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初企画の歴舟川旅

歴舟川の川原(9月5日~6日)

道東自動車道を十勝に入ると、土砂降りの雨となった。
その雨は途中で上がったものの、大樹町に着くまで降り続ける霧雨。
しかし、心配していた歴舟川の水量はそれ程増えていはいなくて、午前9時の本町観測所の水位は61.73m。
3週間前に下った時より6センチ少なく、濁りも酷くはない。

ところが、今回の川旅のメンバーが集まるのを待っている間に、歴舟川の水が濁り始め、水位も見る見るうちに上がってきた。
この状況で川下りを始めることができずに暫く様子を見ることにする。

歴舟川
3週間前はこの状況を見てビビっていたのだけれど・・・


そうして水位の上昇が止まったのを確認し、河口への車の回送を済ませ、キャンプ道具をカヌーに積み込んで、大樹橋の下からスタートした時には、既に12時半を過ぎていたのである。
後で分かったのだけれど、この時の水位は午前11時で61.96mで午前12時には61.91mまで下がっていた。
それでも、前回より12センチ水位が高い状態だった。

歴舟川
水位は12センチ多いだけだが見た目はかなり違う


今回の参加者は、カヤックのI上さんにカナディアンのPosさん、そしてSUPのNもとさんというメンバー。
ビンバさんも参加の予定で現地まで来たのだけれど、体調不良で止めることになる。
今回の川旅をすごく楽しみにしていたのに、本当に気の毒だ。

歴舟川
Nもとさんの装備
歴舟川
Posさんの装備


そのビンバさんに見送られて、増水した川へと漕ぎ出す。
前回より水量は多かったけれど、カヤックのI上さんが居てくれたので不安は少ない。
そのI上さんからは「荷物を積んだカナディアンが沈しても、レスキューできないな~」と言われていたけれど、居てくれるだけで安心できるのである。

歴舟川
ビンバさんに見送られて川旅が始まった


2度めということもあり、前回よりは気楽に下れていた。
ふるさと大橋の手前で流れは2つに分かれている。
I上さんは左の分流に入ったけれど、私達は前回と同じく右の分流を下る。
PosさんとNもとさんにもそう言っておいたのだけれど、流れに押されて左に入ってしまった。
それでも何とか無事に下って再び合流。

次の瀬の手前で上陸してスカウティング。
前回より激しい流れになっていたが、下れそうなルートは見えていた。
でも、水が増えたおかげで左岸側にチキンルートの分流が出来ていたので、少しくらい座礁しても良いから無理をしないでそちらを下ることにする。
I上さんは勿論、本流にチャレンジ。
下り始める前には弱気な言葉を吐いていた割には、わざわざ大きな波の方に寄っていって瀬をクリア。

歴舟川
ふるさと大橋下流の瀬を下るI上さん、わざわざ大波に近づいていく


私達は左の分流に入ったけれど、そこをそのまま下っていくと、次に待ち構えている本流の瀬にまともに入ってしまう。
そこは右岸側を下った方が少しは安心できるのである。
そこで、本流をフェリーグライドで渡れそうな場所まで中洲をポーテージ。
何とか右岸側の流れを下れたけれど、これならば最初から本流を下った方が良かったかもしれない。

歴舟川
ここからフェリーグライドで対岸へと渡る


そして次が一番の難所。
前回は突然現れた瀬を前にしてそのまま下るしかなかったけれど、今回は手前に上陸してスカウティング。
左岸側の大きな波は真横から見ると形の良いウェーブになっていて、サーフィン好きの人なら喜んで入っていきそうだ。
右岸側は荒れた瀬になっていて、その間を下れば問題はない。

歴舟川
一番の難所、手前の大波と奥の荒瀬の間を通り抜けるしかない


ここでは、ポーテージのことは全く頭に浮かばず、流れの中に出ているテトラを目標にその右側を通って、2つの瀬の間を通過する。
前回はそれですんなりと下れたけれど、今回は右岸側の瀬が前よりも広がっていて、それを避けたおかげで左岸の波に寄り過ぎてしまった。
カヌーは大きく跳ね上げられたけれど無事に瀬をクリア。(この時の動画はこちら

