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怒られながら流星キャンプ

某キャンプ場(12月14日)

ふたご座流星群については、毎年チャンスがあれば見に行こうと考えているのだが、天気が悪かったり月が明るすぎたりと、なかなか良い条件には恵まれない。
それが今年は10年に一度の好条件と言われていたので、これは見に行くしかなかった。

某キャンプ場にテント設営 午後から休みを取って、我が家の流星群観測の定番である某キャンプ場へ。
ここに流星群を見に来るのは2006年のふたご座流星群以来である。

今のところは快晴の空が広がっていたが、午後9時頃から曇ってくるとの予報である。
翌朝まで晴れているのならば1泊したいところだが、翌朝には雨も降り始めそうなので日帰りで諦める事にする。

食事場所として、テントの外張りだけを設営。
今回は寝転がって流れ星を見るために、キャンプ用のコットも用意していた。
かさばって、組立も面倒で、実際のキャンプで使ったことは一度もない。
昔、L.L.Beanの海外通販で買ったもので、久しぶりに物置の奥から引っ張り出してきたのだ。

拾った枯れ枝で焚き火を始め、後は暗くなるのを待つだけというところで、たまたま場内の施設を見に来ていたらしい役場の人が近づいてきた。
「こんにちは」と笑顔で挨拶したところ、いきなり「このキャンプ場は10月で閉鎖しているんです。今すぐ出て行ってください。」と怒られてしまった。

流星観測準備完了キャンプ場とは言っても、何処がテントサイトかも分からないようなところである。
キャンパー以外の人間も普通に出入りしている場所で「何で出て行かなければならないんだ?」と思いながら、「今日は日帰りなんです。火を消す事もできないので、これが燃え尽きたら直ぐに帰りますから。」と必死にお願いする。

「今日はたまたま用事があって来たけれど、クローズ後は入り口にロープを張って、入れないようにしてるんですよ!本当に出て行ってくださいね!」と最後まで厳つい表情を崩さないまま帰っていった。

役人に注意される事には慣れているけれど、彼が最後に言っていた「普段はロープを張って閉鎖している」は明らかな嘘である。
役人が嘘をつくのは良くないことだ。
近頃のキャンプ場としては、ある意味で緩く管理されていてるところが好きなキャンプ場だったのに、ちょっと残念だった。

 
我が家のサイト
ベストポジションで流星群観測準備を整えたのだが・・・

西の空で輝く飛行機雲西の地平線に日が沈んでゆく。
空が暗くなってくると、太陽が姿を消した西の空に細い三日月が浮かんでいるのに気が付いた。
一週間前には明け方の東の空で、同じくらいの細さの三日月が金星と大接近していたことを思い出す。

今日は比較的飛行機雲が出やすい気象条件なのか、新千歳空港を離着陸するジェット機の作る短い飛行機雲が沈んだ夕陽に照らされて、西の空で何本も赤く染まっている。

一番最初に見つけた星は、ぎょしゃ座のカペラだった。
次第に星の数も増えてきたけれど、肝心のふたご座はまだ東の地平線の下である。


夕日
凍った沼を赤く染めながら日が沈む

夕暮れの飛行機雲
夕暮れの空に赤く輝く飛行機雲

三日月とテント日が沈むと急に寒さが増してくる。
沼はほぼ全面結氷していたが、その氷がキューンキューンと音を立て始めた。
遠くからは牛や犬の鳴き声が聞こえてくる。
それに混じって他の動物らしい鳴き声も聞こえていた。
上空からは、そこを飛び交うジェット機の音も降ってくる。
なかなか賑やかなところである。

一番最初の流れ星は、かみさんが見つけた。
何時ものパターンである。
かみさんが三つも見た後で、私もようやく一つ目の流れ星を見ることができた。


星と飛行機雲
瞬きはじめた星々と飛行機雲、これが流星なら凄いんだけど

ふたご座が登ってくるまでは流れ星の数も少なそうなので、その間に夕食をとる。
熱々のキムチ鍋に、できればビールも飲みたいところだが、今日は日帰りなので我慢するしかない。

