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十三年ぶりの森野キャンプ

森野オートキャンプ場(10月13日〜14日)

苫小牧は、我が家にとってあまり馴染みのない町である。
特に理由はないのだけれど、苫小牧まで出かけるようなきっかけがないのである。
それが今回は、森野でキャンプをすることにしていたので、たまに苫小牧でメシでも食ってみようと、高速を苫小牧東ICで降りて苫小牧の町の中を走ってみる。

そして港までやって来た。
苫小牧と言えばホッキ。そして一番に名前が出てくるのがマルトマ食堂。最初はやっぱり有名処の店に入っておこうと考えたが、何と、日曜日は定休日。
ホッキには縁が無かったのだと諦め、目星を付けておいたうどん屋に向かうことにした。
苫小牧でホッキを食べるところがかみさんが「何か向こうに市場のようなところが見えたわよ!」と言うので車をUターンさせる。
そこにあったのは「ぷらっとみなと市場」
苫小牧の観光スポットにもなっているらしいが、全く下調べもしていなかったので、本当に偶然、そこを見つけたのである。
中には食事をできる店も沢山あり、勿論ホッキがメインである。
私がホッキ丼、かみさんがホッキ刺身定食を食べる。どちらも美味しくて。これならば無理してマルトマ食堂に入ることも無さそうだ。
市場で売られている果物なども安かったので、栗にミカンにブドウ、他にキャンプでのおつまみとしてホッキシュウマイを購入。

そうして、今回の宿泊地森野オートキャンプ場を目指した。
苫小牧から白老にかけては天気が良かったのに、白老から内陸部に向かうにしたがって空模様が怪しくなってくる。
そうして、ホロケナシ駐車公園までやってきたところで時雨模様の雨が降り始めた。
時雨模様の空このままキャンプ場まで行っても、雨の中でテントを張るのも嫌なので、しばらくそこで雨が止むのを待っていた。
雨雲レーダーを確認すると、日本海から北西の風に乗って雨雲が流れてきていたが、その雨雲も明日登る予定のホロホロ山等の山塊に阻まれて、太平洋側にまでは達していない。
それでもこの付近では、山を越えた雨雲が時々流れ込んでくるようである。

雨が小降りになったところで再びキャンプ場に向かうことにしたが、何のことは無い、駐車場のすぐ隣が森野オートキャンプ場だったのである。
既に結構な数のテントでサイトが埋まっていたのでビックリした。

何時もならば少しでも早くキャンプ場入りして良いサイトを確保するのが我が家のパターンである。
今日は3連休の中日だったが、昨日から天気が悪く、おまけにここのキャンプ場のチェックインは午後1時とキャンピングガイドに載っていたので、それ程急ぐこともないだろう考えていた。
先日、ポロシリのオートキャンプ場を利用した時は、チェックイン前にタープを張ろうとしたら、デイキャンプの料金がかかると言われたこともあったので、敢えて余裕を持ってキャンプ場入りしたのである。
それなのにこの状況は想定外だった。

まずは管理棟で受け付けをする。
こちらの管理人さんとはファイスブックを通じてある程度面識はあった。
でも、管理人さんのフェイスブック上の写真は犬のコーギーの写真が使われているので、顔は分からない。
管理棟の前でコーギーを抱いている女性は多分奥さんだろう。そのコーギーがとても可愛い。
13年前に初めてここに泊まった時、以前の管理人のおじいちゃんが飼っていた犬と我が家のフウマが仲良くじゃれ合っていたことを思い出す。
フウマは、見かけはコーギーにそっくりだったのである。

中に入ると、挨拶をする前から管理人さんから「お待ちしていました」と声をかけられた。
事前に泊まりに行くことを伝えてはいたけど、直ぐに私だと分かってくれたのは意外だった。以前から私のホームページなどを見ていてくれたようなので、分かるのだろう。
我が家のサイトサイトは一番奥を指定された。
「あれ?自分で選べないのかな?」と思ったけれど、もしも他のキャンパーが誰もいない時に好きな場所にテントを張って良いと言われたならば、多分その一番奥に張っていたはずなので、何の異存も無かった。
まさかその場所を私達のために空けておいてくれた訳ではないだろうが、何となく嬉しくなる。

