トップページ > キャンプ > キャンプ日記 > 2008年キャンプ日記

フウマと一緒にサロマ湖キャンプ前編

キムアネップ岬キャンプ場(9月21日〜9月23日) 

 今年になって初めての2泊キャンプ。
 行き先は、「人がいないところね」と言うのがかみさんのリクエストで、我が家の定番の朱鞠内湖も頭に浮かんでいたけれど、私の気分的にはオホーツク方面に行きたかった。
 ちょうど能取湖のサンゴ草も見ごろを迎えているようで、それを見に行くためにはサロマ湖のキムアネップ岬がちょうど良さそうだ。
 かみさんも異論が無く、日曜日の8時過ぎに札幌を出発。
 高速道路はETCの通勤割引が適用されるように深川で一旦下りて、直ぐにUターンしてもう一度高速道路に入りなおす。
 その後、比布JCTを通過する時に何時もより料金が安かったので不思議に思った。そう言えば、ETCの休日昼間割引社会実験が始まっていたはずで、この割引が適用されたようである。
 どちらも100km以内の利用に限られているので、もしも深川インターで途中下車しなければ、丸々全額の料金を支払わされてしまうことになる。
 ETCの賢い利用方法だと言えばそれまでだけれど、もっと広く広報しなければ不公平な気がする。
 比布JCTから先は旭川・紋別自動車道が、2箇所ほど未開通区間があるものの丸瀬布まで無料で利用できて、昼前には湧別町に着いてしまった。
 我が家を出てから3時間半程度でオホーツク海に出られるのだから、便利になったものである。

ゆうらく軒 途中、カヌーフィールドとして湧別川下流域の様子を見たくて上湧別付近で寄り道したけれど、その濁った水を見てちょっとがっかりしてしまった。
 まあ、一週間前に歴舟川を下ったばかりなので、その後では何処の川を見たとしても同じ印象を持ったかも知れない。
 湧別町では、あらかじめネットで調べておいたラーメン屋「ゆうらく軒」に入る。
 湧楽座と言う小劇場の建物の中に店があるので、中に入ったときは一瞬驚いてしまう。
 オホーツクの自然塩を作っている会社が経営する店だけに、塩ラーメンはとても美味しく、キャンプ旅行初日から気を良くする。

オホーツク海 ゆうらく軒を出て、もう一度湧別川の様子を見に行く。
 河口近くに架かる橋の上から川を覗き込むと、そこにはうようよと鮭が群れていた。
 既にホッチャレとなって白い腹を見せている鮭や、玉石の川底で産卵行動をしているような鮭までもいる。
 今時期にここをカヌーで下ると、生臭い匂いにかなり悩まされそうである。
 堤防上の砂利道を下流へと走っていくと、そのまま海へ出ることができた。
 オホーツク沿岸独特の小砂利の浜を歩いていると、何か懐かしささえ感じてしまう。
 私が何となくオホーツクに来たかったのは、この懐かしさのためだったのかもしれない。

 時間に余裕があるので、キャンプ場へ行くまでサロマ湖沿いの観光地を丹念に見て回ることにした。
 三里浜は何度も行っているので今回はパス。
  サンゴ岬と計呂地にあるサンゴ草群生地に寄ってみたけれど、あまり見ごたえのする群落ではなかった。
サンゴ岬の群落 ビラオラ展望台はそこからの展望よりも、小さなリスのモニュメントの方が印象に残った。
 サロマ湖の展望と言えば、何と言っても幌岩山のサロマ湖展望台からの眺めだけれど、こちらは明朝に朝日を見るために登ることにしているので、楽しみはそれまで取っておくことにする。
 円山自然休養林にも行ってみる。昔はそこがキャンプ場になっていたこともある。
 18年前、キャンプをするつもりでここまで来たことがあったけれど、何処がサイトなのかも分からないような有様で、結局テントを張るのを諦めて他へ移動したことがあった。
 今はどうなっているのだろうと、当時のことを思い出しながら細い砂利道を車を走らせる。
 その砂利道の終点までやって来た時、そこに昔から殆ど変わっていない風景を見つけて嬉しくなってしまった。
 でも、今の目で見ても、ここの何処がキャンプ場だったのか、やっぱり分からなかった。
 この他に道の駅2箇所と北勝水産直売所にも立ち寄ったが、特に購買意欲をそそられるものは無し。
 頻繁に色々な場所に立ち寄るものだから、車に乗っているフウマも呆れ顔だ。

