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ダイヤモンド利尻は見られるか

音類の海岸(7月3日~4日)

宗谷丘陵の白い道を楽しんだ後は、昨日の下見で目星をつけておいた海岸を目指し、オロロンラインを一路南下する。
オロロンラインは私の大好きな道の一つである。
しかし、この道を年に1、2回走るだけならば感動するけれど、この単調な風景の道を仕事などで何度も走らなければならない人には退屈極まりない道なのかもしれない。

オロロンライン
感動の風景だ


遠くに小さくオトンルイの風車群が見えてきた。
しかし、走っても走っても一向に近づいてこない。
この辺りを走っていると距離感覚も狂ってくるのである。

そうして目的地の海岸に到着。
誰かが漂流物を集めて作ったと思われる木製の縁台が残っていた。
車から運んだ荷物を置いておくのに丁度良く、ありがたく使わせてもらう。

海キャン風景
利尻山の見える海岸


砂浜なのでテントを張るのにペグは殆ど役に立たない。
代わりにそこらに落ちている細い枝をハンマーで打ち込んでみると、これがとても良く効いてくれた。

テントの周りは漂流物だらけで、ちょっと見にはゴミに囲まれてキャンプをしているようである。
でも、私にはそれがゴミだとは全然思えない。


打ち上げられている漂流物が宝の山に見える


木製のパレットはテント入口の前に置いてちょっとした玄関代わりになるし、木製の魚箱は物を置く台にもなる。
キャンプ道具が砂まみれにならないように、これらはとても役に立ってくれる。

海キャン風景
漂流物を利用してサイトを作るのが楽しい


そこら中に転がっているプラスチックの浮き球はサイトを彩るオブジェになる。
それを支える流木の三脚は、漂流物のロープを使って組み立てる。

海キャン風景
快適なサイトである


そんな工夫をしながら快適なサイトを作るのが楽しくてしょうがない。
車道が直ぐ近くを通っているけれど、海岸は一段低くなっているので、サイトからは全く気にならない。

海キャン風景
海岸から道路は全く見えない


人心地ついたところでビールを開ける。
目の前に見える利尻富士が最高である。

利尻山
浮き球をベンチ代わりに


キャンプ地の海岸を決めるのに一番拘ったのは、そこから利尻富士に沈む夕日を見られることである。
それも、できれば利尻富士の山頂に夕日が沈むのが望ましい。



そんな場所を探すのに、パソコンソフトのカシミール3Dが大いに役に立ってくれた。
ソフトを使ってピンポイントで目的の場所を特定できるのだけれど、必ずしもそこの海岸にテントを張れるとは限らない。
たまたま車で入れる道があったこの場所だけれど、果たしてここから利尻山頂に沈む夕陽を見られるのか、実際に日が沈むまでは分からないのである。

海キャン風景
果たして夕陽は何処に沈むのか


そんな時に一人の男性が海岸に降りてきて、「ここでダイヤモンド利尻を見られるのですか」と聞いてきた。
同じことを考えている人間はいるものである。
「はい、多分この辺りで大丈夫だとは思うのですが」と答えると、「少しここに居させてもらっても良いですか」と言って、少し離れた場所にカメラと三脚をセットしていた。


ダイヤモンド利尻を狙うおじさん


夕日が沈むまでまだ2時間近くあるのに、その男性はそこでずっと待ち続けていたのである。
良い写真を撮るためには根気も必要なのだと、感心してしまう。

夕食は海キャンの定番の焼き肉である。
匂いに引き寄せられたのか、狐が様子を見にやってきた。
稚内のスーパーで奮発して国産牛のカルビを買ったのだけれど、これががやたらに固くて、噛むのに顎が疲れてしまう。

利尻山に沈む夕日
利尻山に向かって日が落ちていく


そして夕食を済ませた後は、お待ちかねのサンセットショーの時間である。
カメラを抱えて海岸を歩き回る。

利尻山に沈む夕日
ダイヤモンド利尻にはならなかった


実はオロロンラインの海岸でキャンプをするのは、これが2回めだった。
最初は14年前のGW、風も強くて悲惨なキャンプだった。
しかし、その時に見た夕日に照らされる利尻山の神々しい姿が忘れられず、この次は利尻山に沈む夕日を見てやろうと心に誓い今に至ったのである。