雨の後なのでテント床の状態が気になっていたけれど、固く締まった赤土の表面には年月の経過を感じさせるように緑色の苔が生え、しっとりと湿って、良い感じになっていた。
そのテント床の上に、新しく買ったばかりのテント「NEMO ANDI 2P」を初張りする。
付近の紅葉は思っていたほど進んでいなくて、サイトの上に枝を伸ばしているミズナラとモミジの葉はまだ緑色のままだ。
その緑とNEMOの緑色がとてもマッチして見えるのは、ひいき目に見ているからだろうか。

NEMO ANDI 2P今回はかみさんが大きいテントで寝て、私がこのNEMOを使うことにした。
これまで自分用に使っていたMSRのハバハバHPより横幅が広く、これならば大型ザックを背負った縦走時に二人で使用することも可能である。
ANDIはシングルウォールのテントなので、結露のことが若干心配だった。
前室部分だけ2重構造になっていて、雨の日にはこの前室が役に立ちそうだが、一般的なテントよりもインナーへの出入りが若干しづらい気がする。

天気は相変わらず不安定で、時雨模様の雨が降り続けている。
でも、気になるほどの雨でもない。
たまに日が射してくると、向かいの山に虹がかかる。
昨日から飽きる程に虹を見ているけれど、こんなに頻繁に虹を見たことも滅多にない気がする。

 
虹
日が射してくるとキャンプ場に虹がかかる

場内に日が射してきた上空に青空が広がってきたところで、場内を少し歩いてみる。
ここのキャンプ場は、一人のおじいちゃんがコツコツと作り上げた手作りのキャンプ場でもある。
我が家が13年前に泊まった時は、確かオープンして間もない頃だった気がする。
キャンプ場の他に大きな庭園を作るような夢も語っていたと思う。
しかし、何年か前にそのおじいちゃんが亡くなられて、キャンプ場も閉鎖されてしまっていた。
その後、現在の管理人さんが、おじいちゃんの遺志を継いでキャンプ場を再開してくれたのである。

そんな若い管理人さんを応援したくて、もっと早くに再訪しよと考えていたが、去年は雨に阻まれ、今回ようやく訪れることができた。
その管理人さんも、庭園部分の管理にまではさすがに手が回らないようで、おじいちゃんの描いていた夢は草の中に埋もれつつあった。


下のサイトの様子   下のサイトの様子
混雑期はここにもテントが張られるのだろう   奥の方は草に埋もれつつある

白老川以前ここに泊まった時は、キャンプ場の隣を流れる白老川まで下りて行った記憶が残っていた。
川まではかなりの高低差があり、下りれそうな場所を探すと、隣の土取場の横から細い道が川まで続いていた。
釣り人が歩いた踏み分け道だろうか。
わざわざこんなところを下りていくのは、釣り人かカヌー乗りくらいだろう。
玉石がゴロゴロした川の様子を目にして、ついついその中にカヌーで下るルートを探してしまうのは、私もかみさんも同じだった。

テントに戻って焚き火を始める。
ダッチオーブンも持ってきていたので、それで安納芋の焼き芋を作る。
安納芋の焼き芋はホクホク感はないけれど、その甘さは絶品である。
管理人さんから白老牛のハンバーグをもらったので、お返しにこの焼き芋を届けたところ、喜んでもらえたようだ。

焚き火を楽しむしつこく降り続けていた雨もようやく上がって、上空には上弦の半月を過ぎたばかりの月が浮かんでいた。
その程度の月でも結構明るく、1段下がった下の広場をくっきりと照らし出していた。
満月の夜ならば面白い風景を見られそうだ。
上空を吹く風は強く、月の横を次々と雲が流されていく。

我が家のメインディッシュはダッチオーブンで作る豚ヒレのトマトソース煮込み。
焚き火に吊るした状態では作りづらいと言われ、結局はガスコンロの上で調理されていた。
ダッチオーブン料理はやっぱり、焚き火の上でじっくりと時間をかけて作るメニューの方が向いているようだ。

白老牛のハンバーグ管理人さんからもらった白老牛ハンバーグも、かみさんがちょっと手を加えてくれて、これもとても美味しかった。
せっかく白老に来たのだから、白老牛は食べて帰りたいけれど、如何せん、ステーキなどは高すぎてとても手が出ない。
これで一応は白老牛も食べたことになるので満足である。