ビラオラ展望台   展望台にいたリス
 

 そうしてようやくキムアネップ岬に到着。
 駐車場に車が2台ほど停まっていたけれど、キャンパーの姿は見当たらない。
 リヤカーに荷物を積み込んで、それを押しながらサイト探し。
 私は直ぐに、管理棟の比較的近くにサロマ湖を見渡せるベストポジションを発見した。
我が家のサイト ところがかみさんは、「遊歩道の入り口が横にあるから落ち着かない」などと言って、もっと奥の方にテントを張りたい様子だ。
 ここのキャンプ場はサロマ湖の中に細く突き出したキムアネップ岬の先端にあるので、とても眺めが良さそうに思われるけれど、実際は周囲をハマナスの群落に囲まれているので、それほど見通しは良くないのだ。
 キャンプ最終日は雨の予報も出ているので、駐車場から遠く離れた場所にテントを張るのも考え物である。
 7年前は何処にテントを張ったのだろうと考えたけれど、なかなか思い出せない。
 それは多分、サイトのど真ん中に新しいトイレと炊事場の建物が作られたせいなのだろう。
 それが、このキャンプ場のロケーションを大きく変えてしまったような気がする。
 遊歩道の入り口に近すぎると言っても、今時期にそれほど多くの観光客がやって来るわけも無く、今回は私の意見を通して最初の場所に設営することに決定した。

蚊が一杯 ここのキャンプ場の蚊は獰猛なことで知られている。
 7年前にここに泊まった時も、Gパンの上からでも平然と吸血してくるのに驚かされていたので、設営前に虫除けスプレーとハッカスプレーで念入りな対策を講じる。
 そのおかげで、設営中はそれほど気にならなかったものの、テントを張り終えてゆったりと寛ごうとすると、それを待っていたかのように体の回りに群がってきた。
 たまらずにテントの前室の中に逃げ込む。
 折角の美しい風景も、メッシュの窓越しに眺めるのでは興ざめである。
 おまけにそのメッシュには、旨そうな匂いを嗅ぎつけて隙あらば中に入り込もうとしている蚊達がへばり付いているのである。
 長袖の厚地の服でも着ていれば良いのだけれど、9月下旬になるのに今年の北海道は気温の高い日が続いており、 この日も半そでTシャツが心地よいような暖かさなのだ。
夕日を眺めながらの焼肉 それでも夕方になって弱い風が吹いてくると蚊の数も少しは減ってきたので、テントの外で焼肉をすることにした。
 おあつらえむきの流木も近くに転がっていたので、それをベンチ代わりにする。
 既に日もかなり傾いてきていた。
 サロマ湖を赤く染める夕陽を眺めながらの焼肉なんて、とっても贅沢だ。
 とは言っても、肉を焼かなければならないし、夕陽の写真も撮らなければならないしで、結構忙しいのが困りものである。
 サロマ湖東岸にあった栄浦野営場も閉鎖になってしまったので、サロマ湖に沈む夕陽を楽しめるキャンプ場はもうここしかない。
 それも、赤く染まる湖面をサイトから直接眺められるのは、我が家がテントを張った場所だけなのだ。

