北海道キャンプ場見聞録
九州の旅(雄川の滝・桜島)
くにの松原キャンプ場(4月11日~12日)
夕日の楽しみが終われば、車の通行音が煩いこの神川キャンプ場に長居は無用。
早めに撤収して、午前7時半過ぎにキャンプ場を出発。
少し逆戻りになるけれど、この日の最初の目的地は雄川の滝。
最近になってその美しさから急に人気が出てきた滝である。
Googleナビのし指示通りに走っていると、何か変な方へ誘導されそうなので、途中からナビを無視して道路看板に従って走ることにした。
そして午前8時に駐車場に到着。
しかし、滝まではそこから更に1200mも歩かなければならなかった。
駐車場からそんなに遠いとは思っていなかったので急ぎ足で滝を目指す。
滝への遊歩道は雄川沿いに続いている
遊歩道は、雄川の滝から流れてくる川沿いに続いている。
その川の水はとても澄んでいて、しかも青く染まって見えるのである。
その美しさに息を呑む。
青く染まる雄川の流れ
そして辿り着いた雄川の滝。
その大きな滝壺は、更に美しいコバルトブルーに染まっていた。
事前に写真では見ていたけれど、その美しさは写真以上である。
大体の観光地は写真で見る方が美しいのだけれど、雄川の滝は全く逆だった。
雄川の滝全景、昔はこの中州も無かったらしい
上から水が流れ落ちると言うよりも、大部分は岩盤から湧き出した水がそのまま流れ落ちているようだ。
滝壺が美しい色に染まって見えるのも、その湧き水のせいなのかもしれない。
見事な色に染まる滝壺
そこへ、遊歩道などの管理をしているおじさんがやって来て色々と話をした。
滝壺には砂が溜まって中洲になっているが、以前はその中州がなく、全体が大きなプールになっていたそうである。
今は展望台の上からしか滝を見られないが、展望台ができる前は滝壺まで自由に近づけたとのこと。
できればもっと近くから見てみたいものである。
滝の流れ落ちる岩盤の節理も見事だ
この滝の上流にも滝を見下ろす展望台があるらしいが、そこからは滝はよく見えないらしい。
ナビが誘導していたのは、その上流の展望台だったのだ。
大雨が降るとこの美しい滝も一変するとのこと。
スマホで撮影した動画を見せてもらったけれど、岩壁全体が見えなくなるくらいに濁流が流れ落ち、もの凄い迫力である。
そんな時は遊歩道を通行止めにするのだけれど、先に見に来ていた人がいたので、膝まで水に浸かりながらその人を連れ戻したこともあったそうだ。
岩盤の中から染み出す湧き水
滝壺の中を大きな魚が群れになって泳いでいるのが見えたが、それは鯉だと教えてくれた。
この滝壺にはオレンジ色の鯉も棲んでいて、毎日通っている管理人さんも今まで8回しか見たことがないという。
滝壺の中を悠々と泳ぐ鯉の群れ、手前の鯉はオレンジ色じゃなくて茶色とのこと
それを聞いて目を凝らして探してみたところ、遠くの方にオレンジ色の魚らしいものが動いているのを確認。
管理人さんも驚いていたので、私達はとてもラッキーだったようだ。
私達が札幌から来ていることを知るとこの管理人さんも喜んでくれた。
しかし、そろそろ車に戻ろうと思っていたのに、ただでさえ話し好きのおじさんが、それで更に話が長くなり、なかなか帰るタイミングを掴めなかった。
丸い枠の中にオレンジ色の鯉がいた
それもまたこの滝での良い思い出となって、午前9時に駐車場を出発。
次の目的地は桜島である。
国道269号を走っていくと、時々桜島の姿が見えるようになってくる。
そして突然、桜島の山頂から真っ黒な噴煙が噴き上がるのが見えた。
かなり大きな噴火である。
何処かで車を停めてその写真を撮ろうと思ったが、またしばらく桜島の姿が見えなくなる。
一刻でも早く桜島まで行きたくて気が急いてくる。
ここもインスタ映えする神社である
そんな時、小さな小島と海岸が砂州で繋がっていてそこに鳥居が立っている面白そうな場所を見つけ、寄り道することにした。
まあ、そこの神社に興味があったというよりも、小島に渡れば桜島が見えるかもしれないと思ったのが正直なところだ。
この神社は荒平天神(菅原神社)で菅原道真が祀られている。
満潮の時は渡れなくなるようだ。
社殿は小島の頂上にあって、凄く急な階段が見えていた。
しかし、そこまで登っても桜島は見えないようなので先を急ぐことにする。
道の駅「たるみずはまびら」の駐車場からは桜島が良く見えたけれど、既に噴煙はかなり治まっていて、噴き出した噴煙は桜島の東側へと流されていた。
道の駅に隣接する「海鮮よかもん市場」で美味しそうな生寿司が売られていたので、これを今日の昼食にすることにして購入。
ようやく桜島の姿が見えた時には、吹き上がった噴煙は鹿児島市方面に流れてしまっていた
桜島に近づくと次第に火山らしい荒々しい風景が目に付くようになってくる。
しかし、視線を海の方に転じると、そこにはとても穏やかな風景が広がっている。
そんなアンバランスさが印象的である。
カンパチの養殖施設だろうか、穏やかな海の風景だ
有村溶岩展望所までやって来て、そこの遊歩道を少し歩いてみる。
ここは桜島の風上側になるので、噴煙も殆ど気にならない。
しかし、一旦風向きが変わればここにも火山灰が降ってくるのだろう。
そんな時でもここのお土産屋は営業しているのだろうか。
