北海道キャンプ場見聞録
幌加内の魅力を満喫キャンプ
朱鞠内湖キャンプ場(2月1日~2日)
2月の3連休、カヌークラブの道北遠征山スキーツアーの企画を色々と考えてみた。
しかし、3連休ともなるとバンガローなどの安い宿泊施設の予約が取れない。
結局、この企画は諦めることになったが、そのまま没にしてしまうのは勿体ない。
それじゃあ私たち夫婦でその企画を引き継ぐことにしよう。
そうして今回の「朱鞠内湖バンガロー泊ワカサギ釣りおまけにちょっと山スキーキャンプ」が決まったのである。
今冬の朱鞠内、幌加内方面は久しぶりの大雪に見舞われていた。
朱鞠内湖は北海道でも一番雪深い土地であるが、少し離れた幌加内は朱鞠内ほどの雪は降らない。
それが今年は、北海道最深積雪の座を朱鞠内湖と競い合っているのである。
1月の最新積雪の記録を更新したとのニュースも流れていた。
朝6時半に家を出て、北へ向かって車を走らせる。
途中、当別から浦臼にかけて激しい雪となり、久しぶりに緊張する運転を強いられた。
ようやく雪も止んで次第に青空が広がってきた。
幌加内に近づくにしたがって雪深くなってくる。
道路際の除雪された雪山が高すぎて周りの風景が全然見られない。
幌加内の街で買い物をする。
除雪された歩道の両側には高さ2m以上の雪壁ができていた。
10時半に朱鞠内湖到着。
まずは氷上ワカサギ釣りである。
入漁料は一人1100円。
漁協のお姉さんが、気の毒そうな表情で「日中は魚の活性が落ちるからあまり釣れないんですよね~」と言っていた。
朱鞠内湖でのワカサギ釣りは何度か経験していたので、そのことは分かっていた。
二人合わせてせいぜい数十匹ってところだろう。
二人分の入漁料、それに高速代まで含めたらとんでもなく高いワカサギになりそうなので、ここに来るまでは敢えて一般道を走ってきたのである。
時間がかかりすぎて堪らずに滝川から高速を利用したが、それでも4時間もかかってしまった。
週末は駐車場が満車になるくらいに混み合うみたいだが、平日の今日はテントもまばらである。
氷の上に50センチくらい積もった雪を除けて釣り場を確保。
ふわふわのパウダースノーなので、スコップを使うよりも足で掃くように除けた方が手っ取り早い。
不思議に思うのだが、2m以上の積雪になっている朱鞠内なのに、湖の氷の上に積もっているのは何時もせいぜい50センチくらい。
下の方の雪はそのまま解けてしまうのか、氷に変わるのか。
釣りの際、わざわざ氷に穴を開ける必要はない。
釣りをした穴には目印の竹竿を立てておくのがルールになっている。
雪の上にはそんな竹竿が何本も見えていた。
上に降り積もった雪が保温材となって氷が張っていないので、雪を除ければすぐにその穴で釣りを始められるのだ。
テントも持って来ていたが、陽射しがあって暖かいので、そのまま釣ることにする。
ワカサギ釣り用のテントならば簡単に立てられるのだが、我が家には普通のキャンプ用のテントしかないのだ。
湖上には常設テントも張られていて、それを利用することもできる。
大きさによって値段も違うようだ。
これ以上、釣りにお金はかけられないので、当然そんなものは利用しない。
エサは札幌のフィッシュランドで買ってきた紅サシ。
かみさんは撒き餌も買おうとしていたが、釣ったワカサギを直ぐに食べることを考えると、撒き餌はあまり使いたくない。
直ぐに私の竿にアタリがあり、小さなワカサギが上がってきた。
その後しばらくアタリがなくなる。
暖かな日差しを浴びながらビールを飲む。
遠くのテントからにぎやかな歓声が聞こえてくる。
オジロワシが飛んできて近くのマツの先端にとまった。
私たちが釣った魚を狙っているのだろうか。
途中でウグイのような強い引きがあったが、そのまま針ごと持っていかれてしまった。
もしもそれを上げていれば、オジロワシにプレゼントできたところだ。
貴重なワカサギは一匹たりとも無駄にはできない。
結局このオジロワシは私たちがいなくなるまで、マツの先端に留まっていたのである。
退屈しない程度にポツポツと釣れてくる。