歴舟川
この波に突っ込む予定ではなかったのだが


他のメンバーにもテトラの右側から入れば良いと言ってあったけれど、これならば左から入るのが正解だったかもしれない。
心配して後ろを振り返ると、NもとさんもPosさんも無事に下ってきた。
Nもとさんは、洞爺湖をSUPで一周したり、石狩川源流部や鵡川の赤岩青巌峡をSUPで下ったりしているので、スキルは十分。
Posさんも、例会で沈している姿を見た記憶はない。
他人のことより自分の心配をした方が良さそうだ。

歴舟川
難所をクリアして一安心、この後は野営地探し


これで難所は全て切り抜けたので、後は野営地の川原を探すだけ。
最初に上陸した川原は、流木も沢山あってテントを張れる砂地も有ったけれど、遠くにふるさと大橋の姿が見えている。
何度か歴舟の川原でキャンプしているI上さんは、人工物が見える場所にテントは張りたくないとのポリシーがあるみたいで、そこは却下。
その少し先に前回の私達の野営地があったけれど、同じ川原に泊まっても面白くないので、そこはスルー。



次に上陸した川原も少しスペースが狭く気に入らない。
どうしても適当な川原が見つからなかったら、前回の下見の時に目星を付けておいたところで妥協しようと思っていたところ、次に上陸したところで理想的な川原を発見。
下見の時には見落としていた場所である。

歴舟川
ここでようやく理想的な川原を発見


テントを張る場所は沢山あるし、流木も豊富、女性陣が身を隠せそうな所もある。
I上さんの拘りの一つでもある川の眺めも申し分ない。
前回の私達の野営地よりも一ランク上の川原である。

そんな場所なので誰かが焚き火をした跡も残っていた。
その焚き火跡はキャンプではなく、川下りの途中に焚き火でもしたのだろう。
燃え残った流木もあるし、その周りにも沢山の流木が転がっていた。
私達の川原キャンプではそんな勿体ないことは絶対にしない。

歴舟川の川旅
良い河原だ!


青空も見えてきていた。
良い川原さえ見つかれば、楽しい川原キャンプは約束されたようなものである。
キャンプ道具を下ろし終えて一段落したところで、まずはビールで乾杯。
この日の最高気温は22度程度。
前回は灼熱の川原だったけれど、これくらいの気温の方がビールが美味しく感じられる。

歴舟川の川旅
何はともあれビールを飲む


ビールを飲んだ後は、各々が自分の好きな場所にテントを設営。
SUPのNもとさんとカヤックのI上さんは、荷物を多くは積めないのでツェルトである。
Nもとさんは、SUPのエアを少し抜いてその上にテントを張る。
このスタイルならば石だらけの川原でも快適に眠ることができそうだ。

歴舟川の川旅
好きな場所にテントを張る


歴舟川の川旅
SUPの上にツェルトを張るNもとさん
歴舟川の川旅
I上さんのツェルトはベストボジションに


寝場所が出来たら、焚き火用の流木を集めたり料理の準備をしたりと、それぞれが動き始める。
午前中まで雨が降っていたので、川原の流木は湿って重たくなっている。
しかし、I上さんはそんなことは全く気にしていない。
少しずつ燃やしていけば、その火で他の流木を乾かしつつ、どんどん大きな焚き火へと変えていけるのである。

歴舟川の川旅
湿った流木でも乾かしながら燃やすことができる


火が安定したところでI上さんの秘密兵器が登場。
I上さんが使っているのを見て私達も直ぐに購入した伸縮式の串である。
これだと、焚き火から少し離れてウィンナーなどを焼くことができるのだ。
この秘密兵器を使って皆で代わり代わりにウィンナーを焼いて盛り上がる。

歴舟川の川旅
秘密兵器を使えば炎から離れてウィンナーを焼くことができる


かみさんは調理用の小焚き火でちゃんちゃん焼を作り始めた。
しかし、火がなかなか安定しなくて苦労していた。
大きな焚き火だと湿った流木でも乾かしながら燃やせるが、小さな焚き火だとそれができない。
大焚き火から熾を補充して何とか安定してきた。

歴舟川の川旅
湿った流木での小さな焚き火は難しい


私は今回は焚き火でのローストビーフにチャレンジ。
その他に焚き火を使ってタマネギの丸焼き。
ローストビーフは焚き火の中に放り込んでからの焼き加減が難しく、少々硬いローストビーフになってしまったが、皆が美味しいと食べてくれたのでホッとする。

