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我が家のファミリー通信 No.72

2017京の紅葉を愛でる旅二日目


今年の京都は例年より紅葉の進みが早いらしい。
事前にそのことを知っていたので、紅葉の色付き具合によって回るコースを変更しようと、この日と翌日の予定はぞれぞれ2案考えていた。
そうだ京都、行こう」と「京都観光navi」のwebサイトで、紅葉の最新情報を何度も確認する。

当初計画では、この日は鞍馬・貴船か大原のどちらかに行くことにしていたが、どちらの紅葉も既に盛りを過ぎてしまっているらしい。
鞍馬・貴船は、今回の旅で一番楽しみにしていた場所でもある。
しかし、山奥に位置するだけあって、盛りを過ぎたどころか、既に全て散ってしまっていることも考えられる。

そこでこの日は、翌日に予定してあった2案のうちの高山寺・神護寺方面へ出かけることにした。
6時40分に宿を出て、近鉄京都線の桃山御陵前駅へと向かって大手筋商店街のアーケードの中を歩いていく。
電車で京都駅まで行って、そこからバスで高雄へと向かう。

そうして午前8時20分には高山寺の参道に到着。
しんと静まりかえった参道を登っていく。
山の中にある寺は、街中の寺と違って独特の趣がある。

高山寺は、紅葉時期に限って午前8時から拝観できるのがありがたい。
多くの寺の拝観時間は午前9時からになっているので、混雑を避けようと思って朝早くに着いても9時まで待たされることになってしまう。
旅行の計画を考える時、そのことにも結構苦労させられた。

山の中の寺なので紅葉も進んでいるだろうと思ったら、そうでもなかった。
ここの参道が散り紅葉で真っ赤に染まっている様な写真を見ていたけれど、まだ散り始めるほどには色付いていない。
石水院の中から見る紅葉も今一である。
既に葉を全て落としてしまった木々もあるので、全体が一度に紅葉するわけでもなさそうだ。

それでも、石水院を出て境内を歩いていると、時々ドキッとするくらいに美しい紅葉に出会うことができる。


高山寺の紅葉

高山寺は世界遺産に登録されているけれど、訪れた印象では世界遺産になっている理由が分からなかった。
後で調べてみると、有名な「鳥獣人物戯画」などの文化財を多く有しているかららしい。
しかし、その「鳥獣人物戯画」はレプリカが置かれてあるだけで、他の文化財も目にすることはない。
まあ、世界遺産の印象が薄くても、紅葉を目的に来ているので、十分に楽しむことができた。

次に向かったのが西明寺。
清滝川に架かる指月橋を渡って西明寺へと入っていく。

川の水がとても澄んでいるのを見て、ついつい川原へと降りてしまう。
綺麗な川を見ると黙ってはいられないのである。

西明寺の紅葉も期待したほどではなかった。
どうも、既に盛りを過ぎてしまったようでもある。
ここでは、紅葉よりも苔生した石灯籠の方が印象に残った。


西明寺の紅葉と石灯籠

気温が低く身体も冷え切っていたので、指月橋のたもとにあった茶屋「指月亭」で温かいお汁粉を食べる。

身体が温まったところで清滝川沿いに神護寺へと歩いていく。
時間は午前10時。
バスが着いたのか、道路の方から団体客がゾロゾロと下りてきていた。
これまでに回った二つのお寺よりも、こちらの方が観光地化しているようだ。

川を渡ると、そこから急な階段が続いていた。
団体客よりも先にお寺まで行きたいので、その階段を勢い良く駆け上る。
しかし、登っても登っても階段は続いている。

途中で追い抜いた観光客が「こんぴらさんの半分だからね」と話しているのが聞こえた。
香川県の金刀比羅宮は今年の4月に行ったばかりだった。
そこと比べられるくらいの階段なら相当なものである。
それでも、息を切らしながら一気に楼門まで登りきった。

先に回った二つのお寺のように神護寺も静かな山寺なのだろうと思っていたので、その規模の大きさに驚いてしまう。
夜間のライトアップも行われているようだ。

所々で真っ赤に染まったモミジが目に付く。
しかし、感動するような美しさではない。

こんなものかと思いながら「かわらけ投げ」の看板に従って森の中を歩いていく。
そしてその先で、本当に感動できるような紅葉の風景にようやく出会うことができた。
立派なモミジの木がまとまって生えていて、それらが見事に紅葉しているのである。
曇り空なのが残念だったが、これで日射しが有ればもっと素晴らしい光景だったはずである。


