北海道キャンプ場見聞録
九州の旅(えびの高原・塩浸温泉)
北薩広域公園オートキャンプ場(4月6日~7日)
この日は霧島連山をもう少し極めるため、えびの高原で池めぐりトレッキングを楽しむことにした。
霧島高原国民休養地のキャンプ場はチェックアウトの時間が12時なので、テントの撤収はトレッキングから戻ってからすることにして、朝食を済ませて直ぐに出かける。
池めぐりコースは2時間で一周できるけれど、火山活動の活発化に伴い通行規制箇所があり一周はできないようだ。
詳しい情報が何処にも出ていないので、とりあえずは行けるところまで行ってみることにして、午前8時20分に出発。
池巡りコース入口
歩き初めて直ぐに見晴らしの良いえびの高原展望台に登ってきた。
展望台の案内板を見て、目の前に見えている山が霧島連山最高峰の韓国岳であることが分かった。
「何でここの山に韓国の名前が付いているの?」と不思議に思ったが、山頂から韓国を眺望できることが山名の由来になったとされているらしい。
えびの高原展望台から見る韓国岳
アカマツ林の中に遊歩道が伸びている。
先を急いでそこを歩いていると、目の前に鹿が現れて歩みが止まった。
それは鹿の方も同じで、お互いに見つめあったまま暫くの間動けずにいる。
私がゆっくりとカメラを取り出すと、それを待っていたかのように鹿はアカマツ林の中へ走り去った。
アカマツ林の中は赤一色だ
途中で二湖パノラマ展望台への分岐があった。
先を急いでいたけれど、5分程度で登れるようなので寄り道する。
えびの高原展望台より100m近く登ってきているので、韓国岳とその手前で噴煙を上げる硫黄山の様子が良く見える。
韓国岳と硫黄山
展望台からは、これから目指す六観音御池とその後ろの甑岳の姿も良く見える。
甑岳の平らな山頂がとても印象的だ。
二湖パノラマ展望台からの眺めは素晴らしかった
元の道に戻って少し下ると白紫池の湖岸に出てきた。
湖面が波立ち空も曇っているので湖の眺めはパッとしない。
湖面が波立つと風景は楽しめない
次に向かうのが六観音御池。
池から池へ向かうのだから平坦な道のりだと思っていたら、これまで登ってきた標高差をそのまま下る感じである。
ここをまた引き返すことになったことを思うと、下れば下る程うんざりしてくる。
そんな気持ちを慰めてくれるのが椿の花である。
樹上で咲いている花も、下に落ちた花もどちらも美しいのが椿なのである。
椿の花は散ってからも美しい
そしてその先で出迎えてくれたのが杉の巨木である。
樹齢500年を超える杉のパワーをひしひしと感じる。
杉の巨木が出迎えてくれた
巨木はその杉だけかと思ったら、その先にも次々に巨木が現れた。
そんな光景に感動していると、六観音御池展望台に到着。
腕時計を見ると午前9時20分、スタートしてから丁度1時間たっていた。
展望台付近には杉の巨木が多い
六観音御池とその先に見える韓国岳。
相変わらず空は雲って、湖面にもさざ波が立っているが、それでも美しい風景だ。
湖面に周りの景色が映り込むと風景がガラリと変わる
遊歩道はここで通行止めになっているのかと思ったら、それを知らせる標識も何も無い。
隣の豊受神社の横に、古ぼけた通行止めの看板が転がっているのに気が付いた。
もしかしたらそのまま一周できるかもしれないとも思ったが、途中まで進んで引き返すことになったらたまらない。
念のため登山口にあったエコミュージアムセンターに電話したところ、やっぱり一周はできないとの返答。
ようやく、下ってきた道をまた登り返す踏ん切りがついて、そこから引き返すことに決めた。
同じ道を引き返すのは面白くないけどしょうがない
帰り道、アカマツ林の中で再び鹿に遭遇。
驚いた鹿は林の中に逃げ込むが、真っ白なお尻がやたらに目立っていた。
かみさんによると、鹿が危険を感じて逃げる時はお尻の白い毛が大きく広がるらしい。
逃げる時に仲間の目印になるようだが、かみさんが何でそんな事を知っているのに驚いてしまう。
逃げる時にお尻の毛が膨らむとは知らなかった
このアカマツ林の中には石を積んだ階段があるのだけれど、石が崩れかけているのでやたらに歩きづらい。
しょうがなく登山者はその階段の脇を歩くことになり、石の階段はただの障害物に成り果てていた。
全く役に立っていない石の階段
帰りは一気に歩いて10時丁度に登山口まで降りてこられた。
そこのお土産屋を覗いてみたところ、そこで売られているものがこれまでの道の駅で見たようなものとは全く違っていた。
考えてみると、ここは宮崎県なのである。
宮崎県に行くのはもう少し先で、まだ暫く鹿児島県の中をうろつくことになる。
そこでは何も買わずにキャンプ場へと引き返した。
テントの数が減ると余計にだだっ広く見えるキャンプ場
今回の旅では屋久島を中止にしたので、その代わりに甑島(こしきじま)に渡ることにした。
