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我が家のファミリー通信 No.67

100km歩こうよ大会in摩周・屈斜路


カヌークラブのI上さんの誘いを断り切れずに参加することとなった「100km歩こうよ大会in摩周・屈斜路」。
長距離を歩くイベントは2012年に「知床紅葉ウォーク」なるものに参加して以来、2度目。
羅臼からウトロまで、知床峠を越えて歩いたのだけれど、その時の距離は28キロ。

参加者集合写真今回参加する100キロウォークは、標高差が大きいので実際に歩く距離は81.8キロに設定されている。
とは言え、そこを一睡もしないで24時間かけて歩くのだから、一体どんなことになるのか想像すらできずにいた。

結局、我がカヌークラブからは、I上さんの他にY須賀大先輩とI田さん、それに私達夫婦の5名が参加することとなった。
I上さん以外は、100キロウォークは初参加である。
I上さんは、2週間前に空知で開催された100キロウォークを歩いたばかりというのだから、信じられない。

私達は砂湯キャンプ場で前泊してから、スタート会場である川湯温泉の弟子屈町青少年会館にやって来た。
参加者は200名程度。
空知の100キロウォークが千名と言うので、それと比べるとこぢんまりとした大会だ。

スタート前に記念撮影開会式、ラジオ体操が終わり、午前8時過ぎにいよいよスタートである。
まずは舗装道路を歩いて硫黄山を目指す。

硫黄山は息子がまだ小さい頃に訪れただけ。
こんなイベントがなければ訪れることもなかったかもしれない。

硫黄山からは、つつじヶ原自然探勝路を通って川湯温泉街の裏手に広がる森の中の探勝路へと入っていく。
つつじヶ原ではイソツツジの花がまだ咲いていて、森の中もなかなか良い雰囲気だ。

こんな道ばかりならば、100キロ歩くの苦にならない。
しかし、そこを過ぎると後はずーっと舗装道路を歩かなければならないのだ。


硫黄山
久しぶりの硫黄山観光?

つつじヶ原自然探勝路 精鋭5名
つつじヶ原自然探勝路を歩く まだまだ余裕?

それでも、屈斜路湖沿いの道は森の中を通り歩いていても楽しい道である。
車では何度も通っているけれど、歩いていなければ気が付かないような風景にも出会えるのだ。

砂湯CP11時過ぎに最初のチェックポイントの砂湯に到着。
ここまではまだ楽勝である。
しかし、今朝はここのキャンプ場から開会式会場まで車で5分くらいしかかからなかったのに、歩くと果てしなく遠く感じてしまう。

Y須賀さんは、ここからストックを使い始めたが、私達は足が辛くなってきた時の最後の手段としてストックを使うつもりだったので、まだザックにしまったままにしておく。

最初の頃は会話をしながら歩いていたが、次第に口数も少なくなり、黙々と歩き続ける。
そんな様子を写真に撮っていると、男3人に女性1人、田中陽希が所属するTeam EAST WINDがパタゴニアエクスペディションレースで歩いている時の様子を思い出してしまった。
チームの内容はあまりにも違いすぎるけど、歩いている姿だけは同じなのである。


森の中の湿原
車で走っていると気が付かない風景、湿原になっているところも多い

Team EAST WIND? 湖畔の道
Team EAST WINDに見えなくもない? 湖畔の道は歩いていても気持ちが良い

第二チェックポイントはコタン温泉。
カーブを曲がる度に、そろそろ見えてくるかなと期待するが、その先には道路が続いているだけ。

コタン温泉のCP そんな事を何度も繰り返しているうちに、午後1時、ようやくコタン温泉に辿り着いた。
ここで、おにぎりと豚汁の昼食が出される。

I上さんが足のマッサージをしてくれる。
さすがに100キロウォークを何度も体験しているだけあって、完走するためのノウハウを心得ているのだ。

チェックポイントにはそれぞれ受け付け開始時刻と終了時刻が決まっている。
それなので、100キロマラソンのように走ってゴールしようと思っても、受け付け開始時刻まではチェックポイントを通過できないのである。

ここのポイントでは、受付終了時刻までまだ余裕があるのでゆっくりしていたら、「終了時刻までいると制限時間内にゴールできなくなります」と言われて、慌てて歩き始めた。
完走することが目的なので順位は関係ないが、私達は多分かなり後ろの方を歩いている気がする。

眺湖橋でそこから先、ぢぢカヌーや釧路川源流部の眺湖橋など、川下りの時にはお馴染みの場所を通っていく。
できることなら、ここから弟子屈の町まで釧路川を下っていきたいところだ。

しかし、そこから先は弟子屈まで国道243号を歩いて行くことになる。
景色も単調で、次第に歩くのが辛くなってくる。

途中の札友内寿の家は、チェックポイントではなく休憩所である。
立ち寄る必要はないのだけれど、やっぱり休憩は必要である。
そこを出る頃には、とうとう雨が降り始めた。

でも、カンカン照りの天気よりは雨の方が良いかもしれない。
カンカン照りで気温も高かったりしたら、体力の消耗も激しそうだ。

雨が降ってきた後ろから見ているとI上さんの歩き方が変だったので、聞いてみると、足の調子が悪いみたいだ。
やっぱり、2週間前に100キロを歩いた影響があるのだろう。
その様子から今回の完走は無理なんじゃないかと心配したが、I上さんはその後、痛み止めのロキソニンを飲んで歩き続けた。
100キロウォーク完走のためにはそこまでしなければならないのかと、呆れてしまった。

