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予定のない旅 津別キャンプ

津別21世紀の森キャンプ場(6月11日〜12日)

6月の北海道、各地の原生花園の花が美しく咲き誇る季節。
以前は数日の休みを取って、そんな原生花園を巡るキャンプの旅に出かけたこともあったが、最近は休みづらい状況が続き、それもしばらく途絶えていた。
久しぶりにそんな旅がしたくなり、思い切って2日間の休みを取る。

一番の目的は、カヌークラブの9月例会で下る予定の利別川の下見をすることだった。
利別川は、kenjiさんご夫婦と一緒に下ることにしていたので、土曜日に設定。
その他に考えたのが、津別町のクリンソウ群落と、同じく津別町の双葉のミズナラを見に行く事。
キャンプ場はチミケップ湖にでも泊まってみよう。
川下りを予定に含んでの3泊4日の旅では、大したこともできないのである。

木曜日から休みを取ったけれど、晴れそうなのは金曜日だけで、土曜日は雨の予報。
せっかくの4連休なのに、テンションの上がらないまま小雨の降る札幌を出発した。

ドレスガーデン カンテ最初に向かったのが、5月30日から開幕したばかりの北海道ガーデンショー、そのメイン会場である大雪森のガーデンだ。
9時のオープンと同時に到着し、先に入場していた団体客の横をすり抜け、目指すはガーデンの一番奥にある「ドレスガーデン カンテ」である。

その目的は、全くのありきたりだけれど、そこでの記念撮影だ。
パンフレットなどに載っているその写真を見れば、誰でもそこで写真を撮りたくなるだろう。

狙い通り一番乗りはできたけれど、ガスがかかった灰色の空が背景では、良い写真は取れない。
おまけに、スタッフの方が近くにいるので、モデルのかみさんが恥ずかしがってポーズをとってくれないのだ。

一応の目的は達成したので、北海道ガーデンショーに合わせて作られたコンペティションガーデンやデザイナーズをゆっくりと見て回る。
人生の旅路「ドレスガーデンカンテ」もデザイナーズガーデンの一つである。

その中では「森の木琴」が一番楽しかった。
木の玉を転がすと、それが木琴を鳴らすのだけれど、その玉は300円で買わなければならない。
躊躇わずにその玉を買って、木琴の上を転がす。
後から来たご夫婦が、私達が玉を買っているのを見て「音だけ聞かせてもらいましょ」と横で待っていた。
人が沢山いる時ならば自分で玉を買う必要もなさそうだが、やっぱりここは自分で転がしたほうが面白いのだ。(森の木琴の動画

 
森の食卓   祝祭の日
「森の食卓」でお食事  

「祝祭の日」を見上げる


山宴
「山宴」大雪の山の神々が湿原を囲んで宴を開いているそうです

それぞれに特徴のあるコンペティションガーデンを一回りした後は、大雪森のガーデンの本来の庭を見て回る。
ここは昨年の7月にグランドオープンしたばかりで、植物もまだ大きくはなっていないが、それでも十分に楽しめる。

ここのデザインに携わった上野砂由紀さんが自ら経営する上野ファームも、北海道ガーデンショーの会場になっている。
かみさんは上野ファームも見たがっているが、私はなかなかその気になれない。
津別町のクリンソウ群落とかならば、それだけを目的に出かける事もあるが、最近道内各地に作られているこの様なガーデンには、なかなか足が向かないのである。
それでも、人工的なガーデンはやっぱり美しいのだ。
ガーデン内には、所々に撮影ポイントの看板が立っていたが、そこでカメラを構えるとデザイナーの意図が分かるような気がした。

大雪森のガーデン園内のカフェで一休みしながらスマホを確認すると、知り合いの亜香里さんからメッセージが届いていた。
私達が道東に来ているのを知って「明日、釧路川源流を下るので一緒にどうですか?」との誘いである。
これにはビックリしてしまった。あまりにも魅力的な誘いである。
この後の予定もあまり真剣に考えていなかったので、直ぐにその誘いに乗ることに決めた。

明日釧路川を下るのならばキャンプの撤収も早くしなければならない。
天気もパッとしないのでバンガローに泊まったほうが良さそうだ。
そこで、宿泊地は津別町21世紀の森キャンプ場のバンガローに決定。
そこを朝早くに出れば、途中でノンノの森のクリンソウも見ていける。
ここになってようやく、今回の旅の詳細スケジュールが決定したのである。
もしもこの誘いが無かったら、この後どうしていたんだろうと、自分でも呆れてしまう。


大雪森のガーデン
お勧め撮影ポイントから撮影したガーデン

チミケップ湖に泊まるのならば、現地に早く着いても時間の過ごし方はいくらでもあるけれど、津別21世紀の森に早く着いても多分退屈するだけになりそうだ。
そこで、こんな時でないと寄る機会のなさそうな留辺蘂の山の水族館に入ってみる事にした。

滝壺水槽滝壺水槽や冬に凍る川の水槽が人気の水族館だが、結構楽しめた。
私は、ちょっと俗っぽいけれど、初めて体験したドクターフィッシュの水槽が面白かった。

昼食は、同じ留辺蘂の国道沿いにあった「手打ちそばすずき」に入る。
食べログの情報を調べずに飛び込みで入ったのだが、評判は良いみたいだ。
少ないメニューの中から私は鰊蕎麦を注文。
これは鰊がしょっぱ過ぎ。
かみさんが注文したとろろ蕎麦は、とろろが泡立ててあって腹が膨れるとかみさんの評価もパッとしなかった。

