トップページ > キャンプ > キャンプ日記 > 2019年キャンプ日記

東北の旅(最上川)

衣川ふるさと自然塾(6月16日~17日)

天童高原キャンプ場
嵐の夜が明けたキャンプ場

前日からの雨は一晩中降り続けていたが、朝になって風だけは弱まった。
場内には霧が立ち込め、昨夜の嵐の余韻の様に園路の上には小枝や葉が散乱している。

朝食を済ませ、雨の中で傘をさし、濡らしたくないものから少しずつ車へと運んでいく。
そして最後に残ったものを、まとめてリヤカーで運び撤収完了。
その頃になってようやく雨も止んできた。

今日は平泉観光の予定だった。
しかし日曜日なので、こんなパッとしない天気でも観光客で混んでいそうなのは、昨日の山寺の様子からでも容易に想像がつく。
今日は無理をしないで、マイナー観光地を巡りながら、平泉近くのキャンプ場に移動するだけにして、霧に霞む天童高原を後にした。

天童高原
天童高原634の松


東根温泉こまつの湯
温泉は朝から賑わっていた

昨日は風呂に入っていないので、どこかに温泉は無いかと調べると、キャンプ場からそれ程遠くない東根市に温泉街があるのを見つけた。
やって来たのは午前9時前だったけれど、ここの温泉街では午前6時から入浴できる施設が多く、その中の一つ「こまつの湯」に入る。
地元の人達の憩いの場となっているようで、風呂の中では山形弁が飛び交っていた。

温泉ですっきりしてから向かったのは、松尾芭蕉が舟に乗って最上川を下った時の乗船の地である「本合海」。
その時の体験から、あの有名な句「五月雨を 集めて早し 最上川」の句を詠んだのである。
本合海には松尾芭蕉の銅像と句碑があるらしい。

最上川では、舟下りかラフティングでもやってみたかったのだが、時間的に厳しくて諦めた経緯がある。
それなので、余計に最上川が気になっていたのだ。

松尾芭蕉乗船の地
本合海に立つ松尾芭蕉とその弟子曽良の像


そしてやって来た松尾芭蕉乗船の地。
駐車場がある訳ではなく、勿論他の観光客の姿も見当たらない。
やっぱり私はこんな場所が好きである。

河口近くの酒田市と上流部の寒河江市で最上川にかかる橋を渡っていたけれど、こうして近くから川の様子を眺めるのは初めてだ。
最近の雨で増水しているのかどうかは分からないが、「五月雨を集めて早し」の雰囲気だけは感じることができる。
川の風景も美しく、私もここからカヌーで漕ぎ出してみたくなってくる。

最上川
五月雨を 集めて早し 最上川


この付近一帯は、本合海水辺プラザとして整備されていて、本合海大橋を渡った先の河川敷には駐車場も作られている。
川に面して赤い鳥居があり、対岸の断崖の中腹には矢向神社が建っている。
兄頼朝に追われて東北に逃れてきた源義経は、最上川をさかのぼり、ここ本合海に上陸して奥州平泉に向かっている。
その時に義経はこの矢向大明神を伏し拝んだと「義経記」に記されているらしい。

そんな色々な謂れのある本合海だけれど、観光客がやって来るような雰囲気も無く、せいぜい松尾芭蕉ファンか源義経ファン、あるいはカヌーイストが川下りのために訪れる程度の場所のようだ。

最上川と矢向神社
最上川に向かって立つ鳥居と対岸には矢向神社の姿も




もう少し最上川を見てみたくて、そのまま川沿いの国道を下流に向かって車を走らせた。
舟下りの行われている最上峡まで行ってみたい気もしたが、そのうちに切りが無くなって河口の酒田市まで出てしまいそうなので、途中の道の駅とざわで引き返すことにする。

この道の駅は、殆ど韓国物産館と言っても良いような施設だったのでビックリした。
地元の戸沢村と韓国の交流が深い関係からこのような道の駅になったらしい。
韓国訛りの強いおばさんに勧められるまま、キムチと韓国の調味料を購入。
この調味料は、この後かみさんがキャンプ中に作る料理に結構役立つこととなる。

