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北陸の旅その3(砺波・五箇山・白川郷)

閑乗寺公園キャンプ場(11月9日~11日)

今日の最後の予定は 砺波平野の散居村見学である。
「かいにょ」と呼ばれる屋敷林に囲まれた農家が水田の中に点在する風景は砺波平野独特のものである。
そんな風景を楽しむためには山の上から眺めるしかないのだが、できれば屋敷林に囲まれた一つ一つの住宅も見てみたかった。

しかし、闇雲に水田の中の道を走っていても良い風景に出会える可能性は低い。
そこで、内部は見学できないものの、有形文化財になっている入道家住宅に行ってみることにした。
そうしてやって来た入道家住宅だったが、建物は立派だったけれど、それを囲むかいにょは切り詰められた無残な姿をさらしていてガッカリする。

入道家住宅
無残な姿のかいにょ


となみ散居村ミュージアムにも行ってみたが、特に見るべきものも無く、やっぱり散居村の風景は山の上から楽しむしかなさそうだ。
砺波平野の東側、鉢伏山に散居村展望台がある。
そこまで行って、ようやく期待通りの散居村の風景を楽しむ事ができた。
しかし、その頃には上空に雲が広がってきて、風景も少々霞み気味である。
立山連峰の剣岳らしき姿も、山頂付近が雲に隠れてしまっている。
できれば、水田に水が張られている季節に、もう一度ここからの風景を見てみたいものだ。

砺波平野散居村
散居村展望台から眺める砺波平野


この展望台から今日の宿泊地である閑乗寺公園キャンプ場までは10キロほどの道程。
午後3時過ぎにキャンプ場に着いたけれど、土曜日だけあってオートサイトは既にほぼ埋まっていた。
数日前に電話で予約しておいて正解だった。

自然の地形の中にサイトが配置されているので、場所によってかなり雰囲気が違ってくる。
私たちが指定されたサイトは、周りを藪に囲まれた、見るからにパッとしない場所でがっかりする。
それでも、混雑した場内でそこだけが隔離された感じなので、静かに過ごせるだろうと良い方に考えることにした。

閑乗寺公園キャンプ場
パットしないサイトを割り振られた


視界は遮られていても、子供たちの歓声、ソロ男性キャンパーが薪を割る音など、色々な音が聞こえてくる。
若者グループの一人が打楽器のコンガを叩き、その音が場内に響き渡る。
久しぶりに接する、混雑したキャンプ場の混沌である。

パラパラと雨も降ってきた。
近くのスーパーで買ってきた新鮮なブリの刺身を味わいながらビールを飲む。
時々月の姿も見えていたが、夜中には雨の降り方も強くなっていた。

閑乗寺公園キャンプ場
月も出たけれど、夜中も雨が降り続けた


翌朝には天気も回復していたけれど、サイトの地面は土がむき出しなので、靴の底が泥でこてこてになってしまう。
予定ではテント泊はこれが最後になるので、テントを乾かしてから撤収したかった。
この日は五箇山の観光だけで急ぐ必要もないので、少しゆっくりできたけれど、日当たりの悪い場所なのでテントを完全に乾かすのは無理である。
結局、泥で汚れて濡れたままのテントを荷台に放り込んで、午前9時半にキャンプ場を出発した。

閑乗寺公園キャンプ場
翌朝には天気も回復、空いていれば快適なキャンプ場かもしれない


今日の予定は五箇山の合掌集落の見学だけで、車で走る距離も50キロにも満たず、宿泊も合掌造りの民宿なので、駆け足で観光して回る必要もない。
しかし、心配なのは今日が日曜日と言うことである。
天気も良くて山の紅葉も今が見ごろ。
五箇山は白川郷よりもマイナーな存在とは言えども、同じ世界遺産である。
駐車場にすんなりと入れるのだろうか。食べ物屋だって大混雑だろう。

そんな心配をしながら、キャンプ場から庄川に沿って車を走らせる。
すると、庄川峡の観光船乗り場駐車場は既に車で溢れていた。

庄川峡
庄川峡の美しい風景


今日は混雑する前に温泉に入るつもりでいたけれど、その様子を目にすると温泉の方も混んでいるんじゃないかと心配になってくる。
午前10時半に平ふれあい温泉センター「ゆ~楽」に到着。
さすがにその時間では入浴客も少なく、赤く色づいた庄川峡の絶景を眺めながら、ゆっくりと湯に浸かることができた。

