北海道キャンプ場見聞録
我が家のファミリー通信 No.88-6
紅葉の京都観光(光明寺・長岡天満宮・京都御所)
京都滞在もあと僅か。
行きたかった場所もほぼ回り終え、消化試合的な様相になってきた。
市内の紅葉も盛りを過ぎたところが増えてきたので、まだ紅葉が綺麗なところを探してピンポイントでお寺を選ぶ。
そしてそこに、朝駆け一本勝負で出かけるのである。
この日、選んだのは長岡京の光明寺。
5年前に大原野神社や地蔵院と絡めて回ったところで、洛西屈指の紅葉の寺として知られている。
阪急電鉄の長岡天神駅に午前8時20分に到着して、そこから徒歩で光明寺を目指す。
9時の開門10分前に着いたけれど、観光バスが停まっていて既に行列もできていた。
さすがに人気のお寺である。
開門10分前の行列
中に入ると表参道の長い階段が待ち受けている。
そこで紅葉の写真を撮っている人もいるが、私達は少しでも先に出ようと階段をぐんぐん登っていく。
表参道の長い階段を登る
その階段を登りきったところで、突然走り出す一団がいた。
その一団が目指す先は大体見当が付いているので、私達も歩いてその後を追った。
その場所は、紅葉のトンネルで知られるもみじ参道である。
少し青葉も混ざっているが、まずまずの色付き具合だ。
走っていった一団が何処にいるのかと思ったら、もみじ参道の途中にある薬医門の手前に群がっていた。
もみじ参道の色付き具合はまあまあか
紅葉のトンネル越しの薬医門といった構図を狙っているのだろう。
完全に参道を塞いでいるのでその先に進めない。
進めたとしても、皆が必死になってカメラを構えている前を歩いていくのは流石に気が引ける。
しかし、その辺りのモミジは青葉の方が目立っている。
薬医門の反対側の方が色付きは良いはずなので、早くそちらに行きたかったが、なかなか撮影が終わらないので待っているしかなかった。
この状態では先には進めない
突然一人の男性が「ごめんなさい」と言い残して薬医門に向かって走り始めた。
その後から数名が続く。
一団の中から「あ~あ」とため息が漏れてくる。
走っていった人達は薬医門の反対側から、こちらに向かってカメラを構えている。
その人達に向かって「そこじゃあ、頭が見えるだろ!」と文句を言う人がいる。
こちら側から見ると、まだ青葉が多い
そんな様子を唖然として眺めているしかなかった。
人のいないもみじ参道の写真を取りたい気持ちは分かるけれど、ここまで傍若無人に振る舞って良いものだろうか。
そのうちに少しずつ反対側に移動する人達がでてきたので、私も一緒に移動する。
その際は小走りにならざるを得なく、何だか馬鹿らしく思えてくる。
反対側からの方が紅葉が美しい
それでもやっぱり、予想した通り反対側の方が色付きは全然良かった。
そんな紅葉風景を暫し楽しみ、騒ぎも一段落したところで、改めて境内を回ることにする。
御影堂周りの紅葉もなかなか美しい。
公開されているお堂を一周りして出てくる頃には、境内も観光客で溢れていた。
御影堂の中を歩きながら紅葉を楽しむ
逆光で見る紅葉が一番美しい気がする
丁度良い潮時なので、もう一度もみじ参道を歩いて帰ることにする。
最初の頃よりも人は減ったが、それでもまだ参道の真ん中でカメラを薬医門に向けている人達がいるので、その辺りをゆっくりと歩くのは気が引ける。
帰りにゆっくりともみじ参道を楽しむ
それでも、周りを全く気にしないようなおばさんグループは、薬医門の直ぐ前で記念撮影をしている。
それは別に良いのだけれど、カメラを構えてシャッターと切るまでの時間がやたらに長いので、ついイライラしてしまう。
この女性、なかなか動いてくれないので、痺れを切らしてシャッターを切った
この後は長岡天神駅の近くにある長岡天満宮に行くことにする。
これも徒歩である。
バスの便もあるのだけれど、2キロ程度の距離ならば歩いた方が早いのだ。
