北海道キャンプ場見聞録
九州の旅(天草前編)
諏訪公園キャンプ場(3月29日~30日)
今日は、雨の影響で一日遅らせた天草観光である。
御立岬公園を出た後は高速道路を南下し、蔵之元港からフェリーに乗って牛深港へと渡る。
フェリーの出港時間は午前9時55分なので、途中で観光している時間はない。
それに乗り遅れると次のフェリーは12時35分になってしまうのだ。
天草を効率よく回るためにはこのフェリーに乗るのが一番良いのである。
当初の予定では天草のキャンプ場に2泊して、ゆっくりと天草観光を楽しむつもりでいたけれど、雨で予定が変わったので、フェリーを使う方法に変更したのだ。
蔵之元港フェリー乗り場
途中、黒之瀬戸大橋で長島へと渡る。
橋のかかる黒之瀬戸は渦潮が見られる日本三大急潮のひとつである。
この黒之瀬戸と橋を一望できる展望所があるはずなのだが、先を急いでいたのでそのまま橋を渡ってしまった。
そして、何とか出港20分前に蔵之元港に到着。
がら空きのフェリー船室
人も車も僅かしか乗っていない。
蔵之元港から牛深港までの時間は30分。
船上からの景色を楽しんでいる間にあっという間に着いてしまう感じだ。
ポールポジションゲット
蔵之元港には何もなかったけれど、牛深港は天草の南の玄関口だけあって観光地らしい雰囲気である。
ただ、観光客の姿は少ない。
道の駅「うしぶか海彩館」は、海の魚が泳ぐ水槽や漁業史資料館などもあって楽しめる。
このまま釣り堀になりそうな水槽
そこから目の前に見えている牛深ハイヤ大橋の姿も迫力だった。
観光案内所でパンフレット等を仕入れてから、天草の一番の観光地である崎津集落を目指す。
当然、その牛深ハイヤ大橋を渡るものだと思って車を走らせたが、ナビを見ると逆方向に進んでいることがわかり、橋を渡ってから一般道を逆戻り。
その時「あれ?別にこの橋を渡らなくても行き来できるんだ!」という事実に気が付いたのである。
牛深ハイヤ大橋を眺めるための展望デッキもある
途中にあったEAT730で昼食にする。
入るのにちょっと勇気が必要な店構えで、一度通り過ぎてしまったけれど、調べてみると食べログの点数も悪くはないので、引き返して入ることにした。
予備知識がないと入りづらい店構えだ
天草のご当地グルメは天草ちゃんぽん。
EAT730のメニューもちゃんぽんだけで、店主から「うちはちゃんぽんしかないよ」と断られたが、それは承知の上である。
美味しかったけれど、具が多過ぎて少食のかみさんは食べるのに苦労していた。
まあ、麺が見えないくらいに野菜などの具が沢山乗っているのが天草ちゃんぽんの特徴らしいので、それはしょうがないところだ。
具が山盛りの天草ちゃんぽん
腹一杯になって崎津集落を目指したが、EAT730で食事をして良いことがあった。
それは、崎津集落の中心部にEAT730の駐車場が1台分あって、そこに車を停めさせて貰えたことだ。
集落の中には駐車場が少ないので、少し離れた場所から歩かなければならないのである。
この日は観光客も少なく、集落の中の小さな駐車場も空いていたのだが、混んでいる時ならば助かっていただろう。
崎津集落の古い町並み
崎津集落は、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界文化遺産に登録されている。
2年前の旅では長崎の関連世界遺産を回っていたけれど、関連遺産の数は多く、全部を見て回るのはなかなか難しい。
教会の建物は確かに格好良いけれど、私は心をあまり動かされない
崎津集落の中での一番の見所は崎津教会。
ただ、私は教会の建物にはあまり興味がない。
崎津教会よりも崎津諏訪神社の方に興味があった。
十字架の刻まれた石の鳥居、そしてその鳥居越しに眺める崎津教会の風景がとても印象的だった。
崎津諏訪神社の鳥居と崎津教会
次に向かったのは大江天主堂。
教会の建物に興味はないと言っても、こちらの方は周りの風景や教会の前庭も美しく、なかなかフォトジェニックな教会である。
寺院建築に日本庭園の風景が似合うように、教会の建物には明るく整形的な庭が似合うのだろう。
