北海道キャンプ場見聞録
我が家のファミリー通信 No.86-1
奈良旅一日目(薬師寺・平城宮跡・佐保川桜並木)
テレビか映し出す閑散とした観光地の様子。
コロナウイルスの蔓延により不要不急の外出は控えるようにとは言われていても、人生の残りが数えられるようになってきた私にとって、まだ見ぬ土地への旅は決して不要不急のものでは無い。
そうして何時もの様に、奈良への旅を突然思い立ったのである。
関西空港に到着
駐車場から新千歳空港までの送迎バス、そしてほぼ満席に近いPeachの飛行機の中で、咳をしている人に怯えながらも関西空港に降り立った。
そこからターミナルへの連絡バスの中でも、マスクを2枚重ねして具合悪そうにしているおじさんの姿に怯える。
それでも、感染者の数が急激に増えつつある大阪で乗り換えする電車も空いていて、無事に奈良に到着。
奈良県はまだ感染者も少ないので、ようやく安心することができた。
今回利用する宿は、いわゆる民泊。(奈良セカンドハウス)
40平方メートル1LDKのアパートの部屋を貸切で使用できる。
冷蔵庫に電子レンジ、調理器具に食器類まで、普通に生活するのに必要なものはほぼ揃っている。
今回はここに10泊するのだけれど、料金は約45000円と信じられないくらいの安さである。
ネットで調べていてここを見つけた時は、あまりの安さに「何か裏でもあるんじゃないか」と予約を躊躇ったくらいだ。
このアパートの2階と3階の4部屋が民泊仕様になっている
そうして、雨が降る中を宿に到着。
玄関横のキーボックスを事前に教えられていた暗証番号で開けると、その中に部屋のドアの鍵が入っていた。
室内も清潔で、これならば快適に過ごせそうだ。
近所のスーパーへ出かけ、普段の家での買い物と同じ様に食材を仕入れ、奈良での生活が始まったのである。
狭いビジホに泊まるより広くて安くて快適
奈良観光初日、まずは定番観光地である世界遺産薬師寺へと向かう。
宿から薬師寺までは3.7キロ、十分に徒歩圏内だと思って歩いて向かったけれど、思った以上に遠くて最初から疲れてしまった。
京都は何度も訪れていたけれど、奈良は今回が初めて。
奈良と言うと、修学旅行生が見て回るような場所のイメージしか無くて、何となく敬遠していてのだ。
薬師寺は、まさにそのイメージ通りの場所だった。
近年になって再建された建物が多く、その周りも殺風景なな空き地が広がっているだけ。
金堂と国宝の東塔
写真写りの良さそうな構図を探して建物の周りをうろうろ歩き回ったけれど、どうしても良い場所が見つからない。
近くにある大池越しに薬師寺の伽藍を眺めるのが良いらしいが、そのポイントに行き忘れたことが悔やまれた。
桜のおかげで絵になる写真を撮れた西塔
奈良の寺院には国宝に指定されている仏像が多いので、今回はそれを見るのも楽しみにしていた。
造られた年代やその特徴等について事前に予習もしておいたので、余計に興味深く見ることができる。
そんな仏像は大体が撮影禁止になっているのだけれど、金堂に安置されている薬師三尊像は建物の開口部が大きいので、遠くからでもそのお姿をカメラに収めることができて嬉しくなる。
国宝薬師三尊像の写真が撮れた、いや、金堂を写したらたまたま写ってしまっただけ
しかし、今回の奈良の旅で一番心配していたのは各寺院の拝観料である。
せっかくだから色々な寺院を回りたいのだけれど、無料で入れる場所は殆ど無い。
この薬師寺では、いきなり1人1600円も取られてしまい、頭がくらくらした。
次に向かった唐招提寺は、境内も緑豊かで、奈良時代の建物が4棟も現存、仏像も実際に千本の手を持つ千手観音立像など十分に楽しむことができた。
これで600円なら十分にリーズナブルなお寺と言えるだろう。
何れも国宝の鼓楼と講堂
国宝の金堂、さすがに内部は写せない
唐招提寺を出た後は秋篠川沿いを歩いて、平城宮跡へと向かう。
朱雀門ひろばにあるレストランで昼食を食べようと思っていたが、コロナ対策のためにレストランもお土産屋も閉店中。
しょうがなく、復元された遣唐使船で記念撮影してから、平城宮跡へと入って行く。
遣唐使船、かみさんも写っているけど色が被って分かりづらい
この平城宮跡だが東西1.3キロ、南北1キロと、とんでもない広さである。
その中には最近復元された朱雀門と第一次大極殿の建物などがあるだけで、後は広大な原っぱとなっている。
遺跡もあるけれど、石の基礎が配置されているだけで、面白くもなんともない。
いくら想像力を働かせても、この土地に国家の中枢が栄えていた頃の様子は浮かんでこなかった。
朱雀門の前を電車が通り過ぎる
敷地内を近鉄奈良線が走っていて、朱雀門前を電車が通り過ぎるシュールな風景が面白い程度だ。
いくら歩いても、遠くに見えている第一次太極殿が一向に近づいてこない。
その内部も見られるようだが、すっかり興味を無くして次の目的地である海龍王寺へと向かうことにする。
復元工事中の南門と奥に見えるのは第一次太極殿
昨日のテレビで、この海龍王寺で雪柳が見ごろを迎えていると放送されていた。
観光ガイドブックを見てもそんな情報は載っていなかったので、現地に着いてからの地元テレビ局の番組はなかなか参考になるのである。
ガイドブックで紹介されていた国宝の五十小塔よりも、私の好きな雪柳の風景を楽しんで寺を後にした。
桜と雪柳が美しい海龍王寺
そこから食べログで昼食の店を探し、佐保川桜並木のほとりに適当な店を見つけて入る。
昼の12時半なのに店内に他の客の姿は無し。
観光で奈良に来ていることを話すと、それだけのことで感謝されてしまった。
佐保川桜並木
腹ごしらえをして、佐保川の桜並木を歩いてみる。
総延長5キロにも及ぶ佐保川の桜並木は、奈良市内でも最大の桜の名所となっている。
桜の木も大きく育って、ちょっとした桜のトンネルだ。
佐保川桜並木の桜のトンネル
今回の奈良の旅は桜の咲いていそうな時期に合わせて計画したのだが、奈良市内の桜は丁度満開を迎えていて、丁度良いタイミングで来られたようだ。
桜並木終点の大仏鉄道記念公園までやって来て、今日の観光を終えることにした。
大仏鉄道記念公園の桜
そこから宿までは、歩けない距離でもなかったけれど、疲れ果てて途中の1.5キロの区間をバスに乗ってしまう。
帰ってからのスーパーまでの買い物まで含めて、この日は結局16キロも歩くこととなった。
今回の奈良観光は、最初から歩いて回ることにしていて、参考に買った本も「歩いて楽しむ奈良大和路」。
それでもいきなりの16キロはなかなかハードだったのである。