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九州の旅(阿蘇・南小国)

蔵迫温泉さくらコテージ(4月16日~17日)

阿蘇坊中野営場での朝は、テントを叩く雨音で目が覚めた。
天気が下り坂になるのは分かっていたけれど、こんなに早く降り出すとは想定外である。

その雨も直ぐに止んでくれたので、テントに付いた雨粒を拭き取って朝食。
しかし次の雨雲が近づいてきていたので、朝食を済ませて早々に撤収開始。
最後にテントを片付けようとしていたところに、ポツポツと雨が落ちてきた。
一瞬、動きが止まったけれど、そこからの撤収の早さは他の人に見せてやりたいくらいの手際だった。

ここの汚いトイレには入りたくなかったので、7時半にキャンプ場を出発して、道の駅阿蘇の快適なウォッシュレットトイレで用を済ませた。
雨も止んでいたので、当初の予定通り再び阿蘇山へと向かう。

阿蘇高岳
雨は止んだけれど生憎の曇り空だ


ただ、曇り空で風も強かったので予定していた高岳登山は諦めて、中岳火口まで有料道路を使って車で登ることにする。
2年前に訪れた時は噴火警戒レベルが引き上げられて、この有料道路も閉鎖されていたので、今回が初めての火口見学である。

阿蘇中岳火口
避難用ドームがある阿蘇中岳火口


荒涼とした風景の中に避難用のドームが点在している。
帽子が吹き飛ばされそうになる強風の中、火口周辺を回る遊歩道を一周する。
良く目にする写真では緑色に染まる火口湖が写っているけれど、遊歩道からは火口の底までは見ることができず、噴気か水蒸気が立ち昇っているのが見えるだけ。

阿蘇中岳火口
遊歩道からは火口湖までは見えない


火口湖が見える場所にはもう入られなくなっているのだろうか。
これならば、柱状節理の火口壁(アグルチネート)の見られる旧火口の方が見ごたえがある。

阿蘇中岳火口
旧火口の火口壁の柱状節理が格好良い


とにかく風が強くて、ゆっくりと見て回る雰囲気じゃない。
荒涼たる風景が広がる砂千里ヶ浜も駐車場から眺めるだけで終わらせてしまう。

砂千里ヶ浜
砂千里ヶ浜には駐車場から登山道が延びていたけれど眺めるだけで終わってしまう


やっぱりここでは、高岳まで登らないと阿蘇の魅力は十分に楽しめないようである。
この日は天気が崩れる予報だったので黒川温泉近くの温泉付きロッジを予約してあった。
この後は、チェックイン時間の午後3時まで、南小国町周辺を観光して時間をつぶす予定である。
昨日ステーキで食べたばかりの阿蘇赤牛の写真を撮って、阿蘇にお別れをする。

阿蘇赤牛
赤牛と阿蘇カルデラ、阿蘇で好きな風景の一つだ



大観峰等の他の観光地には寄らず、真っ直ぐに向かったのは南小国町の「押戸石の丘」。
今回の旅ではパワースポットとして紹介されている場所を多く回っていたが、ここもミステリーパワースポットとされている。

受付の小さな小屋で入園料200円を払うと、磁石を貸してくれた。
ここの丘には磁気を発する石もあるらしい。

そこからしばらく歩いて丘の上に登っていくと、そこには無数の巨石が転がっていた。
それはストーンサークルの様な規則性もなく、本当にただ転がっているといった様子なのである。

押戸石の丘
霧島連山の姿が素晴らしく、古代人がこの丘を聖なる地と考えたとしても不思議ではない


主な石には「はさみ石」「祭壇石」「鏡石」などの名前が付けられて、それぞれに意味があるようだ。
中でも「鏡石」にはシュメール文字が刻まれているらしい。

押戸石の丘はさみ石
メタボの方はこのはさみ石を通り抜けられないかも


シュメール文字は世界最古のくさび文字であり、そんな文字がこんな場所に刻まれているわけがない。
そう思いながら注意深く見てみたが、やっぱりただの石の模様にしか見えない。
しかし、日本ペトログラフ協会に調査依頼をした結果、シュメール文字であることが確認されたという。
まあ、深くは追求しないでおくこととして、これらの石が人工的に置かれたことは確かなようで、貴重な古代の遺跡である。

押戸石の丘鏡石
シュメール文字が刻まれているらしい


特に、磁気を発しているという一番大きな「押戸石」は、磁石を持ってその周りを回ってみると、確かに途中で方位が変わったのである。
やっぱりここは、ミステリーパワースポットのようだ。

押戸石の丘
この押戸石が磁力を帯びているのは確かである


ポツポツと雨粒が落ちてきたので、急いで駐車場へと戻る。
かみさんがパンフレットを見て、「石に登ると雨が降る言い伝えがあるんだって」と口にした。
そう言えば丘の風景の写真を撮る時に、私は一つの石の上に登っていたのである。

