北海道キャンプ場見聞録
我が家のファミリー通信 No.108
70歳での自己ベストは別海町パイロットマラソン
ここ数年、フルやハーフで自己ベスト更新を続けてきていた。
そして今年のフルマラソンでの自己ベスト更新を目指すためにエントリーしたのが別海町パイロットマラソンである。
今年はそれに加えて、9月末に70歳の誕生日を迎えたので、70歳での自己ベスト更新という聞こえの良い目標もできたのだ。
そのおまけとして、未だにクリアできていないサブ4.5を達成するのももう一つの目標である。
今年の前泊は中標津町のトーヨーグランドホテル。
遠征を伴うフルマラソンの大会に参加する宿泊手段はキャンプ、それが今までの我が家の普通のスタイルだった。
しかし、2年前にかみさんが「キャンプすると疲れる」と発した一言により、マラソン大会の参加に伴う宿泊はホテル泊に変わったのである。
奇しくも、2年前の別海町パイロットマラソンがそのきっかけとなったのだ。

昼食はカーボローディングでラーメン+チャーハン(中華料理萬彩)
午前10時頃に家を出て、池田町の中華料理萬彩で昼食を取り、久しぶりにR38経由で釧路を目指す。
釧路からはR272(通称産業道路)を走って一気に中標津へ。
午後4時前にホテルにチェックインし、ホテル自慢の源泉かけ流し温泉を楽しむ。
夕食が付かないので、街のレストラン「ラ・キンコ本店」へ。
ホテルが町外れにあるので、車で出かけなければならず、風呂上がりのビールを飲めなかったのが残念だった。

ホテルの窓から見えた夕日
翌日はホテルの朝食で腹ごしらえし、トイレも済ませて、万全の状態で別海町を目指す。
これがキャンプの場合、朝食は勿論自分達で作らなければならず、ウォッシュレットのトイレは望むべくもなく、下手をすると和式のトイレしかなかったりする。
レースに備えて万全の状態を作り出すのは、なかなか大変なのである。
準備万端で望む別海町パイロットマラソンだけれど、唯一の不安は当日の気温が高いこと。
昨日も明日も最高気温は20度以下なのに、この日だけが24度まで上がる予想になっているのだ。
この気温でフルを走るのは、暑さが苦手な私にとってはかなり厳しい。

質素な朝食だけれどキャンプでの朝食だと思えばこれで十分
午前10時スタートと時間に余裕があるので、フィリーズ戦の大谷くんの打席を見届けてからホテルを出発。
途中から霧雨が降ってきて道路も濡れている。
暑くなるよりは、天気が悪い方が歓迎である。
到着が遅かったので、少し遠い方の駐車場に誘導された。
大した距離じゃないけれど、フルを走り終えた後に車まで歩いて戻るのがちょっと辛そうだ。
車の中で、函館マラソンで貰ったくるみ餅を食べ、体育館の前で配られていたバナナも食べる。
ホテルの朝食を腹一杯食べたけれど、スタート時間が午前10時なので、途中でお腹が空くのは明らか。
少しでも腹を満たしおきたい。

スタート付近の様子
体育館で荷物を預け、トイレは隣のプールを利用する。
参加者1300名程の小規模な大会なので、女子トイレでもトイレ待ちの列は殆どない。
スタート場所は今年から道路上に変わっていた。
2年前に参加した時は陸上競技場からのスタートで、大雨のために土のグランドはグチャグチャ。
そこを一周する間にランニングシューズは泥まみれになってしまった。
そのせいで変更されたわけじゃないだろうが、道路のほうがスタートしやすいのは確かだ。

三段山クラブのTさんと3人で
既に沢山のランナーが並んでいたが、その真ん中付近に入れさせてもらう。
そこで三段山クラブの旭川在住Tさんに会ってびっくり。
彼は、走り始めて間もないのに、既に今年のサロマ湖100kmウルトラマラソンを完走して、北海道マラソンではワラーチで走って、今回はサブ4にチャレンジするとのこと。
横を見ると、そこにはサブ4と書かれた看板が立てられていた。
私達が並んだのは、サブ4狙いのランナー集団の先頭だったのである。

