北海道キャンプ場見聞録
我が家のファミリー通信 No.90-5
道内周遊鉄ちゃん旅5日目(釧路泊) 2021/11/14
根室行きの列車は9:09発。
ゆっくりとホテルを出て、昨日とは打って変わって穏やかな厚岸湖を眺めながら駅へと歩く。
穏やかな厚岸湖の風景
花咲線のこの時間の列車は、車窓から絶景を楽しめる区間では速度を落として走行してくれる。
今日は日曜日なので、鉄ちゃんも沢山乗っていそうだ。
始発の釧路から乗るのなら良いけれど、厚岸からの途中乗車では良い席も埋まっているんじゃないだろうか。
そんな心配をしていたけれど、二人がけシートを左右に分かれて1人ずつ座ることができてホッと一息である。
列車の旅が今日も始まる
厚岸駅を出てすぐに、列車は別寒辺牛湿原の中へと入っていく。
早速カメラを構えて準備をするが、列車の前部デッキには女性鉄ちゃんが1名、後部デッキには男性鉄ちゃんが2名、私達が乗り込んだ時から既にスタンバイしていた。
特に、女性鉄ちゃんの方は、この後根室駅に着くまで、一度も席に戻ること無く運転席の後ろに立ち続けていたので呆れてしまう。
この場所から動こうとしない女性鉄ちゃん
湿原の中では列車が速度を落としてくれた。
去年の秋に、この湿原の中を流れる別寒辺牛川を下っていたので、その時下った場所を一生懸命探す。
途中で鉄橋の下をカヌーで通過するのだが、昨日の釧路湿原のように水が増えていてら、ただでさえ低い鉄橋なのでその下を通れなくなっているのではと考えていた。
スピードを緩めてくれるので写真も撮りやすい
しかし、海が近いこともあって、湿原の水位は何時もと変わらないようだ。
その鉄橋の写真も撮ることができて満足。
湿原の中の鉄橋を通過
その後は根釧台地の牧場風景を写そうと思ったが、鉄道林があるので写真を撮るのは難しい。
鉄道林が切れた瞬間を狙ってカメラのシャッターを切る。
厚岸を出る時は青空だったけれど、次第に雲が広がってきているのが残念だ。
根釧台地の車窓風景は今一つ
落石海岸でも速度を落としてくれる。
車両前部のデッキに出て写真を撮ろうとしたが、そこに張り付いているお姉さんが邪魔で良い写真を撮れない。
これなら座席の窓から狙った方が良かったかも知れない。
落石海岸の車窓風景も今一つ
東根室駅に着くと、それまで大人しく席に座っていた人達もカメラを持って一斉にホーム側の窓に集まってきた。
何事かと思ったけれど、直ぐにその理由が分かった。
花咲線の終点は根室駅だけれど、その場所から言うとこの東根室駅が日本最東端の駅になるのだ。
皆はそれを示す標柱の写真を撮ろうとしていたのだ。
一般の乗客のような顔してこの列車に乗っていた人達も、結局は皆鉄ちゃんだったのである。
出遅れた私は写真を撮り損なったけれど、どうせ折り返しの列車でまたここを通るのだから、その時に写せば良いだけの話だ。
帰りに写した日本最東端の駅標柱
駅から出たところには、もっと立派な標柱が立てられている。
後で考えたのだけれど、ここから根室駅までは歩けば2キロ程度の距離。
ここで下車する方法もあったかも知れない。
10:45根室駅に到着。
駅の待合室では、前部デッキを占領していた女性鉄ちゃんが後部デッキで写真を撮っていた男性と鉄ちゃんと一緒にいるのを見てビックリ。
鉄ちゃん同士のカップルだったようだ。
二人で一緒に駅構内の写真を撮りまくっていた。
根室駅に到着
折返しの列車は13:34発なので、3時間近くは根室市内を観光できる。
昼食は、回転寿司の花まるか、根室市民のソウルフードであるエスカロップの二者択一。
花まるには一度入っているので、今回は初体験のエスカロップを食べてみることにした。
時間はまだ早いけれど、日曜日で店も混むかも知れないと思って、エスカロップを食べられる喫茶ドリアンに真っ直ぐに向かった。
洒落た外装の喫茶どりあん
午前11時を過ぎたばかりだったけれど、中は地元の人達で結構賑わっていた。
何となく懐かしさを感じる店内である。
ドリアンの店内
今朝は朝食もたっぷりと食べたし、時間も早くて、お腹はまだあまり空いていない。
エスカロップは見た目が何となくこってりとしていて、これを食べるのは正直ちょっと辛いかなとも思っていた。
しかし、少し酸味のあるデミグラスソースは意外とあっさりとしていて、それがバターライスにとても良くあっている。
私の好きな味であっという間に完食である。
見た目はくどそうなエスカロップだけど
前回、根室のビジホに泊まったのは9年前の2月。
その時は車でやってきて、市内を歩いたのはビジホから居酒屋の間だけ。
だから、根室市内の記憶は殆ど残っていない。
そこで今回は、港近くの金刀比羅神社からサイロの景観で知られている明治公園まで、ぐるりと一回り歩いて見ることにした。
根室市内は起伏があって坂道だらけの印象である。
洋風の建物が多い気がする
そして所々に歴史を感じさせる建物がある。
特に看板が有るわけでもなく、この建物にはどんな由緒が有るのだろうと気になってしまう。
こんな建物も観光に活かせそうな気がする
金刀比羅神社は小高い丘の上に建っていて、港を一望できる展望台のような場所もあった。
港には海上保安庁の船が何艇も係留されていて、この土地がロシアとの国境を接する最前線であることを感じさせる。
金刀比羅神社からの展望
この神社は、高田屋嘉兵衛がこの地方の漁場請負中に、その守護神として讃岐の金刀比羅宮の御祭神をお祀りしたのを初めとするとのこと。
