乙女はボッテリ型?
フィッシャーマンズワーフMOOは、テレビの映像で何度も見ていたが、なかなか印象的な建物である。
何となく小樽の再開発で建設された商業施設マイカル小樽(現ウイングベイ小樽)とイメージが重なって、昔は人が集まっていたけれど現在は寂れてしまった施設のような気がしていた。
建設当時の様子は知らないけれど、現在は1階部分に飲食店や物販店が入っていて、それなりに賑わっている感じである。
MOOの二階から上は公共施設が入っているようだ
ただ、その中には市場も入っていて、そこに買い物客の姿は全く見当たらない。
駅の近くに有名な和商市場が有るのに、わざわざここに市場を作る必要があったのかなと思えてしまう。
釧路市プチ観光を終えて釧路駅まで戻り、13:26発の根室行列車に乗り込む。
根室本線の釧路から根室の間は、花咲線とも呼ばれていて、乗り鉄の人に人気の路線である。
明日はこの花咲線で根室まで往復する予定なので、車窓風景はその時に楽しむことにする。
花咲線の列車も釧網本線と同じキハ54形
本当は根室に宿泊した方が行程的には良いのだが、根室で新しい旅のスタイル割引があるのはホテル1軒だけで、その割引も既に定員に達していたのだ。
それで厚岸に泊まることにしたのだけれど、それはそれで何となく楽しそうである。
14:20に厚岸駅に到着。
この日に泊まるシーサイドイン ホテルあっけしのチェックイン時間は午後3時。
まだ少し早いので、厚岸漁協の直売店エーウロコを覗きに行く。
厚岸駅
今年は道東の太平洋沿岸で赤潮が発生し、ウニや鮭などが大きな被害を受けていたが、厚岸の牡蠣には影響が無かったようだ。
エーウロコの水槽の中にも牡蠣がギッシリと入っていた。
今夜の夕食にはこの牡蠣が並ぶはずなので、ここでは眺めるだけにしておく。
エーウロコで売られている牡蠣
直売所を出て、直ぐ近くの厚岸大橋を歩いてみる。
長さ456mの橋で、橋の上からの厚岸湖の眺めや、もしかしたら夕日も見られるかも知れないと楽しみにしていたのだが、風が強くてそれどころではなかった。
身体が風に飛ばされそうで恐怖さえ感じてしまう。
ほうほうの体で途中から引き返してきた。
厚岸大橋の上は立っているのもやっとの強風
ホテルあっけしは、厚岸大橋から徒歩5分程度。
如何にも田舎町のホテルらしい外観だ。
小さな町のホテルや旅館は、大体がアットホームな感じで、そんなところに泊まるのが私は結構好きなのである。
この日のチェックインの時も、私が新しい旅のスタイルの同意書を書いている時に宿のご主人が、「この書類は毎日提出しなきゃならないし、小さい施設は大変なんですよ~」と愚痴をこぼしていた。
確かに、泊まる方にしても毎回同じ書類を書かされることになり、こんなものを書いて何の意味があるのだろうと思えてくる。
物事を面倒くさくするのは、お役所の何時ものやり方なのだ。
如何にも地方の町のホテルって感じだ
ホテルの風呂はただの沸かし湯だけれど、思っていたよりも広くて快適である。
夕食は、期待通りに生牡蠣、蒸し牡蠣に牡蠣フライを味わえた。
温泉旅館の無駄に豪華に飾り立てられた料理よりも、品数は少なくても美味しいものだけをじっくりと味わえるこんな夕食のほうが私達に向いている気がする。
この他にローストビーフが付く夕食
何と言っても、2食付きで5100円で泊まれるのだから、最高である。
新しい旅のスタイルは、宿泊費が1万円を超えると5000円の割引だが、1万円以下だと3000円の割引になってしまう。
多分、ホテルの方でその辺を考慮して宿泊費を10100円に設定しているのだろう。
朝食の糠サンマと味噌汁がしょっぱいとかみさんは文句を言っていたけれど、私には丁度良かった。
何せ5100円、何の文句もないのである。