北海道キャンプ場見聞録
瀬戸内の旅(紫雲出山・雲辺寺)
石鎚山白石旅館(4月5日~6日)
荘内半島オートキャンプ場浦島での朝、テントの外を覗いてみると、海の向こうの水平線近くの空が真っ赤に染まっていた。
直ぐにカメラを抱えてテントから飛び出す。
三角の山は飯野山か?
シルエットになっている三角おむすびのような形の良い山は昨日登った讃岐富士だろうか。
その讃岐富士の直ぐ隣から朝日が昇ってきた。
期待通りの朝の風景である。
美しい朝日
この日は朝からイベントが控えていた。
キャンプ場の直ぐ裏にある標高352mの紫雲出山は、香川県内でも指折りの桜スポットである。
山頂付近に桜の森が広がり、駐車場もあるけれど、桜の季節には入山規制がかかり、事前予約した車だけが入山できるようになる。
一番早い時間帯に申し込んだ車は午前8時半までに集合して午前9時から入山するようになる。
早目に朝食を済ませて山へ向かう
そんな面倒なことはしたくないし、どうすれば良いのかと調べてみると、入山規制されるのは車だけで、歩いて登る人は関係なく時間の制限もないのだ。
これならば、車の人達が登ってくる前に桜の風景を楽しむことができそうだ。
そこで朝食を早めに済ませ、午前6時半に箱峠の登山口に車を停め、そこから山頂を目指すことにした。
元気よく登り始めたけれど
登山口の標高は40mくらい。
結構急な登りが続き、途中からは丸太階段で一気に登っていく。
延々と続く丸太階段を見て頭がクラクラしてきた
そして標高207mの小ピークまで登ってくると、今度は下りとなる。
少し下るだけかと思ったら、そのまま延々と下り続け、標高差50mを下ってしまう。
必死に登ってきた後の下りは辛い
そして再び情け容赦のない急登が続き、40分弱で紫雲出山山頂に到着。
標高も低く朝の散歩の延長程度に考えていたけれど、登り返しの分も含めた標高差は約360m。
昨日登った飯野山や高屋神社のある稲積山をも上回っていて、早朝からの結構ハードな山登りだった。
しかし、そんな疲れも吹き飛ぶくらいに山頂周辺は桜の花に埋め尽くされていた。
満開の桜が出迎えてくれた
花に囲まれる
誰もいない山頂で桜の風景を楽しめると思っていたら、周辺には何人かの人影があった。
紫雲出山には私達とは反対側から登ってくるルートも有り、多分そちらの方がルート的には楽に登れていたかもしれない。
展望台からの風景
一番乗りではなかったけれど、車で登ってきた時のことを想像すれば、この風景をほとんど独り占めと言っても良いだろう。
かみさんと分かれて、それぞれに自分の気に入った風景にカメラを向ける。
かみさんのインスタ映え写真
桜の花も素晴らしいけれど、紫雲出山の桜は瀬戸内海の風景と一体となって更にその美しさを増している気がする。
そんな風景がインスタ映えすると評判だけれど、最近の観光地はインスタ映えするかどうかが人気の基準になっているようだ。
桜の花に隠れるように、ツバキも少しだけ植えられていた。
ピンクの風景の中で見る赤いツバキの花がとても新鮮に見える。
斑入りのツバキなど色々な品種がある
海と桜の風景を写している時、私達のキャンプ場が真下に見えているのに気が付いた。
もしかしたら、そこから直接登ってくるのが一番近かったかもしれない。
左端に我が家のテントが見える
午前8時半には登山口まで降りてきて、キャンプ場へと戻る。
朝露で濡れていたテントもかなり乾いていた。
ゆっくりと片付けをして午前10時過ぎにキャンプ場を後にした。
明日は石鎚山に登ることにしたので、今日はその麓の旅館を予約していた。
時間の余裕があるので、雲辺寺に寄っていくことにした。
そこを選んだ理由は、ここにも人気のインスタ映えスポット「天空のブランコ」があるからだ。
観音寺市の財田川に架かる三架橋を通る時、四国お遍路の時にこの橋を渡って第69番札所観音寺に参拝したことを思い出す。
こうして車で回っていると、お遍路の時に歩いた場所を何度も通り過ぎる。
写真はお遍路の時に歩いて渡った三架橋、特徴のある橋なので直ぐに記憶が蘇った
これから向かう雲辺寺は第66番札所だ。
四国88ヶ所の中でも標高が一番高い場所にある札所だが、今日はそこをロープウェイで登るので楽勝である。
ロープウェイで雲辺寺を目指す
ただ、カーナビに従ってロープウェイ乗り場を目指していると、とんでもない山道にナビされて、正しい道に戻るのに一苦労させられた。
雲辺寺ロープウェイは全長2600m、高低差660m。
そこをわずか7分で運んでくれる。
下りのゴンドラとすれ違う
ロープウェイ山頂駅に降り立って真っ直ぐに向かったのは天空のブランコ。
天空のブランコは雲辺寺に在るわけではなく、雲辺寺山頂公園に作られた施設である。
ここの標高は920m。
観音寺市街を真下に見下ろしながら乗るブランコは、まさに天空のブランコだった。
写真も良いけれど、このブランコに乗るのも気持ちが良い
ブランコには大型と小型のものがあって、小型のブランコの方がインスタ映えする気がする。
私も小型ブランコの方に乗って大きく揺らしていたけれど、横に立っている看板を見ると体重制限60キロと書かれていたので、太っている人は乗らないほうが良いだろう。
天空のフォトフレーム
その隣りにある天空のフォトフレームも人気がある。
ここもインスタ映えスポットとして人気を得るために、色々と工夫しているようだ。
人間ロケット
他にも色々な撮影スポットが用意されていて楽しめる。
これは觔斗雲(きんとんうん)?
