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山陰九州の旅(島原から熊本阿蘇へ)

鍋の平キャンプ場(4月5日~6日)

九州に入ってからは天気にも恵まれ、ほぼ当初の予定取りに旅を続けてこられた。
しかし、その行程はあまりにもタイトで、駆け足しながら観光地を回っている感じである。

今日はいよいよ、阿蘇へと入る。
去年の秋の九州旅行ではガスに包まれて何も見えなかった阿蘇である。
今日明日と天気も良さそうなので、少し旅のスピードを緩め、少し時間をかけて阿蘇を楽しむことにした。
有明海をフェリーで渡るのに、なるべく早い時間のフェリーに乗ろうと思っていたが、それならばそんなに急ぐ必要もない。


雲仙地獄は噴気で真っ白

雲仙温泉を通り過ぎる際、濛々と噴気をあげる雲仙地獄に驚いて寄り道する。
遊歩道を歩いていても、噴気に包まれて何も見えなくなり、息も苦しくなるほどだ。
なかなかワイルドな場所である。

今日は仁田峠循環道路を通って雲仙ロープウェイまで行く予定である。
この道路の通行時間は午前8時からになっていて、道路の入り口まで来た時はまだゲートが締まっていた。

丁度そこへ係の人がやってきて、少し早かったけれどゲートを開けて通してくれた。
地図で見ると細い曲がりくねった道の様なので不安だったが、一方通行なので安心して走ることができる。


仁田峠第2展望所


仁田峠第2展望所からは、平成新山が昨日よりも更に間近に見ることができた。
かみさんがそこで数匹のウリ坊を目撃。
その後、車で走っていてキツネを目撃。北海道ならばキタキツネだけれど、こちらのキツネはホンドギツネというらしい。


平成新山


仁田峠の雲仙ロープウェイ乗り場までやって来た。
ロープウェイに乗って妙見岳山頂まで行けば、平成新山が目の前に見えるのだろう。
しかし、ロープウェイに乗る余裕まではない。
今日の目的地は阿蘇山なのだと自分に言い聞かせて、そこを後にした。


左がロープウェイの山頂駅、右奥に平成新山が見える


山を下り、多比良港から有明フェリーに乗る。
こんなローカルな小さなフェリーに乗るのは初めて。
港に着いた時は、予定していた便より早い便が出港間近で、何も分からずに誘導されるままにフェリーに乗り込む。
かみさんも車に乗ったままで、まるでドライブスルーの感覚で乗船するのである。
対岸の長州港まで45分の短い船旅を楽しんだ。


フェリニー乗って島原半島を後にする



長崎から熊本に渡っての最初の目的地は三池炭鉱万田坑である。
ここは「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録されている施設の中の一つである。


ボランティアガイドの方に施設内を案内してもらう


施設へやって来ると、「ガイドツアーの時間には早いけれど、他にお客さんがいないので案内します」と言われる。
このような施設では自分で自由に見て回る方が好みなのだけれど、せっかくなので案内してもらうことにした。
ガイドの方は以前にここで働いていた方だったので、興味深い話を沢山聞かせてもらえて、ガイドツアーもなかなか良いものである。


施設の寂れ具合が絶妙で廃墟ファンの心をくすぐる


私は元々こんな廃坑になった施設が好きなのだけれど、今まで見た廃坑の中でもここは特に良かった。
1997年まで施設が使われていたこともあり、施設の劣化がそれ程進んでいなくて、今が丁度良い寂れ具合なのである。
ここまでの旅では、時間に追われながら観光してきたけれど、ここでは時間を忘れて楽しんでしまった。


