北海道キャンプ場見聞録
山陰九州の旅(石見銀山とプチ登山)
三瓶山北の原キャンプ場(4月11日~12日)
ケビン泊だと片付けも早く、午前7時半にはキャンプ場を出ることができた。
せっかくなので石見海浜公園の中を車で回ってみたけれど、県立公園だけあって施設も整備され、その広さにも驚いてしまう。
今日の目的地は世界遺産の石見銀山である。
事前に調べたところでは、交通規制が行われているので近くの世界遺産センターに車を停めて、そこからバスに乗って史跡のある場所まで行くようになっている。
花を眺めながら気持ち良く歩き始めたけれど
しかし、もっと詳しく調べてみると、銀山地区の中にも観光客向けの駐車場があるみたいだ。
平日の早い時間ならばそこに車を停められるだろうと思って直接そこに向かうと、銀山公園駐車場にすんなりと車を停められた。
案内所で石見銀山の地図を貰って、まずは一般公開されている銀の採掘坑道「龍源寺間歩」を目指す。
そこまでの距離は2.3キロ。私達なら30分もかからずに歩けるだろうと軽く考えていた。
歴史を感じる街並み、道を覆う満開の桜、点在する史跡。
それらを楽しみながら歩いて行けば、普通ならばあっと言う間に着いてしまいそうなものだが、目的の「龍源寺間歩」はなかなか見えてこない。
作られたものではない古い家並みが良い感じだ
軽い登り坂なので、平地を歩くより時間がかかるのだろう。
きっかり30分かかって、龍源寺間歩まで辿り着いた。
私たちでさえ汗をかきながらやっとたどり着いた感じなのに、普通の観光客の方がここまで歩いてくるのはかなり厳しいだろう。
そう思って受付の女性に聞いてみると、普通の観光客は電動自転車を借りてここまで来るらしい。
歩いてここまで来る人の方が珍しいみたいだ。
やっと龍源寺間歩の入り口まで辿り着いた
ノミ跡が残る坑道の中は天井が低く、かみさんはそのまま歩けるけれど、私はずーっと腰を屈めたまま歩かなければならない。
所々に更に狭い、鉱脈に沿って掘り進んだ坑道もある。
この龍源寺間歩の他に、600余りの間歩が見つかっているらしい。
龍源寺間歩内部
さらに細い坑道も沢山ある
坑道を出たところの近くに佐毘売山神社がある。
社殿へと続く階段が光を受けて、何とも美しく輝いていた。
階段の写真を撮っただけで、その階段を登ろうともせずに通り過ぎる。
佐毘売山神社への石段
帰り道は来た時とは違う道を歩くこともできるので、また新鮮な気持ちになれるのも良い。
所々に坑道の入り口があるが、龍源寺間歩以外はすべて閉鎖されているので、入り口から覗くしかできない。
もしも入れたとしても、這って入るような狭い坑道に入る気はしないだろう。
古いお寺や何かに使われていたような空き家もあり、ガイドツアーで歩くと色々な話を聞けるのだろう。
ここでは500円で案内してくれるワンコインツアーもあり、時間が決まっているけれどそれを利用するのも良さそうだ。
電動自転車で舗装道路を一気に下るよりも、こんな道を歩いた方が楽しい
帰り道の途中に見た清水谷精錬所跡が一番良かった。
他の鉱山遺構でも精錬所の施設は山の斜面に作られ、その堂々とした姿に圧倒されることが多い。
ここでも、苔生した石垣が何段にも積み重なって高くそびえている姿に感動した。
清水谷精錬所跡
銀山公園まで戻ってきた後は羅漢寺の五百羅漢を見に行く。
岩盤に掘られた石窟に500体の羅漢座像が安置されている。
銀山で亡くなった人達などを供養するためにこの五百羅漢が作られたのは1766年だと言う。
一体一体が様々な表情をしていて、よそ見していたり、居眠りしていたり、見ていても飽きることが無い。
一体一体全て表情が違う五百羅漢
この中に五百羅漢が安置されている
この橋を渡ったところが五百羅漢
そんな五百羅漢を楽しんだ後は銀山の町歩きである。
石見銀山の観光は全て歩いて回らなければならないのだ。
統一された町並みが美しい
ここの街並みは重要伝統的建造物群保存地区に指定されていて、非常に統一感のある街並みとなっている。
自動販売機も木の枠で囲まれていたり、銀行の建物も周りの建物と違和感なく造られていて、昔ながらの木製の引き戸を開けると、その中がいきなり見慣れた銀行のカウンターになっていたりして、笑ってしまう。
花を飾っている家も多く、住んでいる人達も、この景観を守ろうとする意識が高いのだろう。