第3チェックポイントは道の駅摩周温泉である。
時間は既に午後4時半になっていた。
ここではマッサージのサービスを受けることができる。
I上さんが絶対にやってもらった方が良いと言うので、生まれて初めてマッサージをしてもらう。
楽になったような気はしたが、逆に筋肉がフニャフニャになって力が入らない感じもして、慣れないことは止めた方が良さそうだ。

そこで45分くらい休んでから再び歩き始める。
ここからは私もストックを使うことにする。
既に足のあちこちが痛くなってきていたのである。
歩くという単調な動作を延々と繰り返していると、必ず何処かに無理がかかってくるのだろう。


道の駅まであと少し 再び釧路川を渡る
道の駅CPまであと少し 再び釧路川を渡る

奥春別寿の家休憩所霧がかかってきて、雨の降り方も強くなってくる。
休憩所の奥春別寿の家に午後6時半過ぎに到着。
小さな建物で中はごった返していたので、ここでは休まずに歩き続けることにした。

スタートしてからここまでの距離は41キロ。
ほぼフルマラソンと同じ距離である。
そこを10時間以上かけて歩いてきたのだ。
私はフルマラソンを完走するのに5時間以上かかってしまうが、それでも走った方が楽な気がした。

次のチェックポイントは900草原。
いよいよ登りが始まるのだ。
雨は更に強くなってくる。

後で調べてみたら、弟子屈ではこの頃から時間雨量10ミリの雨が降り続いていた。
時間雨量10ミリとなると、完全な土砂降りである。
おまけに風も強くなってくる。

土砂降りになってきた 私達はまともな雨具を着ているけれど、参加者の中にはゴミ袋を被っている様な人もいた。
気温が高いのでまだ大丈夫だけれど、気温が低ければ低体温症になるんじゃないかと心配になってくる。

暗くなってきたのでヘッドランプを灯す。
私のヘッドランプはあまり明るくないので、完全に暗くなると足元を照らすのが精一杯である。
土砂降りの雨で周りは何も見えず、自分の足元だけを見つめて黙々と歩くしかない。

900草原の休憩所は丘の頂上にある。
次第に傾斜がきつくなってくる。
それまで遅れ気味だったY須賀さんが、坂道になると急にスピードアップしたのには驚かされた。
逆に私は皆に付いていけず、次第に遅れ始める。
私と同じようにグループから遅れている女性がいたので、お互いに励まし合いながら登り続ける。

霧に包まれた暗闇の中にチェックポイントの建物の明かりが見えた時は、嵐の中で灯台の灯を見つけた船乗りの気分だった。
午後8時、第4チェックポイント到着。

野戦病院の様な900草原CP しかし、そこはまるで戦場のような有様だった。
入ってくる人は皆ずぶ濡れ。
建物の中は狭く、そこで夕食も出され、預けておいた荷物も一旦引き取れる。
そこで乾いた服に着替えようとしたが、建物の中は何処もびしょ濡れでドライなスペースがないのだ。

唯一のドライなスペースは毛布が敷き詰められたマッサージコーナー。
I上さんとI田さんは、濡れた服のままでそこでマッサージを受けていた。
その様子はまるで野戦病院である。

ここでY須賀さんが、足の裏に大きなマメができたので、リタイアとなった。

再び雨具を着込んで土砂降りの雨の降る外へと出て行く。
丘を下って、再び弟子屈市街を目指す。
風雨は更に強さを増し、既に尋常な状態では無くなっていた。
完全に暴風雨である。

JR摩周駅で弟子屈の町に入っても、そんな天気で外を歩いている人など一人もいない。
時折、水しぶきを上げながら車が通りすぎていくだけだ。

午後10時、JR摩周駅の休憩所に到着した。
足の裏が痛いので、靴下を脱いで確認したが、マメができたり靴擦れになったりはしていないようだ。
今回はランニングシューズで歩いていたので、靴はもうずぶ濡れ。
これで何ともないのが不思議なくらいである。

次のチェックポイントを目指して歩き始める。
しかしこれが、果てしなく遠く感じた。
遠くに明かりが見える度に「あっ、あそこがチェックポイントかな」と祈るが、その祈りは何度も裏切られる。
歩きながら、自分の限界が近づいてきている気がした。
次のチェックポイントでリタイアするかどうか考えよう。

第5CPで大会は中止にそうして午後11時40分、第5チェックポイントのピュアフィールド風曜日に到着。
そこではボランティアスタッフの方が、そこに集まっている人達に何かを説明していた。
私は直ぐにピンと来た。
決定が遅すぎる気もしたが、ここで大会は中止となったのである。

この次のチェックポイントは摩周湖の第一展望台。
風が強くて、参加者の安全を確保できないというのが理由だった。
チェックポイントは展望台の土産店の建物を利用するのかと思っていたが、そこでは行事用テントを張っただけのチェックポイントらしい。
この風では絶対に無理である。

体育館で仮眠を取るそうして、迎えに来たバスで、スタート及びゴール地点でもある弟子屈町青少年会館に送り届けられた。
そこには布団が敷かれていて、朝まで仮眠を取ることができる。

摩周湖のチェックポイントで出されるはずだったカニ汁で身体を温め
朝にはたこ焼きも振る舞われ、最後までボランティアスタッフの皆さんの暖かな心遣いに癒された。

結局、今回歩いた距離は58キロ。
本来ならばゴールまで後20キロ以上は歩かなければならない。
I上さんは「ここまで歩けたのならば絶対に完走できますよ」と言っていたけれど、私には到底無理だとしか思えない。

今回だけで止めるつもりだった100キロウォークだけれど、自分の限界を試してみたい気持ちもあり、このまま引き下がることはできない気がするのだ。


朝のたこ焼き 朝の歯磨き
朝にはたこ焼きのサービス 車に戻って朝の歯磨き


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