それに、歩いていると色々な発見も多い。
今回は、瓦屋根の上で気持ち良さそうに寝ている三毛猫が面白かった。
気持ち良さそうに寝ている猫
長岡天満宮の前には八条ヶ池と呼ばれる大きな池がある。
溜池として造られたもので、この池も長岡天満宮の境内になっているみたいだ。
池の中に木道があったので、その木道を歩いて天満宮に向かう。
池の中の鯉を見つけて大騒ぎしている幼稚園児
私は無知なので、天満宮とは菅原道真公を祭神とする神社の総称だとは知らなかった。
どおりで境内には北野天満宮と同じ牛の像が置かれていたわけである。
境内は幼稚園児たちの良い遊び場になっていた。
その境内に紅葉の美しい庭園があった。
「錦景苑」と名付けられている。
歴史のある庭園なのかと思ったら平成19年に作られたものらしい。
池に写った紅葉と水面の散り紅葉
昼食は長岡天神駅の近くで店を探そうと思っていたら、途中で美味しそうなパスタ屋(サンマルコ)を見つけてそこに入った。
前菜バイキングとスープバーが付いているペアセット2560円を注文。
前菜バイキングだけでもお腹いっぱいになりそうなくらいに充実したバイキングで、パスタも美味しい。
偶然見つけて入った店が美味しかったら、何となく得した気分になれる。
もっと沢山あったけれど、前菜だけで腹一杯になりそうだったので遠慮気味
午後の観光は、初めて訪れる京都御所へ。
その京都御所のある京都御苑は東西700m、南北1300mの広大な緑地になっていて、京都市内の地図を見ても異様とも言えるくらいの広さである。
京都御苑に入るのも初めてなので、その中は一体どうなっているのかと興味があった。
地下鉄今出川駅を降りて、乾御門から中に入る。
そしてその広さにスケール感が狂ってきた。
人の歩く園路が幅30mくらいはありそうなのだ。
広さに圧倒される
園路ばかりでなく、ここではモミジさえもスケールが大きい。
今まで寺院や庭の中で侘び寂びを感じさせるようなモミジばかり見ていたのが、ここのモミジは広い緑地一杯に枝を伸ばして、同じモミジとは思えない。
モミジもスケールが違う
何処へ向かって歩けば良いかも分からず、まずは京都御所に入ることにした。
入るのには当然お金がかかると思っていたのが、無料で入れるのにビックリした。
無料だけれど、入る時に荷物の検査をされたりと、なかなか仰々しい。
規模の大きさに圧倒されるばかり
その中も侘び寂びとは全く違う別世界。
ひたすら仰々しく、見る者を圧倒しようとの意図を感じる。
そして私は、自分が完全に庶民に成り下がった気持ちになってくるのだ。
そんな建物をぐるりと一周りしていく。
紫宸殿
大体は儀式に使われるような建物だけれど、その先に天皇が日常生活を送っていた建物がある。
その前の庭園は、流石に侘び寂びの世界となっていた。
日本庭園だけは普通のスケール感だ
庭園以外の建物周りは大体が松に囲まれている。
二条城もそうだったけれど、将軍とか天皇は松を好むのだろうか。
庶民が好む桜や楓は敢えて植えないとか、もしかしたらそんな考え方が何処かにあるのかも知れない。
松が多いのは権力の象徴?
御所を出た後は、広大な御苑の中をあてもなくそぞろ歩く。
歴史のありそうな巨木も多い。
周りの地面を落ち葉で赤く染めるモミジ。
これだけ大きなモミジの木はあまり見たことがない。
立派なもみじの木だ
遠くの方に黄色く染まった丘が見えた。
その丘の上に生えているイチョウの巨木がその葉を殆ど落として、丘を黄色く染めていたのである。
黄色く染まった丘
何もかもがスケールが大きく、園内を南北に貫く園路の端が見えない。
町家が並ぶ細い小路もあれば、街の真ん中にこれだけ無駄に大きな緑地が残されている。
京都は本当に変わった街である。
端が見えないくらいに広い京都御苑
京都の様々な顔を知ることができたような気がする一日だった。