北海道キャンプ場見聞録
青森・秋田の旅(金峰神社・角館・横手)
横手セントラルホテル(5月27日~28日)
朝起きて炊事場で歯を磨いていたらポツリポツリと雨粒が落ちてきた。
時間は午前4時50分、バンガロー泊はやっぱり正解だったようだ。
オートサイトもなかなか快適そうだ
雨は直ぐに本降りとなり、このまま夕方まで降り続けそうだ。
朝食を済ませ、少しずつ車に荷物を運ぶ。
そうして、午前8時半に田沢湖オートキャンプ場を出発。
バンガローまでは階段を下って荷物を運ばなければならない
この日は横手市のビジネスホテルに泊まる予定なので、そこに向かって南下しながら途中で観光していく予定だ。
秋田と聞いて思い浮かべるのは秋田杉。
何処でも同じなのかもしれないが、車で走っていても美しい杉林を良く目にする。
貯木場も多く、杉丸太の積み方が北海道ではあまり見かけない方法で、格好良くて興味深い。
貯木場の丸太の積み方が興味深い
最初に向かったのは金峰神社。
仙北市の観光ガイドマップに「樹齢350~800年以上の参道の杉並木が素晴らしい」と紹介されているのが目にとまったスポットだ。
国道から外れて脇道に入る。
雨粒が波紋を描く水田とその背後の雨に煙る山の風景がとても美しく、思わず車を停めてその風景をカメラに収める。
何気ない風景も美しく感じる
杉林の中の薄暗い道を走っていくと金峰神社の駐車場に到着。
仁王門に安置されている二体の仁王像は、一本の杉の巨木から掘り出したものだという。
金峰神社の鳥居と仁王門
立派な仁王像だったが、もう少し名のある仏師にお願いできなかったのかと思ってしまった。
何となくひ剽軽な仁王様なのである。
迫力にかける仁王様だ
その先に続く石の階段と両側の杉並木は、さすがに素晴らしかった。
でも何となく物足りなく感じる。
参道の杉並木が素晴らしい
同じ様な風景を3年前の東北の旅で見ていたのである。
それは羽黒山の参道。
杉の巨木の間に続く2446段の階段を登った先にあるのは、日本有数の修験の山として知られる出羽三山の三神合祭殿。
一方こちらは、市の観光ガイドに小さく乗っている程度の田舎の神社。
苔生した石段を登る
両者を比べるのがそもそも間違っているのだろうが、こんな田舎の神社で出羽三山と同じ風景を見られるのだから、これは素晴らしいことなのかもしれない。
杉林の中には霧が立ち込め森厳な雰囲気である。
その中に静かに佇む本殿。
金峰神社本殿
苔生した狛犬も何となく凛々しく見える。
参拝記念に御朱印を貰いたかったが、こんな山の中の神社に人が居るわけもない。
宮司さんの自宅まで行けば貰えるみたいだけれど、そこまでして御朱印を集める気はしない。
雰囲気のある神社だった
雨も小ぶりになった中、ゆっくりと参拝もできて、次の目的地の抱返り渓谷へと向かった。
ガイドブックで新緑と紅葉の名所として紹介されていたけれど、冬の間の落石等により遊歩道が通行止めになているらしい。
それでも、ガイドブックの写真に一目惚れした神の岩橋は見られるみたいなので行ってみることにしたのだ。
次第に雨脚が強くなってくる中、神の岩橋の袂にある駐車場に到着。
河原に降りられる道があったので、まずは河原から橋の姿を見てみる。
エメラルドグリーンに染まった川の水と新緑の森、そしてとこに架かる赤い橋。
なかなか絵になる風景だ。
抱返り渓谷にかかる神の岩橋
しかし、そこの河原からは橋の全景を写すことができない。
ガイドブックに載っていた全景の写真は対岸の河原から写したものようなので、橋を渡って対岸へ行くことにした。
神の岩橋を渡って対岸へ
更に雨脚が強まる。
神の岩橋は対岸の山に向かって突き刺さるように伸びているので、この先はトンネルになっているのかと思ったら、山腹に道がついていた。
その先には抱返神社があり、その横から河原に出られる。
土砂降りの抱返神社
しかし、雨は更に強まってほとんど土砂降り状態。