 
美しい夕日

 最近はすっかり食が細くなってしまったフウマだけれど、焼肉を前にすると元気だった頃のフウマが戻ってくるようだ。
 痩せて落ち窪んだ目を必死に見開いておねだりをするその様子は、以前の我が家のキャンプでのお決まりシーンそのままである。
お肉、食べたいな〜 ただ、ちょっと違っているのは、フウマに食べさせてやる肉は、かみさんがいちいち細かく千切ってやらねばならないことだった。
 焼肉が終わると次は焚き火の時間。
 フウマはサッサとテントの前室に入り込んで寝てしまう。
 キャンプ場の照明は入り口横の1灯が点いているだけだけれど、その1灯だけでキャンプ場の遥か奥まで照らすようにしているらしく、とんでもなく明るい。
 空を見上げて両手でその明かりを遮ると、満天の星空が広がっていた。
 その星空を驚くほどに明るい人工衛星が横切っていった。木星以上の光度があるかもしれない。
 後で調べてみたら、それはどうやら国際宇宙ステーションの光だったようだ。
 日本の実験棟「きぼう」がこの宇宙ステーションに取り付けられた今年の3月頃は、「宇宙ステーションを見てみよう」とかで日本上空の通過時間が新聞に載ったりしていたものだ。
焚き火の時間 私もその時間にカメラを構えて空を見上げていたのだけれど、雲に邪魔されて見ることができずに終わっていた。
 当然のことだけれど、今でもこの宇宙ステーションは地球の周りを回り続けていて、時々日本上空も通過しているのだ。
 予めそのことを知っていたとしたら今回のキャンプの良いイベントになっていたのに、惜しいことをしたものである。

 かみさんの命により、寝る時はフウマをインナーテントの中に入れてやることになった。
 下痢が続いているフウマは夜中にも時々用足しに起きることがある。
 もしも私がぐっすりと寝込んでしまって気が付かなければ、インナーテントの中にお漏らしされてしまうかもしれない。
 しかし、何時もはかみさんがフウマと一緒に寝ていて、その度に外に連れ出してやっているので、キャンプの時くらいは私がその役を引き受けることにした。
 かみさんは今夜は、自分用のテントでぐっすりと眠ることができるだろう。
 夜中にふと目が覚めると、フウマが私の枕元で立ち上がっているのに気が付き、慌てて飛び起きた。
 そのまま外に連れ出してやると、トボトボと草むらまで歩いて行きウンチをしている。危ういところだった。
 テントに戻ってきたフウマはそのまま前室で寝てしまったので、朝までもう大丈夫だろうと思い、そのままで私も寝ることにする。
 朝4時に目が覚めた。
 今日は幌岩山の展望台から朝日を見ることにしていたので、まだ真っ暗だけれどそのまま起きることにする。
 既に起きていたらしいかみさんが、その気配を感じて私のテントに入ってきた。
 「フウマはどう?」
 「そこに寝てるよ!」
 「えっ?いないわよ」
 「・・・」
 「何やってるのよ!」
 慌ててしまった。私のテントは裾付きでそれを地面にペグで留めているので、下の隙間から外には出られても中に入ってくるのは難しい。
 ましてフウマは、目は殆ど見えないし、草が伸びているところでは歩くのも覚束ない状態なのだ。
 焦って周囲を探したら、テントの後ろ側で丸くなって寝ているのを直ぐに見つけて胸を撫で下ろす。
でも、体は夜露で濡れているし「フウマごめん」と、まだ眠たそうな目をしたままのフウマに謝った。

 まだ暗い空では、下弦の月と冬の星座のオリオン座が冷たい光を放っている。
 フウマを車に乗せて、真っ暗な道を幌岩山へと向かった。
 途中からは細いダート道になる。鬱蒼と茂った木々の間から時々見える空が何となく曇っているようなのが気になる。
 頂上に近づき、ようやく見えてきた空はやっぱり雲に覆われていた。
 しかし、その雲もやがて消えて無くなり、コーヒーを入れながら朝日が昇るの待つことにする。

もうすぐ朝日が!
 

 サロマ湖には漁船の明かりが点々と散らばっている。どうりで夜中から漁船のエンジン音がうるさかったわけだ。
 東の空が明るくなり始める頃、再び嫌らしい雲が広がり始めた。
 今度はその雲も直ぐに消えてくれず、逆にますますその厚さを増してきていた。
雲に隠れた朝日 そしてとうとう東の空の殆どを覆いつくし、地平線近くに空いた僅かな隙間から朝日の一部が見られただけの結果に終わってしまった。
 本当に憎たらしい雲である。
 その雲が無かった時の様子を想像したら、無理をしてでももう一度チャレンジするだけの価値がこの光景にはありそうだ。
 夏至の頃ならば朝日が昇ってくる場所ももっと湖寄りになってより素晴らしい光景になりそうだけれど、その時間に間に合うように早起きするのはちょっと難しいかもしれない。