南小国町は水が美味しいので、その水を使った蕎麦屋が多く集まるそば街道がある。
丁度お昼になっていたので、ネットで調べてその中の「吾亦紅」という店に入った。

吾亦紅
入った店が当たりだと嬉しくなる


店の雰囲気も良く蕎麦もとても美味しかった。
後で調べてみると、そば街道の店の中では食べログの点数も一番高い店だったので、少し得した気分になれた。



次に向かったのも、パワースポットとして知られる鍋ヶ滝。
入園料として300円かかるのだが、その金額が惜しくない程の美しい滝だった。

鍋ヶ滝
私が今までに見た滝の中でもトップクラスの美しい滝だ


特に滝の裏側から見る風景が素晴らしかった。
滝の裏側には大きな洞窟のような空間が広がっていて、そこに入ることができるのだ。

この空間は、阿蘇の9万年前の巨大噴火による火砕流が谷間に流れ込み、その下の柔らかい地層が水に削られてできたとのこと。
阿蘇からは遠く離れたつもりだったけれど、こんなところにまで巨大噴火の影響が及んでいるのだと知り、改めて阿蘇の凄さを実感したのである。

鍋ヶ滝
水のカーテンという表現がピッタリである


滝の近くに、沢山の案山子が庭先に並んでいる面白い民家があった。
案山子と言うにはそのクオリティが高すぎる。

ここに乗せた写真の他にも、道路際で釣りをしている案山子もあって、思わず笑ってしまう。
旅先でのこんな発見も楽しいものである。


この中に本物の人間が紛れていても気が付かないかもしれない


次に向かったのは下城の大イチョウ。
巨木巡り観光の続きで、道路地図に載っていたスポットである。
現地の説明板によると、幹周10m、樹高20m、樹齢約千年となっていた。
国指定の天然記念物にもなっていて、私が調べた中では天然記念物のイチョウは全国で20本程度である。

下城の大イチョウ
やっぱり、イチョウの巨木は黄葉の季節に見る方が良い


イチョウも巨木が多いけれど、このイチョウは過去に私が見た中ではかなり大きい方に属する気がする。
ただ、見た目は何本かのイチョウが合体したような幹の様子なので、その点では少し迫力不足の気がした。

大イチョウの隣りにある駐車場から反対側の川の方を見下ろすと、立派な滝が見えていたので驚いた。
看板を見るとその滝には下城滝の名前が付いていて、その直ぐ上流には鍋釜滝という滝もあるみたいだ。

下城滝
現地で初めて存在を知った下城滝


対岸に渡ると駐車場があり、そこから遊歩道を歩き、立派な吊橋を渡ると鍋釜滝を間近で見られる場所に出てくる。
そこには甌穴も沢山見られた。
手書きの看板には「甌穴が鍋や釜のように見えるのでなべかま滝だとさ」書かれていた。
遊歩道の途中からは下城滝を真上から見下ろせる場所もあった。


鍋釜滝はこの上にあるのだけれど、この甌穴が滝の名の由来になったらしい


巨木を見に来たら、そのついでに滝を2つも見られて、得した気持ちになってそこを後にする。

かみさんの希望で、小国町の道の駅でジャージー牛のソフトクリームを食べ、買い出しを済ませ、そして最後に見に行ったのは、またしても巨木観光シリーズで「竹の熊の大ケヤキ」。
大ケヤキは南小国町の竹の熊菅原神社境内にある。
小さな社があるだけの神社だが、その横にあるケヤキは大きかった。

竹の熊の大ケヤキ
かなり傷んでいるのが残念な竹の熊の大ケヤキ


このケヤキも国指定の天然記念物になっていて、説明板によると幹周り13m、樹高35m、樹齢は千年を優に越し、西日本では最大のケヤキで、全国のケヤキランキングでも第5位になっているとのこと。
しかし、このケヤキはかなり傷んでいて、太い枝も何本か折れてしまったような跡もあり、巨樹としての姿に迫力は感じられなかった。

大ケヤキから今日の宿である蔵迫温泉さくらまでは、10分少々。
午後3時過ぎにチェックイン。
ここは有名な黒川温泉の直ぐ近くで、周辺は温泉だらけ。
源泉毎にそれぞれの温泉の名前が付いているようだ。

今回の旅では1回位は豪華に温泉旅館に泊まろうかと考えて、その候補地は黒川温泉になっていた。
しかし、何処の宿も1泊2食付きで1人軽く2万円を超える金額。
かみさんは少食なので、そんな高級宿に泊まっても夕食を食べきれないのは目に見えていた。

そこで見つけたのが今回の宿「蔵迫温泉貸別荘さくら」である。
オートキャンプ場も併設していて、要はキャンプ場の温泉付きコテージに泊まるようなものである。
料金は素泊まりで1人6500円と、私達が泊まる宿としては高めだけれど、黒川温泉の宿に泊まるよりはずーっとリーズナブルである。

蔵迫温泉貸別荘さくら
この温泉は最高だった


キッチンもあって普通の家と変わりはなく、しかも源泉かけ流しの広いお風呂があるのだ。
かみさんは久しぶりに立つキッチンなので、張り切って手捏ねハンバーグを作ってくれた。

蔵迫温泉貸別荘さくら
キッチンもあるのでかみさんは喜んでいた


私が嬉しかったのは広いテラスで堂々とタバコが吸えることだった。
私はタバコは止めているけれど、カヌーや山登り、キャンプの時だけはタバコを吸っても良いことにしている。
つまり今回の旅では、禁煙のビジホに泊まった時以外は、ずーっと普通にタバコを吸っているのだ。

蔵迫温泉貸別荘さくら
屋根付きのテラス、ここでバーベキューをする人も多いみたいだ


温泉に入ってビールを飲んで、快適な夜は更けていった。


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