さりげなく花が飾られている
住民の意識も高いのだろう
お菓子屋さんの店先で男性が呼び込みをしていたが、かみさんはそれを全く無視して通り過ぎる。
私はそんなかみさんを呼び止めて、店を覗いていくことにした。
有名観光地でアジア系観光客目当てに商売しているお土産屋とは違うものを感じたのである。
その店はここで200年以上続く老舗のお菓子屋だった。
試食させてもらった名物の「げたのは」と「銀山あめ」が美味しかったので、それを買っていく。
有馬光栄堂の歴史を感じさせる建物
街並みの一番奥にある城上神社まで歩いてきたところで時間は11時を過ぎていた。
その近くに感じの良い食事処が有ったので、そこで昼を食べようと思ったが、準備中の札がかかったままでなかなか開店する様子がない。
その店は諦めて、町並みをブラブラと歩いて戻っていくと、群言堂という店を見つけた。
そこで食事ができるとは思えない外観だったけれど、店の前に小さな昼食メニューの看板が置かれていたのでそれと分かったのである。
雑貨と服とカフェで営業している店だった。
店内もとてもオシャレで、食事も美味しく、良い店だった。
城上神社の鳥居
群言堂の里山おむすび
今日の宿は三瓶山の北の原キャンプ場。
三瓶山は国立公園になっていて、二百名山にもなっている。
男三瓶山から女三瓶山、子三瓶山に孫三瓶山など、六つの峰が火口を取り巻く様に並んでいるが、田中陽気さんはグレートトラバースでこの六つの峰をぐるりと回っていたはずだ。
せっかくだから、私もそのうちの一座くらいは登ってみようと考えた。
調べてみると、観光リフトを使えば女三瓶山(957m)なら簡単に登れそうである。
右に見えるのが女三瓶山
そうして石見銀山を出た後は、三瓶山の観光リフトを目指した。
石見銀山から真っ直ぐに向かえば車で40分くらいで着いてしまうが、太田市でキャンプの買い出しをしてから三瓶山に向かった。
ここのリフトは冬はスキー場として営業しているのかと思ったら、既にスキー場は閉鎖されて、現在は完全に観光リフトとしての営業みたいだ。
スキー場の建物があった場所には立派なワイナリーが建っていた。
このワイナリー、最近オープンしたばかりみたいだが、ここで売られているワインは結構なお値段で、破綻しないで営業を続けられるのか、余計な心配をしてしまう。
山の上だけあって気温は低く、リフトに乗っている間に体が冷えてしまう。
リフトを下りてから女三瓶山山頂までのコースタイムは20分。
私たちはそこを意地になって登って、10分で山頂に到着。
時間は同じくらいだけれど、さすがに津和野城址に登った時よりは登りごたえがあった。
女三瓶山からの展望
火口を取り囲むように並ぶ山の様子が良く分かる。
下山途中に大平山(854m)も直ぐ近くなので、そちらにも登ってみる。
これで一応は、三瓶山二座登頂である。
火口を取り巻く子三瓶山と孫三瓶山
下山もリフトを使って体が冷え切ってしまう。
リフトを使わなくても登り60分、下り45分のコースタイムなので、90分もあれば登って降りてこれそうだが、この旅の間は、とにかく時間節約が大切なのである。
冷え切った体を三瓶温泉で温めてからキャンプ場へと向かった。
今日もキャンプ場到着は午後4時ギリギリ。
受付の際、4月初めの季節外れの降雪で場内の片付けが遅れていると謝られたが、こちらとしては泊めてもらえるだけありがたい。
4月初めの降雪とは、私たちが中国自動車道で吹雪の中を走っていた日のことなのだろう。
場内では枯れ枝拾い放題
場内の片付けが遅れていることは、私たちにとっては好都合。
そこら中に枯れ枝が沢山落ちているのである。
張り切って場内清掃に協力した。
場内をイタチの様な生き物が2匹横切っていった。
北海道では野生化したミンクはたまに見かけるけれど、イタチ類を目にすることはあまりないので嬉しくなる。
一昨日は車で走っている途中にかみさんが猿を見たし、これで本州に生息している主な野生動物は見られたようだ。
焚き火は燃やし放題
雪山が残っていたのには ビックリ
冷え込んだ夜も豪快な焚火で暖かく過ごすことができ、炊事場ではお湯も使えて、昨日のケビンとほぼ同じくらいの料金のオートサイトだけれど、ケビンと同じくらいの快適なキャンプを楽しめた。
翌日キャンプ場を出発する時、管理棟の横に雪が残っているのを見た時にはさすがに驚かされた。