北海道キャンプ場見聞録
東北の旅(八幡平)
田沢湖キャンプ場(6月12日~13日)
何となくじめじめとしたイメージの生手キャンプ場だったけれど、朝起きてもテントは全く結露していなかった。
テントが結露しているか、いないかで、朝の忙しさは全く違ってくる。
おかげで今朝はテントの結露を拭き取る余計な仕事も無く、朝からのんびりと焚き火をして朝7時には撤収完了。
昔の乙女と乙女の像
今日この後は八幡平に向かう予定だけれど、このまま出発するとせっかく十和田湖畔でキャンプしたのに、十和田湖の風景を一度も見ないままに通り過ぎてしまうことになる。
少し逆戻りになるけれど、宿泊施設やお土産屋の集まる休屋地区まで引き返すことにする。
湖畔の有料駐車場は、まだ時間も早くて料金係の人もいないので、勝手に車を停めさせてもらう。
そこから湖畔の遊歩道を歩いて、かみさんがまだ中学生の乙女だった頃に修学旅行で訪れたと言う乙女の像を見に行く。
この像は十和田湖の象徴的存在となっているようだが、自然豊かな十和田湖において、何故これが人気の観光地なのか分からないままに、乙女の像と乙女ではなくなったかみさんのツーショットを撮影して、十和田湖を後にした。
十和田湖畔休屋付近の風景
十和田湖カルデラの外輪山に上っていく途中に十和田湖を一望できる展望台があったが、雲が低く垂れ込めて、眺めはパッとしない。
暗い十和田湖の風景
今日の観光のメインは八幡平で、キャンプ地も八幡平で考えていた。
しかし、こんな空模様では、標高の高い八幡平ならガスに包まれ何も見えないかもしれない。
それではわざわざ八幡平に行く価値はない。
はっきりとした計画を立てていない今回の東北の旅なので、天気に合わせて自由に行動できる。
しかしそれは、良いことばかりではないのだ。
詳細な計画があれば、その中から取捨選択しながら行き先を決められるのだけれど、それが何も無ければ、その場その場で新たに考えなければならない。
自由ということは、その半面で不自由なことも沢山あるのだ。
これだけ見えれば不満はない
八幡平への分かれ道まで来たところで、空模様を見て判断することにして、そのまま車を走らせる。
そのうちに雲も少し薄くなってきたので、予定通り八幡平の山頂まで行って、キャンプはそこから引き返して田沢湖ですることに決定した。
標高1560mの大深沢展望台では、まずまずの展望が広がっていた。
少しだけだが、青空ものぞいている。
今回の旅で観光予定地にリストアップしてある鳥海山らしき姿も遠くに確認できる。
気分を良くして八幡平山頂レストハウスまでやってきた。
そこから、八幡平山頂、八幡沼を巡るトレッキングコースを歩くことにする。
三十数年前にもかみさんと二人でここのトレッキングコースを歩いたはずである。
そして、その時に八幡沼で二人で写した写真をイラスト化してその年の年賀状を作ったのだ。
私達夫婦の思い出の地ともいえる八幡平なのである。
登山口には桜の花も残っていた。
さすがに標高の高い場所だけあるなと感心していたら、その先に広がっていた風景を目にして絶句してしまう。
辺り一面が雪に覆われ、まるで冬の風景なのである。
登山口では桜も咲いていた
まだ雪渓が広がっていた
その残雪の中を歩いているのは、本格的な登山装備の人もいれば、車から降りてそのまま歩いてきたって服装の人もいる。
まあ、レストハウスから2~30分で歩いてこられるし、雪渓の中にも目印が沢山付けられているので、普通の格好でもそんなに問題はないのだろう。
でもやっぱり、何となく違和感を感じてしまう。
突然湧いてきたガスに包まれてしまう
八幡沼もガスに隠れてしまう
次第にガスが湧いてきて、八幡沼に着く頃には30数年ぶりの思い出の風景はガスの中。
それでもそこで暫く待って、ガスが晴れた一瞬の瞬間を狙って写真を撮る。
一瞬だけ八幡沼が姿を見せてくれた
札幌に帰ってから当時の写真を引っ張り出して確認したところ、年賀状に使ったのは八幡沼での写真ではなく、八甲田山で撮った写真だったことに気がついたのである。