庄川峡
ゆ~楽の露天風呂からもこの風景を眺められる


道の駅たいら「五箇山・和紙の里」に寄り道。
和紙漉きの様子を見学し、お土産に和紙も購入。

拾遍舎
混雑する拾遍舎

昼食は五箇山上梨地区にある拾遍舎に入るつもりでいた。
上梨までやって来ると国道沿いの小さな無料駐車場に1台分の空きがあるのを見つけ、素早く車を乗り入れる。

拾遍舎は五箇山豆腐と手打ち蕎麦が食べられる人気店で、午前11時半で既に数組が店の前に並んでいた。
その程度の混雑は覚悟していたので列の後ろに並び、そんなに待つことなく美味しい豆腐そばを食べることができた。

昼食難民になることなく食事を済ませ、重文に指定されている合掌造りの村上家や加賀藩の流刑地として使われていた流刑小屋などを見学。


上梨地区の合掌造り建物




その後、菅沼合掌造り集落へと向かう。
有料の展望広場駐車場はほぼ満車に近かったが、並ぶことなくすんなりと入ることができた。
菅沼集落は、山間に9棟の合掌造りがこじんまりとまとまっている。
駐車場から降りていく道路の途中で、その風景を一望できる。

菅沼合掌造り集落
こじんまりとまとまった菅沼合掌造り集落


有料で公開されている民俗館と塩硝の館を見学。
五箇山の合掌造りの家では、黒色火薬の原料となる煙硝が製造されていたとのこと。
蚕の糞や生活廃棄物がその原料となるのだから、山奥での暮らしと煙硝製造が上手く結びついていたのだろう。

合掌造り集落から展望広場駐車場までは、トンネルとエレベーターを使って行き来できるようになっていて驚かされた。
次は、今日の宿がある相倉合掌造り集落へと向かう。
途中まで元来た道を引き返すのだが、拾遍舎の前の行列は更に長く伸びていた。
混雑する時は早い時間に行動するに限るのである。

菅沼合掌造り集落
菅沼合掌委づくり集落


相倉では集落のかなり手前にある第2駐車場に誘導されたが、民宿に泊まることを告げるとそのまま車で中に入れさせてくれた。
相倉には20棟の合掌造りがあり、その分観光客の数も多いようだ。
ぞろぞろと歩く観光客に注意しながら車を走らせ、今日の宿である民宿長ヨ門に到着。
午後2時半でまだチェックイン前の時間だったけれど、車だけ停めさせてもらって集落内を観光する。

相倉合掌造り集落
小高い場所から相倉合掌造り集落を眺める


こちらにも有料で見学できる民俗館や産業館があったけれど、展示内容は多分ほとんど同じと思われるので、集落の中を歩くだけにする。
集落の所々に展望スポットがあり、一番高い場所からは相倉合掌造り集落のほぼ全体を眺めることができる。
紅葉した山々に囲まれた合掌造りの村の風景には、そのまま時代をタイムスリップしたような気分にさせられた。

相倉合掌造り集落
一番高い場所からは相倉集落のほぼ全体を見渡せる


冬に備えて家の周りを囲っている様子も見られる。
雪に埋もれた合掌造り集落の風景も見てみたいものだ。

合掌造りの2階や3階の窓は障子が張られているだけで、それだけで雨風に耐えられるのかと心配になってくる。
後で、宿のおかみさんに尋ねたところ、丈夫な和紙なので余程の台風でも来ない限り破れることはないらしい。
それに、人が暮らすような部屋では、ちゃんと2重窓になっているとのことだった。

相倉合掌造り集落
障子窓が剥き出しだけれど、これでも大丈夫らしい


宿に入ると、囲炉裏の周りで岩魚が焼かれていた。
多分これが今日の夕食に出てくるのだろう。
憧れていた光景に嬉しくなる。

合掌造りの家に泊まることに憧れていたけれど、今回の旅を思いついた時は出発まで既に2週間を切っていた。
合掌造りの民宿を予約しようと思ったものの、空いているところは殆ど無い。
そんな中でかろうじて、民宿長ヨ門のこの日だけが空いていたのである。


囲炉裏で焼いた岩魚が一番のご馳走


合掌造り民宿とは言っても、中に入ってしまえば囲炉裏がある以外は普通の民家と大して変わりはない。
トイレだって最新式のウォッシュレット付き水洗トイレである。

同宿はシンガポールからの一人旅の女性。
NHKのおもてなしの基礎英語を毎日見ている成果を試す良い機会だったけれど、結局殆ど話せずに終わってしまった。

翌朝、誰も歩いていない合掌造り集落の中を散歩する。
これは民宿に泊まった人だけの特権である。

相倉合掌造り集落
誰も歩いていない合掌造り集落


集落を過ぎた先の方にキャンプ場があるようなので、そこまで行ってみる。
ロケーションも良くて、なかなか素晴らしいキャンプ場である。
何よりも驚いたのが、トイレがウォッシュレットだったことである。
これならば、合掌造り民宿に泊まるより、ここでキャンプした方が良かったかもしれない。
可笑しかったのは、キャンプ場の注意看板に「クマが出るので携帯ラジオ等を鳴らして利用ください」と書かれていたことである。
ここでは、静かにキャンプすることは危険なようだ。