荒れ地に生えるニセアカシアの花と荒々しい姿の桜島
遊歩道の上にも火山灰は積もっているし、噴火時に避難するための施設もある。
火山が直ぐ近くにあることを実感させられる。
最後に目指すのは湯之平展望所。
しかし、そこは桜島の風下側に位置している。
あれだけ大きな噴煙が上がった後では、展望所も閉鎖しているんじゃないだろうか。
そんな心配もしていたけれど、この程度の噴火は日常なのだろう。
降灰により見通しも悪くなる
「火山灰が積もっている時はスリップに注意してください」と書かれた看板があるくらいで、降灰で道路の見通しが悪くなるくらいは全く問題ないようである。
そうしてやって来た湯之平展望所は、降灰範囲からは外れていて桜島山頂を間近に見ることができた。
それでも細かな火山灰が待っているのか、目が痛くなってくる。
火山灰の流れる方向が少しずれていて良かった
桜島の火山灰は鹿児島市内の方へと流れていた。
私達が10日前に鹿児島市内に居た時よりも酷い状態になっているのだろう。
火山灰は鹿児島市街地の方向に流れていた
そこから山を下り、フェリー乗り場近くの駐車場に車を停めて、そこで途中で買ってきた生寿司を食べる。
近くに停めてあった車は灰を被って真っ白になっていた。
火山と共に生活するのは本当に大変そうだ。
鹿児島の降灰と札幌の降雪は同じ感覚なのだろうか
帰り道、垂水市で「映画ホタルロケ地」の看板を見つけて港に行ってみたが、何処がロケ地なのかは分からないままにそこを後にする。
しかし、そこから眺める海に浮かぶ無数の養殖施設とその後ろで噴煙を上げる桜島の風景に感動した。
桜島周辺に住む人達は、長い間こうして火山と共に暮らしてきたのだろう。
札幌に帰ってから「ホタル」を見たけれど、九州に来る前に見ておけば良かったと後悔した
そのまま集落の中を走っていくと海潟さくら公園に行き着いた。
なんの変哲もない公園だけれど、日曜日なので多くの地元の人達がそこで寛いでいた。
公園の前の干潟ではおばあちゃんがアサリ採りをしている。
そこに流れる緩ーい時間が何となく心地良かった。
私もここでアサリ採りをしたかった
その公園にあった海潟の案内看板で、内田菓子店で売っている「きぬさや最中」が名物らしいことを知り、店まで買いに行く。
耳の遠いおばあちゃんが店番をしていて、如何にも田舎のお菓子屋さんって雰囲気が良い。
この絹サヤの形をした最中、形も面白いけれど味も良くておすすめである。
こんな地元の店に入るのも面白い
この日の宿泊は大隅半島を横断した先にあるくにの松原キャンプ場である。
途中、高峠つつじ公園に寄り道。
ここは、自生するサタツツジが開花期には全山を赤く染めて花見客で賑わうようだが、今はまだ一部が咲き始めたばかり。
それでも、日曜日なので花見客の姿が結構あった。
高峠つつじ公園のツツジは開花初めといったところだろうか
買い物を済ませて午後3時半にキャンプ場到着。
ここは電源付きのオートサイトが1区画2630円と低料金である。
受付ではサイトを指定されず、今日は空いているから好きなところにテントを張って良いですよと言われる。
空いている時でも受付時にサイトを決めさせられるキャンプ場が多いけれど、こんな対応をしてくれるキャンプ場が私は大好きだ。
場内をぐるりと一周りしたけれど、松林が広がっているだけでロケーション的には何処も大して変わらないので、適当に場所を決める。
各サイトには野外卓もあるのが嬉しい。
電源があるはずなのだけれど、それが何処にも見当たらない。
管理棟まで聞きに行こうとしたら、野外卓のテーブルの下にコンセントが有るのにかみさんが気がついた。
大体は鍵付きの電源ボックスの中にコンセントが有るのだけれど、この緩さでますますこのキャンプ場が好きになった。
名前の通り松林の中のテントサイトだ
お風呂は近くの道の駅に併設された温泉に入るつもりでいたけれど、それが改修工事中で入れず。
受付時に紹介された蓬の郷の温泉に入りに行ったが、日曜日なので大混雑。
何とか入ることはできたけれど、ゆっくりと汗を流す雰囲気ではなかった。
しばらくの間、ゴミ持ち帰りのキャンプ場ばかりに泊まっていたので、ゴミもかなり溜まってきていた。
せめて燃えるゴミだけでも燃やしたいとかみさんが言うので、薪を購入することにした。
しかし、購入した後で場内を歩いてみると、結構な量の枯れ枝等を拾い集めることができて、この薪は殆ど手を付けないままに持ち歩くことになってしまう。
薪を買わなくても場内で十分に拾うことができた
ライダーさんが声をかけてくれた。
誰かと思ったら、昨日神川キャンプ場で私達の直ぐ横にテントを張ったライダーさんだったのである。
全然離れた場所でまた一緒になるなんて本当に奇遇である。
夕食を済ませて直ぐに焚き火を始める。
焚き火台を使用しての焚き火は、今回の旅でこれが初めてだった。
最初は紙のゴミだけ燃やしていたけれど、火が大きくなってくるとプラゴミも燃やして、結局溜まっていたゴミは殆ど処理することができたのである。
ごみ処理が目的の焚き火は初めてかも
ここのキャンプ場には猫が沢山棲み着いている。
管理棟で面倒を見ているらしく、夜中に管理棟のトイレに入りにいくと管理棟の階段やテラスでは暗闇の中で猫の目だけが無数に光っていて、何とも不思議な光景だった。