その後は、ドライブのつもりでチミケップ湖まで行ってみることにした。
空は相変わらず鉛色の雲に覆われたまま。
風も結構吹いている。
こんな色の空を眺めていると、明日の予定がハッキリとしてからも、心はなかなか晴れてこない。


山の水族館   山の水族館
イトウの水槽   ドクターフィッシュに治療してもらう


チミケップ湖へと向かう林道の途中で、沢山の車が路肩に泊まっていて驚かされる。
それぞれが、巨大な望遠レンズを付けたカメラを一定方向に向けていたので、もしかしたらそこではシマフクロウでも営巣しているのかもしれない。
チミケップ湖へ続く林道しかし、この有様では明らかにその対象物に対してストレスを与える事になりそうだ。
こんな場面に出くわす度に、人間のエゴを感じてしまう。

それでも、チミケップ湖に近づくにしたがって自然の濃さが増してくるのを感じられる。
森の入り口で見たキタキツネは餌を求めて車に近づいてきたが、その先で見たキタキツネは大慌てで姿を消した。
エゾシカの親子も、車に驚いて森の奥へと逃げ込んだ後、そこから私たちの様子をそっと窺っていた。

チミケップ湖畔のキャンプ場に付いて、湖畔まで歩いていく途中、クリンソウが大きな群落を作って花を咲かせていた。
わざわざノンノの森まで行かなくても、ここでこんな群落を見られるとは完全に予想外である。

回りを森に囲まれているので風も当たらず、チミケップ湖の湖面は静まりかえっていた。
森の中からアオバトのうら寂しい鳴き声が聞こえてくる。
チミケップ湖キャンプ場しかし、鉛色の空やアオバトの寂しい鳴き声も、ここでは魅力の一つになってしまう。

かみさんが「何でここにテントを張らないの?」と言いたげな目で私を見る。
私も、ここにテントを張らずに公園の様なキャンプ場のバンガローに泊まろうとしている自分が信じられなかった。

ここにテントを張るのならば、ゆっくりと2泊はしなければ意味が無い。
1泊だけでそそくさと帰るようなキャンプ場ではないのである。
「こんなにジメジメしているし、ここはダニだってうじゃうじゃいるんだぞ!ほらっ、こんなところに狸のため糞も落ちてるし!」
危うく踏みつけるところだった。
もしも気が付かずにその上にテントを張っていたら、大変な事になっていたところだ。
何せ、狸の糞は強烈に臭いのである。


チミケップ湖キャンプ場
クリンソウが満開のチミケップ湖キャンプ場

津別21世紀の森キャンプ場のバンガロー後ろ髪を引かれる思いでチミケップ湖を後にし、津別町へと向かう。
到着した21世紀の森キャンプ場は、市街地の直ぐ近くの割には樹木に囲まれ落ち着いた雰囲気である。
ただ、テントサイトはただの大きな芝生広場で、味も素っ気も無い。
バンガローも然りである。

でも、キャンプをしに来たつもりではないので、それで不満はなかった。
バンガローの料金は2000円。
ロフト付きで使い勝手も良い。
必要な荷物を運び込んだだけで、設営完了である。

そこで何時ものようにビールで乾杯となるが、バンガローの中で飲んでも全く美味しくない。
キャンプではないと言いながらも、やっぱりビールは外で飲みたい。
椅子と折りたたみテーブルだけを車から降ろした。

バンガロー裏を流れる津別川場内を一巡りしてみる。
ようやく雲の切れ間から日も射すようになってきた。
芝生広場の奥には、池もあり、キャンプ場の直ぐ横を津別川が流れているが、サイトからは直接見えないのが残念だ。

キャンプ場付近の津別川は、親水護岸風に整備されているが、トラロープが張られて立ち入り禁止となっていた。

津別川は雪解け水による増水がまだ続いているのか、かなり迫力ある流れで、これでは立ち入り禁止の措置も止むを得ないだろう。
でも、私たちにとってはなかなか魅力的な流れに見えて、そこにカヌーを浮かべたくてウズウズしてしまうのは困った習性である。

バンガローの前には寝台列車の車両が置かれている。
昔は、そこにも宿泊できたようだが、今は入り口に鍵がかけられ、その中も見られない。
昔懐かしい三段ベッドの寝台に、試しにもう一度横になってみたいものだ。

焚き火禁止になっていたので、食後はそのままバンガローの中でワインを飲んで就寝。
21世紀の森キャンプ場の朝翌朝、バンガローのドアを開けると、外には素晴らしい青空が広がっていた。
曇り空で沈んでしまった心は、青空になれば驚くほど簡単に回復する。

芝生は朝露で濡れていた。
こんな時こそバンガローのありがたみを感じてしまう。
テント泊で撤収を急ぐときは、まずはテントの水滴を拭き取るところから始めなければならないのだ。

ゆっくりと朝のコーヒーを飲んで、朝食を済ませ、食器を洗ってからでも、6時半には撤収完了。
青空の下、ノンノの森に向かって車を走らせた。

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寝台車   キャンプの夕食
昔はここにも泊まれたのだろう   バンガローの中で夕食


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