北海道キャンプ場見聞録
最北マラソン出場で北へ
北海道立宗谷ふれあい公園オートキャンプ場(9月3日~5日)
目的は日本最北端わっかない平和マラソンへの出場。
宿泊は、稚内森林公園キャンプ場か道立宗谷ふれあい公園オートキャンプ場かの二者択一だ。
この時期のキャンプ場の混み具合も分からないので、予約できる確実性から宗谷ふれあい公園に初めて泊まってみることにした。
午前7時半に自宅を出て、留萌まで高速道路に乗りオロロンラインを北上。
今年になって始めて走るオロロンラインなので、なんとなく懐かしさを覚える。
と言うか、今年は道内での遠出は函館に行っただけで、道北、道東、オホーツク方面には一度も足を伸ばしていないのだ。
天塩から内陸に入って幌延町を目指す。
途中で、利尻富士を背景にオトンルイの風車群が見えてきた。
このオトンルイ風力発電所の風車が建て替えられると聞いていたが、ずらりと並ぶ風車群が途中で歯抜けになっていて、建て替え工事が既に始まったのだと勘違いしてしまう。
風車群が歯抜けになっているように見えてしまう
稚内からの帰り道でこの横を通ったところ、隣接地に新しい風車の建設が始まっていただけで、風車群はまだそのまま残っていた。
撤去工事は来年から始まるらしい。
昼食は幌延町の「あいず食堂」で食べるつもりでいた。
ところが、まだ12時前なのに店内はほぼ満席で、時間もかかると言われる。
道北の小さな町の食堂で、それ程の有名店でもないのに、これにはビックリしてしまった。
しょうがないので、第2候補にしていた近くの「喰い処菜味季」に入る。
この店も結構混んでいたけれど、注文したメニューはそんなに時間がかからずに出てきた。
昼食は幌延駅近くの喰い処菜味季に入る
数日前からカーボローディングのために米飯中心の食事にしていたので、ここでも生姜焼き定食を注文。
特に名物のない食堂に入ると、私は生姜焼き定食を頼むことが多い。
初めての店では、当たり外れのない一番無難なメニューなのである。
満腹になって、真っ直ぐにキャンプ場を目指す。
生姜焼き定食さえ頼んでおけば外れることはない
そうして午後1時過ぎに宗谷ふれあい公園オートキャンプ場に到着。
宗谷ふれあい公園で予約してあったのはフリーサイト。
今回は2泊する予定だったので、少しでも良い場所を確保しようと思って午後1時のチェックイン時間に合わせてやってきたのだ。
ここのフリーサイトは駐車場所とテント設営場所が決められているので、一般的なオートサイトと殆ど変わりがない。
しかし、せっかく早くにやってきたのに、サイトは選ばせて貰えずに受付で指定されてしまう。
それでも利用料金は、私が65歳以上で無料となるため、2泊しても合計で1800円と格安。
ゴミも無料で捨てられるし、文句を言う気にはならない。
フリーサイトでも区画割されていて場所を指定される
テントの設営を済ませてから、マラソンのメイン会場となる北防波堤ドーム公園に行って受付を済ませる。
一般的には、マラソンの会場は前日とは言え結構な賑わいを見せるものだが、受付をする人の姿も疎らでうら寂しさが漂っていた。
後で知ったのだけれど、わっかないマラソンの参加者は500名だという。
これならば人の姿も疎らなのは当然なのだろう。
キャンプ場へ戻る前に、近くの大沼へ行ってみる。
秋や春には渡りの途中の白鳥が飛来する場所として知られている。
大沼野鳥観察館の施設もあるけれど、今時期は訪れる人も少ない。
地図を見るとキャンプ場のある宗谷ふれあい公園からも歩いて来られるようだが、わざわざ歩いてくる人は物好きな人に限られそうだ。
白鳥が飛来しないと見るものは少ない
キャンプ場に戻ってくると、フリーサイトのキャンパーも増えていた。
ここのキャンプ場は、電源・水道・炊事台付きのプライベートサイトが繁忙期以外の平日が1区画500円、週末が1000円と信じられないくらいの料金で泊まることができる。
私も最初はプライベートサイトを利用しようと思ったのだけれど、平日も含めてほぼ満員で、しょうがなくフリーサイトを予約したのである。
帰ってきた時にはフリーサイトは半分ほどが埋まっていた
そちらの様子を見に行くと、そこに停まっている車は道外ナンバーのキャンピングカーばかり。
ここには料金が倍のキャンピングカーサイトもあって、私はその様子を見てそこがキャンピングカーサイトだと勘違いしてしまった。
プライベートサイトは本州ナンバーのキャンピングカーばかり
本当のキャンピングカーサイトは4サイトしかなく、とんでもなく広いスペースである。
キャンパーズハウスには無料で利用できるシャワールームがあって、シャンプーと石鹸も用意されている。
トイレの洗面所にはドライヤーまで備え付け。
高齢者は入場料500円が無料となり、これならばリタイア組の長期滞在キャンパーでサイトが占領されるのも無理はないだろう。
キャンピングカーサイト、道路に車を停めていると思ったらこのサイト専用の道路なので何処にでも停められるのだ
ホームページの予約状況を見ると、フリーサイトは週末も関係なく常に空いているようになっていたが、この日は土曜日ということもあり、夕方にはほぼ満員となっていた。
混み合ってきた場内
フリーサイトもオートサイトのような作りになっているけれど、駐車スペースから少し離れているサイトもある。