勿論、素のままの風景も素晴らしい。
少し霞んでいるけれど、明日登る予定の石鎚山らしき山も遠くに見えていた。
見えているのは石鎚山か?
お遍路の時は雨が降っていて、苦労して登ってきたのにこんな風景は全く見られなかった。
記憶に残っているのは雨に濡れた五百羅漢の姿だけである。
それで最後にその五百羅漢と記念撮影をして山を降りた。
雲辺寺五百羅漢
ロープウェイ山麓駅の隣りにあるお食事処雲海亭で昼食にする。
私はここで香川県最後のうどんを食べた。
まあまあ美味しいうどんだったけれど、これまで食べたうどんは4箇所とも食べログ点数3.5以上の人気店ばかりだったので、それと比べるのはちょっと気の毒である。
それでも、香川県で初めてセルフサービスでない店でうどんを食べられたのは良かった。
こんな場所で食べるうどんとしては美味しかったけれど
雲辺寺ロープウェイを後にして、今度は午後3時半に石鎚登山ロープウェイ下谷駅までやって来た。
それにしても1日に2回もロープウェイに乗るなんて初めてである。
今日泊まる石鎚山白石旅館は、標高1450mにある石鎚神社中宮成就社境内にあるので、ロープウェイに乗っていかなければならない。
ロープウェイの券売所のお姉さんから「アイゼンを持ってますか?」と聞かれる。
今時期の石鎚山はまだ雪が残っているのが分かっていたので軽アイゼンを持ってってきたつもりが、車に積むのを忘れていたのである。
それで山頂まで登るのは無理なので、行けるところまで行って石鎚山の姿を少しでも近くから見るつもりでいた。
「あの~、それが忘れてきちゃったんですよね~」と答えると、彼女は冷たい表情で「石鎚山はこの時期にアイゼン無しで登れる山ではないと私は思います」と言って乗車券を渡してくれた。
雲辺寺ロープウェイよりも延長は短いけれど、こちらは高低差が839m。
ロープウェイから眺める風景も完全な山岳景観だ。
標高1270mまで一気に運んでくれる
山頂成就駅で降りた後はリフトに乗って石鎚神社成就社に向かうつもりでいたら、リフトが運行するのは4月下旬から。
しょうがなく歩いて向かったけれど、成就社までの距離は800m、高低差は130m。
成就社に参拝してから、ついでに展望台まで行ってみようと更に100mくらい登ったけれど施設老朽化により近づくこともできず。
展望台まで登らなくても途中で石鎚山の姿を見られたので良しとする。
やっぱり石鎚山は格好良い!
それにしても、一昨日はに女木島の鷲ヶ峰、昨日は飯野山と稲積山、そして今日は紫雲出山と最後のこの登り。
本番に備えた良いトレーニングと言うよりも、本番を前にして疲れてしまった気がする。
境内には私達の他に人の姿はなく、閑散としていた。
今はまだ登山シーズン前で、ロープウェイも4月11日から19日まで定期点検で運休してしまう。
シーズン幕開けはロープウェイの運行が再開されてからになるのだろう。
付近に人影は無く、出迎えてくれたのは宿で飼われている猫一匹
宿の宿泊者も私達だけ。
ここは、旅館とは言いながら、山小屋的な宿泊施設なのだろう。
かみさんはここまで来る前に「飲み物を買っていった方が良いかしら」なんていうので、山屋なんて飲兵衛ばかりなのだからビールの自販機くらいあるだろうと答えておいた。
宿の部屋からは成就社が目の前に見える
自販機は無かったけれど、売店にビールが置かれていた。
値段が高いのはしょうがないが、その価格設定が微妙である。
500mlが500円、350mlが400円、瓶ビール大瓶633mlが700円。
どう考えても500mlがお得なので、それを買って部屋で飲もうとしたら宿の人が慌ててやって来て、「500mlは期限切れでした」と言って大瓶と取り替えてくれた。
美味しい夕食だった
申し訳なかったので、夕食時は正規の値段で瓶ビールを購入。
料理は質素だけれど、品数が多くてとても豪華に見える。
ゆっくりと休んで明日の登山本番に備えた。