神護寺の紅葉

「かわらけ投げ」とは谷に向かって瓦を投げるのかと思っていたら、実際は小さな素焼きの皿を投げるものだった。
200円で3枚の厄除の文字が刻まれた皿をもらえる。
フリスビーの様に飛ばせると思ったら、回転が上手くかからなかったのか、ヒラヒラと情けない飛び方で谷底へと落ちていく。
その飛び方によって厄除けの効果が変わることはなさそうだが、ちょっと悲しかった。

今日の昼食は街まで下りてから食べることにしていたが、神護寺の階段を下りていく途中に硯石亭という感じの良い茶屋があったので、食事はそこで済ませることにした。
周囲の紅葉と席に敷かれた緋毛氈がとてもマッチしている。
紅葉を眺めるだけならこちらの方が良いくらいだ。

神護寺の階段を清滝川まで下ってきた後、バス停までは再び長い登り坂となる。
交通機関を利用して神護寺を参拝するのは、お年寄りには辛そうである。

次に向かったのは等持院。
高雄からバス1本で来れる場所と言うことで、次はこの付近のお寺を回ることにしていた。

龍安寺前のバス停で下りると、そこには長い行列ができていた。
さすがに人気の寺は、平日でも人出が凄い。

そこから歩いて向かった等持院は、名前もそれ程知られていないので、訪れる人も少ない。
夢窓国師作と伝わる庭園をゆっくりと見て回る。
派手さはないけれど、庭園の所々で色付いているモミジは池の風景に溶け込んで、その美しさを際立たせている。
建物の一部が修復工事中で、工事の囲いが見えてしまうのはちょっと興醒めだった。


等持院の紅葉

等持院を出た後は仁和寺へと向かう。
特に紅葉が綺麗なお寺でもないけれど、まだ入ったことのない世界遺産のお寺だったので、素通りするのも勿体ない。

ここも観光客が多かったが、境内が多いので混雑している感じではない。
仁王門に金堂、五重塔と、さすがに見応えがある。

御殿から眺める庭も素晴らしいが、等持院の庭の方が私の好みに合っているようだ。
今日は時間に余裕のあるスケジュールなので、霊宝館もゆっくりと見て回った。

仁和寺を出て、次は妙心寺へ。
ここでの目的は、妙心寺の塔頭で紅葉の美しい退蔵院と大法院だった。

どちらも2003年の旅でも訪れていたのだが、その印象が全く残っていない。
多分、紅葉が殆ど終わっていたからなのだろう。

今回はどちらのお寺でも紅葉した庭の風景を楽しむことができた。
大法院の方では、抹茶と和菓子のサービスも付いている。
その分、拝観料も少し高めなのだが、そろそろ喫茶店で一休みしたくなっていたので、それよりは安上がりである。
美しい庭を眺めながら優雅な時間を楽しめた。


大法院の紅葉

今回の旅で、かみさんが唯一希望していたのが錦市場だった。
お寺回りは大法院で切り上げ、バスで京都市中心部に向かう。
四条河原町でバスを降り、人の多さにビックリした。
地元の人なのか、観光客なのか、とにかく凄い人混みなのである。

人波に揉まれながら錦市場へと歩いていく。
そこにも沢山の人がいたが、こちらの方は間違いなく観光客だろう。
しかも、確実にその半分以上は日本人ではない。
京都市民の台所とも言われている錦市場らしいが、函館の朝市と同じで、完全に観光施設になっているようだ。
店で売られているコロッケや天ぷらを買った観光客は、それをそのまま路上で食べている。
これもイートインの一種なのだろうか。
だし巻き卵の有名店の前では、中華系観光客の団体がパックに入っただし巻き卵をその場で食べていた。

人混みをかき分けながら錦市場の端まで歩き終えたかみさんが一言。
「もう良いわ」
そのままホテルへと戻った。

この日の夕食は、大手筋商店街のアーケードの中にある食堂「とろろ家」。
リーズナブルで美味しい定食を食べた後はアーケード街をそぞろ歩く。
コンビニでビールとつまみを仕入れて、ホテルの部屋へと戻る。
居酒屋でお酒を飲めるのは昨日1日だけだったのである。


   

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