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東北の旅(恐山と奥入瀬渓流)

十和田湖生出キャンプ場(6月11日~12日)

恐山冷水
恐山冷水で水を汲む

むつ市のキャンプ場を出て恐山へと向かう。
途中で恐山冷水の看板が立つ湧水スポットを見つけ、今後のキャンプのために水を汲んでいく。

空は雲に覆われていたけれど、恐山を観光するのならばこんな天気の方が良いような気がする。
晴れ渡った空は恐山には似合わない。
勝手にそんなイメージを抱いていたのである。

山道を走っていくと突然目の前に湖が現れた。
宇曽利湖である。
恐山にこんな湖があるなんて知らなかったので、ちょっとびっくりする。

その宇曽利湖に流れ込む川を渡る。
この川が三途の川と言われているらしいが、三途の川にしては美しい流れである。
そこに架かる赤い太鼓橋は、老朽化のためか通行止めになっていた。

恐山
三途の川?を渡る


朝7時半と早い時間なのに、駐車場には既に10台近い車が停まっていた。
恐山の開山時間は朝6時からなのである。

山門の前では、石の山の上に立てられた沢山の風車が、風に吹かれてカラカラと音を立てながら回っていた。
恐山と聞いて私が一番最初にイメージするのが、この原色の風車である。
殺伐とした風景が広がっている中で、原色の風車がとても印象的なのだ。

恐山
霊界への入り口


山門を抜けた先に木製の湯小屋があった。
ここは入山者が無料で入れる温泉らしい。
観光客の多い時間なら入るのも躊躇われそうだが、この時間ならばゆっくりと入れそうだ。
予めこの温泉のことを知っていれば、タオルを持ってきたところである。

恐山温泉
この温泉には入ってみたかった


まずは奥の院不動明王まで足を運んだあと、所々で火山ガスが噴き出している岩場の中へ足を踏み入れる。
一応は順路が定められているようだけれど、どちらに進むのか分かりづらいので、岩場の中を自由に歩き回りながら慈覚大師堂や菩薩像を巡っていく。

恐山
殺伐とした恐山の風景


火山ガスが噴き出すこんな風景は、色々な場所で目にするけれど、やっぱりここの風景を特徴付けているのは原色の風車である。
そしてこの風景にはやっぱり曇り空が似合うのである。

恐山
これが一番恐山らしい風景だと思う



岩場を抜けた先には、平らな場所が広がり、その中に黄色い水が湧き出ている場所があった。
恐る恐る手を入れていみると、見かけによらず少し生ぬるい。

地の池地獄の看板を見つけて木々の間の小道に入って行くと、周辺の木の枝には沢山の手ぬぐいがぶら下がっていた。
ちょっと、おどろおどろしい風景である。
その先にある血の池地獄は、何でこんな名前が付けられたのだろうと思えるような、澄んだ水を湛えた普通の池だった。

恐山
黄色い水が湧き出している
恐山
ぶら下げられた手ぬぐいが不気味だ


血の池地獄の先には、極楽浜と呼ばれる美しい浜が広がっていた。
白い火山灰の砂浜で、天気が良ければ湖ももっと青く染まって見えそうだ。

恐山
地獄もあれば極楽もある恐山

そこからまた順路に従って丘の上に登っていくと、賭博地獄とか重罪地獄とか、色々な名前の付けられた地獄が続く。
そんな地獄をイメージする様な風景ではないのだけれど、日本人はやっぱり地獄好きなようだ。

時間はまだ8時半だけれど、駐車場には早くも観光バスがやってきていた。
団体客と入れ替わるように恐山を後にする。

この後は尻屋崎の寒立馬を見たかったのだけれど、恐山と違ってこちらの方は天気が良くなければ魅力半減。
尻屋崎は諦めて、次の目的地奥入瀬渓流へと向かう。

最初の計画ではこのまま三陸海岸を南下する予定だったが、東北の太平洋側はこれから暫く曇り空が続くようなので、先に日本海側に出るルートに変更することにしたのだ。
このルート変更が結果的に正解だったようで、この後梅雨入りした東北で、それ程雨に降られることも無く旅を楽しめたのである。

途中、下北名産センターの看板を見つけて立ち寄ることにした。
その外観は、如何にも中華系観光客を目当てにしたお土産屋って感じだったが、下北各地の名産品が揃っていて、結構楽しめた。

けいらん
もっとあんこが沢山入っている方が良いのだけど

昼食は、道の駅しちのへのレストラン絵馬に入る。
私は、この辺りの郷土料理である「けいらん」を食べてみたかったので、カレーにプラスして注文。
けいらんを一口で説明すれば、あんこ餅の入った澄まし汁である。
私の実家では昔、正月の雑煮にあんこ餅を入れていたので、何となくそれを思い出して懐かしく感じたのである。