食事を終え、ふたご座のカストルとポルックスも東の空に昇ってきて、いよいよ気合を入れて流れ星観測を始める。
私は今回、初めてインターバル撮影にチャレンジしてみた。
星の軌跡この日のために買ったといっても良いタイマー付きリモートレリーズ。
これを使って一度設定してしまえば、後は自動的にカメラが撮影を繰り返し、運が良ければそこに流れ星も写ってくれるかもしれない。
また、そうして撮った写真を合成すれば、良く見るような星の軌跡の写真となるのである。

それに、先日の京都旅行にあわせて購入した28mmの短焦点レンズ。
明るいレンズなので星空も綺麗に写るだろうと思って、最初はそれを使ってみた。

しかし、このレンズが流れ星の撮影には向いていないことが直ぐに分かった。
流星群の放射点は決まっていても、実際の流れ星はところかまわず流れるのである。
それをカメラで捉えるためには、できるだけ広い範囲を撮影できる方が良い。
35mm換算で45mmのレンズでは視野が狭すぎるのだ。

横切るのは飛行機の軌跡ばかり途中からは、今まで使っていた18-270mmのズームレンズに切り替えた。
それでも、レンズを向けている先で、そう簡単には星は流れてくれない。
空を横切っていくのは飛行機の軌跡だけである。

それにしても、上空を頻繁に飛行機が飛び交っていた。
以前はそんなに多く飛んでいた記憶はない。
それらの飛行機が集中する西の空は、相変わらず明るいままだ。
苫東の石油備蓄基地か、もっと遠くの苫小牧の町の明かりなのだろうか。

カメラが勝手に撮影している間、私はコットの上に寝転がって星空を眺めることにする。
そのコットの表面は、何時の間にか真っ白になるくらいに霜で覆われていた。
その霜を拭き取とり、厳冬期用の羽毛シュラフに包まってコットの上で仰向きに横たわる。


西の空の飛行機の軌跡
西の空は飛行機の軌跡だらけ

寒さも殆んど感じず、なかなか快適である。
これならばずーっと星空を見続けることができるし、逆に気持ち良すぎて途中で寝てしまうかもしれない。
しかし、かみさんが何度も「あっ、流れた!」と声をあげているのに、私は相変わらず見られないままだ。

どうやら、ふたご座の高度もまだ低いので、流れ星も地平線近くを流れる事が多いみたいだ。
それなのに、私は寝転がって天頂を眺めているのだから、見られないわけである。
途中で諦めて、私も椅子に座りながら見ることにした。

9時頃になっても、空はまだ快晴のまま。
風も無く、流れ星観測には最高の条件である。
その代わり冷え込みはきつい。
カメラの様子を見に行くと、何時の間にかレンズが真っ白な霜に覆われていた。
この時期の撮影には、レンズを暖めるヒーターが必要になるみたいだ。

流れ星じゃなかった
ふたご座流星群をとらえた!っと思ったら人工衛星だったようです

流れ星は、続けて流れる事もあれば、全く流れない時間もある感じだ。
このままふたご座が高度を上げてくれば、もっと多くの流れ星を見られそうだが、明日の仕事の事を考えると何時までも見てられない。
10時頃には片付けを終えて、名残惜しいけれどその場所を後にした。

今回のふたご座流星群、流れ星の数はそれなりに見られたけれど、夜空を切り裂くような大きな流れ星は見られず。
9年前にここでふたご座流星群を観測した時の記事を読み返すと、火球並みの大きな流れ星を見たと書いてあった。
流星観測の楽しみは、最後は数よりも記憶に残るような大きな流れ星を見られるかどうかにかかっている気がする。
来年1月のしぶんぎ座流星群はちょっと寒すぎるので、次の8月のペルセウス座流星群までその楽しみはとっておくことにしよう。



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