ヒツジ達が放牧されている牧場までやって来た。
天気のせいで落ち込んだ気分も、この島のヒツジ達の姿を見ると癒される。
日本の畜産業を揺るがす口蹄疫騒ぎなどまるで関係無いかのように、のんびりと草を食んだり、ゴロリと寝転んだりしている。
来月行われる焼尻めん羊祭りではこの中の何頭が食べられてしまうんだろう、何て考えながらヒツジ達の姿をしばし楽しむ。
道は森の中へと入っていく。
私が今年になって初めて目にする、新緑に彩られた森の風景である。
時折薄日も射すようになってきて、そうすると新緑の森は更に美しさに磨きがかかる。
森の林床にはマイヅルソウが絨毯のように広がり、可憐な白い花を咲かせている。
そこに混じって小さな花を付けたクルマバソウ、まだ蕾のままのホウチャクソウ、イチゲはもう花が終わって葉だけが茂っている。
「どうやって育ったらこんな姿になるのだろう」と考え込んでしまうくらいに枝や幹が捻じ曲がったミズナラの姿も、この森のアクセントである。
森の中を抜けると、少し元気が出てきたような気がする。私にとってここの森は癒しの森でもある。
焼尻の家並みの中を抜けて、小田商店で今夜のビールを仕入れる。
この店には初めて入ったけれど、生鮮食料品も結構売られていた。それがやたらに値段が高くて、小さなスイカが一個三千円で売られているのには驚いてしまう。
この日は島の小中学校で運動会が開催されているので、それを目当てに仕入れたのだろうか。
こんな店を見ていると、島民の生活の様子を感じることが出来てとても楽しい。
再び森の中を抜けてキャンプ場へと戻る。
途中の鶯谷の近くで、まだ蕾が伸びていないベニバナイチヤクソウの姿を発見。
私達がこの花を初めて見たのは去年のこの場所だったので、再会できて嬉しかった。
しかし花の姿は去年と比べるとあまりにも小さかった。
森を抜けるとオンコの荘へと出てくる。
低く枝を伸ばしたオンコの向こうに我が家のテントが見えている。
去年に続いて今回も、キャンプ場は我が家だけの貸切のようだ。
サイトに戻って、ここでようやくビールで乾杯。
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