しかし、私が昔食べたものと比べると入っているあんこ餅が上品過ぎて、ちょっと物足りなかった。
餅からはみ出したあんこが汁に溶け、最後にドローっとしたあまじょっぱい汁を飲み干すのが、私の好みなのだ。

ただ、カレーにけいらんの組み合わせは私のお腹には合わなかったようで、次の道の駅奥入瀬ろまんパークのトイレに駆け込むこととなったのである。
たまたま道の駅があったので助かったけれど、もしもそこが無かったらどうなっていたかと想像すると、ぞーッとしてしまう。


石ヶ戸のバス停でバスを待つ

奥入瀬渓流では渓流沿いを少し歩いてみるつもりだった。
そのためには片道をバスに乗らなければならない。
まずは奥入瀬渓流館に行ってバスの時刻表を手に入れると、丁度20分後くらいのバスがあったのでそれを利用することにした。

石ヶ戸の休憩所に車を停め、そこのバス停からバスに乗り込む。
雲居の滝バス停で降りると石ヶ戸まで戻るのに1時間、次の雲居の滝で降りると1時間半。
どちらにするか迷ったけれど、奥入瀬渓流の雰囲気だけでも楽しもうと、1時間コースを選択。



まずは雲居の滝バス停で降りて、少し山の中に分け入ると直ぐに落差約20mの雲居の滝が姿を現した。
そこから渓流沿いの道を下流に向かって歩いて行く。

奥入瀬渓流雲居の滝
雲居の滝


千筋の滝、飛金の流れ、九十九島、阿修羅の流れと、見どころが次々と現れる。
もっとも、千筋の滝以外は看板がある訳でもなく、地図を見るとそんな名前が載っているだけで、歩いていてもどれがそれなのかは良く分からない。
名前が分からなくても、写真を撮りたくなるような美しい流れが次々に現れるので、歩くのが楽しくなる。

奥入瀬渓流


コースタイムが1時間と言っても、私たちの足なら30分くらいで歩けるだろうと考えていた。
しかし、美しい場所ではついつい足を止めてしまうので、やっぱり1時間はかかってしまう。

奥入瀬渓流


美しい渓流以外にも、間門岩とか屏風岩などの岩壁の風景も楽しめる。
新緑の季節は過ぎてしまったけれど、渓流沿いの緑濃い風景もまた美しい。

奥入瀬渓流全区間14キロのうち、今回歩いたのは僅か2.8キロほど。
全区間を歩くと4~5時間はかかるようだが、何時かは全区間を歩いてみたいと思えるような、楽しい遊歩道だった。

奥入瀬渓流
渓流以外の風景も素晴らしい


この日は十和田湖湖畔の宇樽部キャンプ場に泊まる予定だったが、開設期間が7月1日からだったので、急遽十和田湖生出キャンプ場に変更。
利用料金はオートサイト1区画3000円。
買い出しは七戸のスーパーで済ませていたので、奥入瀬渓流から直接キャンプ場に向かい、午後3時半にはキャンプ場到着。

その料金から、もっと整備されたキャンプ場を想像していたけれど、緑が濃い野趣に溢れるキャンプ場だった。
管理人も常駐していなくて、電話をした際「後で集金に行くから好きな場所にテントを張ってください」と言われる。


緑濃い生出キャンプ場


オートサイトの方は電源付きでそれなりに整備されているけれど、そちらには先客が1組いて、私たちは固定サイトと呼ばれている方にテントを張ることにした。
こちらはテント1張り200円、管理費1人300円、駐車料金1台800円の料金となっている。
私たちはテント2張りなので合計1800円。
車も近くに停められるので、オートサイトを利用するのと大して変わらない。

ただ、場所によっては雑草が伸び放題のサイトもあり、オートサイトと比べるとあまり管理されていないようだ。
それでも、サイトには野外炉もあって、私達にはなかなか魅力的なサイトである。
直ぐに、ここを管理している自然公園財団の方がやってきて、管理棟を開けて受付をしてくれる。
かみさんが珍しく「薪を買っておきましょう」というので、1束400円の薪も一緒に購入。


キャンプ場で買った薪と
下北名産センターで買った鮪かまの炙り焼き

薪は殆ど使わなかったけれど
鮪かまの炙り焼きは夕食に使われた


良いキャンプ場だけれど、十和田湖の姿は木々の間からチラッと見えるだけ。
湖畔に降りられる場所も無いのが、ちょっと残念だった。

夕食は下北名産センターで買った鮪のかまの炙り焼がメインディッシュ。
旅先で購入したものが夕食に出てくると、旅の気分も盛り上がる。


良い夜を過ごせた


ざわざわ薪を買わなくても、場内で十分な薪を拾う事ができて、まだ明るいうちから焚火を始める。
昨日までは夜の冷え込みで震えていたのに、火があると全然違う。
深い森の中からはアオバトの鳴き声が聞こえ、湖からは静かな波音も聞こえてくる。
炊事場とトイレの電気が点かなかったのは残念だけれど、良い夜を過ごすことができた。


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