北海道キャンプ場見聞録
青森・秋田の旅(函館・八甲田)
ホテルニューオーテ・宇樽部キャンプ場(5月22日~24日)
3年前にも出かけた東北の旅。
今回は、その時にあまり回れなかった青森・秋田を中心に回ることにする。
まずは、どうみん割を利用して函館で1泊。
岩内、黒松内経由で函館を目指し、昼食は長万部駅前の「合田」に入ろうと思っていたら生憎のお休み。
札幌を朝に出て道南を目指すと、時間的に昼食はこの当たりで食べることになる。
めぼしい店には大体入ったことがあるので、迷いながらも八雲町の国道沿いにある「麺屋 むすび」で鳥だし魚介ラーメンを食べた。
私は鳥だし魚介の塩。あっさりしたスープがとても美味しい。
かみさんは鳥だし魚介の醤油。醤油の味が濃すぎてせっかくのあっさりとしたスープの良さを消してしまい、かみさんは後悔することしきり。
鳥だし魚介ラーメンは塩がお勧めか?
途中、かみさんの山菜レーダーがタランボを検知。
道路法面の崖の上にタランボが密生。
私がそこまで這い上がってみたところ、既に一番芽が収穫され、出ているのはそこから伸びだした二番芽ばかり。
どうやら、隣接する畑の持ち主が収穫しているような雰囲気だったので採るのは遠慮しておくことに。
今日は時間に余裕があるので、気になりながらも何時も素通りしていた「榎本武揚軍鷲ノ木上陸地」に寄り道する。
天気が悪くて駒ケ岳は雲に隠れたままだったけれど、しばしの間そこからの海岸風景を眺めながら幕末の函館戦争に思いを馳せた。
駒ケ岳が見えていないと何の変哲もないただの海岸だ
道の駅「YOU・遊・もり」では、その裏にあるオソウシ公園の桜が綺麗だったので、中を歩いてみた。
八重桜が散り始めていて、あちらこちらにピンクの絨毯が広がっている。
桜の花びらの絨毯
今までは道の駅からチラリと眺めるだけだったけれど、歩いてみると意外と広い公園である。
まだ花の残っている八重桜や、既に花を散らしているソメイヨシノなど、風格のある古木が多い。
桜が満開の頃なら、そこらの桜の名所と言われる場所にも引けを取らないだろう。
道の駅を通り抜けるとオソウシ公園が広がる
そうして今日の宿であるホテルニューオーテにチェックイン。
部屋のカーテンを開けると、通り1本を挟んで目の前に見えるのは函館朝市。
ホテルの部屋からの風景
どうみん割を利用して宿泊費は1人3200円。
どうみん割では宿泊費の補助のほかに2千円相当のほっかいどう応援クーポンも貰える。
その他にホテル独自のサービスとして、朝市で使える1400円相当の朝食券とラッキーピエロで使える600円の食事券も付いているのだ。
全部あわせれば宿泊費を上回ってしまうという大サービスである。
ビルの2階がラッキーピエロ、3階の窓がホテルの部屋になっている
しかもラッキーピエロは、ホテルと同じビルの中にあるので、外に出る必要もなし。
ラッキーピエロで夕食を食べるイメージは無かったけれど、今日は昼食が遅かったので、せっかくなので夕食はラッキーピエロへ。
チャイニーズチキンバーガーとビールのセットはなかなか良い組み合わせだったけれど、かみさんはラキポテやから揚げのくどい味付けが好みじゃないようで、ラッキーピエロはもう良いかなと言っていた。
ラッキーピエロでビールを飲むことになるとは
ほっかいどう応援クーポンの使用期限は翌日までなので、部屋飲み用のビールやつまみ、そしてキャンプ用のワインを駅前のコンビニで購入して、きれいに使い切ったのである。
久しぶりの函館駅
翌日の青森行きフェリーは午前7時40分発。
一般的なホテルの朝食は午前7時からなので、それではフェリーに間に合わない。
それが、朝市の食堂は午前6時からやっているので、フェリーの時間に何とか間に合うのである。
食券が使えるのは朝市のきくよ食堂。
開店と同時にきくよ食堂に入る
以前にも入ったことがある食堂だけれど、やっぱりここは観光客向けの食堂である。
定食類は「まあこんなものか」程度の印象しかなかった。
ホテルの朝食券を使うとポテトサラダと卵焼きがおまけされる
函館・青森間のフェリーは2社が運航していて、この日乗るのは津軽海峡フェリー。
青函フェリーの方が安いのだけれど、この時間帯のフェリーが予約できなかったので、しょうがなく津軽海峡フェリーにしたのである。
この日は十和田湖のキャンプ場に泊まりたかったので、キャンプ場までの移動を考えると、お昼頃に青森に着くフェリーに乗りたかったのだ。
同型フェリーとすれ違う
乗船時間は3時間40分。
若者にとっては耐えられないくらいに暇な時間なのだろうが、年を取るとこの程度はさほど長い時間だとは思わない。
ぼんやりと窓から海を眺めていると、海面で何かが動いたように見えた。
「えっ?今のってイルカじゃない?」
まさかフェリーの上からイルカが見られるとは思ってもいなかった。
「ラッキーだったね」などと言いながらデッキに出てみると、それはラッキーな出来事ではないことが分かった。
フェリーの回りで普通にイルカの群れが泳ぎまわっているのだ。
