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九州の旅(高千穂峰)

霧島高原国民休養地キャンプ場(4月5日~6日)

霧も晴れて久しぶりに爽やかな青空が広がっていた。
まずは朝風呂に入る。
三日連続で屋根の下で寝ることができて、すっかり元気回復である。

霧島温泉旅の湯
温泉からの湯煙が朝日に照らされる


午前9時過ぎに霧島温泉旅の湯を出発。
山道を走って眺めの良い場所に出てくると、遠くに噴煙を上げる桜島と錦江湾が見えていた。
今回の旅で初めて目にする桜島の全貌である。

桜島
ようやく桜島の姿を見ることができた


今日の一番の目的は霧島連山の高千穂峰に登ることである。
屋久島縦走の計画は中止にしたけれど、せっかくだから九州の山には登ってみたかったのだ。

昨日気になっていた牧野町特産品販売所に立ち寄って、茹でたタケノコと山に登って食べるための弁当を購入。
鹿児島の道の駅では、何処の特産品販売所でも大きなタケノコが1本200円とか300円とか、北海道では考えられない安値で売られていたが、それをそのまま買ってもキャンプで処理するのは大変なので、指をくわえて眺めるだけだった。
それがこの販売所では茹でて売られていたので、かみさんが喜んで購入したのである。

牧野町特産品販売所
この大きなタケノコが1本300円とは信じられない


最初は青空が広がっていたのに、山はガスがかかって周りの風景は何も見えない。
高千穂川原の登山口から午前10時15分に登り始める。

古宮址天孫降臨御神籬斎場
古宮址天孫降臨御神籬斎場の鳥居をくぐって高千穂峰を目指す


昨日参拝した霧島神宮は1234年まではここにあって、霧島山の噴火により現在の場所に移ったとのこと。
鳥居をくぐった先には古宮址があり、そこで手を合わせてから登山道に入る。

古宮址天孫降臨御神籬斎場
古宮址天孫降臨御神籬斎場に参拝



暫くの間は、林間の石畳の道と石積み階段が続く。
登山道沿いでは白い花が目立っていた。
後で調べてみるとナガバノモミジイチゴの花で、6月頃には黄色い実を付けるらしい。

高千穂峰
殺風景な風景の中でナガバノモミジイチゴの花が和ませてくれる


樹林帯を抜けると目の前に急なガレ場が現れた。
ガスも晴れてきて青空も見えてくる。

高千穂峰
ここからお鉢への急な上りが始まる


ガレ場の斜面からは蒸気が立ち昇って、なかなか幻想的な風景である。
見ているだけなら良いけれど、岩がゴツゴツしていて登るのは大変である。
しっかりとルートを見極めないと、途中で行き場を失うことになる。

かみさんは時々そんな状況に陥り「もう登山なんて嫌だ!」と文句を言いながら登っていた。
「もっとルートを確かめながら登れば」と言いたくなるが、そんな事を口にすると直ぐに喧嘩になるので、余計なことは言わないようにする。

高千穂峰
ルートを誤るとこんな所を登る羽目に


ガスが晴れると直ぐ横に巨大な噴火口が口を開けていた。
急登が終わると、お鉢の周りを歩く馬の背となる。

高千穂峰
ガレ場を登りきるとお鉢が右手に広がる


道幅も狭くなかなかスリリングな道だ。
これ以上狭かったら、かみさんの泣きが入るところだけれど、黙って登っているところを見ると、これくらいは許容範囲のようだ。

高千穂峰
お鉢の縁に沿って登っていく


お鉢を上りきったところから眺めるお鉢の全貌は見事だった。

高千穂峰
山頂からの風景よりも、お鉢の風景の方が良かったくらいだ


脊門丘と呼ばれる場所まで少し下り、そこから高千穂峰の山頂に向かって、最後の急登が始まる。
晴れてきたと思ったら次の雲が流れてきて、先ほどまで見えていた山頂を隠してしまう。

