そのまま街に降りて買い物や食事を済ませる。
昼食は「手打ちそばおぐら」という店でニシン蕎麦を食べたけれど、上に乗っているニシンが全然美味しくなかった。
去年の秋に江差の「やまげん」で食べたニシン蕎麦がとても美味しかったので、「その味をもう一度」と思ってここでも注文したのだが、江差のニシン蕎麦とは似ても似つかない代物だった。
これからは、他の店のメニューにニシン蕎麦が有ったとしても、もう注文することはないだろう。
駐車場まで戻ってくると、入場待ちの車の列が長く伸びていた。そしてその列は街の中まで延々と繋がっていたのである。
まだ桜もそれ程咲いていないのに、これで満開になったらどうなるのだろうと空恐ろしく感じてしまう。
その行列を横目で見ながら、観光地図に載っていた孟宗竹林を見に行くことにする。
看板に従って細い道を入っていくと、最後には「本当にこの道で良いのか?」と思えるような人家の庭先を通り、車幅ぎりぎりの細い橋を渡って、ぬかるみにタイヤ埋め、車体をこする笹にヒヤヒヤさせられ、半分崩れかけた木製の橋でその道は行き止まりとなる。
橋を渡った先に、ここが北海道であることを忘れてしまうような美しい竹林が広がっていた。
北海道に住んでいるとこんな竹林を見られただけで嬉しくなってしまう。
それにしてもGWの松前で桜ではなくて竹林を見て感動することになるとは思ってもいなかった。
松前を後にして、知内経由で今日のキャンプ地である上ノ国町の夷王山へと向かう。
道路は渋滞こそしていないものの、沿線の道の駅は何処も車で溢れかえっていた。
途中、湯ノ岱温泉の保養センターで風呂に入る。
そのすぐ前が明日の川下りのスタート地点となるので、上ノ国町まで戻るついでに川の下見をしながら車を走らせる。
水量もたっぷり、周辺の風景も美しく、明日の川下りが楽しみになってくるが、天気予報は今夜から下り坂。
今日下っていれば最高だったのにと思っても、予定は簡単には変えられない。
ちょっと前までの天気予報では4日が一番天気が良くなるはずだったのに、本当に天気予報は当てにならないのだ。
キャンプ場に到着すると、既に結構な数のテントが張られていた。
これでも空いている方なのだろうけれど、我が家がここにテントを張った過去2回で他のキャンパーの姿を見るのはまれだったので、ちょっと驚いてしまう。
その混雑から逃げようとオートサイトではない芝生広場の隅の方にテントを張りたがっているかみさんを説得して、段々畑状の一番上のサイトにテントを設営する。
そこには通路側にファミリーらしいテントが張られているだけなので、奥の方に入れば隣のことはほとんど気にならない場所である。
それでも、他にキャンパーのいる場所でのキャンプに慣れていないかみさんなので、少しでも離れた場所に行きたがるのである。
テントを張り終えて直ぐにビールを飲みたいところだけれど、その前に近くの海岸へ流木を拾いに行くことにした。
このキャンプ場で2泊する予定なので、家から持参した薪では足りそうにないのである。
それに、今夜から雨も降るらしいので、今のうちに乾いた薪を確保しておく必要があるのだ。
毎回同じことをやっているので近くで流木を拾える場所も覚えていて、直ぐに十分な量を拾い集めてキャンプ場へと戻ってくる。
我が家とファミリーの間には更に車が一台増えていたが、車中泊の老夫婦なのであまり気になることもなさそうだ。
見ると、ワンボックスカーの後ろには釣り竿がずらりと並んでいたので、それを話題に少し話をする。
こうして一言二言でも言葉を交わしておけば、お互いにその後の居心地はずいぶんと変わるものである。
薄曇りの空で太陽が淡い光を放ち、その横には幻日が現れていた。これは天気が下り坂へ向かう前兆でもある。
念のためにテントに張り綱を張っておくことにした。
夕食を済ませると早速、拾ってきた流木でたき火を始める。
朝の早起きのせいで寝不足気味なので、ワインを1本空けたところで早々にテントに潜り込んだ。
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