日が差してくると急に気温が上がった気がする
スタート時間が近づくに従って青空が覗くようになってきて、時々日が差すと一気に蒸し暑くなってくる。
スタート時の午前10時の気温は21度まで上がっていた。
2年前の別海マラソンでは調子に乗ってキロ6分ペースで走ってしまい、そのために30キロから大失速し目標にしていたサブ4.5を達成できず。
今年はその轍は踏まないように、キロ6分15秒ペースを維持するつもりでいた。
スターとともに、かみさんとTさんは先に行ってしまったけれど、二人はサブ4狙いなので無理して追いかけない。
しかし、周りにつられて2キロまでキロ6分ペースで走ってしまったので、そこから先は予定のペースまで落とす。
今年からコースが少し変更になり、国道243号を往復するコースになっていた。
フルマラソンで完全な折り返しコースを走るのは、初めての経験である。
折り返し地点までは緩やかな登りが続いているが、標高差は43m程度なのでそれほど苦にはならない。

今年から国道往復のコースに変わった
途中から完全な青空が広がってきたが、弱い向かい風が吹いているので心配していたほど暑さは感じない。
それでも5キロごとの給水では確実に水分を補給し、その間にあるスポンジポイントでは体を冷やしながら走っていく。
別海マラソンでは牧草ロールに書かれた応援メッセージが楽しみの一つになっているのだが、今年から国道往復コースになったので、その応援メッセージの数が極端に減ってしまった。
これまでは、途中から国道を離れて酪農家の多い場所を通るので、それぞれの酪農家の方が趣向を凝らして書いてくれたメッセージに励まされながら走ることができたのだ。
それでも、国道の両側に広がる牧場風景は長閑そのものである。

牧草ロールに書かれた応援メッセージは数が減ってしまった
途中、14キロ付近に中西別の小さな集落があり、そこだけ賑やかな声援を受ける事ができる。
別海マラソンではエイドでの楽しみは殆どないけれど、バナナや塩飴等の最低限のものはここに用意されている。
私は大きな梅干しで塩分を補給する。
折り返してくるランナーとすれ違うようになってくる。
完全往復コースなので、走っているランナー全てを確認することができる。
かみさんの写真を撮ろうと思っていたけれど、スマホを取り出そうとしている間にすれ違ってしまった。
その後、Tさんともすれ違う。
二人とも良いペースで走っているようだ。

国道沿いに広がる牧場風景
折り返した時のタイムは2時間13分。
復路も同じ時間で走ったとしても、サブ4.5への貯金は4分しかない。
4分の貯金なんて、少しでも歩いてしまうとあっと言う間に使い果たしてしまう。
前半でペースを抑え気味に走って、後半でペースを上げる走り方をネガティブスプリットという。
私はその作戦でいくつもりだったけれど、果たして30キロ過ぎてからペースを上げれらるのだろうか。
練習の30キロ走でも、30キロ走るのが精一杯といった感じなのだ。

応援してくれるのは牛だけ
腕時計のラップタイムを見ながら「貯金も結構貯まったかな?」と計算しながら走っていたのだけれど、GPS腕時計で計測される1キロは、実際の1キロよりも短くなる。
走るに従って、1キロごとの距離表示と腕時計に表示される距離の違いが大きくなってくる。
今回は最終的に500mも違っていたので、このズレは馬鹿にならない。
キロ6分ペースで走ったとしても、最後には距離換算で3分も違ってしまうのだ。
折り返すと、それまでの向かい風が追い風に変わる。
追い風といってもそれほど強い風ではないので、走っているとほぼ無風状態と同じである。
気温は24度くらいまで上がっていて、さすがに暑さがこたえてくる。

25キロの給水ポイント
27.5キロのスポンジポイントで体を冷やそうと思っていたら、そこにスポンジは無かった。
予想以上の暑さで、スポンジが品切れになったのだろう。
これはちょっとショックだった。
でも、すぐその先に中西別のサービスポイントが有る。
そこでまた梅干しを食べて塩分補給をと考えていたら、その梅干しも既に品切れ。
代わりに塩飴を口に放り込んでガリガリと齧った。