高千穂峰
お鉢と高千穂峰の鞍部まで一旦下って、ここから最後の一登り



そして12時丁度に山頂到着。
ここで一番楽しみにしていたのが山頂に突き立てられている天の逆鉾である。
坂本龍馬がこの逆鉾を引き抜いてしまったとのエピソードがあり、それを一度は見てみたいと思っていたので、ようやく願いが叶った。
龍馬が引き抜いた逆鉾はその後の火山噴火で折れてしまって、現在のものはレプリカらしいが、それでも不満は無い。

高千穂峰
高千穂峰山頂に刺さる天の逆鉾


不満なのは、山頂は晴れていたけれど、周りの雲が晴れずに、最後まで霧島連山の姿を見られなかったことだ。
山頂でお弁当を食べながら雲が晴れるのを待つが、次から次に雲が流れてくるのである。

高千穂峰
雲に邪魔されて霧島連山の全貌が分からない


諦めて12時45分に下山開始。
お鉢の馬の背を歩いているときに、遠くに霞む桜島の姿が確認できた。

高千穂峰
桜島の姿がもっとクッキリと見えれば、まさに絶景と言えただろう


ようやく霧島連山の姿も見えたが、既に標高にして230mは下ってしまったので、山々が重なり合っているので霧島連山の全貌を見られたとは言い難い。
一番奥に頭だけ見えているのが、多分霧島連山最高峰の韓国岳なのだろう。
できればこの風景を、高千穂峰の山頂から見てみたかった。

高千穂峰
ようやく雲が取れて霧島連山が姿を表したが、少し遅すぎた


午後2時に登山口まで降りてきた。
高千穂峰のコースタイムは様々なところで示されているが、平均すると往復で3時間前後。
私たちなら2時間半で十分に戻ってこれるだろうと考えていたが、最近は殆ど山に登っていないので、結局は平均以上に時間がかかってしまった。

今日のキャンプ地は霧島温泉郷の中にある霧島高原国民休養地。
ここでは、広大な芝生広場に自由に車を乗り入れてオートキャンプができるのである。
広すぎて何処にテントを張れば良いか迷ってしまう。
どうせならばど真ん中でも良かったけれど、先客もいたし、やっぱり炊事場やトイレが近い方が良い。
近くで八重桜も咲いていたので、それが見える場所にテントを設営。

霧島高原国民休養地
広大なサイトである


私たちの少し前に到着したキャンパーからは数十メートル離れていたが、場内が広いものだから、遠くから見ると二つのテントがやたらに接近して見える。
私の感覚では「少し近すぎたかな」と気になってしまうが、多分隣のキャンパーはそんな事は全く考えていないだろう。

霧島高原国民休養地
隣のテントから距離をとったつもりだけれど、広大なサイト全体の中では近くに感じてしまう


このキャンプ場には温泉があるので、そこで汗を流すつもりでいたけれど運悪く改修工事中。
しょうがないので、評判の良い霧島ホテルのお風呂に行こうと思って調べてみると、入浴料が千円。
カラスの行水の私たち夫婦なので、風呂に入るのに千円も払う気にもなれず、結局入浴料390円の霧島温泉郷で唯一の立寄り湯であるカジロが湯に入ることにした。
低料金でも源泉かけ流しなのは、さすが霧島温泉郷である。
すっきりとしてキャンプ場へと戻ってきた。

前田温泉カジロが湯
霧島温泉郷では外れの温泉は無いのかもしれない


到着時には青空だったけれど、次第に雲が広がってきて夕日を見れなくなってしまったのが残念だ。
特産品販売所で買った茹でタケノコが、夕食の食卓に上がった。
何処で食べてもタケノコの味に違いは無いが、やっぱり地元で旬のものを食べるのは気分的に全く違うのである。

キャンプ飯
シンプルな夕食は麻婆丼にスープ、タケノコは煮物になって登場


ビールを飲んでいると太鼓の音が聞こえてきた。
地図を見ると、キャンプ場の近くに霧島九面太鼓練習場という施設があった。
霧島九面太鼓とは、九つの神々の面をつけて神話「天孫降臨」を再現するもので、毎年元旦に霧島神宮で奉納されるらしい。
その練習風景を見に行きたかったが、山登りの疲れと酔いも回って動くことができず。
早々にテントの中に潜り込んだ。


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