フェリーが串木野港から出るので、今日はその近くのキャンプ場に泊まろうと思って探したけれど適当なキャンプ場が見つからない。
結局、5日前に泊まった北薩広域公園オートキャンプ場にもう一度泊まることにする。
料金も安く、温泉もコインランドリーも無料で、サイトも快適。
これ以上条件の良いキャンプ場なんて、そうそうあるものではないのだ。
テントも完璧に乾いて気持ちよく撤収できた
完璧に乾いたテントを撤収して霧島高原を後にする。
途中、塩浸温泉に立ち寄った。
ここは、寺田屋で傷を負った坂本龍馬が療養のために訪れた温泉で、結婚したばかりの妻お龍を伴っていたので、これが日本初の新婚旅行とも言われている。
龍馬ファンにとっては聖地の一つである。
龍馬が高千穂峰の天の逆鉾を引き抜いたのは、確かこの前後だったはずだ。
龍馬の顔が全然違う気がするけど
温泉の建物は拍子抜けするくらいに小さかったが、昔の塩浸温泉の写真を見るとかなり栄えた温泉街だったようだ。
今日のキャンプ場に良い温泉があるので、ここでの入浴はパスする。
現在は小さな日帰り湯があるだけの塩浸温泉
その代わりに、龍馬とお龍が一緒に登った坂道が裏にあるらしいので、そこを歩くことにする。
やたらに急な上り坂で、息を切らしながら上まで登ったけれど、登った先には何もない。
こんな急な道を二人が本当に登ったのかと疑問に思いながら登ったけれど
「この道って何なの?」と思いながら再びそこを下ったのだが、二人が登った道はここではなく、下の方に有った苔生した階段のことだったのである。
この古い階段は当時からそのまま残っているらしい
丁度昼になったので、昼食の店をネットで探したところ、近くに「お食事処 嘉好」という店を見つけてそこに行くことにした。
それが、こんなところにレストランがあるの?と思えるような場所だったのでびっくり。
田舎の一軒家をレストランに改装したような店で、注文した松花堂弁当はなかなか美味しかった。
こんなところで商売が成り立つのかと思えるような場所にあるお食事処 嘉好
この店まで来る途中に見かけた嘉例川駅が良い感じの駅舎だったので、帰りに立ち寄った。
JR肥薩線のこの嘉例川駅は明治36年に営業開始した築100年以上の木造駅舎で、有形文化財にも登録されていたのだ。
無人駅だけれど、週末に販売される駅弁「百年の旅物語かれい川」はJR九州主催の「九州の駅弁ランキング」で3年連続1位に輝いたとのこと。
とても味のある木造駅舎だった
何も知らずに訪れたの駅だったけれど、結構有名な駅だったのでちょっと得した気分だった。
私たちが訪れている時に丁度電車が入ってきた。
かみさんはこの駅が廃線になった路線の駅舎だと思っていたらしく、そこへ突然列車が入ってきたのでビックリしたようだ。
列車が止まる様子を見られたのはラッキー
時間に余裕もあるので、近くの犬飼滝にも行ってみることにした。
駐車場の横にある展望台からは、滝があまり見えない。
滝を良く見るためには遊歩道を川まで降りなければならない。
これがまた急な階段の道で、なんだか今日は階段の上り下りばかりしている気分だ。
なかなか凄い場所にある滝だ
坂本龍馬もこの滝を訪れているらしい。
この川は天孫降臨神話の霧島山を源流とし、正にパワースポットの迫力のある滝だった。
非常に美しい滝である
そこからは北薩広域公園オートキャンプ場まで一気に車を走らせ、買い物も済ませて午後3時にキャンプ場入りする。
2回目の利用なので要領も分かっていて、予約時に指定したサイトは、前回利用した隣のサイト。
前回利用した時は、隣の方が落ち着けそうで良いなと指をくわえて眺めていたのである。
すっかりお気に入りのキャンプ場になってしまった
春休みも終わったのか、前回は結構混んでいたのに今日は先客は1組だけ。
前回から溜まった洗濯物を無料のコインランドリーで洗っている間に、無料の温泉に入り、出てきたら直ぐにビールを開ける。
本当に落ち着けるキャンプ場である。
こんな風景を眺めながらのんびりと過ごす
甑島にはキャンプ場が何箇所かあるけれど、調べてみるとオープンしているのは一箇所だけ。
そのキャンプ場の管理者にやっと連絡が付き、私たちの到着時に合わせて料金を徴収しに来てもらうことにして一件落着。
レンタカーは直ぐに借りられると思っていたが、こちらも既に予約で一杯のところが多く、3件目でようやく予約ができた。
甑島観光を軽く考えていたけれど、意外とハードルは高く、これで何とか明日は島に渡れそうだ。
ようやく安心してビールを飲むことができた。
北斗七星の中を国際宇宙ステーションが通り過ぎていく
夕暮れに国際宇宙ステーションの撮影に成功。
空が更に暗くなってくると星も美しく瞬き始める。
頭の上ではオリオン座が明るく輝いていた。