調べてみると5月6月は特にイルカの群れと遭遇する確立が高いらしい。
わざわざイルカウォッチングの観光船に乗らなくてもフェリーの上からイルカの姿を楽しめるのである。
良いタイミングで写真を撮るのは難しい
午前11時20分に青森港に着き、そのまま真っ直ぐに「まるかいラーメン」に向かった。
青森の人気店で、メニューは醤油の大と中だけ。煮干だしのあっさり系ラーメンに期待大。
かみさんはスープを一口すすって嬉しそうな表情を浮かべる。
しかし、私の感想は「何だこれ、煮干の味しかしない、味の深みってものが全く無い」。
かみさんとこれだけ評価が分かれたラーメンは初めてだった。
太めのモチモチした麺も特徴
昼食を済ませて八甲田経由で十和田湖を目指す。
最初に目指したのはビュースポットとして人気の城ヶ倉大橋。
上路式アーチ橋としての橋そのものの美しさのほかに、橋の上から見下ろす大渓谷の展望、そして八甲田山や岩木山も眺められるらしい。
ただ、今日は雲が多くて山の姿は期待できそうにない。
途中に岩木山展望所と書かれた立派な標柱のある場所があったけれど、一体どの方向に岩木山が見えるんだ?と頭を捻るような展望所だった。
どの方向に岩木山があるのかも分からない展望所
山が見えないのはしょうがないけれど、橋が工事中で歩行者は通れなくなっているのは想定外だった。
そして橋のアーチ部分にも工事の仮囲いが取り付けられていてがっかりである。
橋の上には工事用車両が、アーチ橋には工事の仮囲いが
それでも、途中の道路から見られる雪の残ったブナ林の風景に目を奪われた。
車を停められる場所を見つけて、そのブナ林の中を歩いてみる。
普段なら笹が茂って歩けないような場所だけれど、硬く締まった雪が林床を覆っているので森の中を自由に歩きまわれるのだ。
新緑のブナ林と残雪、北海道では見られないレアな風景だった。
残雪のブナ林、北海道では見られない風景
その先にある酸ヶ湯温泉旅館は懐かしかった。
日本で一番積雪の深い場所を見てみたくて、8年前の2月にJRとバスを乗り継いで訪れたことがあるのだ。
その時の積雪は4m、今は駐車場の片隅にかろうじて雪山が残っているだけだった。
酸ヶ湯温泉駐車場の雪山
次に寄り道したのは睡蓮沼。
鏡のような水面に映り込む八甲田連峰の姿が美しいらしいが、残念ながら少し風が吹いているので水面にはさざ波がたっていた。
そもそも、肝心の八甲田連峰が雲の中なので、さざ波は大して関係ない。
それでも、残雪に覆われた山の一部は見えていて、新緑と残雪のコントラストは見応えがある。
睡蓮沼と八甲田連峰
新緑と残雪ならば、ここに来る手前にもっと美しい場所があったけれど、車を停める場所がなくて素通りしていた。
ここからならば歩いても大した距離じゃないので、そこまで車道を歩いていく。
新緑と残雪、そして雪の融けた湿原に広がるミズバショウの大群落。
これも素晴らしい風景だった。
雪渓と水芭蕉
そうして午後3時過ぎに今日のキャンプ地である宇樽部キャンプ場に到着。
3年前の東北の旅ので泊まろうと思っていたキャンプ場だけれど、まだオープンしていなくて同じ十和田湖の生出キャンプ場に泊まっていた。
今回はそのリベンジである。
美しい水辺の風景
狙いは勿論湖畔のサイトだったけれど、平日にも関わらず先客でほぼ埋まっていた。
最近のキャンプブームを反映して、そのほとんどがソロキャンパーだ。
やっぱり湖畔のサイトは人気がある
少し傾斜があるのを我慢すればテントを張れそうな場所もあったけれど、それ程湖畔サイトに拘りはないので、湖から少し離れた林間にテントを設営。
今回はここに2泊して明日は奥入瀬渓流を歩く予定なので、静かに快適に過ごせることが第一条件なのである。
湖はチラッとしか見えないけれど落ち着ける場所だ
管理棟では薪を販売していて、殆どのキャンパーはその薪を購入しているようだ。
場内を歩いてみると、十分に現地調達は可能である。
周辺で枯れ枝等を拾えるのに、どうしてわざわざお金を払って薪を買うのだろうと何時も不思議に思うのだけれど、競争相手がいないのでこの方が私達にとっては好都合なのだ。
二日分の焚き火用の薪を十分に集めることができた。
焚き火用の薪も十分に集められた
この時期に長期の旅に出ると困ることが一つある。
それは毎日収穫している庭のアスパラが育ち過ぎることだ。
先日、十勝の実家に5日間出かけている間だけでもかなり育ってしまったのに、今回の10日間の旅で我が家のアスパラ収穫は完全に終わってしまう。
そのために、旅に出る朝に収穫できそうなものは全て収穫して持ってきていたので、この日の夕食から早速そのアスパラが登場することとなった。
自宅から持ってきたアスパラが夕食に
食後は直ぐに焚き火を始める。
テントを張り終わってから、直ぐ隣に街灯があることに気が付いた。
頭上は木の枝が広がり、サイトから星が見えるような状況でもないので、今回に限ってはそれも許せる。
快適なキャンプ初日の夜だった。
街灯の明かりが少し眩しい