歴舟川の川旅
私はローストビーフに初チャレンジ


Nもとさんは冷凍コロッケを油で揚げていた。
川原キャンプで、敢えて油を使う料理への挑戦である。
その付け合せとして、大樹橋の下の小川で摘んできたクレソンを炒める。
食材の現地調達は流石だ。

歴舟川の川旅
川原揚げコロッケ
歴舟川の川旅
付け合せは現地調達クレソン


次から次へ出てくる食べ物を頂いているうちに満腹になってしまう。
こうなると一番最後に完成した食べ物が不利である。
Posさんの豚汁が出来上がる頃には既に皆が腹一杯になっていて、翌朝の朝食に回ることとなった。

歴舟川の川旅
Posさんの豚汁が完成する頃には皆は腹一杯


何時もは私達夫婦だけでやっていた歴舟川の川原キャンプ。
それが今回は、SUPでの川原キャンプに憧れるNもとさんの願いを叶えるために、私が初めて企画した川原キャンプである。
仕切るのが苦手なので「食事は各自勝手に作ってね」と言ってあったけれど、川原キャンプは初めてでもさすがに皆さんベテランキャンパーである。
楽しみ方を心得ているのだ。

歴舟川の川旅
焚き火の管理はIさんに任せておけば大丈夫


11年前にカヌークラブで歴舟川の川原キャンプ例会をやったことがある。
その時は20名近くが集まり、完璧に仕切ってくれる人が居たので何とか例会として成立したけれど、その後はもう行われていない。
最近になってクラブの中でも川原キャンプをやってみたいとの話が出てきているが、こんな形ならばまたできるかもしれない。

私達のいる川原に2羽のタンチョウが舞い降りてきたのにはビックリした。
今回、車の回送中には周辺の畑でタンチョウの姿を何度か見ていたけれど、川下り中に見られたのは結局この2羽だけだった。

歴舟川の川旅
タンチョウが遊びに来てくれた


途中で見えていた青空も、南風に運ばれてきた海霧によって隠されてしまう。
夕日も満天の星空も見られなかったけれど、そこまでの贅沢は言えないくらいに楽しいキャンプである。

暗くなると霧雨が降ったり止んだりを繰り返す。
かなり強めの霧雨でも、焚き火の周りにいる限りは身体は常にドライな状態である。
川の話、I上さんのユーコンの話などで盛り上がりながら、歴舟川の夜は更けていった。

歴舟川の川旅
焚き火があれば霧雨も気にならない



翌朝、5時頃に目が覚めると、人の動く気配を感じた。
テントの外を覗いてみると、I上さんとNもとさんが、既に焚き火を初めていた。

霧が出ているけれど、昨夜の様な身体が濡れるような霧ではない。
上空にはぼんやりと青空も見えている。

歴舟川の川旅
霧の朝


昨日のタンチョウが今日も同じ場所に来ていた。
Nもとさんが写真を撮ろうとソッと近づくが、嫌われてしまったようだ。

殺風景な川原のようでも、ムシトリナデシコやマツヨイグサが所々で花を咲かせている。
エノコログサもその穂に水滴をたっぷりと付けて、まるで花のように見える。
名前は分からないけれど、川原に長くランナーを伸ばしている草の様子もなかなか面白い。

歴舟川の川旅
じっくりと眺めてみると美しい川原である


朝のコヒーを飲んでいると甘いものが食べたくなるが、Nもとさんがマシュマロを持ってきていた。
焚き火でマシュマロを焼く時にも、I上さんの伸縮式の串が役に立つのだが、Nもとさんが用意してくれたのは柳の枝。
これがまた風情があって、マシュマロを焼くのが楽しくなる。

歴舟川の川旅
柳の枝にマシュマロを刺して焚き火で焼く


朝食は、一晩寝かせた豚汁にPosさんがうどんを入れてくれる。
これがとても良い味だった。
I上さんは小籠包風の団子を焼いてくれる。
Nもとさんは、茹でる必要のないというパスタを焚き火の上でワイルドに作る。
私は焚き火の中に放り込むだけの焼き芋。
かみさんは、昨日Nもとさんが油で揚げる時に崩れてしまったクリームコロッケを利用して名前の分からない料理を作る。ひらめきだけで料理を作ってしまうかみさんは、クラブの中で総料理長と奉られているだけのことはある。
結局、今朝も皆が腹一杯になって、全ての料理を食べきることはできなかったのである。