日がかげると体感気温が一気に下がってくる。
ログキャビンのチェックインは午後3時から。
それまでは頑張るしかない。
最終的にこの日の釣果はかみさん19匹、私16匹の35匹。
夜に天ぷらで食べるには丁度良い数だ。
漁協のお姉さんから初心者にしては釣れた方だと褒められる。
キャンプ場内のログキャビンまでの道は除雪されていないので、スノーモービルで送り迎えしてくれる。
駐車場所からキャビンまでの距離は300mほど。
歩けない距離じゃないけれど、せっかくなのでスノーモービルに乗せてもらう。
予めストーブを付けてくれていたのでログキャビンの中は既に暖かだった。
キッチンに冷蔵庫、トイレ、ロフト付き、なかなか快適である。
これまで冬の朱鞠内湖では6回キャンプしているが、いずれもテント泊。
ログキャビンの利用料は暖房費も含めて1棟9500円。
二人で泊まると割高になってしまうが、私たち夫婦も年をとったのでこれくらいの贅沢は許されるだろう。
かみさんが早速ワカサギを天ぷらにしてくれる。
釣ったばかりのワカサギの天ぷらは本当においしい。
近所のスーパーではワンパック270円でもっと沢山のワカサギが入って売られていたが、こちらの35匹2200円の超高級ワカサギとは比べ物にならないだろう。
暗くなってから外に出てみると、ログキャビンの上には冬の星座オリオン座が輝いていた。
間もなくして満月を一日過ぎた月が昇ってきた。
昨夜はスーパーブルーブラッドムーンの皆既月食で日本中が大騒ぎしていたけれど、できればここで皆既月食を楽しみたかったものである。
でも、この寒さではゆっくりと撮影もしていられなかっただろう。
月明りで雪面がキラキラと輝きとても美しい。
その様子をカメラで撮影するが、じっくりとピント合わせもしていられなくて、この夜に外で撮影した写真はピンボケばかりになってしまった。
他に泊まり客もいないので、ログキャビンのカーテンはすべて開けたまま。
月の光が射し込む暖かな部屋の中で気持ち良く眠りについた。
翌朝4時半に目覚めると、西の空へと移動した月の光が部屋の中をまだ照らしていた。
コーヒーを飲みながらのんびりとしていると、東の空が次第に明るくなってくる。
朝食を済ませ、スノーシューを履いてキャンプ場内を歩いてみる。
炊事場やトイレの建物は一度雪下ろしされている様子だ。
一度も雪下ろしされていないコンクリート製の小さなトイレは完全に雪に埋もれそうになっている。
湖を見下ろせる場所までやってきた。
そりを引いて釣り場へと向かう人の姿も見られる。
そこでそのまま朝日が昇ってくるのを待っていたが、日の出時間を過ぎてもなかなか朝日が現れない。
この日の朱鞠内の最低気温は午前7時過ぎにマイナス29.2度を記録していた。
寒くて堪らないので、あきらめてログキャビンに戻ることにする。
途中で後ろを振り返ると、薄雲の中から朝日が姿を現していた。
お願いすれば朝もスノーモービルがお迎えに来てくれるが、荷物もそれほど多くはないので歩いて戻る。
歩いている間にかみさんの髪の毛が白く凍り付いていた。
この日は幌加内市街地近くの坊主山に登る予定である。
そこに向かって車を走らせていると、天塩山系の山々が朝日に照らされて白く輝き、とても美しい。
車から降りてその写真を撮っていると、あまりの寒さに震えあがる。
この気温で山に登れるのだろうかと、心配になってきた。
途中、あちらこちらで除雪作業が行われていた。
雪山を崩してそれをロータリーで遠くへ飛ばすのである。
そうでもしなければ、除雪した雪を置く場所が無いのだ。
登山口に着く頃には車の温度計もマイナス22度まで上がっていてホッとする。
こちらでは、マイナス22度も暖かく感じることができる。
天気にも恵まれて最高の山スキーを楽しんだ後、幌加内の雪月花で蕎麦を食べる。
町のパンフレットによると、新そばよりも熟成が進んだ冬そばの方が美味しいそうである。
正にその通りと言える美味しいそばを堪能。
今回のキャンプでは、こうして冬の幌加内の魅力を味わい尽くすことができたのである。