中西別のサービスポイント付近は応援してくれる人も多くなる
暑さと疲れで身体が動かなくなってくる。
30キロを過ぎると、「もうそろそろ歩いても良いかな」という思いが頭の中に浮かんできた。
メンタルの弱さが出てきてしまう。
次のスポンジポイントには、スポンジがまだ置いてあった。
「助かった~!」と思いながらそのスポンジを手に取ったが、握りしめても水が滲み出てこない。
不足していたのはスポンジではなく、スポンジに含ませる水だったようだ。
折り返した後はずーっと下り坂が続いているはずなのに、その下り坂が何故か現れない。
傾斜が緩すぎて、平坦な道にしか見えないのだ。
それどころか、登りになっているような錯覚に陥ってしまう。

釧路湿原マラソンでもお話をした湿原男、暑さでバテていたようだ
それでも何とかラップタイムはまだ6分30秒台を維持できていた。
35キロで腕時計を見ると経過時間は3時間41分。
頭の中で素早く計算すると、この後キロ7分ペースで走れば何とかサブ4.5は達成できそうだ。
しかし、35キロの距離表示がなかなか現れない。
この辺りで既に、腕時計で計測している距離と実際の距離は500m近くずれていたのだろう。
心が折れそうになる。
それに加えて、右太腿の後ろに痛みを感じるようになってきた。
もう少しで歩きそうになったが、スピードは落ちても何とか足を動かし続ける。
37キロ、38キロのラップは8分台に落ちてしまった。
歩いてしまうとラップは9分台になってしまうのだけれど、走り続けていればそこまでは落ちない。
最後のスポンジポイントも干からびかけたようなスポンジしかない。
給水所の水も生温かくて、喉が渇いているのに一口飲むのが精一杯。
サブ4.5どころか、自己ベスト更新もほぼ不可能となってきた。
それどころか、2年前に走った別海マラソンのタイムさえ下回ってしまいそうだ。
これならばネガティブスプリットではなく、2年前のように元気があるうちにペースを上げてタイムを貯金するポジティブスプリットで走ったほうが正解だったかもしれない。
町の中まで戻ってくると沿道からの応援も多くなる。
ここで歩くわけにはいかないので最後の力を振り絞りゴールに向かって走り続ける。

ゴール地点の様子
ゴールタイムは4時間38分17秒、2年前のタイムをかろうじて50秒ほど上回ることができた。
かみさんは4時間7分3秒、目標のサブ4を大きく下回り、ゴール直後には両足が攣って倒れてしまい周りの人から介抱されていたらしい。
Tさんもサブ4ならず。
この日の最高気温は25度まで上がっていたらしく、3人とも暑さにやられてしまったようだ。
私は70歳以上のクラスで40名中9位。
一桁だったけれど、70歳になったばかりなことを考えれば、それほど自慢できる順位ではない。
もしもサブ4.5だったらもっと上の順位に入ったのかと調べてみたら、70歳以上でも速い人は速くて、少しくらいタイムを縮めてもお呼びじゃなかった。

完走賞の野付産山漬け熟成秋鮭をゲット
別海マラソンの名物は、完走賞として貰える鮭一匹。
しかし今年は、記録的な鮭不漁により鮭一匹か鮭の加工品かを選択する様になっていた。
多分早いもの順になるだろうから、鮭を手にするためには早くゴールしなければならない。
そう考えていたけれど、最終的に鮭は十分に確保できていたらしい。
それが、鮭一匹より加工品の鮭の切り身の方が人気だったらしく、切り身の方が先に無くなってしまったようだ。
道外から参加しているランナーにとっては、コンパクトなサイズの切り身の方が良かったのかもしれない。
レース後に無料提供されている豚汁をいただく。
かみさんがゴールした時はカレーと牛乳もあったようだが、そちらは既に品切れ。
走り終えた後はカレーの方を食べたかった気がする。
鮭が入った大きな箱を抱えて、痛い足を引きずりながら駐車場へと歩いていく。
そんな人達が沢山歩いていて、思わず笑ってしまった。

鮭の入った大きな箱を抱えて足を引きずりながら歩く姿はこの大会の定番風景かも
私達のこの日の宿泊は川湯温泉のホテルパークウェイ泊。
かみさんは下着が擦れてヒリヒリしていたので、強酸性の川湯温泉の湯に浸かるのを怖がっていた。
でも、こちらのホテルは川湯温泉街ではなく川湯温泉駅の直ぐ近くにあり、泉質もPH7の重曹泉。
源泉100%かけ流しの肌に優しいお湯で、マラソンの疲れを癒やすことができた。