歴舟川の川旅
朝から腹一杯


食後はそれぞれで濡れたテントを撤収。
焚き火もほぼ完璧に燃やし尽くした。
周辺に沢山転がっていた流木も、綺麗に無くなった。
流木が簡単に集められるのが、歴舟での川原キャンプの一番の条件かもしれない。

今回の川原で一つだけ不満な点を上げるとすれば、釣りのポイントが近くに無かったことである。
せっかく買ってあった餌の高級ブドウ虫は、そのまま捨てられることとなった。
しかし、釣りのポイントがあったとしても釣りをしている時間は無かったような気がする。

歴舟川の川旅
片付けを終えてお世話になった川原を後にする


全ての片付けを終えてござん8時半に野営地を後にする。
上空は再び雲に覆われていたけれど、河口の方向の空だけは明るく見えている。
その河口を目指して漕ぎ出した。

野営地前の水位は昨日の到着時と比べてかなり下がっていたけれど、それでも午前8時の本町観測所の水位は61.73mもあり、前回の二日目より10センチも多い。
その分、流れも早く波も大きかったけれど、昨日の増水した川と比べればまだ余裕がある。

歴舟川
水は少々濁り気味で水量はたっぷり


唯一の心配な場所は歴舟橋の下だけである。
橋の右と左に流れが分かれていて、左の方は障害物を避けながら下らなければならない。
右の方はそれがないけれど、最後に護岸ブロックにまともに流れがぶつかっているので下手をするとそこに張り付いてしまう。
I上さんは右を選択したけれど、私は前回も左を下っていたので、左へと進む。
後ろの二人も私に付いてきたけれど、前回よりも水量が多い分、流れにパワーが有った。
沈んでいる倒木を避けた拍子に橋脚に近付き過ぎ、もう少しで張り付きそうになってヒヤリとする。
慌てて後ろを振り向いたけれど、二人共無事に下ってきたのを見てホッとした。

歴舟川
迫ってくる橋脚にひやりとさせられた


歴舟橋を過ぎると、今まででも十分に広大だった風景が、更に広がって茫洋たるものへと変わってくる。
その中を流れる歴舟川は幾筋にも分かれ、分流と合流を繰り返しながら海へと向かっていく。
これだけ水量があると、分流の選択を少々間違えても、座礁して下れなくなることもない。

歴舟川
河口はもう間近だ


そうして車を停めてあった場所の近くで一旦上陸し、キャンプ道具を下ろして身軽になって、最後の河口を目指す。
太平洋の腹に響くような波の音が次第に近づいていくる。

前回は海に向かって真っ直ぐの水路のように流れ出ていたのだが、河口の位置こそ変わっていないものの、その手前が以前のように大きなプールとなっていた。
その分、海に流れ出てしまう恐れも少なく、ギリギリまで河口に近づける。
一番最後に下ってきたNもとさんは、波を被るギリギリまでSUPを寄せて上陸。

歴舟川
河口ギリギリまで下ってきたNもとさん


午前9時50分、大樹橋から二日間かけて下ってきた歴舟川の川下りが終わった。

歴舟川
楽しい川旅が終わった


皆は、自分の舟をモデルにして河口で記念撮影をしている。
私達の舟はかみさんが河口に近づくのを嫌がり少し離れた場所に上陸していたので、それを見て後悔する。

歴舟川
プール側に上陸したのは失敗だったかな


突然大きな波がやってきて、河口近くに置いてあったNもとさんのSUPが危うく波にさらわれるところだった。
それを見て笑っていたら、その大波はプールと海を分けている砂利の山も乗り越えて、私達のカヌーもプールに流れ出すところだったのである。

こうして楽しかった川旅も終了。
歴舟川の川旅が初めてだったNもとさんとPosさんも、すっかりその魅力に取り憑かれてしまったようで、今回下れなかったビンバさんも含めて来年の川旅企画が早くも実施確実となったのである。



もう少し早くにこの青空が広がってくれたらもっと良かったのだけど


歴舟川本町観測所 水位変化
9月5日 9:00:61.73m 10:00:61.77m 11:00:61.96m 12:00:61.91m
9月6日 8:00:61.73m


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