竪抗櫓内部も公開されている



屋外に放置されたままの機械類も良い感じ

機械類を修理する建物


昼近くになっていたので、近くに良い店がないか検索し、来夢と言う店に入る。
そこで美味しいうどんを食べることができ、気分を良くして阿蘇へと向かう。



最初にやって来たのが俵峠展望所。
阿蘇カルデラを南側から一望できる場所である。

去年の九州の旅で一番楽しみにしていながら目にすることのできなかった阿蘇カルデラの風景。
ようやくその姿を見られて感動もひとしおである。


俵峠展望所から眺める阿蘇カルデラ


次に向かったのが観音桜。
俵峠展望所は訪れる人も少なく穴場的な場所だったが、観音桜は多くの人で賑わい、桜の時期は人気の観光地となっているようだ。
駐車場周りの桜も美しかったが、ここを訪れる人の目的は牧草地を少し登ったところに1本だけ生えている桜の木のようだ。


観音桜の駐車場から阿蘇の山を眺める


大きく枝を広げた姿が美しく、阿蘇カルデラ中央にそびえる山々を背景にして咲く姿は見応えがある。
次に一心行の大桜を見に行こうとしたが、観音桜をさらに上回る駐車場の混み具合に恐れをなし、そちらの桜は諦めることにした。


観音桜と阿蘇の山々


南阿蘇村には湧水の湧く水源が幾つかあるけれど、その中の一つ白川水源にも行ってみる。
こちらも結構な観光地になっていたが、去年の旅で偶然に訪れた産山村の池山水源がとても良い所だったので、それと比べるとかなり見劣りがした。
阿蘇に来てから雲が広がり始めていたのが気になっていたが、ここでとうとう傘が必要なくらいの雨が降り始めた。
しかし、この雨も池山水源を出る頃には上がってホッとする。


雨が降り始めた池山水源


予定していた場所をほぼ回り終え、後は買い物を済ませ温泉に入ってから今日のキャンプ地である鍋の平キャンプ場へと向かうことにする。
温泉は高森町の月廻り温泉に入る。
ここから眺める根子岳や高岳の眺めもなかなか素晴らしかった。
これから向かう鍋の平キャンプ場は、この根子岳の山麓にあるのだ。


左が高岳、右が根子岳


そうして鍋の平キャンプ場に到着。
池山水源でパラパラと雨が降ってきた時はどうなるかと思ったけれど、再び素晴らしい青空が広がってきていた。
山が間近に迫り、場内では桜が花を咲かせ、なかなか素晴らしいキャンプ場である。
牧場が隣接し、そこに放牧されている阿蘇あか牛の姿も見られるかもと期待していたが、残念ながら牛の姿は無く、タヌキが1匹、牧場の中をウロウロしているのを見かけただけだった。

鍋の平キャンプ場
目の前には根子岳、隣には牧場が広がる鍋の平キャンプ場


当初の予定では、この日は阿蘇中岳や草千里も見て回って阿蘇市の坊中野営場に泊まることにしていたけれど、全く無理な行程だった。
計画を立てる時は、走行距離と走行時間、そこに大体の観光時間をプラスして、行く場所を決めるのだけれど、観光時間だけは現地に行ってみないとどれだけのかかるか分からないのでなかなか難しいのである。

鍋の平キャンプ場
場内の桜も満開


先客が一組だけいたけれど、日帰りキャンパーだったので、キャンプ場は今日もまた我が家だけの貸し切りである。
気温はどんどん下がってきたけれど、薪が拾える場所ではなかったので、テントの中に籠り、ガソリンランタンの熱だけで暖を取るしかない。
上空には満天の星空が広がっていた。

鍋の平キャンプ場
夜には満天の星空が広がった


夜中にポツポツと雨音が聞こえ、また雨が降り始めたのかと思ったが、それはテント内の結露がしたたり落ちる音だった。
朝起きて早速テントの結露のふき取り作業を始めたが、周りの芝生に霜が降りているのに気が付いた。
そんな中で結露を拭いていると、あまりの冷たさに手の感覚が無くなってくる。
6時半を過ぎると朝日も射してきて、生乾きながらも何とかテントを乾かして撤収することができた。


鍋の平キャンプ場
気温は下がったけれど気持ちの良い朝だ

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