昨日のことさえ思い出せないと言うのに、30数年前のことなど覚えているわけがないのだ。
八幡平山頂の展望台
八幡沼の周りをぐるりと一回りすることも出来るけれど、こんな天気の中で歩いてもどうしようもないので、そのまま八幡平山頂を目指す。
山頂といっても殆ど平らな場所なので、展望台の上に登ってようやく回りを見渡せるだけである。
青空も見えていたけれど、パッとしない風景が広がっているだけだった。
そこからめがね沼、鏡沼を回ってレストハウスまで戻る。
鏡沼では今時期だけに現れるドラゴンアイを見ることが出来た。
沼を覆っていた雪が部分的に融けて、それが龍の目のように見えるのだ。
ドラゴンアイの形は少し崩れていたけれど、青く染まったそれはとても美しく、良いタイミングで八幡平に来れたことが嬉しかった。
やや形の崩れたドラゴンアイ
周辺に昼食を食べられる場所が無いので、レストハウスの食堂で秋田名産の稲庭うどん食べる。
あまり美味しくはなかったけれど、これは多分、稲庭うどんが美味しくなかったのではなく、食べた店が悪かったのだろう。
八幡平から戻る途中、後生掛温泉の自然研究路を歩いてみた。
私にとっては、八幡平のトレッキングコースよりもこちらの方がずーっと楽しかった。
もうもうと湯気が立ち込める紺屋地獄
もうもうと立ち昇る湯気、あちらこちらから噴出す熱湯や噴気、噴泥。
似たような風景は他でも見たことがあるけれど、ここが一番迫力がある気がする。
大湯沼
恐山では○○地獄などと名前が付けられていたが、地獄の名はこちらの方が相応しそうだ。
特に、実際に泥を吹き上げている泥火山の様子には目が釘付けになった。
いたるところで泥や噴湯が湧き出ている
熱湯や蒸気を噴き出すオナメ・モトメ
泥を噴き上げる泥火山
この後、田沢湖生保内の町で買出ししてから、午後3時過ぎに田沢湖キャンプ場に到着。
ここのキャンプ場のオートサイトは2050円、一方6畳のバンガローは2570円。
オートサイトの方が湖に近いらしいので、まずはそちらを見に行ったが、サイトから湖が直接見えるわけではなく、おまけに狭くてトイレからもかなり離れている。
これならば、フリーサイトの方がまだ快適である。
このフリーサイトでも、何時ものようにテントを二つ張れば1170円。
どう考えてもバンガローが最良の選択だった。
緑の中に建つバンガロー
バンガローに荷物を下ろしてから、田沢湖近くの乳頭温泉に行くことにした。
乳頭温泉と言えば鶴の湯が有名である。
しかし、かみさんの一言は「シャワーあるのかしら?」
髪を洗うのにはやっぱりシャワーがあった方が良いらしい。
鶴の湯は歴史の古い温泉なので、洗い場にシャワーがあるとは思えない。
しょうがなく、設備の整っていそうな休暇村乳頭温泉郷で風呂に入ったけれど、風情はあまり無かったのである。
夕暮れの場内
バンガローの中で食事を済ませてから、湖畔に下りて湖に沈む夕日を楽しむ。
今回の旅で初めて見る美しい夕日だった。
田沢湖の夕日
その後はバンガローに戻って、バンガローの前で焚き火を楽しむ。
隣のバンガローにはおじさん二人連れのキャンパーが泊まっていたが、そのうちの1人が気持ちよく酔っ払っているようで、トイレから戻ってきて私たちのバンガローに入ろうとしていた。
「違いますよ~」と声を掛けたが、気付かないのか、そのまま中に入っていってしまった。
「あらら~」と思いながら様子を見ていると、さすがに中に入ってから気が付いた様子で慌てて外に飛び出してきた。
頭を掻きながら誤っていたけれど、いくら同じ作りだと言っても、一番端の私たちのバンガローと間違えるなんて、かなり酔っていたのだろう。
バンガローの外で焚火を楽しむ
場内で十分な薪を拾えたので、昨日の生手キャンプ場で買った薪は、殆ど使わないままで再び持ち歩くこととなったのである。
ワイン1本を空けて、バンガローの中でぐっすりと眠ることが出来た。