なかなか立派な神社である。
金刀比羅神社の正神門と社殿
境内には高田屋嘉兵衛の銅像も建っていた。
この頃の高田屋嘉兵衛の逸話は本で読んだことがあり、それ以来高田屋嘉兵衛ファンになっていたので、ここでの出会いは嬉しかった。
高田屋嘉兵衛は函館の銅像が知られているけれど、この場所の方が相応しい気がする
明治公園まで行く時間が無くなってきたので、その後は真っ直ぐに駅に戻る。
釧路行きの列車には、午前中の列車で見かけた顔も結構乗っていた。
例の鉄ちゃんカップルもいて、帰りの列車では写真を撮ることもなく大人しく座席に座ったままだった。
この時間の列車は途中で速度を落としてくれることはない。
別寒辺牛湿原もそのままの速度で通り過ぎる。
午前中には見かけなかった白鳥が沢山集まっていたが、列車の速度が速すぎてピンボケ写真ばかりになってしまった。
夕暮れ迫る別寒辺牛湿原
終点の釧路駅着予定時間は15:52。
今日の宿は幣舞橋の袂にある釧路センチュリーキャッスルホテル。
幣舞橋は夕日の名所にもなっているが、ホテルに着く頃には夕日はとっくに沈んでいそうだ。
列車が釧路川を渡る瞬間、かろうじて夕日を見ることができた。
かろうじて車窓から夕日を見られた
釧路駅に降りて真っ直ぐに幣舞橋を目指し、午後4時10分頃に到着した時は既に空の赤みは消えかかっていた。
幣舞橋までやって来た時の残照
橋の上から見るホテルはとても印象的な外観である。
たまたまこの日のテレビニュースで、このホテルとフィッシャーマンズワーフMOOが地元の有名な建築家である毛綱毅曠氏の設計であることを知る。
このホテルは朝食付きで1泊7700円。
それ程安くはないと思うけれど、この中に釧路市内の居酒屋で使える5000円分の飲食チケットが付いているのである。
最後の夜は釧路の居酒屋で締めようと思っていたので、この宿泊プランを見つけた時は飛び上がって喜んだ。
私達の泊まっているホテルも印象的な外観だ
チェックインを済ませて早速、夜の釧路の街へ繰り出す。
飲食チケット使える店は何店か決められているので、その中で選んだのは「くし炉あぶり家」。
昨日の日中に市内を歩いていて「釧路の飲み屋街ってどこに有るんだろう?」などと話をしていたが、このあぶり家がある幣舞橋の手前付近が飲み屋街になっているようだ。
ネットでに手に入れたクーポンで生ビール1杯無料。午後6時前に入れば半額になるメニューも有り、そして二人合わせて1万円分のチケット。
何時もならば財布とにらめっこしながら注文するところを、今日は自分が食べたいものを次々に注文できる。
結局1万2千円分、たっぷりと飲み食いして店を出た。
サンマの刺身が美味しかった
幣舞橋周辺で酔いを覚ます。
橋のたもとにある「Cool Kushiro」のモニュメントがライトアップされていて、なかなか良い写真スポットになっている。
このモニュメントは今年完成したばかりのようだ。
記念撮影スポットのCool Kushiro
幣舞橋やその上の乙女の像もライトアップされている。
このライトアップは2年前から始まったようだ。
霧の多い釧路なので、そんな時は幻想的な風景を楽しめそうだ。
フィッシャーマンズワーフもライトアップ
空には月も浮かんでいた。
旅の最後の良い夜だった。
冬の像と月
翌朝、大浴場の無いホテルでは朝風呂に入ることもないので、釧路川沿いの遊歩道を歩いてみることにした。
その釧路川沿いに並んでいる街灯の明かりが川面に映り込んで、良い風景である。
何気なく見ていてけれど、この街灯はガス灯だったようだ。
どおりで温かみのある灯りだったわけである。
釧路川に映るガス灯の明かり
昨日の夕日は見られなかったけれど、朝日が昇るのは見ておきたい。
何処か良い場所はないかと探して、結局フィッシャーマンズワーフMOOの外階段に上ってみた。
期待していたような風景にはならなかったけれど、満足してホテルへと戻る。
朝焼け
ここのホテルの朝食がまた豪華で、和定食か洋定食の他にステーキ丼と海鮮丼も選ぶことができる。
さすがに朝からステーキ丼を食べるほど胃袋が若くはないので、私は海鮮丼を頼んでみた。
するとメインメニューの他に、普通のビュッフェスタイルのメニューも充実していて、夕食並の豪華な朝食を食べることができた。
今までに食べたホテルの朝食の中でも一番豪華だった
この日は11:24発の特急で一気に札幌まで帰ることにしていた。
チェックアウト後にまだ時間があったので、近くの幣舞公園に行ってみる。
出世坂と名前のついた急な坂を登った先が公園になっていて、眺めも良い。
直ぐ下には恐怖のロータリー交差点が見えている。
初めてここを通った時は、どうやって曲がれば良いか分からずにかなりビビった記憶がある。
現在は白線によって優先道路も決められているみたいだが、昔はそれが決められてなかった気がする。
走り慣れていない人には恐怖の交差点だったのだ。
走りやすくなったロータリー交差点
そうして楽しい旅を終えて、15:38に札幌駅に到着。
今回利用した周遊パスには、JRタワーの展望室が無料で利用できるおまけが付いていた。
私達はまだこの展望室に上ったことが無かったので、良い機会だった。
旅の最後はJRタワーからの展望で締めくくり
夜景の時間には少し早かったけれど、地上160mからの札幌市の展望を楽しみ、北海道周遊の旅の良い締めくくりができたのである。