道の駅とざわ
道の駅とざわから眺める最上川


新庄市で見かけたラーメン屋「越後秘蔵麺 無尽蔵 新庄家店」に飛び込みで入ってみたが、結構美味しいラーメンだった。

昼食を終えて、今日のキャンプ地である衣川ふるさと自然塾へと向かう。
一度止んでいた雨が再び降り始める。
今日の天気もあまりパッとしない予報だったので、バンガローのあるこのキャンプ場を選んだのだが、やっぱり正解だった。
名前はケビンで1棟2500円+1人200円で、天童高原のバンガローの半額である。
ただ、ネットで調べたケビンの写真を見る限りでは、かなり古そうな施設なのが気がかりだった。

旅をしていて面白いのは、その地方の民家を見ることである。
特に、田園風景の中に立つ農家の家が面白い。
高い場所に立っている家の方が立派な造りであることが多く、「昔の庄屋さんなのだろうか」などと想像をめぐらす。


お寺と間違えてしまいそうな民家の屋根


今日は、反り返っている屋根の農家がやたらに目に付いた。
最初はお寺なのかと思ったが、良く見ると普通の民家なのである。
多分、この反り返った屋根が一種のステータスになっているのだろう。

そんな風景を楽しみながら、衣川ふるさと自然塾までやって来た。
山中の所々に水田が開かれ、如何にも山里らしい雰囲気が漂う土地である。
キャンプ場の直ぐ前にも水田が広がり、カエルの鳴き声が賑やかに聞こえてくる。

衣川ふるさと自然塾
キャンプ場の前に広がる水田の風景




私は見たことが無いけれど映画「リトル・フォレスト」は、この周辺がロケ地となっているらしい。
受付の際にロケ地マップも貰ったけれど、良い映画らしいので是非見てみたいものだ。

この頃には雨も止んでいたけれど、まだ霧雨が少し降っている。
ケビンの横には駐車スペースが無いので、受付の時に「荷物の積み下ろしの時だけ道路に車を停めて良いですか?」と聞いてみると、「四駆の車なら直ぐ横まで入れるんじゃないかな」と嬉しいことを言ってくれる。
天童高原の時の対応とはえらい違いだ。

衣川ふるさと自然塾
今日はバンガローの隣に車を停めさせてもらえた


ケビンの外観は、写真で見た通りかなり古い。
恐る恐る鍵を開けて中に入る。
2段ベッドが二つ並び、その前に広々とした板の間、長テーブルも置かれている。
奥にはキッチンがあり、少ないけれど食器もある。
換気扇も付いていて、窓が多いので照明を点けなくても内部は明るい。
「何だか、良いんじゃないの?」
思わず笑みがこぼれてしまう。

衣川ふるさと自然塾ケビン
普通の家の様なケビンの内部


2段ベッドにはマットレスと毛布、そして清潔なシーツが畳んで置かれていた。
さすがに毛布は使う気にはなれないけれど、今日は久しぶりに柔らかいマットの上で寝る事ができそうだ。
すぐ外には焚火をできる炉もあったけれど、この天気では乾いた薪を集めることもできないので、それは諦めるしかなかった。

衣川ふるさと自然塾
ここで焚火をしたかった

バンガローの中に流し台があるのは、料理を作るかみさんにとって大助かりである。
「こんな流しがあるなら、もっと手の込んだメニューにすれば良かったわ」などと言っている。

かみさんが夕食を作っている間、私は場内を一回りしてみた。
コテージは施設が充実し薪ストーブまで付いているみたいだが、1棟8000円ではさすがに私達だけでは泊まれない。

それでも10人までは寝られるようなので、大人数で利用するのならば、このコテージもリーズナブルだろう。
テントサイトもあったが、こちらはかなり荒れていて、さすがの私もここにテントを張るのは躊躇いそうだ。

衣川ふるさと自然塾
テントサイトはかなり荒れていて、ここにテントを張る勇気はない


東北の旅も、いよいよ後半戦。
東北南部は私たちが東北入りする頃には早々と梅雨入りしていたが、今日まで雨に降られはしたものの、予定していた観光を中止するほどではなく、上手く回ってこられていた。
東北北部も昨日に梅雨入りしたようで、天気予報を見ながら、快適なバンガローの中で明日以降の計画をゆっくりと考えることにした。


次のキャンプへ



ページトップへ