五箇山国民休養地キャンプ場
ここにテントを張りたかった


朝日に照らされる合掌造り集落の風景を見たかったのだが、山が近いので一向に陽が昇ってきそうな気配がない。
宿に戻って朝食を済ませ、出発する頃になってようやく山里の集落に陽が当たり始めた。



午前8時半に相倉集落を後にする。
この日は白川郷の合掌造り集落を観光する予定だ。

再び庄川の流れに沿って車を走らせる。
美しい川と渓谷だけれど、何ヵ所ものダムによって分断されているのが残念だ。

白川郷の村営せせらぎ公園駐車場に車を停める。
広い駐車場に数えきれないくらいの観光バスがズラリと並んでいて、ビックリする。
平日の今日でさえこんな状況なのだから、週末はどんな様子だったのだろうと、想像するだけで恐ろしくなる。

白川郷
駐車場から吊橋を渡って白川郷の合掌造り集落へ


駐車場からは庄川にかかる長い吊橋を渡って白川郷の集落へと入っていく。
五箇山の菅沼や相倉と比べると、規模が全く違って、観光客の数も桁違いに多い。
ここで普通の暮らしを営んでいる人もいるのだろう。
これだけの数の観光客が家の前をゾロゾロと歩いていたら落ち着いて生活もできないだろうと、気の毒に思えてくる。
集落の中は、合掌造りの家ばかりではなく普通の家も結構な数があるので、五箇山の様な風情はあまり感じられない。

白川郷
沢山の観光客で混雑する白川郷


歩いている観光客も、半数以上は外国人のようだ。
それも、他の観光地の様にアジア系の人間ばかりではなく、世界各地から人が集まってきているように見える。
さすがに世界遺産に指定されていることだけはある。

白川郷を一望できる荻町城跡展望台まで登ってみる。
シャトルバスも出ているけれど、歩いてでもそんなに苦労せずに登れる場所だ。
展望台の前には、写真で良く目にする風景が広がっていた。

白川郷
展望台から眺める白川郷


再び下まで降りて集落の間をブラブラと歩き回る。
せっかくなので有料で公開されている神田家住宅に入ってみたが、内部や展示物は菅沼で見たものと大して変わりはない。
違っているのは、こちらは外国人観光客で大混雑していることだった。

白川郷
建物の中も大混雑


昼食は、何処の店に入っても大した変わりはなさそうだ。
駐車場へ戻る吊橋近くにあった喫茶今昔に空席が有ったのでそこに入る。
その後すぐに満席になったので、この様な観光地では昼食を食べるだけでも大変である。

団体客が集中し、駐車場へ戻る吊橋も大混雑。
そんな狭い吊橋の上で、人の流れを妨げていることを全く気にもしないで写真を撮っているのは、決まって某国の人間のようだ。

雨がポツポツと落ちてきたので、車から傘をとってきて、駐車場の隣にある合掌造り民家園へと入る。
ここは野外博物館として、園内では25棟の合掌造り建物が保存公開されている。


人がいないのでゆっくりと見て回れる


600円の入場料を払って中に入るのだけれど、白川郷の街中が観光客で溢れていたのに、こちらは人影もまばらである。
それに、白川郷で一般公開されている合掌造りの建物に入るにはそれぞれ300円程度の料金を支払わなければならないのだが、こちらは入場料さえ払えば、中で公開されている建物全てを自由に入って見学することができるのである。
こちらの方がゆっくりと見られますよと、外国人観光客に教えてあげたくなる。


合掌造りの建物でゆっくりと寛ぐ


1階の囲炉裏で燃やされている薪の煙が建物の上まで上がってきて、そこの展示物を見ている最中も燻されている気分になる。
これが合掌造りの建物の本当の姿で、こうして燻製の様に燻されるおかげで木材や藁などが長持ちすることになるのだろう。


囲炉裏の煙が上に上がっていく



上に上がってきた煙が木材などの表面を覆って耐久性が増すのだろう


白川郷からはホワイトロードと呼ばれる道を通って石川県へと抜けることができる。
紅葉が美しく、途中には展望台もあるらしい。
最後にここを通って今日のキャンプ地へと向かうつもりだったけれど、ホワイトロードは何とこの日から冬期間通行止めに入っていたのである。

当初の予定では、今日はこのホワイトロードを越えた先のキャンプ場に泊まることにしていた。
ホワイトロードが通行止めだと、キャンプ場まで思いっきり遠回りする羽目になってしまう。
幸いと言うか、今日の夜は雨が降る予報になっていたので、そのキャンプ場をキャンセルし、金沢市内近くのバンガローのあるキャンプ場を予約してあったので、事なきを得た。


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