炊事場やトイレへ行くための通路が確保されていないので、必然的に他のキャンパーの区画の中を歩いて移動することが多くなる。
各区画の広さは十分だけれど、自分のテントの直ぐ前を人が歩いていくのはどうも落ち着かない。
夕焼けは今ひとつ、空には月が浮かんでいる
夕食は明日のマラソンに備えて炭水化物を沢山摂取するためにビビンバを作ってもらった。
今日は早く寝ようと思っていたら、私達の後ろに若いカップルのキャンパーがやってきてバーベキューの準備を始める。
こんな時間にやってきて、これから夕食となると、遅くまで起きていそうだ。
そんな心配をしていたけれど、おしゃべりもあまりしないで、二人で静かにチェスをやっている。
夕食はビビンバ
焚き火も早めに切り上げて安心してテントに入ったが、混んでいるキャンプ場はそれなりに賑やかである。
テントの中では周りの音が増幅されて聞こえてくる。
そのうちに隣のカップルが片付けを始めたらしい。
車との間を何度も往復して、その度に私のテントの横を通り過ぎる。
サンダルのパタパタという足音が、私の直ぐ頭の上から聴こえてくる。
それが気になって、せっかく早くにテントに入ったのに全然寝付かれない。
かみさんも、直ぐ隣の男性ソロキャンパーがやたらに独り言を言ったり、誰かと電話で話をしたり、そのうちにラジオを聞き始め、やっと寝たと思ったら今度は物凄いいびき。
ほとんど眠られないままに朝を迎えたらしい。
そうやって迎えた朝は雲ひとつ無い空が広がっていた。
最高の天気だけれど、フルマラソンを走るためには曇っていてくれたほうがありがたい。
場内に朝の光が届いてきた
隣のカップルキャンパーのサイトでは、カラスがゴミを撒き散らしていた。
夜中の片付けの音がうるさかった割には、ゴミ袋は片付けずにテーブルの上に置きっ放しだったようだ。
早めに朝食を済ませて、朝の6時過ぎにはマラソン会場の北防波堤ドーム公園に向かった。
(日本最北端わっかない平和マラソンの様子)
フルマラソンを走り終え、稚内温泉童夢で汗を流す。
それにしても、稚内の街の中を普通に鹿が歩いているのには驚かされる。
田舎の街では珍しくない風景だけれど、仮にもここは道北の中心都市である。
住宅街に隣接するパークゴルフ場では、そこがまるで自分達の庭であるかのように鹿の群れが寛いでいた。
その間で人間が、申し訳無さそうにプレーして回っているのだ。
鹿も、街の中に居るほうが安全だと分かっているのだろう。
パークゴルフ場の中で寛ぐ鹿たち
これが札幌ならば、警察やマスコミが鹿を追い回して大騒ぎになるところだ。
稚内市民のこの大らかさを見習ってもらいたい気がする。
今日はキャンプ場も空いているだろうと思って戻ってきたら、昨日と変わらない混雑ぶりに驚いてしまう。
隣のカップルのテントも残っていて、まさかの連泊のようだ。
土曜日を過ぎてもキャンパーは減らない
夕食を作る気力もないのでスーパーで買ってきた生寿司で済ませる。
空は焼けなかったけれど、穏やかな夕暮れを迎える。
持参してきた薪もたっぷりと残っている。
炎を眺めながらマラソンの反省会。
暗くなってから隣のカップルキャンパーが帰ってきた。
テントを片付け始めて、まさかこれから撤収するのだろうか。
謎のキャンパーである。
焚き火の前で反省会
疲れていて酔いも回って、今日は念のために耳栓をして寝ることにする。
おかげで夜中に撤収を終えて隣の謎のカップルキャンパーが帰っていったことにも気が付かなかった。
翌朝、東の空が赤く染まっていた。
綺麗な朝焼けだな程度に思っていたら、その朝焼けは一大スペクタクルの序章に過ぎなかったのだ。
東の空が赤く染まってきたと思ったら
今日の天気は次第に下り坂になる予報で、朝から空全体に疎らな雲が広がっていた。
その雲が次第に赤く染まり始め、終には、空全体の雲が真っ赤に染め上げられたのである。
見たことのない朝焼けの風景に言葉を失った。
空全体が赤く染まった
今朝はテントも結露していなくて、撤収もスムーズに済ますことができ、午前8時前にキャンプ場を出発。
最後に宗谷ふれあい公園の展望台に寄っていく。
眼下に、昨日訪れた大沼が広がっている。
展望台から見た大沼、今日は曇り空
展望台の前には、風の劇場などのモニュメントが作られていた。
広大な敷地の中で訪れる人も少なそうな施設が風に晒されている。
それが逆に稚内の風景に馴染んでいるような気がした。
周りを防風壁で囲まれた風の劇場、真ん中で声を出すと360度から声が反響する
札幌までは、オロロンライン経由で帰ることにした。
途中で廃止が取り沙汰されている抜海駅に寄り道。
抜海駅
駅前には人が住んでいるかどうかも判然としない住宅が一件あるだけ。
これでは駅が無くなるのも無理はないかなとも思えたが、古い味のある木造駅舎は駅が無くなっても取り壊すにはあまりにも惜しい気がした。
味のある駅舎だ
オトンルイ風力発電所の最後の姿も見ることができた。
その近くで新たに建設されている風車は、今までのものよりもかなり大型である。
それよりも一回り小さい風車がずらりと並ぶ特徴的な今の姿は、建て替え後はかなり変わったものに変わるのだろう。
見納めのオトンルイ風力発電所
道北キャンプを締めくくるに相応しい最後の風景だった。