それにしてもキャンピングカーで泊まっているキャンパー達、ほぼ全員が60を過ぎた様なじいちゃん、ばあちゃんばかりである。
そんな年寄り達が全国からキャンピングカーで集まり、一体ここで何のイベントが行われると言うのだろう?
数年前の同じ時期にここに立ち寄った時もキャンピングカーが沢山集まっていてびっくりしたことをふと思い出した。
「毎年恒例のイベントなのだろうか?」
謎は深まるばかりだった。
次第に冷え込んできて、ダウンの上着まで着込む始末である。
明日の予定は、朝起きてからの天気予報で決めることにする。
さすがに、ここから道東に向かうのは無理なので、道北にもう1泊して、その後は旭岳か白金温泉のキャンプ場に泊まって日帰り登山を楽しみたいところである。
寝る前に炊事場に歯を磨きに行くと隣りで魚をさばいている夫婦がいたので「今日は何かキャンピングカーのイベントでもあるんですか?」と聞いてみた。
すると「ああ、これですか?、皆さん、かにまつりを目的に集まってきているんですよ!」とのお返事。
「えっ?、!」
ようやく全てが納得できた。カニ祭りまでまだ三日もあるので、それと結び付けて考えることができなかったのだけれど、ここに集まってきているのは全て仕事をリタイアした人達ばかり。
一ヶ月、二ヶ月と北海道に滞在し続ける彼等にとって、三日前も一週間前も関係無いのかもしれない。
かみさんは「そこまでしてカニが食べたいのかしら?」と驚いていたけれど、彼らにとってはそれが目的なのではなく、リタイア後の刺激の無い生活に何か目標とするものが欲しいだけなのだろうと私は思うのである。
謎が解けてすっきりしたところで9時過ぎに就寝。
翌朝は漁船のエンジン音で目が覚める。
テントから出ると、夜中に降った雨でテントは濡れていたものの、青空も覗いて予想外の展開である。
前日の天気予報では道北は曇り。ましてこんな海岸沿いならば、濃い海霧に包まれた薄暗い朝を迎えるのは間違いないと思っていたのだ。
それが、海霧こそ発生していたものの、それは周囲の風景に変化を加えるためのアイテムの様なものだった。
千切れ千切れの海霧が光と影を作り出し、周りの山や海の風景を更に美しく演出している。
アメダス情報を確認すると、北海道で陽射しがあるのは、私達のいるこの付近だけであった。
これまでは自分達のいる場所だけが雨が降ったり霧に包まれたりして、とうとう6月初めの天売焼尻キャンプでは自分で自分に霧男と命名するに至ってしまった。
これはついに霧男の汚名返上と宣言しても良いだろう。
朝食を済ませ、テントが乾くまでの間、千畳岩を散歩する。
エゾカンゾウにヒオウギアヤメ、ハマナスにハマエンドウ、北海道の初夏を彩る原生花園の花々が、そこでも沢山花を咲かせていた。
この後は、宗谷岬を回って兜沼か遠別辺りで一泊、その後に大雪山方面に向かおうとも考えたが、雨を避けられるのはどうも道北方面だけのようなので、今日は無理をしないでクッチャロ湖に泊まることにする。
それならば時間に余裕もできるのでゆっくりと片付けを済ませ、ずらりと並んだキャンピングカーの間を通り抜けて、午前8時前にキャンプ場を後にした。
クッチャロ湖キャンプへ続く
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