利尻山に沈む夕日
焚き火をしながら夕陽を眺める


長年の夢がようやく叶った気分である。
ただ、期待していたダイヤモンド利尻とはならず、夕日は右にずれて利尻山の中腹に沈んだのである。

写真を撮り終えた男性に「ちょっと残念でしたね」と声をかけると、「いや、素晴らしい光景に感動しました」と言い残して戻っていった。

利尻山に沈む夕日
夕陽は利尻山の中腹に沈んでいった


その後は私達だけとなった海岸で、焚き火の前で静かにビールを飲む。
私達の後ろには丸い月が昇ってきていた。
二日後には満月を迎えるはずである。

海キャン風景
オトンルイ風車群から昇ってくる満月も見てみたくなった


次第に風も強くなってきていた。
それでも海から吹いていくる風なので、風向きが一定しているのが良かった。
焚き火の炎がたなびく方向は常に同じなので、安心して焚き火の近くに居られるのである。

海キャン風景
風に吹かれて焚き火が勢いよく燃え上がる


集めた流木を燃やし終えたところでテントに潜り込む。
今夜は日本海の波の音を子守唄に寝るつもりだったが、あまりにも波の音が大きいので結局耳栓をして寝ることとなった。

翌朝目覚めると、利尻富士は雲に隠れて、そこに山があることさえ全く分からなくなっていた。
相変わらず風は強い。
今回の道北キャンプでは焼尻島での島キャンプも考えてたいのだけれど、期間中ずーっと風が強い予報だったので、断念したのである。

海キャン風景
海の向こうに利尻山の姿は無し


この風のおかげで夜露に濡れたテントも直ぐに乾いてくれた。
撤収の際にテントが砂まみれになることも覚悟していたが、意外と綺麗に撤収完了。

最高の海キャンを楽しめたので、今日のキャンプは消化試合のようなものだ。
土曜日で何処のキャンプ場も混雑しそうである。
そんな中、空いていそうな初山別村のみさき台公園オートキャンプ場に向かうことにした。

海キャン風景
お世話になった海岸にお別れ


みさき台公園のキャンプ場の方は大人気のキャンプ場で、キャンピングガイドのキャンパー利用度も星5つ。
一方、オートキャンプ場の方は影が薄くてキャンパー利用度は星2つなのである。

時間もまだ早いので、普段は通り過ぎるような場所にも寄り道しながら初山別村を目指す。

北緯45度通過点のモニュメン
北緯45度通過点のモニュメント


オトンルイの風車
オトンルイの風車と並んで


目的地に到着し、先にキャンプ場の方を見に行ってみると、まだ午前10時半なのにサイトは既にテントで埋め尽くされていた。
一方、だだっ広いオートサイトの方は、テントがポツンと2つ張られているだけだ。
その違いに呆れながら、オートキャンプ場の管理等で受付をしようとすると、既に予約で埋まっていて一箇所しか空いてないと言われた。



かみさんと顔を見合わせ、「あ、そ、それじゃあ止めておきます」と言ってキャンプ場を後にする。
消化試合のキャンプと言っても、最高のキャンプを楽しんだ後に混雑したキャンプ場でテントを張る気にはなれない。
ここが満員に近いのならば、他のキャンプ場の混雑ぶりは容易に想像できる。
キャンプするのは諦めて、このまま札幌まで帰ることにした。

その後は、羽幌町のはぼろ温泉サンセットプラザで温泉に入る。
昼食は、おろろん食堂がコロナで休業中、渋谷水産直売所・北のにしん屋さんは店の外にまで行列ができていてパス。
結局、フェリーターミナルの中にある浜のかあちゃん食堂に入った。
コロナ対策でビニールで囲まれた席に一人ずつ座らされる。
かみさんは日替わり定食(煮魚)、私は刺身定食を食べたけれど、どちらも美味しくて量も多く、おすすめの店である。

浜のかあちゃん食堂
浜のかあちゃん食堂日替わり定食、カレイの煮付けが2枚も付いていた


帰る途中で見たキャンプ場は何処も密状態で、夏休みのキャンプ場と変わりはない。
コロナの自粛明けで、屋内施設よりも屋外の方が安心できるからと、キャンプ場に人が集まるのだろう。
それと最近のキャンプブームが重なり、今年は例年以上にキャンプ場の混雑が予想される。

シーズン初キャンプの後、我が家のキャンプは暫くお休みになりそうだ。



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