遠くから橋の写真を撮っただけで、ほうほうの体で車まで戻った。
かみさんに「あの岩の下まで行って」とは言えなくて、自分がモデルになる
その後に向かったのは角館。
田沢湖からの角館観光は3年前と全く同じコース。
城下町の角館は、武家屋敷が集まる内町と町人の住む外町に分かれていて、前回は内町を歩いていた。
そこで今回は、昼食を兼ねて外町を歩くことにしたのだ。
まずはかみさんの要望で安藤醸造本店で買い物。
そこの駐車場に車を停めさせてもらったまま外町エリアを歩く。
安藤醸造本店
昼食は、西宮家の敷地の中にあるレストラン北蔵に入る。
大きな窓ガラス越しに、土砂降りの雨に打たれる庭の木々を眺める。
窓の外は土砂降り
角館の伝統的な料理であるお狩場焼きを食べた。
殿様が狩りに出て、獲物をその場で山椒味噌で焼いて食べたのが起源だとか。
狩りのワイルドさは感じなかったけれど、とても美味しかった。
食事は美味しかった
その後、たてつ家にも寄ってみたけれど、雨が酷すぎてそれ以上歩くのを止めて車に戻る。
そのまま車で内町の武家屋敷通りを走り、生もろこしを売っている唐土庵を見つけて、今回もお土産に購入。
ここの生もろこしが大好きなのだ。
この雨では歩いては回れない
美郷町の町を過ぎる辺りで、雨もようやく止んできた。
雨量もかなり多かったようで、田んぼの稲が水没しかけている。
遠くの方には青空も見えてきていた。
その時、信じられない光景を目にして二人で歓声を上げた。
その青空の中に、今回の旅で行くことを断念した鳥海山の姿があったのだ。
憧れていたのは水田に映り込む鳥海山の姿だったけれど、残念ながら水田に写っているのは上空の灰色の雲だけである。
それでも、ここで鳥海山を見られたのは本当に嬉しかった。
まさかここで鳥海山!
午後3時、横手市までやって来たけれど、ホテルにチェックインするにはまだ少し早すぎたので横手公園の展望台まで行ってみる。
展望台とは言いながら立派な城(横手城)である。
入るのに100円かかるが、この後に行く予定だったかまくら館との共通券なのが良かった。
他にも石坂洋次郎記念館と後三年合戦金沢資料館との4館共通券になっている。
石坂洋次郎に興味はないし、資料館は遠すぎるので、2館だけで済ませる。
お城じゃなくて、あくまでも展望台
雨も完全に上がって上空には青空も広がっていたけれど、展望台から眺めるのを楽しみにしていた鳥海山は残念ながら雲の中。
それでも横手市の町並みを一望できるのが良かった。
初めて訪れる土地で大した観光もせずに1泊するだけでは、その土地の記憶も殆ど残らない。
こうして町並みを一望できれば、何となくその土地の様子を知ることができた気がする。
横手市の市街地、鳥海山は雲に隠れてしまった
次に向かったかまくら館。
横手市と聞いて思い浮かべるのはかまくらくらいだ。
この時期に訪れても何も見るものがないと思っていたけれど、このかまくら館では実物のかまくらの中に一年中入ることができる。
オホーツク流氷館で真夏でも本物の流氷に触れられるのと同じである。
ちょっと寒かったけれど、横手市を訪れた良い記念になった。
そうして午後4時過ぎに横手セントラルホテルにチェックイン。
1泊朝食付きで4400円。
東北6県の宿泊では北海道民でも県民割が使えるようになったけれど、県外在住者にはワクチン3回接種の条件が付いている。
それがなければ、県民割を利用して秘湯のホテルに泊まったりとか、もっとリッチな旅を楽しんでいたのだろう。
結局は、キャンプ場と安いビジホを探して泊まる何時もの貧乏旅行になってしまったのだ。
部屋も広くて朝食付きで4400円ならばリーズナブルな宿と言える
当初の計画では6月1日のフェリーで北海道に戻る予定だった。
ところが5月31日は一日中雨の予報で、その日に観光する場所がどうしても思い浮かばない。
結局、予定を一日短縮し、5月31日のフェリーを予約したのである。