大江天主堂は庭と建物の組み合わせが良い
聖母マリア像の前では、不謹慎とは思いつつかみさんに祈りのポーズをとらせてしまう。
マリア像にお祈りする乙女
それよりも、近くの道路沿いに並べられたプラスチックの浮き球を利用したくまモンの顔の方が面白かった。
旅先では、観光施設よりも地元の人達の生活を感じられる風景の方が印象に残るのである
道端のくまモン
その後は島の西岸の道を北上。
途中の十三仏公園では満開の桜が出迎えてくれた。
九州の桜は既に見頃を過ぎているだろうと覚悟していたが、九州入りしてからここまで毎日美しい桜を楽しめている。
十三仏公園の満開の桜
展望台からは天草西海岸の絶景を楽しめ、別の場所からは白鶴浜の美しい砂浜も眺められた。
桜の花と白鶴浜の風景が美しい
今日泊まる予定のキャンプ場まではまだ遠く、途中の富岡城跡に寄り道するかどうかで迷ったが、せっかくなので寄っていくことにした。
特に見るべきものも無かったけれど、本丸跡からの眺めは楽しめた。
その中でも、富岡曲崎と呼ばれる長く伸びた砂嘴は印象的である。
富岡城本丸跡から眺める富岡曲崎
後は後中で買い物を済ませ、キャンプ場を目指してひたすら車を走らせる。
そうして午後4時過ぎに諏訪公園キャンプ場到着。
早くテントを張りたいのに、私達が札幌から来ていることを知った管理人さんの話がなかなか終わらない。
「40年前はこの辺りでももっと沢山魚が捕れて、港の中にも漁船がもっと沢山係留されていた。対岸に見えるヤマハのボート工場では昔は800人が働いていた。川は3面コンクリート張りとなり、家庭排水も流れ込み、魚が穫れなくなった。」
そこに歩いてきた知り合いのおじさんまで話の仲間に加えようとする始末である。
話し好きの管理人さんからようやく開放されて、テントを設営。
車を横付けすることは出来なかったけれど、荷物を運ぶ距離が短くて助かった。
しかし、荷物運搬中にかみさんが転んで、両膝を思いっきり擦りむいてしまった。
持っていた一番大きな湿潤療法型の絆創膏でもカバーしきれないくらいの広さで擦りむいたけれど、骨の方は大丈夫そうなのが不幸中の幸いである。
そんなトラブルの中、今回の旅で初のテント設営も無事に完了。
サイトの前は海水浴場になっているけれど、この時期に泳ぐ人がいるわけもなく、とても静かな環境である。
テントの横にサクラも咲いている。
こんな素朴なキャンプ場が私は大好きである。
午後5時にいなくなる管理人さんが、帰り際にまた訪問してくれて、ひとしきり話に花を咲かせていった。
ちょうど干潮の時間帯らしく、サイトの前には砂浜が大きく広がっていた。
丁度今日が満月なので大潮なので、何時も以上に干満差が大きいのだろう。
サイトの前に広がる砂浜
港を挟んだ向かいの山に日が沈んでいく。
地図で見るとこのキャンプ場は、昨日泊まった御立岬公園とは八代海を挟んで丁度対岸あたりに位置している。
昨日見た夕日は、丁度この辺りに沈んだのかもしれない。
天草の山に沈む夕日
夕食はスーパーで買ってきた弁当。
昨日の夕食も出来合いのおかずを買ってきただけ。
移動距離が長くて、余裕を持ってキャンプ場入りすることが出来ないので、これはしょうがないところだ。
テント泊最初の夜は少々疲れ気味だった
場内で薪を拾い集めることもできそうだけれど、焚き火をする気力もなし。
黄砂で霞んだ空に満月が昇ってきたけれど、それを楽しむ余裕もなく早めに眠りについた。
静かな朝を迎えた。
朝霧に霞む港の様子が心を落ち着かせてくれる。
朝の港の風景
でも、のんびりともしていられない。
テントは結露でびしょ濡れ。
少しでも早く撤収するため、その結露を雑巾で拭き取る。
朝の食卓にデコポンが上がる
今朝の食卓には道の駅で買ったデコポンが上がった。
大きなデコポンが4個で350円。
北海道では考えられない値段である。
その実も、北海道で売られているようなボコボコした感触ではなく硬く締まっている。
そしてとてもジューシーだ。
これが札幌に帰る直前なら、ザックをデコポンで一杯にして持って帰りたいところである。
何とかテントも乾かして撤収でき、午前8時過ぎにキャンプ場を後にした。