何時もの様にワインを1本空けたところで就寝。
川の音が周りの雑音を消してくれるので、耳栓を付けないで寝る。
おかげで、森野の山に響くエゾシカのラッティングコールを何度も聞くこととなった。
時々隣の道路を通過するトラックが、クラクションを長く鳴らし続けることがあった。
何でだろうと思っていたが、多分道路に出てくるエゾシカを追い払うためのクラクションだったのだろう。

そんな音を時々聞きながらも、ぐっすりと眠って朝を迎えた。
まずはテントの内側に触れてみる。
新しいテントで一番心配していたのが結露である。
一般的なダブルウォールテントでは、インナーテントの内側まで結露することは滅多にないが、シングルウォールではどうなのだろう。
日の出その内側に触った手は、かなり濡れていた。
シュラフの足元も、テントに触れていたせいで、濡れてしまっている。
設営はとても簡単だったが、やっぱり全てが良いことばかりではないようだ。

少し寝坊したので、テントから出た時は既に日が昇ってくる間際だった。
空には雲一つ浮かんでいない。
これならばもう少し早起きして、日の出前の空の色の変化を楽しめば良かった後悔する。
ここのキャンプ場はサイトの東側が低くなっているので、朝日が昇ってくると同時に各サイトに朝の光が降り注ぐ。
夏のキャンプならば「暑くて寝てられない」なんて状況になってしまうが、明け方の気温が下がる秋のキャンプでは、この太陽の光がとてもありがたいのである。
良い朝だった。

朝の風景朝日を浴びながら、焚き火台の薪に火を付け、朝のコーヒーを味わう。
今回のキャンプは、山登りとセットで楽しもうと考えていた。
そこで真っ先に思い付いたのが、森野に泊まってホロホロ山に登ることである。
久しぶりの森野と冬にしか登っていないホロホロ山。
ちょうど良い組み合わせだった。

天気予報では、3連休の中で天気が良さそうなのは最終日だけ。
前日にキャンプ場入りして連休最終日に山に登ると言う計画は、見事に上手くいったようだ。

気持ちの良い朝を楽しみすぎて、キャンプ場を出発した時は午前7時半を少し過ぎてしまっていた。
山に登る時はもっと早く行動しなければならないのだ。


朝の風景   朝の風景
朝の日射しが心地良い   朝日が一斉にサイトを照らす

ホロホロ山に登り、あまりにも良い天気だったので隣の徳舜瞥山にまで足を延ばし、キャンプ場に戻って来た時は12時半を過ぎてしまっていた。(登山の様子はこちら
ここのキャンプ場のチェックアウト時間は12時。
何処かのオートキャンプ場の様な厳しい縛りは無いとしても、一組が撤収中の他はテントはもう一張りも残っていなかったので、大急ぎで撤収する。
ドッグランやっと片づけを終える頃、管理人さんご夫婦とそのお友達が、ドッグランで犬を遊ばせるためにやってきた。
サイトの隣には、ネットで周りを囲ったドッグランが作られているのである。

もしもフウマが生きていれば、管理人さんの愛犬さくらちゃんと、このドッグランで一緒に遊ばせてあげたかった。
でも、誰もいないキャンプ場で何時も勝手に走り回っていたフウマなので、周りを囲まれたドッグランの中に放しても、あまり喜ばなかったかもしれない。

管理人さんとさくらちゃんにお別れの挨拶をして、キャンプ場を後にする。
「また来ます!」と言ったけれど、気まぐれな私たちなので、次にここを訪れるのは来シーズンの新緑の季節か、10年後の紅葉の季節になるのか、まるで分からないのである。

50年前の顔写真帰り道、白老の市街地にある山菜料理の店「グランマ」で昼食を食べる。
店で働く人は全員がおばあちゃん。
残念ながら看板メニューの山菜定食は売り切れていたけれど、日替わり定食は素朴な味わいだった。
店の壁には、おばあちゃん達の50年前の大きな顔写真が貼られているのが面白い。
「えっ!こんなに綺麗な人が!」と思って店内を探しても、そんな面影が残る人は何処にもいなかった。
店を出る時には、おばあちゃんの1人がアケビをお土産に持たせてくれたものの、その何とも得体の知れない果物を前にして、結局食べずに終わってしまったのである。



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