 キャンプ場に戻り朝食を食べていると、今頃になってようやく上空の雲が取れてきた。
 まったく、朝日を見るのを邪魔するためだけに出てきたような雲である。
 この日は一日、周辺観光に充てる予定だ。
 キムアネップに泊まったのは7年前、栄浦に泊まったのはもう18年も前になり、この周辺もあまり歩いたことがない。
 最近は流氷を見るために冬に訪れる機会も増えているのだけれど、いずれも時間に追われて慌しく通り過ぎるばかりだった。
 まずは懐かしい栄浦野営場の跡地を見に行く。
 このキャンプ場は閉鎖されてからもうしばらく経過しているけれど、その様子は当時と殆ど変わっていない。
 背の低いカシワ林とそこから見えるサロマ湖の風景、ぜひもう一度キャンプ場として復活してもらいたい場所である。
常呂遺跡 背後の森の中には当時は無かったはずの「ところ遺跡の森」が整備されていて、復元された擦文文化等の住居がある。
 「ところ遺跡の館」は残念ながら月曜で休館だったけれど、世界遺産にもなり得ると言われる常呂遺跡、もっと時間をかけてじっくりと見て回りたいところである。
 湖畔の直売所では新鮮な魚が売られていた。
 昨日ここに立ち寄っていたとしたら、その日の 夕食メニューは魚介バーベキューに変わっていたかもしれない。
 それにしてもそこで1匹100円で売られていたサケ、そのあまりにも低すぎる扱いに気の毒に思ってしまう。
 ワッカネイチャーセンターにも立寄る。
 さすがにその先のワッカ原生花園までは歩く時間も無さそうなので、入り口からちょっと入っただけで引き返した。
 どうせならここを歩く時は、花の咲いている時期にしたいものである。

キカラシの咲く丘 次は、童夢想野(トムソーヤ)の丘と呼ばれる場所にある「いっぽんの木」を目指す。
 予め仕入れておいた情報の中では、ここへの期待が一番大きかった。
 海岸線の道から、能取湖西側の丘陵地帯の道へと入っていく。
 途中には森林公園もあり、その中に建つ百年記念塔まで行ってみた。
 ずっと遠くからでもその姿を確認できていた百年記念塔、上に登れば素晴らしい展望を楽しめそうなのに、老朽化のために立ち入り禁止になっていたのはとても残念だった。
 キカラシの咲く美しい風景に出会った。能取湖が美しく見渡せるようなところもあり、丘めぐりの場所としてもここは楽しそうなところである。
 途中から砂利道に変わって、そこをしばらく走ると「いっぽんの木」に到着。
 樹齢200年の素直な樹形をしたイタヤカエデである。
 その姿はとても美しいのだけれど、周りの風景を含めた良い構図で写真を撮れるポイントが見当たらないのがちょっと残念。


いっぽんの木

 今度は能取湖の湖口を目指す。
 別にそこに何かがあるわけでは無いけれど、サロマ湖とか風蓮湖とか、砂嘴で海と遮られている海跡湖があると、その湖口がどうなっているのか一度は確かめてみたくなるのが人情である。
湖口への道 でも、大体がそんなところはただ往復して走るだけの場所なので、よほど時間に余裕のある時でなければ行く気にはならないのだ。
 途中から舗装が切れて砂利道となる。
 それにしても今回は、林道マニアでもないのにダート道を走る機会が多い。土ぼこりで既に車は真っ白になってしまった。
 残念ながら護岸工事のため湖口部は立ち入ることが出来なかったけれど、敢えて再訪するほどの場所でもなさそうである。

 次に訪れたのは能取湖南岸の卯原内地区にあるサンゴ草群生地。
 ここのサンゴ草は日本最大の群落とされていて、観光地としても有名になっている。前日まではここを会場にサンゴ草祭りも開催されていた。
 確かに、一面が真っ赤に染まったサンゴ草の風景はサロマ湖の群落とは比べ物にならないくらいである。
 でも、7年前にも訪れた時にもこの風景は見ており、観光客の集まる場所に興味は湧かないので、写真を撮ったら早々にそこを後にした。

キャンプ後編へ続く 

キャンプのアルバムへ 


能取湖のサンゴ草
戻る   ページTOPへ ページトップへ